いい〔いひ〕【×謂】 例文一覧 30件

  1. ・・・相方は和泉屋の楓と云う、所散茶女郎の一人であった。が、彼女は勤めを離れて、心から求馬のために尽した。彼も楓のもとへ通っている内だけ、わずかに落莫とした心もちから、自由になる事が出来たのであった。 渋谷の金王桜の評判が、洗湯の二階に賑わ・・・<芥川竜之介「或敵打の話」 青空文庫>
  2. ・・・所古い言葉と今の口語と比べてみても解る。正確に違って来たのは、「なり」「なりけり」と「だ」「である」だけだ。それもまだまだ文章の上では併用されている。音文字が採用されて、それで現すに不便な言葉がみんな淘汰される時が来なくちゃ歌は死なない。・・・<石川啄木「一利己主義者と友人との対話」 青空文庫>
  3. ・・・ しかるに、観聞志と云える書には、――斎川以西有羊腸、維石厳々、嚼足、毀蹄、一高坂也、是以馬憂これをもってうまかいたいをうれう、人痛嶮艱、王勃所、関山難踰者、方是乎可信依、土人称破鐙坂、破鐙坂東有一堂、中置二女影、身着戎衣服、頭戴烏帽・・・<泉鏡花「一景話題」 青空文庫>
  4. ・・・内部の腐敗を伝えなかったのは、思うに将軍家を始めとして大名小名は勿論苟も相当の身分あるもの挙げて、茶事に遊ぶの風を奨励されたのが、大なる原因をなしたに相違ない、勿論それに伴う弊害もあったろうけれど、所侍なるものが品位を平時に保つを得た、有・・・<伊藤左千夫「茶の湯の手帳」 青空文庫>
  5. ・・・要旨を掻摘むと、およそ弁論の雄というは無用の饒舌を弄するではない、鴎外は無用の雑談冗弁をこそ好まないが、かつてザクセンの建築学会で日本家屋論を講演した事がある、邦人にして独逸語を以て独逸人の前で演説したのは余を以て嚆矢とすというような論鋒・・・<内田魯庵「鴎外博士の追憶」 青空文庫>
  6. ・・・ 今時の聖書研究は大抵は来世抜きの研究である、所現代人が嫌う者にして来世問題の如きはない、殊に来世に於ける神の裁判と聞ては彼等が忌み嫌って止まざる所である、故に彼等は聖書を解釈するに方て成るべく之れを倫理的に解釈せんとする、来世に関する聖・・・<内村鑑三「聖書の読方」 青空文庫>
  7. ・・・ 私は多くの不良少年の事実に就いては知らないが、自分の家に来た下女、又は知っている人間の例に就いて考えて見れば、母親の所しっかりした家の子供は恐れというものを感ずる、悪いという事を知る。しかし、母親が放縦であり、無自覚である家の子供は・・・<小川未明「愛に就ての問題」 青空文庫>
  8. ・・・見ると右の手の親指がキュッと内の方へ屈っている、やがて皆して、漸くに蘇生をさしたそうだが、こんな恐ろしい目には始めて出会ったと物語って、後でいうには、これは決して怨霊とか、何とかいう様な所口惜しみの念ではなく、ただ私に娘がその死を知らした・・・<小山内薫「因果」 青空文庫>
  9. ・・・ そして、隊長は浪花節はおろか何一つ隠し芸のない彼の所「兵隊の屑」には、「何にも出来んけりゃ、逆立ちして歩いてみろ!」 と、命じたが、彼に言わせると、「浪花節は上手な程よろしい。逆立ちは下手な程よろしい」 隊で逆立ちの・・・<織田作之助「昨日・今日・明日」 青空文庫>
  10. ・・・へ出て来て背嚢やら何やらを背負されて、数千の戦友と倶に出征したが、その中でおれのように志願で行くものは四五人とあるかなし、大抵は皆成ろう事なら家に寝ていたい連中であるけれど、それでも善くしたもので、所決死連の己達と同じように従軍して、山を・・・<著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷「四日間」 青空文庫>
