き【己】

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・・・彼は、この記憶の中に出没するあらゆる放埓の生活を、思い切って受用した事であろう。そうしてまた、如何に彼は、その放埓の生活の中に、復讐の挙を全然忘却した駘蕩たる瞬間を、味った事であろう。彼はを欺いて、この事実を否定するには、余りに正直な人間・・・<芥川竜之介「或日の大石内蔵助」青空文庫>
・・・こう見ねえ、斯うやって這いずって居る蠅を見て居ると、れっちよりゃ些度計り甘めえ汁を嘗めているらしいや。暑さにもめげずにぴんぴんしたものだ。黒茶にレモン一片入れて飲め無えじゃ、人間って名は附けられ無えかも知れ無えや。 昨夕もよ、空腹を抱・・・<有島武郎「かんかん虫」青空文庫>
・・・そんな事を言うのだ。そんな事をに言って、それがなんになるものか。」肩を聳やかし、眉を高く額へ吊るし上げて、こう返事をした。「だって嫌なお役目ですからね。事によったら御気分でもお悪くおなりなさいますような事が。」奥さんはいよいよたじろき・・・<著:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ 訳:森鴎外「罪人」青空文庫>
・・・この男は目にかかる物を何でも可哀がって、憐れで、ああ人間というものは善いものだ、善い人間がれのために悪いことをするはずがない、などと口の中で囁く癖があった。この男がたまたま酒でちらつく目にこの醜い犬を見付けて、この犬をさえ、良い犬可哀い犬・・・<著:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ 訳:森鴎外「犬」青空文庫>
・・・ 静に放すと、取られていた手がげっそり痩せて、着た服が広くなって、胸もぶわぶわと皺が見えるに、屹と目をみはる肩に垂れて、渦いて、不思議や、が身は白髪になった、時に燦然として身の内の宝玉は、四辺を照して、星のごとく輝いたのである。 ・・・<泉鏡花「伊勢之巻」青空文庫>
・・・次々と来る小災害のふせぎ、人を弔いれを悲しむ消極的営みは年として絶ゆることは無い。水害又水害。そうして遂に今度の大水害にこうして苦闘している。 二人が相擁して死を語った以後二十年、実に何の意義も無いではないか。苦しむのが人生であるとは・・・<伊藤左千夫「水害雑録」青空文庫>
・・・二葉亭の作を読んで文才を疑う者は恐らく決してなかろうと思うが、二葉亭自身は常に自の文才を危んで神経的に文章を気に病んでいた。文章上の理想が余り高過ぎたというよりも昔の文章家気質が失せなかったので、始終文章に屈托していた。ツルゲーネフを愛読・・・<内田魯庵「二葉亭余談」青空文庫>
・・・しかしながらその間にに帰っていうに「トーマス・カーライルよ、汝は愚人である、汝の書いた『革命史』はソンナに貴いものではない、第一に貴いのは汝がこの艱難に忍んでそうしてふたたび筆を執ってそれを書き直すことである、それが汝の本当にエライと・・・<内村鑑三「後世への最大遺物」青空文庫>
・・・ ある日のこと、正雄さんは、ただ一人で海の方から吹いてくる涼しい風に吹かれながら波打ちぎわを、あちらこちらと小石や貝がらを見つけながら歩いて、「見つかれしょ、見つかれしょ、の目に見つかれしょ。真珠の貝がら見つかれしょ。」といいまし・・・<小川未明「海の少年」青空文庫>
・・・いたことがあった、その時にその俳優が泊っていた宿屋に、その時十九になる娘があったが、何時しかその俳優と娘との間には、浅からぬ関係を生じたのである、ところが俳優も旅の身故、娘と種々名残を惜んで、やがて、は金沢を出発して、その後もまた旅から旅・・・<小山内薫「因果」青空文庫>
・・・ いや、矢張が弱っているから何も聞えぬので、其実味方は此処に居るに相違ない。「助けてくれ助けてくれ!」 と破れた人間離のした嗄声が咽喉を衝いて迸出たが、応ずる者なし。大きな声が夜の空を劈いて四方へ響渡ったのみで、四下はまた闃となっ・・・<著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷「四日間」青空文庫>
・・・ 吉田は何度「が気持よく寝られさえすれば」と思ったことかしれなかった。こんな不安も吉田がその夜を睡むる当てさえあればなんの苦痛でもないので、苦しいのはただ自分が昼にも夜にも睡眠ということを勘定に入れることができないということだった。吉・・・<梶井基次郎「のんきな患者」青空文庫>
・・・されどそはかならずよく燃ゆとこの群の年かさなる子、のが力にあまるほどの太き丸太を置きつついえり。その丸太は燃えじと丸顔の子いう。いな燃やさでおくべきと年上の子いきまきて立ちぬ。かたわらに一人、今日は獲もののいつになく多きようなりと、喜ばし・・・<国木田独歩「たき火」青空文庫>
・・・予言者には宇宙の真理とひとつになったという宗教的霊覚がなければならぬのは勿論であるが、さらに特にれの生きている時代相への痛切な関心と、鋭邁な批判と、燃ゆるが如き本能的な熱愛とをもっていなければならない。普通妥当の真理への忠実公正というだけ・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
・・・と、源作は、一寸冷笑を浮べて、むしむしした調子で、「等一代はもうすんだようなもんじゃが、あれは、まだこれからじゃ。少々の銭を残してやるよりや、教育をつけてやっとく方が、どんだけ為めになるやら分らせん。村の奴等が、どう云おうがかもうたこっち・・・<黒島伝治「電報」青空文庫>
・・・それで、は周勃と陳平とを一緒にしたんだなどと意張るのです。すると私が、何だ貴様が周勃と陳平とを一緒にしたのならは正成と正行とを一緒にしたのだと云って互に意張り合って、さあ来いというので角力を取る、喧嘩をする。正行が鼻血を出したり、陳平が・・・<幸田露伴「少年時代」青空文庫>
