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て‐まえ〔‐まへ〕【手前】 の意味

  1. [名]
  1. 自分の目の前。自分のもと。「手前にある本を取る」
  1. 自分に近い方。また、目標とするものの前。こちら。「手前の交差点を右折する」「採用の一歩手前の段階」
  1. 人の見る前。他人に対する自分の立場・面目・体裁。「少しは世間の手前も考えなさい」「言い出した手前、とても断れない」
  1. 腕前。技量。手並み。「お手前拝見」
  1. (「点前」とも書く)茶の湯で、茶をたてたり炭をついだりするときの所作や作法。→御手前 (おてまえ) 
  1. 自分ですること。自前。
    • 「―の商ひをして、大方は仕損じ」〈浮・永代蔵・二〉
  1. 自分のものであること。自分の支配下であること。
    • 「―の人足、数千人出て」〈浮・武家義理・三〉
  1. 暮らし向き。生計。経済状態。
    • 「一代のうちにかく―富貴になりぬ」〈浮・永代蔵・二〉
  1. [代]
  1. 一人称の人代名詞。自分のことを謙遜していう語。わたくし。「手前の生まれは信州です」
  1. 二人称の人代名詞。
  1. ㋐対等または目下の相手をさしていう。おまえ。→てめえ
    • 「おれは―を憎くて殺したのでねえんだぞ」〈賢治・なめとこ山の熊〉
  1. ㋑(「おてまえ」の形で)対等の相手をさしていう。あなた。
    • 「お―の大切にしらるるものをおれが伐るものか」〈咄・鹿の巻筆・一〉

て‐まえ〔‐まへ〕【手前】の慣用句

  1. てまえがって【手前勝手】
    • [名・形動]自分の都合のよいようにばかり考えたり行動したりすること。また、そのさま。自分勝手。「そんな―な意見は通らない」
  1. てまえかん【手前勘】
    • 自分の考えだけで一人ぎめすること。ひとりよがり。また、うぬぼれ。
      「人間はかように―の強いものである」〈漱石・坑夫〉
  1. てまえさいくにん【手前細工人】
    • 自分の家にかかえている職人。
      「数十人の―立ち並び、即座に仕立て」〈浮・永代蔵・一〉
  1. てまえしゃ【手前者】
    • 暮らし向きのよい人。財産家。手前よし。
      「―の子にて、小さい時からうまい物ばかりで育てられ」〈浮・胸算用・二〉
  1. てまえだたみ【手前畳/点前畳】
    • 茶室で、茶道具が置かれ、主人が点茶をする場所の畳。道具畳。亭主畳。
  1. てまえども【手前共】
    • [代]一人称の人代名詞。多く、商人などがへりくだって用いる語。わたくしたち。わたくしども。また、わたくしたちの家、わたくしたちの店。「―では掛け売りはいたしておりません」
  1. てまえぶしん【手前普請】
    • 借家人が自分の費用で、または、自分で借家の修理をすること。
      「貸家といふは名ばかり、破れ家を―」〈浄・博多小女郎
  1. てまえみそ【手前味噌】
    • 《自家製の味噌を独特の味があると自慢する意から》自分で自分のことをほめること。自慢。「―を並べる」
  • て‐まえ〔‐まへ〕【手前】の例文

    出典:青空文庫

    • ・・・が、彼を推挙した内藤三左衛門の身になって見ると、綱利の手前へ対しても黙っている訳には行かなかった。

      芥川竜之介「或敵打の話」

    • ・・・「いえ手前でございますならまだいただきたくはございませんから……全くこのお話は十分に御了解を願うことにしないとなんでございますから……しかし御用意ができましたのなら……」「いやできておっても少しもかまわんのです」 父は矢部の取り・・・

      有島武郎「親子」

    • ・・・「ふうむ薪でも割ってくれれば好いけれど、手前にはそれも出来まい」と憎げに百姓はいった。

      著:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ 訳:森鴎外「犬」