かんこうへん【肝硬変】
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【英】Liver Cirrhosis

◎肝臓が硬くなる


◎無症状期が長く続く


◎約75%はC型肝炎が原因


◎合併症の治療が主体


 なんらかの原因で肝細胞(肝臓の機能を営んでいる細胞)が壊れると、そこに線維(せんい)(抜けた空間を埋める支持組織)が増えて、壊れた肝細胞と入れ替わり、肝臓が文字通り硬くなります。これが肝硬変といわれる状態です。
 このとき、肝細胞の並び方や構成が変化し、再生結節(さいせいけっせつ)と呼ばれるごつごつとした5~20mmのしこりができてきます。
 肝硬変になると、肝細胞が減少し、健全な肝細胞も線維に囲まれるために、血液から十分な酸素と栄養素の供給を受けられなくなり、機能が低下します。
 また、線維が増えて硬くなるために、肝臓全体の血液が流れにくくなり、血液の循環障害をおこします。

◎命にかかわる合併症

 慢性肝炎は生命に危険はありませんが、肝硬変になると、生命にかかわることがあります。
 消化管出血(しょうかかんしゅっけつ)、肝がん、肝不全(かんふぜん)の3つが肝硬変の三大死因です。

消化管出血

 肝硬変による消化管出血は、食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)(「食道静脈瘤」)、胃潰瘍(いかいよう)(「消化性潰瘍(胃潰瘍/十二指腸潰瘍)」)、出血性胃炎などによりますが、薬物療法や、食道静脈瘤に対する硬化療法でかなりよくコントロールされるようになり、死因となる頻度は減少してきています。

肝がん

(「肝細胞がん」)
 肝硬変になると、かなりの頻度で肝がんが発生してきます。
 日本でもっとも多いC型肝炎ウイルスによる肝硬変の場合、1年間に5~7%の人に肝がんが発生しています。
 肝がんが発生しても、治療法などの進歩によって、QOL(生活の質)を維持した延命が可能ですが、最終的には死因となることが多く、相対的に頻度が増えてきています。

(コラム「肝不全」)
 著しく肝臓の機能が低下し、黄疸(おうだん)や肝性脳症(かんせいのうしょう)(「肝性脳症(肝性昏睡)」)などの症状が強くなって死に至る状態が肝不全です。
 肝移植(かんいしょく)の普及していない現在の日本の医療事情では、肝不全は肝硬変の1つの終着点といえます。
 今後、肝移植による治療や、肝障害の原因に対する根本的な治療法が開発されたり、治癒(ちゆ)過程を十分にはたらかせることができれば、肝硬変を改善させることも夢ではなくなるでしょう。

 肝臓は、予備能力の高い臓器で、肝硬変になって、かなり肝細胞が壊れても、残った肝細胞がカバーし、症状のない時期が長く続きます。この時期を代償期(だいしょうき)といいます。この代償期には、自覚症状がないか、あっても気づいていないことが少なくありません。
 だるさ(全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん))や食欲不振などの一見、肝臓病とは関係のない症状で診察を受け、肝硬変が発見されることもあります。
 しかし、肝臓の予備能力にも限度があって、肝硬変がさらに進行すると、肝障害特有の黄疸、腹水(ふくすい)、肝性脳症、出血傾向などの症状が現われてきます。この時期を非代償期(ひだいしょうき)といいます。
 肝硬変の特徴的な症状には、肝細胞の機能低下による症状と、肝臓の血流障害にともなう症状とがあります。

肝細胞機能低下の症状

 黄疸(おうだん)肝性脳症(かんせいのうしょう)(うわごと、興奮、錯乱(さくらん)、傾眠(けいみん)、異常行動、羽ばたき振戦(しんせん)など)、出血傾向(皮下出血(ひかしゅっけつ)、鼻出血(びしゅっけつ)、歯肉出血(しにくしゅっけつ)などがおこりやすい)などの肝不全の症状がおこります。

