1. 五十音図タ行の第4音。歯茎の無声破裂子音[t]と母音[e]とからなる音節。[te]

  1. 平仮名「て」は「天」の草体から。片仮名「テ」は「天」の初3画から。

[名]
    1. ㋐人体の左右の肩から出ている長い部分。肩から指先までをいう。俗に動物前肢をいうこともある。「—を高く上げる」「袖に—を通す」「—の長い猿」

    2. 手首手首から指先までや、手のひら・指などを漠然とさす。「—に時計をはめる」「火鉢に—をかざす」「—でつまむ」

  1. 器具などの部分で、手で持つようにできているところ。取っ手・握りなど。「鍋の—」「急須 (きゅうす) の—」

  1. 植物の蔓 (つる) をからませるための木や竹の棒。「竹をアサガオの—にする」

  1. 1のように突出して動くもの。「火の—が上がる」

  1. 実際1のように作業仕事を行うもの。

    1. ㋐労働力。人手。「—が足りない」「女—一つで子供を育て上げる」「男—」

    2. 仕事をする能力。「—に職をもつ」

  1. 人が1を使ってすること。また、人の行為漠然という。

    1. 仕事作業。「裁縫の—を休める」

    2. ㋑手数。手間。「—のこんだ細工」「—のかかる部下

    3. ㋒他人に関与すること。「—出し」

    4. 武器を使って傷つけること。転じて、戦いなどで受けた傷。「—負い」「深— (ふかで) 」

    1. ㋐文字を書く技法筆法。転じて、書かれた文字。筆跡。書風。「人の—をまねる」「紀貫之 (きのつらゆき) の—」「女—の手紙

    2. 茶器などで、その手法になるもの。「三島— (みしまで) の茶碗

    3. ㋒能楽・舞踊などの所作。手振り。「指す—引く—」

    4. 音曲で、調子や拍子をとる手法。また、器楽奏法。「合いの—」「—事」

    5. 武芸などの技。「相撲の四十八—」

    1. ㋐勝負事などで、手中にあるもの。手持ちの札・駒など。手の内。「—を明かす」「相手の—を読む」

    2. 囲碁将棋などで、石や駒を打つこと。また、その打ち方。「堅い—で攻める」「先—」

  1. 事を行うための手段方法。「きたない—を使う」「その—は食わない」「打つ—」

  1. 10

    1. 所有すること。「人の—に渡る」

    2. ㋑支配下。監督下。「ライバル会社の—の者」「犯人の—から人質を救う」

  1. 11

    1. ㋐ある方面方角。また、その方面場所。「行く—をさえぎる」「山の—」「上 (かみ) —」

    2. ㋑ある方面配置した軍隊。「寄せ—の軍勢」「先 (さき) —」

  1. 12 ある種類に属する人や物。「その—の品は扱わない」「厚— (あつで) の生地」

  1. 13 器物の左右に分かれた部分

    1. 几帳 (きちょう) などの横木

      几帳の—のさし出でたるにさはりて」〈・四九〉

    2. ㋑長旗のへりについている、竿 (さお) につけるための緒 (お) 。

      「互ひに旗の—を下ろして、東西に陣を張り」〈太平記・一五〉

    3. 雁股 (かりまた) の矢じりの左右に突き出た部分

      「—六寸、わたり六寸の大がりまた」〈保元・上〉

  1. 14 風采 (ふうさい) 。体裁

    1. 「その跡から—のよき一連れ」〈浮・織留・四〉

  1. 15 江戸時代の雑税の一。山手野手川手など。

  1. 16

    1. ㋐その事物機械などを用いないで作る意や、その人が自分自身でする意を表す。「—料理」「—打ち」「—づくり」「—弁当

    2. ㋑その物が、持ち運びや取り扱いに容易な小型のものである意を表す。「—斧 (おの) 」「—帳」「—箱」

    3. ㋒その動作をする人、また特に、そのことにすぐれた人の意を表す。「嫁のもらい—」「語り—」「やり—」

[接頭]形容詞・形容動詞に付いて、その意味を強めるのに用いる。「—堅い」「—ぬるい」「—短」
[接尾]助数詞。
  1. 碁や将棋などの着手回数を数えるのに用いる。「数—先をよむ」

