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あこがれ【憧れ/憬れ】例文一覧 30件

  1. ・・・昔から、その島へいってみたいばかりに、神に願をかけて貝となったり、三年の間海の中で修業をして、さらに白鳥となったり、それまでにして、この島に憧れて飛んでゆくのであった。白い鳥は、その島にゆくと、花の咲いている野原の上で舞うのである。またある・・・<小川未明「明るき世界へ」青空文庫>
  2. ・・・あなたの声に、どんなに、すみれさんは憧れていましたか。どうか一目あなたの姿を見たいものだといっていましたが、かわいそうに、二日ばかり前にさびしく散ってしまいました。」と、ぼけの花は、小鳥に向かっていいました。 小鳥は、くびをかしげて聞い・・・<小川未明「いろいろな花」青空文庫>
  3. ・・・ あくる日から、日暮れ方になって夕焼けが西の空を彩るころになると、三郎は野の方へと憧れて、友だちの群れから離れてゆきました。ある日のこと、彼はついに家へ帰ってきませんので、村じゅうのものが出て探しますと、三郎は野の中の池のすみに浮き上が・・・<小川未明「空色の着物をきた子供」青空文庫>
  4. ・・・ 美の世界、正義の世界、親愛の世界、人類共楽の世界、それを眼に描かず、憧れず、また建設の誠実なき人々には、純真な童話の世界も、また決して、分かるものでない。 小供の勇気を見よ。冒険を信ぜよ。子供のすべてはロマンチシストであった。なん・・・<小川未明「『小さな草と太陽』序」青空文庫>
  5. ・・・しかし勘当されたとなると、もうどこも雇ってくれるところはなし、といって働かねば食えず、二十五歳の秋には、あんなに憧れていた夜店で季節外れの扇子を売っている自分を見出さねばならなかったとは、何という皮肉でしょう。「自分を見出す」などという言い・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  6. ・・・高校生に憧れて簡単にものにされる女たちを内心さげすんでいたが、しかし最後の三日目もやはり自信のなさで体が震えていた。唄ってくれと言われて、紅燃ゆる丘の花と校歌をうたったのだが、ふと母親のことを頭に泛べると涙がこぼれた。学資の工面に追われてい・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  7. ・・・まことにそれも結構であるが、しかし、これが日本の文化主義というものであろうと思って見れば、文化主義の猫になり、杓子になりたがる彼等の心情や美への憧れというものは、まことにいじらしいくらいであり、私のように奈良の近くに住みながら、正倉院見学は・・・<織田作之助「可能性の文学」青空文庫>
  8. ・・・ 私はその名に憧れて自由寮の寮生になった。ところが自由寮には自治委員会という機関があって、委員には上級生がなっていたが、しかしこの委員は寮生間の互選ではなく、学校当局から指命されており、噂によれば寮生の思想傾向や行動を監視して、いかがわ・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  9. ・・・ しかし、彼とても人並みに清潔に憧れないわけではない。たとえば、銭湯が好きだった。町を歩いていて銭湯がみつかると、行き当りばったりに飛び込んで、貸手拭で汗やあぶらや垢を流してさっぱりするのが好きだった。だから一日に二度も三度も銭湯へ飛び・・・<織田作之助「四月馬鹿」青空文庫>
  10. ・・・本当いえば、私は佐々木小次郎の自信に憧れていたのかも知れない。けれども佐々木小次郎の自信は何か気負っていたらしい。それに比べて坂田の自信の方はどこか彼の将棋のようにぼんやりした含みがある。坂田の言葉をかりていえば、栓ぬき瓢箪のようにぽかんと・・・<織田作之助「勝負師」青空文庫>
  11. ・・・レヴュに憧れてね。殺されて四日間も溝の中で転がっていたんだが、それと知らぬレヴュガールがその溝の上を通って楽屋入りをしていたんだ。娘にとっては本望……」「また殺人事件ですか」呆れていた。「またとは何だ。あ、そうか、『十銭芸者』も終り・・・<織田作之助「世相」青空文庫>
  12. ・・・けれど、私だって世間並みに一人の娘、矢張り何かが訪れて来そうな、思いも掛けぬことが起りそうな、そんな憧れ、といって悪ければ、期待はもっていた。だから、いきなり殺風景な写真を見せつけられ、うむを言わさず、見合いに行けと言われて、はいと承知して・・・<織田作之助「天衣無縫」青空文庫>
  13. ・・・諸君は、小説家やジャーナリストの筆先に迷って徒らに帝都の美に憧れてはならない。われわれの国の固有の伝統と文明とは、東京よりも却って諸君の郷土に於て発見される。東京にあるものは、根柢の浅い外来の文化と、たかだか三百年来の江戸趣味の残滓に過ぎな・・・<織田作之助「東京文壇に与う」青空文庫>
  14. ・・・もののあわれへのノスタルジアや、いわゆる心境小説としての私小説へのノスタルジアに憧れている限り文壇進歩党ははびこるばかりである。といって、自分たちの文学運動にただ「民主主義」の四字を冠しただけで満足しているような文壇社会党乃至文壇共産党の文・・・<織田作之助「土足のままの文学」青空文庫>
  15. ・・・徳、善、道というものへの憧れのまじらないような恋愛は純真な恋愛ではない。女性は美しく、力強い男性を選ぶのだが、善い、高貴な素質をそなえた男性をこれと切り放すことなしに求めねばならぬ。恋愛するときに、この徳への憧れが一緒に燃え上がらないような・・・<倉田百三「女性の諸問題」青空文庫>