血流障害の症状

 肝臓への血液の流れが悪くなると、門脈(もんみゃく)(胃腸などの消化管から肝臓に向かう静脈)の血圧が高くなり、それにともなって、おなかに水がたまる(腹水(ふくすい))、むくみ(浮腫(ふしゅ))、脾臓(ひぞう)が腫(は)れる、食道の静脈が太くなって蛇行(だこう)する(食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう))などが出現してきます。
 また、黄疸、クモが手足を広げたような赤い斑(はん)ができる(クモ状血管腫(じょうけっかんしゅ))、手のひらが赤くなる(手掌紅斑(しゅしょうこうはん))、男性でも乳房が大きくなる(女性化乳房(じょせいかにゅうぼう))、月経異常(げっけいいじょう)などの目で見てわかる症状も現われます。

 日本では、ウイルス性肝炎からおこる肝硬変が多くなっています。
 とくにC型肝炎からおこる肝硬変がもっとも多く、肝硬変全体の約75%を占め、B型肝炎からおこるものは約10%です。残りは、アルコール性肝障害からおこるもので、肝硬変全体の約10~15%を占めます。
 そのほか、まれですが、自己免疫(じこめんえき)の異常でおこる原発性胆汁性肝硬変(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへん)・自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎(げんぱつせいこうかせいたんかんえん)、銅の代謝異常でおこるウィルソン病、鉄の代謝異常でおこるヘモクロマトーシス、寄生虫病、薬剤性肝障害うっ血肝などが原因の肝硬変もあります。

 肝硬変の診断は、診察と検査結果の組み合わせで決められます。

診察

 肝臓の硬さや脾臓の腫れを調べる触診、クモ状血管腫などの皮膚症状の有無を調べる視診のほか、鳥の羽ばたくような手の震え(羽ばたき振戦)や腹水の有無も、診断のうえで重要な情報となります。

血液検査

 肝機能検査の項目のうち、アルブミンやコリンエステラーゼの低下、プロトロンビン時間の延長が、肝硬変の重症度を判断するうえで有用です。
 これらは、いずれも肝臓でつくられるたんぱく質で、異常の度合いが大きいほど、肝細胞の減少や肝機能低下の程度が大きいことを表わします。
 肝機能が低下すると、肝臓でつくられるコレステロールの血液中の値も低下します。
 トランスアミナーゼ(GOT、GPT)は、肝細胞が壊されているときに血液中に放出される酵素(こうそ)たんぱくで、値が高いほど肝細胞破壊の度合いが大きいといえますが、肝硬変では、むしろ低下していることも多く、肝硬変自体の重症度をみる目安にはなりません。しかし、トランスアミナーゼの値が高いのは、それだけ壊されている肝細胞が多いということになります。
 肝性脳症のときには、血液中のアンモニアの増加や分枝鎖(ぶんしさ)アミノ酸/芳香族(ほうこうぞく)アミノ酸比の低下などを参考に治療を行ないます。
 肝がんの早期発見のためには、α‐フェトプロテイン(AFP)やPIVKA‐Ⅱなどの腫瘍(しゅよう)マーカーを定期的にチェックします。もし、値が上昇傾向をみせたり、とくに値が高くなったときは、精密な画像診断を行ないます。

画像検査

 肝臓の画像検査には、超音波検査、CT、MRIなどが行なわれます。
 これらの検査の画像で、肝臓が結節(けっせつ)(しこり)状になっており、肝臓の辺縁(ふち)が鈍角になっている、脾臓が腫れていることなどが肝硬変診断の参考になります。
 また、肝硬変の診療上、肝がんの早期発見も重要で、3~6か月ごとに肝臓の超音波検査を行ない、腫瘤性(しゅりゅうせい)の変化の有無を調べます。
 腫瘍の超音波検査では、診断能力を必要とする検査で、熟練した人による検査が望まれます。
 CTも6~12か月ごとに行ない、腫瘤性の変化の有無をチェックします。
 CTやMRIでは、造影剤を使用し、血流の変化を調べることで、腫瘤の存在やその性状もわかるので、できるだけ造影剤を使用します。

腹腔鏡(ふくくうきょう)と肝生検(かんせいけん)

 かつては、腹部に孔(あな)を開け、そこから腹腔鏡を入れて肝臓の表面を観察する腹腔鏡検査と、腹腔鏡検査の際に肝臓の組織を採取してきて、細胞の性質を調べる肝生検が、肝硬変の診断を確定するために不可欠な検査でした。
 CT、MRIなどの画像診断が普及した現在では、免疫異常でおこるものなどの一部の肝硬変を除いて、行なわれることは少なくなっています。

