かた・い【堅い/硬い/固い】

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・・・王子の剣は鉄を切る代りに、鉄よりももっと堅い、わたしの心を刺したのです。わたしはあなた方の御婚礼のために、この剣と長靴と、それからあのマントルと、三つの宝をさし上げましょう。もうこの三つの宝があれば、あなた方二人を苦しめる敵は、世界にないと・・・<芥川竜之介「三つの宝」青空文庫>
・・・彼は堅い決心をしていた。今夜こそは徹底的に父と自分との間の黒白をつけるまでは夜明かしでもしよう。父はややしばらく自分の怒りをもて余しているらしかったが、やがて強いてそれを押さえながら、ぴちりぴちりと句点でも切るように話し始めた。「いいか・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
・・・荒海の巌礁に棲み、鱗鋭く、面顰んで、鰭が硬い。と見ると鯱に似て、彼が城の天守に金銀を鎧った諸侯なるに対して、これは赤合羽を絡った下郎が、蒼黒い魚身を、血に底光りしつつ、ずしずしと揺られていた。 かばかりの大石投魚の、さて価値といえば、両・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
・・・親の許さぬ男と固い約束のあることも判った。お前の料簡は充分に判ったけれど、よく聞けおとよ……ここにこうして並んでる二人は、お前を産んでお前を今日まで育てた親だぞ。お前の料簡にすると両親は子を育ててもその子の夫定めには口出しができないと言うこ・・・<伊藤左千夫「春の潮」青空文庫>
・・・ さすがは学校の先生だけあって、隣りに芸者がいても寄りつきもしない、なかなか堅い人であるというのが、僕に対する最初の評判であったそうだ。が、だんだん僕の私行があらわれて来るに従って、吉弥の両親と会見した、僕の妻が身受けの手伝いにやって来・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
・・・ 女房は夢の醒めたように、堅い拳銃を地に投げて、着物の裾をまくって、その場を逃げ出した。 女房は人けのない草原を、夢中になって駈けている。ただ自分の殺した女学生のいる場所からなるたけ遠く逃げようとしているのである。跡には草原の中に赤・・・<著:オイレンベルクヘルベルト 訳:森鴎外「女の決闘」青空文庫>
・・・あの堅い土の下にくぐっている時分には、同じような種子はいくつもあった。そして、暗い土の中で、みんなはいろいろのことを語り合ったものだ。「早く、明るい世の中へ出たいのだが、みんながいっしょに出られるだろうか。」と、一つの種子がいうと、・・・<小川未明「明るき世界へ」青空文庫>
・・・じっと前方を見凝めたまま相変らず固い口調で、「いいえ、上手と違いますわ。この頃は気持が乱れていますのんか、お手が下ったて、お習字の先生に叱られてばっかりしてますんです。ほんまに良い字を書くのは、むつかしいですわね。けど、お習字してますと・・・<織田作之助「秋深き」青空文庫>
・・・それをば片一方の眼で視ているので、片一方のは何か堅い、木の枝に違いないがな、それに圧されて、そのまた枝に頭が上っていようと云うものだから、ひどく工合がわるい。身動を仕たくも、不思議なるかな、些とも出来んわい。其儘で暫く経つ。竈馬の啼く音、蜂・・・<著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷「四日間」青空文庫>
 猫の耳というものはまことに可笑しなものである。薄べったくて、冷たくて、竹の子の皮のように、表には絨毛が生えていて、裏はピカピカしている。硬いような、柔らかいような、なんともいえない一種特別の物質である。私は子供のときから、・・・<梶井基次郎「愛撫」青空文庫>
・・・身を切るような風吹きて霙降る夜の、まだ宵ながら餅屋ではいつもよりも早く閉めて、幸衛門は酒一口飲めぬ身の慰藉なく堅い男ゆえ炬燵へ潜って寝そべるほどの楽もせず火鉢を控えて厳然と座り、煙草を吹かしながらしきりに首をひねるは句を案ずるなりけり。・・・<国木田独歩「置土産」青空文庫>
・・・また、固い靴で、蹴落された。彼は、必死に力いっぱいに、狭い穴の中でのたうちまわった。 彼は、右肩を一尺ばかり斬られていた。栗島は、老人の傷口から溢れた血が、汚れた阿片臭い着物にしみて、頭から水をあびせられたように、着物がべと/\になって・・・<黒島伝治「穴」青空文庫>
・・・そればかりじゃあ無い、奉公をしようと云ったって請人というものが無けりゃあ堅い良い家じゃあ置いてくれやしないし、他人ばかりの中へ出りゃあ、この児はこういう訳のものだから愍然だと思ってくれる人だって有りゃあしない。だから他郷へ出て苦労をするにし・・・<幸田露伴「雁坂越」青空文庫>
・・・――然し皆の胸の中には固い固い決意が結ばれて行った。         * メリヤス工場では又々首切りがあるらしかった。何処を見ても、仕事がなくて、食えない人がウヨウヨしていた。お君はストライキの準備を進めながら、暇を見ては仕事を探・・・<小林多喜二「父帰る」青空文庫>
・・・長く濃かった髪は灰色に変って来て、染めるに手数は掛かったが、よく手入していて、その額へ垂下って来るやつを掻上げる度に、若い時と同じような快感を覚えた。堅い地を割って、草の芽も青々とした頭を擡げる時だ。彼は自分の内部の方から何となく心地の好い・・・<島崎藤村「刺繍」青空文庫>
