1. [格助]名詞、名詞的な語、副詞などに付く。
  1. 動作をともにする相手、または動作・関係の対象を表す。「子供―野球を見に行く」「友達―けんかをした」「苦痛―闘う」
    • 「しぐれ降る暁月夜紐解かず恋ふらむ君―居 (を) らましものを」〈・二三〇六〉
  1. (文や句をそのまま受けて)動作・作用・状態の内容を表す。引用の「と」。「正しい―いう結論に達する」
    • 「名をばさかきの造 (みやつこ) ―なむいひける」〈竹取
  1. 比較の基準を表す。「君の―は比べものにならない」「昔―違う」
    • 「思ふこといはでぞただにやみぬべき我―ひとしき人しなければ」〈伊勢・一二四〉
  1. 動作・状態などの結果を表す。「有罪―決定した」「復讐 (ふくしゅう) の鬼―化した」
    • 「年をへて花の鏡―なる水は散りかかるをやくもるといふらむ」〈古今・春上〉
  1. (副詞に付いて新たな副詞をつくり)ある状態を説明する意を表す。「そろそろ―歩く」「そよそよ―風が吹く」
    • 「ほのぼの―春こそ空に来にけらし天のかぐ山霞たなびく」〈新古今・春上〉
  1. (数量を表す語に付き、打消しの表現を伴って)その範囲以上には出ない意を表す。…までも。「全部で一〇〇円―かからない」「一〇〇キロ―走らなかった」
  1. (同一の動詞・形容詞を重ねた間に用いて)強調を表す。
    • 「世にあり―あり、ここに伝はりたる譜といふものの限りをあまねく見合はせて」〈・若菜下〉
  1. [補説]4は「に」と共通する点があるが、「と」はその結果を表すのに重点がある。7は、現在も「ありとあらゆる」などの慣用句的表現の中にわずかに残っている。
  1. [接助]活用語の終止形に付く。
  1. 二つの動作・作用がほとんど同時に、または継起的に起こる意を表す。…と同時。…とすぐ。「あいさつを終える―いすに腰を下ろした」「玄関を開ける―、子供が迎えに出てきた」
    • 「銀 (かね) 請け取る―そのまま駆け出して」〈浄・大経師
  1. ある動作・作用がきっかけとなって、次の動作・作用が行われることを表す。「汗をかく―風邪をひく」「写真を見る―昔の記憶がよみがえる」
    • 「年がよる―物事が苦労になるは」〈滑・浮世床・初〉
  1. 順接の仮定条件を表す。もし…すると。「見つかる―うるさい」「ドルに直す―三〇〇〇ドルほどになる」
    • 「今言ふ―悪い」〈伎・幼稚子敵討〉
  1. 逆接の仮定条件を表す。たとえ…であっても。…ても。
  1. ㋐意志・推量の助動詞「う」「よう」「まい」などに付く。「何を言われよう―気にしない」「雨が降ろう―風が吹こう―、毎日見回りに出る」
  1. ㋑動詞・形容動詞型活用語の終止形、および形容詞型活用語の連用形に付く。
    • 「たのめずば人をまつちの山なり―寝なましものをいさよひの月」〈新古今・恋三〉
「ちと耳いたく―聞いて下され」〈浮・曲三味線・一〉
  1. 次の話題の前提となる意を表す。「気象庁の発表による―、この夏は雨が少ないとのことだ」
  1. [補説]3は中世以降用いられた。また、中古から使われていた4㋑は、現代語では4㋐のように特殊な慣用的用法として残っているだけである。
  1. [並助]いくつかの事柄を列挙する意を表す。「君―ぼく―の仲」
    • 「幸ひの、なき―ある―は」〈・玉鬘〉
  1. [補説]並立する語ごとに「と」を用いるのが本来の用法であるが、現代語ではいちばんあとにくる「と」を省略するのが普通となっている。

「と」の前の言葉

「と」の後の言葉