上部消化管内視鏡検査(じょうぶしょうかかんないしきょうけんさ)

 肝硬変の三大死因の1つの消化管出血を予防するため、上部消化管内視鏡検査を行ない、食道静脈瘤胃潰瘍、胃炎などの有無を調べます。
 食道静脈瘤があれば、形・色調・部位・レッドカラーサイン(静脈瘤の薄くなっている部位の赤色調の変化)などを観察し、食道静脈瘤の治療をするかどうかを決定します。

 従来、肝硬変は不可逆性の変化といわれ、1度、肝硬変がおこれば、元にはもどらないといわれてきました。
 しかし、C型肝炎による肝硬変が、インターフェロン治療などでウイルスが排除されたり、自己免疫性肝炎による肝硬変が、ステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)などの治療で炎症がコントロールされると、線維化した組織が改善されたりすることがわかってきました。
 したがって、肝硬変といえども、原因が排除されるか、コントロールされれば、肝臓に備わっている治癒力がはたらき始めることが期待され、今後、原因療法の進展が望まれます。
 現時点では、肝硬変の根本的な治療はむずかしく、存在する肝性脳症(「肝性脳症(肝性昏睡)」)、食道静脈瘤(「食道静脈瘤」)、腹水(コラム「腹水」)、肝がん(「肝細胞がん」)などの合併症に対する治療が主体になります。

 食事や飲酒、運動などでは、つぎのような点を注意してください。

食事

 あまり自覚症状のない代償期では、バランスのとれた食事を心がけます。
 かつては、高たんぱく質・高エネルギー食の必要性が強調されましたが、それは、低栄養により肝臓の機能の低下がより現われているアルコール性肝硬変の人の食事を基本としたためです。
 ウイルス性肝炎による肝硬変の場合は、低栄養のことは少なく、高たんぱく・高エネルギー食にすると、肥満、糖尿病、高脂血症(こうしけっしょう)、高アンモニア血症などを増悪(ぞうあく)させる恐れがあります。
 腹水やむくみがあるときには、塩分を1日に5~6gに制限します。
 肝性脳症がおこっているときには、アンモニアなどの窒素(ちっそ)の過剰が増悪因子となるので、たんぱく質を1日40~50gに制限します。

飲酒

 禁酒が望ましいのですが、やめられない場合でも、日本酒にして1日1合(ビール大びん1本)程度にとどめてください。
 アルコール性肝障害による肝硬変の場合、命を長らえるには「禁酒」あるのみです。

運動

 肝臓病には、かつては、安静がたいへん強調されてきました。
 現在では、糖代謝やアミノ酸代謝を円滑に保つためには、運動で筋肉を維持することもたいせつと考えられるようになっています。
 代償期であれば、歩行などのむりのない運動が勧められます。心地よい疲労感が得られる程度の運動を1つの目安としてください。
 黄疸、腹水、肝性脳症などがある時期には無理をせず、ストレッチ体操程度にとどめましょう。

 予防法もそれぞれの原因によって、当然、異なります。
 肝硬変は、ウイルス性肝炎から進展することが多いので、ウイルス性肝炎にかからないことが予防の第一歩です。
 肝硬変に進展するのは、B型肝炎C型肝炎です。両方とも、血液、体液を介して感染するので、このウイルスに感染している人の血液や体液に触れないことが必要です。それ以外の一般的な日常生活の接触で感染することは、まずありません。
 慢性肝炎からの進展を防ぐこともたいせつです。そのためには、なるべく肝細胞が壊されないことが望まれます。また、GOT、GPTなどの肝機能検査の値が低く保たれると、肝硬変への進展も、肝がんの発生も少ないといわれています。
 日本酒にして3合以上を毎日摂取していると、アルコール性肝障害による肝硬変が発症してきます。したがって、飲酒は、日本酒にして1日3合以内にとどめ、しかもアルコールを飲まない「休肝日(きゅうかんび)」を設けることを心がけてください。
 すでにアルコール性肝硬変になっている人は、「節酒」ではなく、「禁酒」が必要です。

提供元:小学館「家庭医学館」
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