・・・背後にだけ硬い白髪の生えている頭である。破れた靴が大き過ぎるので、足を持ち上げようとするたびに、踵が雪にくっついて残る。やはり外の男等のように両手を隠しに入れて頭を垂れている。しかし何者かがその体のうちに盛んに活動している。右の手で絶えず貨・・・<著:シュミットボンウィルヘルム 訳:森鴎外「鴉」青空文庫>
・・・それにね、あの人は堅いのよ。わたしより外の女に関係していないということは、わたし受け合っても好いの。なぜ笑うの。いつかもわたしに打ち明けて話したわ。そら。わたしが諾威へ旅稼に行ったでしょう。あの留守に、あの厭なフリイデリイケが来てごまかそう・・・<著:ストリンドベリアウグスト 訳:森鴎外「一人舞台」青空文庫>
・・・ 女房は夢の醒めたように、堅い拳銃を地に投げて、着物の裾をまくって、その場を逃げ出した。 女房は人げの無い草原を、夢中になって駆けている。唯自分の殺した女学生のいる場所から成たけ遠く逃げようとしているのである。跡には草原の中には赤い・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
・・・脚を固い板の上に立てて倒して、体を右に左にもがいた。「苦しい……」と思わず知らず叫んだ。 けれど実際はまたそう苦しいとは感じていなかった。苦しいには違いないが、さらに大なる苦痛に耐えなければならぬと思う努力が少なくともその苦痛を軽くした・・・<田山花袋「一兵卒」青空文庫>
・・・下には磁器の堅いものがゴタゴタ並んでいたので、元来脆いこの壷の口の処が少しばかり欠けてしまった。私は驚いて「どうもとんだ粗相をしました」と云うと、主人は、「いや、どう致しまして、一体この置き所も悪いものですから」と云った。そして、「このつれ・・・<寺田寅彦「ある日の経験」青空文庫>
・・・なかなか堅いんですの。旧は夜店で果物なんか売っていたんですけれど、今じゃどうして問屋さんのぱりぱりです。倶楽部へも入って、骨董なんかもぽつぽつ買っていますわ。それで芳ちゃんが落籍される時なんか、御母さんはああいう人ですから、いくらも貰わなか・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
・・・応と引括って、二進の一十、二進の一十、二進の一十で綺麗に二等分して――もし二十五人であったら十二人半宛にしたかも知れぬ、――二等分して、格別物にもなりそうもない足の方だけ死一等を減じて牢屋に追込み、手硬い頭だけ絞殺して地下に追いやり、あっぱ・・・<徳冨蘆花「謀叛論(草稿)」青空文庫>
・・・先ず案内の僧侶に導かれるまま、手摺れた古い漆塗りの廻廊を過ぎ、階段を後にして拝殿の堅い畳の上に坐って、正面の奥遥には、金光燦爛たる神壇、近く前方の右と左には金地に唐獅子の壁画、四方の欄間には百種百様の花鳥と波浪の彫刻を望み、金箔の円柱に支え・・・<永井荷風「霊廟」青空文庫>
・・・そうかといって太十はなかなか義理が堅いので何事かあると屹度兄の家へ駈けつける。然し彼は何事に就いても少しの意見もなければ自ら差し出てどうということもない。気に入らぬことがあれば独でぶつぶつと怒って居る。そうした時は屹度上脣の右の方がびくびく・・・<長塚節「太十と其犬」青空文庫>
・・・それで金はなくてもかまわないから、どうしても道楽をしない保険付きの堅い人にもらってもらおうと、夫婦の間に相談がまとまったのである。 自分の妻は先方から聞いてきたとおりをこういうふうに詳しくくりかえして自分に話したのち、重吉さんならまちが・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
・・・あんな処に杉など育つものでもない、底は硬い粘土なんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんなが云って居りました。 それは全くその通りでした。杉は五年までは緑いろの心がまっすぐに空の方へ延びて行きましたがもうそれからはだんだん頭が円く変って七年目も・・・<宮沢賢治「虔十公園林」青空文庫>
・・・ その時分から松屋のを使いはじめ、永年、そればかりをつかっていたら、二、三年前、体がひどく疲労したことがあって、その弱っている視力に松屋のダーク・ブルーの、どっちかというと堅い感じの枠が大変苦しく窮屈に感じられた。困った、といっていたら・・・<宮本百合子「打あけ話」青空文庫>
・・・最初誰かに脹満だと云われたので、水を取って貰うには、外科のお医者が好かろうと思って、誰かの処へ行くと、どうも堅いから癌かも知れないと云って、針を刺してくれなかったと云うのです」「それじゃあ腹水か、腹腔の腫瘍かという問題なのだね。君は見た・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>
・・・秋三は勘次にそう云って棺を横に倒すと安次の死体の傍へ近寄せた。 二人は安次の身体を転がしながら、棺の中へ掻き寄せようとした。が、張り切った死人の手足が縁に閊えて嵌らなかった。秋三は堅い柴を折るように、膝頭で安次の手足の関節をへし折った。・・・<横光利一「南北」青空文庫>
・・・破壊者はただ対象の堅い殻にのみ目をつけて、その殼に包まれた漿液のうまさを忘れている。しかし生活を全的に展開せしめようとするものは、この種の偏狭に安んじてはならない。これ偶像破壊者の危機に対する最第一の警告である。 予は自ら知れる限りにお・・・<和辻哲郎「『偶像再興』序言」青空文庫>

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