  16. ・・・ただその名に憧れて、大した名物だということを知っていたに過ぎない。廷珸は因是の甘いお客だということを見抜いて、「これがその宝器でございまして、これこれの訳で出たものでございまする」と宜い加減な伝来のいきさつを談して、一つの窯鼎を売りつけた。・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  17. ・・・ところが女は、かえってその不自然な女装の姿に憧れて、その毛臑の女性の真似をしている。滑稽の極である。もともと女であるのに、その姿態と声を捨て、わざわざ男の粗暴の動作を学び、その太い音声、文章を「勉強」いたし、さてそれから、男の「女音」の真似・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  18. ・・・地上の営みに於ては、何の誇るところが無くっても、其の自由な高貴の憧れによって時々は神と共にさえ住めるのです。 此の特権を自覚し給え。この特権を誇り給え。何時迄も君に具有している特権ではないのだぞ。ああ、それはほんの短い期間だ。その期間を・・・<太宰治「心の王者」青空文庫>
  19. ・・・ひとから先生と言われただけでも、ひどく狼狽する私たち、そのことが、ただ永遠の憧れに終るのかも知れないが。 教養人というものは、どうしてこんなに頼りないものなのだろう。ヴィタリティというものがまったく、全然ないのだもの。 ああ、先生も・・・<太宰治「豊島與志雄著『高尾ざんげ』解説」青空文庫>
  20. ・・・いじらしいくらいに、それに憧れていながら、君たちに出来るのは、赤瓦の屋根の文化生活くらいのものだろう。 語学には、もちろん自信無し。 しかし、君たちは何やら「啓蒙家」みたいな口調で、すまして民衆に説いている。 洋行。 案外、・・・<太宰治「如是我聞」青空文庫>
  21. ・・・、色が浅黒くッて、頬髯が煩さそうに顔の半面を蔽って、ちょっと見ると恐ろしい容貌、若い女などは昼間出逢っても気味悪く思うほどだが、それにも似合わず、眼には柔和なやさしいところがあって、絶えず何物をか見て憧れているかのように見えた。足のコンパス・・・<田山花袋「少女病」青空文庫>
  22. ・・・愛のよろこびや美しい結合に憧れをめざまされるよりも先に、性交への好奇心が石盤刷りのようなあくどさで刺戟されてゆくのは、惨憺たることです。性には人格もあり個性もある。特に女性は人間的な要素が多い。その要素を無視して、性器だけの交渉に中心をおく・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  23. ・・・学生時代から貧乏のしどおしである日々の生活が安らかになるばかりでなく、科学者としてキュリー夫妻が永年の間憧れている設備のいい実験室さえ何の苦もなく持つことが出来るでしょう。それらのことは、彼等のこれまでの辛苦に対して当然のむくいではないので・・・<宮本百合子「キュリー夫人の命の焔」青空文庫>
  24. ・・・しますのは、女の人に大変親切にする、強い者を挫き、弱い者をかばい助けるという精神によって貫かれたひとつの道徳でありますが、あなた方も、もし、そういうふうに、女の人に大変親切にやさしくやってくれたらと、憧れますでしょう。 この騎士道に一つ・・・<宮本百合子「幸福について」青空文庫>
  25. ・・・見えないところでというのは、婦人雑誌の口絵などでは、やっぱり三面鏡のついた化粧台が若い女性の憧れの象徴のように出されたりしているのだから。 女が鏡に向うと誰でもいくらか表情をかえるのは面白いと思う。瞬間つい気取るようにして、眼のなかには・・・<宮本百合子「この初冬」青空文庫>
  26. ・・・その愛と憧れによって彼等は勇気を与えられ、果敢であることができたのだった。一つの国が民主憲法をもち、民主的行政機構をもち、民主的労働組合と文化をもち、すべては民主的な表現で話されていて、内実は、ポツダム宣言の急速な裏切りと戦争挑発とファシズ・・・<宮本百合子「三年たった今日」青空文庫>
  27. ・・・ そして、彼が分別らしく又気弱く、自分たちのような不幸な少年は他の世界への憧れや冒険心などをすてる方がよいのだなどと云っている消極性をふりすてることを希う。自身の告白を、故国への誤った悪評の材料につかわれるような恥さらしをせずに、生き抜・・・<宮本百合子「ジャンの物語」青空文庫>
  28. ・・・〔欄外に〕母となる性の特質、男にある浄きものへの憧れ、女に娼婦型母型 二つあるように云うが、男の人の要求が大体その二つに別けられるので、女の方は、それと順応して、一方ずつの特性を強調するのではないの。 男は一人で二つ持つ・・・<宮本百合子「一九二五年より一九二七年一月まで」青空文庫>
  29. ・・・ 今度の旅行では、永年心に印象され憧れの胚種となっていたそれ等自然の感銘の上に幾分豊富な芸術的知識を加え得た。精神の活々する実に楽しい旅であった。けれども、寺々を歩いているうちに、時々私の心持を陰気にさせる一つのものがあった。それは、仏・・・<宮本百合子「宝に食われる」青空文庫>
  30. ・・・ 悪霊のような煩悶や、懊悩のうちに埋没していた自分のほんとの生活、絶えず求め、絶えず憧れていた生活の正路が、今、この今ようやく自分に向って彼の美くしい、立派な姿を現わしたように思われていたのである。 彼女は、自分の願望を成就させるに・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>