  1. 矢2筋を一組みとして数えるのに用いる。

    1. 「鷹の羽にてはいだりける的矢一—ぞさしそへたる」〈平家・四〉

  1. 相撲の番数を数えるのに用いる。

    1. 「相撲出でて五—、六—ばかりとりて」〈宇津保・俊蔭〉

  1. 舞の数を数えるのに用いる。

    1. 「一—舞うて東の方の賤しき奴ばらに見せん」〈義経記・八〉

[補説]作品名別項。→
[助動]《完了の助動詞「つ」の未然形・連用形》⇒[助動]

助詞「って」が「ん」で終わる語に付く場合に用いられる》

[格助]って」に同じ。「今、なん—言った」「人間—ものは偉大な物だ」
[係助]って」に同じ。「山田さん—いい人ね」「それはいかん—、もう遅いよ」
[終助]って」に同じ。「そんなことはありません—」
[補説]は近世以降みられ、「夏は昼寝にかぎるて」のような「ん」に付かない言い方もあるが、現代語ではあまり用いられない。
[格助]《上代東国方言》引用の格助詞「」に同じ。
  • 「父母が頭 (かしら) 掻 (か) き撫で幸 (さ) くあれ—言ひし言葉 (けとば) ぜ忘れかねつる」〈・四三四六〉
[接助]活用語の連用形に付く。ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞の音便形に付く場合は「で」となる。形容詞、形容詞型助動詞に付く場合は「って」の形をとることもある。
  1. ある動作作用から、次の動作作用へと推移連続する意を表す。「学校に行っ—勉強する」「着替えをすませ—寝る」

    1. 「春過ぎ—夏来たるらし白妙の衣干したり天の香具山」〈・二八〉

  1. 原因理由を表す。…ので。…ために。「頭が痛く—寝ていた」

    1. 「老いかがまり—室 (むろ) の外 (と) にもまかでず」〈若紫

  1. 手段方法を表す。「歩い—通学する」「泣い—抗議する」

  1. 時間経過を表す。「卒業し—五年になる」

  1. 並立添加を表す。「雨が降っ—風が吹く」「大きく—甘い柿」

    1. 「昔、男臥し—思ひ、起き—思ひ」〈伊勢五六

  1. 逆接を表す。「わかってい—答えない」「見—見ぬふり」

    1. 「昔、男身はいやしく—、いとになき人を思ひかけたりけり」〈伊勢・九三〉

  1. (「…て…て」の形で)強調の意を表す。「売っ—売っ—売りまくる」

  1. (「…について」「…に関して」「…に関して」「…にとって」などの形で)次の動作作用の行われる事態状況・関係事物などを提示する意を表す。「この問題に関し—触れるならば」「我々にとっ—大事なことは」

  1. 補助動詞に続けて、動作作用内容を具体的に示す意を表す。「思い出し—みる」「嫌になっ—しまう」

    1. 五条なる家たづね—おはしたり」〈夕顔

  1. 10 連用修飾語を作り、状態様子を表す。

    1. 「いといたく面痩 (おもや) せ給へれど、なかなかいみじくなまめかしく—、ながめがちに音 (ね) をのみ泣き給ふ」〈夕顔

[終助]活用語の連用形に付く。ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞の音便形に付く場合は「で」となる。形容詞、形容詞型助動詞に付く場合は「って」の形をとることもある。
  1. 質問や確かめの気持ちを表す。「あなたにもでき—」「いらしたことあっ—」

  1. (「てよ」の形で)話し手が、自分判断意見主張する気持ちを表す。「私にはあなたの気持ちよくわかっ—よ」「とてもすばらしくっ—よ」

  1. 依頼、軽い命令を表す。…てください。…てくれ。「早く来—」「私にも見せ—ね」

  1. (形容詞・形容詞型助動詞に付いて)気持ちの高まりを表す。…てたまらない。「とても寂しく—」「推理小説を読んだので怖く—」

[補説]は、くだけた表現、うちとけた会話に用いられる。いずれも接続助詞「て」によって導かれる文を表現しない言い方で、本来質問主張命令などに比べると柔らかく、婉曲 (えんきょく) な表現になっている。12は女性専用語。
語素動詞の連用形や形容詞の語幹などに付いて、そのような風 (かぜ) である意を表す。「追い—」「疾 (はや) —」

高村光太郎による彫刻作品。大正7年(1918)制作のブロンズ塑像 (そぞう) 。東京国立近代美術館所蔵

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