  11. ・・・殊にYなんかというあゝ云った所道徳家から見ては、単に悪病患者視してるに堪えないんだね。機会さえあればそう云った目障りなものを除き去ろう撲滅しようとかゝってるんだからね。それで今度のことでは、Yは僕のこともひどく憤慨してるそうだよ。……小田・・・<葛西善蔵「子をつれて」 青空文庫>
  12. ・・・ 夜光虫が美しく光る海を前にして、K君はその不思議なわれをぼちぼち話してくれました。 影ほど不思議なものはないとK君は言いました。君もやってみれば、必ず経験するだろう。影をじーっと視凝めておると、そのなかにだんだん生物の相があらわ・・・<梶井基次郎「Kの昇天」 青空文庫>
  13. ・・・サアこれからだ、所る額に汗するのはこれからだというんで直に着手したねエ。尤も僕と最初から理想を一にしている友人、今は矢張僕と同じ会社へ出ているがね、それと二人で開墾事業に取掛ったのだ、そら、竹内君知っておるだろう梶原信太郎のことサ……」・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」 青空文庫>
  14. ・・・所、自我に目ざめたブルジョアジーの世界観から来ている。この傾向をもっとはっきり表現しているのは、与謝野晶子の新体詩である。それは、明治三十七年、十月頃の「明星」に出た。題は、「君死にたまふことなかれ」という。弟が旅順口包囲軍に加わって戦争・・・<黒島伝治「反戦文学論」 青空文庫>
  15.  わたくしの学生時代の談話をしろと仰ゃっても別にこれと云って申上げるようなことは何もございません。特にわたくしは所学生生活を仕た歳月が甚だ少くて、むしろ学生生活を為ずに過して仕舞ったと云っても宜い位ですから、自分の昔話をして今の学生諸・・・<幸田露伴「学生時代」 青空文庫>
  16. ・・・に名香を薫ぜし木村重成も亦た僅かに二十四歳で、戦死した、彼等各自の境遇から、天寿を保ち若くば病気で死ぬることすらも、耻辱なりとして戦死を急いだ、而して倶に幸福満足を感じて死んだ、而して亦た孰れも真に所「名誉の戦死」であった。 若し赤穂・・・<幸徳秋水「死生」 青空文庫>
  17. ・・・所「十二月一日事件」の夜明頃などは、空気までそのまゝの形で凍えていたような「しばれ」だったよ。 あの「ガラ/\」の山崎のお母さんでさえ、引張られて行く自分の息子よりも、こんな日の朝まだ夜も明けないうちに、職務とは云え、やって来て、家宅・・・<小林多喜二「母たち」 青空文庫>
  18. ・・・斯う見えても私は世に所「富」なぞの考えるよりは、もっと遠い夢を見て居る。」「老」が訪ねて来た。 これこそ私が「貧」以上に醜く考えて居たものだ。不思議にも、「老」までが私に微笑んで見せた。私はまた「貧」に尋ねて見たと同じ調子で、・・・<島崎藤村「三人の訪問者」 青空文庫>
  19.  所社会主義の世の中になるのは、それは当り前の事と思わなければならぬ。民主々義とは云っても、それは社会民主々義の事であって、昔の思想と違っている事を知らなければならぬ。倫理に於いても、新しい形の個人主義の擡頭しているこの現・・・<太宰治「新しい形の個人主義」 青空文庫>
  20. ・・・また曰うた、今之孝者是能養、至犬馬皆能有養、不敬何以別乎。体ばかり大事にするが孝ではない。孝の字を忠に代えて見るがいい。玉体ばかり大切する者が真の忠臣であろうか。もし玉体大事が第一の忠臣なら、侍医と大膳職と皇宮警手とが大忠臣でなくてはなら・・・<徳冨蘆花「謀叛論(草稿)」 青空文庫>