・・・ 当時若しゾーラをして黙してましめんか、彼れ仏国の軍人は遂に一語を出すなくしてドレフューの再審は永遠に行われ得ざりしや必せり。彼等の恥なく義なく勇なきは、実に市井の一文士に如かざりき。彼軍人的教練なる者是に於て一毫の価値ある耶。 ・・・<幸徳秋水「ドレフュー大疑獄とエミール・ゾーラ」青空文庫>
・・・「いやだ。には出来ない。立派な家の戸口は幾らもあるが。」老人は胸の詰まっているような、強情らしい声で答えた。もっと大男の出しそうな声であった。「お前さんは息張っているから行けない。つい這入って行けば好いに。」「いやだ。それに・・・<著:シュミットボンウィルヘルム 訳:森鴎外「鴉」青空文庫>
・・・ こういったようなことから、後で女房が亭主に話すと、亭主はこの辺では珍らしい捌けた男なんだそうで、それは今ごろ始った話じゃないんだ。の家の饅頭がなぜこんなに名高いのだと思う、などとちゃらかすので、そんならお前さんはもう早くから人の悪口・・・<鈴木三重吉「千鳥」青空文庫>
・・・に於ける強烈な自凝視など、外国十九世紀の一流品にも比肩出来る逸品と信じます。お手紙に依れば、君は無学で、そうして大変つまらない作家だそうですが、そんな、見え透いた虚飾の言は、やめていただく。君が無学で、下手な作家なら、井原は学者で、上手な・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
・・・と続いて思ったが、今度はそれがなんだか侘しいような惜しいような気がして、「も今少し若ければ……」と二の矢を継いでたが、「なんだばかばかしい、は幾歳だ、女房もあれば子供もある」と思い返した。思い返したが、なんとなく悲しい、なんとなく嬉しい・・・<田山花袋「少女病」青空文庫>
・・・他人の軽微な苦痛をが享楽の小杯に盛ろうとする不思議な心理がいかなる善良な人々の心の奧にも潜在することを教えてくれたようである。それから、冒険というものに対する本能的な興味の最初の小さな焔に点火してくれたとも考えられる。 この頃活動写真・・・<寺田寅彦「重兵衛さんの一家」青空文庫>
・・・もっともそれを見究めなかったのは、にもあやふやなところがあるからだ」道太はそう思うと、この事件の全責任が道太に繋っているように言う一部の人たちの言草にも、厳粛にいえば、相当の理由のあることを認めないわけにいかなかった。 道太は温泉へ行・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
・・・ その頃には銀座界隈には、にカフェエや喫茶店やビイヤホオルや新聞縦覧所などいう名前をつけた飲食店は幾軒もあった。けれども、それらはいずれも自分の目的には適しない。一時間ばかりも足を休めて友達とゆっくり話をしようとするには、これまでの習・・・<永井荷風「銀座」青空文庫>
・・・日月は欺くともれを欺くは智者とは云われまい。一刻に一刻を加うれば二刻と殖えるのみじゃ。蜀川十様の錦、花を添えて、いくばくの色をか変ぜん。 八畳の座敷に髯のある人と、髯のない人と、涼しき眼の女が会して、かくのごとく一夜を過した。彼らの一・・・<夏目漱石「一夜」青空文庫>
・・・各国家が何処までも他を従えることによって、自自身を強大にすることが歴史的使命と考えた。そこには未だ国家の世界史的使命の自覚というものに至らなかった。国家に世界史的使命の自覚なく、単なる帝国主義の立場に立つかぎり、又逆にその半面に、階級闘争・・・<西田幾多郎「世界新秩序の原理」青空文庫>
・・・タルトキ五 配偶者ヨリ同居ニ堪ヘサル虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ六 配偶者ヨリ悪意ヲ以テ遺棄セラレタルトキ七 配偶者ノ直系尊属ヨリ虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ八 配偶者カ自ノ直系尊属ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ重大ナ・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
・・・意は内に在ればこそ外に形われもするなれば、形なくとも尚在りなん。されど形は意なくして片時も存すべきものにあらず。意はの為に存し形は意の為に存するものゆえ、厳敷いわば形の意にはあらで意の形をいう可きなり。夫の米リンスキーが世間唯一意匠ありて・・・<二葉亭四迷「小説総論」青空文庫>
・・・もうよほど前からこの男は自の思索にある節制を加えることを工夫している。神学者にでも言わせようものなら、「生産的静思」なんぞと云うだろう。そう云う態度に自身を置くことが出来るように、この男は修養しているのである。オオビュルナン先生はこんな風・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
・・・荒海の怒に逢うては、世の常の迷も苦も無くなってしまうであろう。はいつもこんな風に遠方を見て感じているが、一転して近い処を見るというと、まあ、何たる殺風景な事だろう。何だかこの往来、この建物の周囲には、この世に生れてから味わずにしまった愉快・・・<著:ホーフマンスタールフーゴー・フォン 訳:森鴎外「痴人と死と」青空文庫>

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「き【己】」の後の言葉

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