用例は連用形のみで、上一段活用動詞か上二段活用動詞か不明参上する。単独用例はごく少なく「まいく(参来)」「まいむかう(参向)」など、複合動詞として用いられる。

「山越え野行き都辺に—し我が背を」〈・四一一六〉

謝礼として贈る物。また、神に供える物。まいない。

「若ければ道行き知らじ—はせむしたへの使ひ負ひて通らせ」〈・九〇五〉

  1. 日本の芸能における演者の動き方の一種。「舞」は「まわる」の意で、元来は地をするような足づかいで巡り回る旋回動作をいい、跳躍動作をさす「踊り」と区別される。特に古代から中世にかけての舞踊は舞の要素が濃く、舞踊一般を広く舞といっていた。一般には、神楽 (かぐら) 舞楽白拍子 (しらびょうし) 曲舞 (くせまい) 幸若舞 (こうわかまい) 地唄舞などの舞踊をいう。

  1. 能で、を伴わずに囃子 (はやし) の伴奏だけで行う舞踊部分。舞事 (まいごと) 。

  1. 狂言で、謡や器楽に合わせて行う舞踊部分。

  1. 幸若舞のこと。

[助動][○|○|まい|(まい)|○|○]五段活用動詞・助動詞「ます」の終止形、五段活用以外の動詞・助動詞「せる」「させる」「れる」「られる」「しめる」の未然形に付く。ただし、サ変では「せ」のほか「し」の形の未然形や、終止形「す」「する」にも付き、また、カ変は終止形「く」「くる」に付くこともある。
  1. 打消しの推量の意を表す。…ないだろう。

    1. 「よもや化物 (ばけもの) ではあるまい」〈漱石草枕

    2. 「我ホド不運ナ者ワマタモゴザルマイ」〈天草本伊曽保・パストルと狼〉
  1. 打消しの意志の意を表す。…ないつもりだ。「何があっても泣くまい決心した」

    1. 「人は嫁するとも我は嫁せまい。我は貞女ぞ」〈毛詩抄・二〉

  1. 禁止の意を表す。…てはいけない。

    1. 「はずれたら笑うまいぞ」〈鴎外・佐橋甚五郎〉

    2. 「よい時分に迎へに行く程に、必ず物をいふまいぞ」〈虎寛狂・金津〉
  1. (「…まいか」の形で)勧誘依頼の意を表す。「少しでもいいから寄付をしてくれまいか」

    1. 「是はめでたい事ぢゃ程に、いざ囃 (はやし) 物をして戻るまいか」〈虎明狂・三本の柱

  1. (「…うと…まいと」などの形で)動作作用対比し、どちらも関係のない意を表す。「話そうと話すまいとぼくの自由だ」

  1. (現代語では多く「あろうことかあるまいことか」「なろうことかなるまいことか」の形で)否定するのが当然適当である意を表す。…するべきではない。…するはずがない。「あろうことかあるまいことか、子を殺すなんて」「思いどおりになろうことかなるまいことか、しっかり考えてみろ」

  1. (「あるまいし」の形で)

    1. ㋐打消しの意を伴った逆接条件を表す。…ないのに。「選手になれるわけでもあるまいし、よくおそくまでがんばるね」「身内でもあるまいし、よくそんなに面倒みられるね」

    2. ㋑打消しの条件を伴った理由を表す。「もう子供ではあるまいし、自分のことは自分でやりなさい」

      「兄ではあるまいし、意見はいらぬもの」〈伎・傾城江戸桜〉

  1. (「…まいに」の形で)事実反対仮想する意を表す。「実の親だったらあんなしうちはしまいに」

[補説]室町時代以降に用いられた語で、「まじ」の音便形「まじい」の音変化から、「べし」と「まじ」の意味的相関関係から、また「べい」と「まじい」との対比で「べしい」形とこの「まい」形が生じたとする説などがある。室町時代には、「まじけれ」の口語形として、「水の中では見えまいけれども詩人が言ひなすぞ」〈毛詩抄・二〉のように已然形「まいけれ」も生じた。現代語では、1には「ないだろう」2には「ないことにする」「のはよそう」などを用いるのが普通で、「まい」が用いられることは少なくなっている。
[接頭]繰り返される物事をいう名詞に付いて、そのたびごとの、の意を表す。「—時間」「—試合
[接尾]助数詞。
  1. 紙・板・皿などの薄く平たいものを数えるのに用いる。「二、三—の紙」

  1. 原稿用紙の数を数えるのに用いる。ふつう400字詰めの原稿用紙を単位として数える。「五—ほどの随筆

  1. 魚を数えるのに用いる。「ヘラブナを三—釣り上げる」

  1. 相撲で、その階級の人数を数えるのに用いる。「幕内を二—ふやす」

  1. 相撲の番付で、席次を数えるのに用いる。「三—上がる」

  1. 田や畑などの一区画を数えるのに用いる。「田一—を植える」

  1. 浄瑠璃・長唄で、太夫や唄方の人数を数えるのに用いる。「二挺 (ちょう) 三—」

  1. 近世の大判金・丁銀近代貨幣銀貨など、貨幣の数を数えるのに用いる。「銀三拾—」

  1. 駕籠舁 (かごかき) の人数を数えるのに用いる。

    1. 「大坂より四—肩は二十四匁の定まり」〈浮・諸艶大鑑・六〉

語素他の外来語の上に付いて、私の、私の所有する、の意を表す。「—ホーム」「—カー」

べい

ばい

出典:青空文庫

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