  21. ・・・所錦上更ニ花ヲ加ル者、蓋亦絶テ無クシテ僅ニ有ル者ナリ。近歳官此ノ山水ノ一区ヲ修メ以テ公園トナス。囿方数里。車馬ノ者モ往キ、杖履ノ者モ往ク。民偕ニ之ヲ楽ンデ其大ナルヲ知ラズ。京中都人士ガ行楽ノ地、実ニ此ヲ以テ最第一トナス。」 上野の桜は・・・<永井荷風「上野」 青空文庫>
  22. ・・・気を狂いてカメロットの遠きに走れる人の、わが傍にあるべき所はなし。離るるとも、誓さえ渝らずば、千里を繋ぐ牽き綱もあろう。ランスロットとわれは何を誓える? エレーンの眼には涙が溢れる。 涙の中にまた思い返す。ランスロットこそ誓わざれ。一・・・<夏目漱石「薤露行」 青空文庫>
  23.  世界はそれぞれの時代にそれぞれの課題を有し、その解決を求めて、時代から時代へと動いて行く。ヨウロッパで云えば、十八世紀は個人的自覚の時代、所個人主義自由主義の時代であった。十八世紀に於ては、未だ一つの歴史的世界に於ての国家と国家との・・・<西田幾多郎「世界新秩序の原理」 青空文庫>
  24. ・・・即ち真の哲学者とは、所「哲学者」のでなくして「詩人」のである。詩人こそ真の哲学者であると。文学者がもし真の文学者であるならば、このベルグソン等の意味に於ける哲学者でなければならない。ところが日本の文壇には、その哲学者が甚だすくないので・・・<萩原朔太郎「ニイチェに就いての雑感」 青空文庫>
  25. ・・・女子の父母、我訓なきことをずして舅夫の悪きことのみ思ふは誤なり。是皆女子の親の教なきゆゑなり。 成長して他人の家へ行くものは必ずしも女子に限らず、男子も女子と同様、総領以下の次三男は養子として他家に行くの例なり。人間世界に男女・・・<福沢諭吉「女大学評論」 青空文庫>
  26. ・・・ 智識は素と感情の変形、俗に所智識感情とは、古参の感情新参の感情といえることなりなんぞと論じ出しては面倒臭く、結句迷惑の種を蒔くようなもの。そこで使いなれた智識感情といえる語を用いていわんには、大凡世の中万端の事智識ばかりでもゆかねば・・・<二葉亭四迷「小説総論」 青空文庫>
  27. ・・・そしてその仕事をまじめにしているともう考えることも考えることもみんなじみな、そうだ、じみというよりはやぼな所田舎臭いものに変ってしまう。ぼくはひがんで云うのでない。けれどもぼくが父とふたりでいろいろな仕事のことを云いながらはたらいてい・・・<宮沢賢治「或る農学生の日誌」 青空文庫>
  28. ・・・しかも、その並びかたについて編輯者は、一つも所気の利いた工夫を加えていないらしい。粋とか、よい趣味とかいう人造香料をも加えていない。諸問題は、生のまま、いくらか火照った素肌の顔をそこに生真面目に並べている。 それが、却って、云うに云え・・・<宮本百合子「合図の旗」 青空文庫>
  29. ・・・かように一面には当時の所文壇が、予に実に副わざる名声を与えて、見当違の幸福を強いたと同時に、一面には予が医学を以て相交わる人は、他は小説家だから与に医学を談ずるには足らないと云い、予が官職を以て相対する人は、他は小説家だから重事を托するに・・・<森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」 青空文庫>
  30. ・・・この綱は二本の繊維素で出来ている所る綱であり、この綱は捻じれたままの方向に捻じればますます強くなるだけだが、一たび逆に捻じれば直ちに断ち切れ、鵜の首を自由にしてその生命を救う仕掛けを持った綱であった。 私は物の運動というものの理想を鵜・・・<横光利一「鵜飼」 青空文庫>

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