1. 五十音図ナ行の第5音。歯茎鼻音の有声子音[n]と母音[o]とから成る音節。[no]

  1. 平仮名「の」は「乃」の草体から。片仮名「ノ」は「乃」の初画から。

  1. 自然のままの広い平らな地。のはら。「—に咲く花」「—にも山にも若葉が茂る」

  1. 広々とした田畑。のら。「朝早くから—に出て働く」

  1. 動植物を表す名詞の上に付いて、そのものが野生のものであることを表す。「—うさぎ」「—ばら」

  1. 人を表す名詞の上に付いて、粗野であるという意で卑しめる気持ちを表す。「—幇間 (だいこ) 」「—育ち」

  1. 布の幅を数える単位。一幅 (ひとの) は鯨尺で1尺(約37.9センチ)。

  1. 一幅分の布。はぎ合わせた衣や幕などの一部をさすのに用いる。

  1. 矢の竹の部分矢柄 (やがら) 。

  1. ヤダケ古名。〈和名抄

[格助]名詞形容詞形容動詞語幹副詞副助詞接続助詞」「ながら」などに付く。
  1. 連体修飾格として諸種関係を表す。

    1. 所有。…の持つ。…のものである。「会社—寮」

      「後徳大寺大臣 (おとど) —寝殿」〈徒然・一〇〉

    2. 所属。…に属する。…のうちの。「財務省—事務次官」

      「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲—いづこに月やどるらむ」〈古今・夏〉

    3. 所在。…にある。…にいる。「大阪友人

      「家—人々いと多かりけるに合はせて」〈竹取

    4. 行為場所。…における。…での。「異国—生活にも慣れた」

      「八島 (やしま) —戦にうち勝ちぬ」〈平家・一一〉

    5. ㋔時。…における。「10月—中旬

      「夏—蝉 (せみ) 」〈徒然・七〉

    6. 作者・行為者。…の作った。…のした。「校長—話」

      「行成大納言 (かうぜいのだいなごん) —額」〈徒然・二五〉

    7. 関係資格。…にあたる。…としての。「友達—田中君」

      「妻 (め) —女」〈竹取

    8. 性質状態。…のようすの。…の状態である。「瀕死 (ひんし) —重傷」「縦じま—シャツ」

      「等閑 (なほざり) —心」〈徒然・九二〉

    9. 材料。…で作った。…を使っての。「木造—家」

      「葦 (あし) —御簾 (みす) 」〈徒然・二八〉

    10. 名称人名。…という名の。…という。「富士—山」「三河—国」

    11. 数量順序。…番目の。「多く—船」

      「一—皇子 (みこ) 」〈桐壺

    12. 対象。…に対する。「反乱軍—鎮圧に成功する」

      「まろ、この歌—返しせむ」〈土佐

    13. 目標。…のための。「お祝い—プレゼント」

      「春—急ぎ(=準備)」〈徒然・一九〉

    14. 比喩。…のような。「花—都」

      「ありさりて後も逢はむと思へこそ露—命も継ぎつつ渡れ」〈・三九三三〉

  1. 動作作用状態主格を表す。「交通発達した地方」「花—咲くころ」「まゆ毛—濃い人」

    1. 「月—出 (い) でたらむ夜は」〈竹取

  1. (「ようだ」「からに」「ごとし」「まにまに」などの上に付き)その内容を表す。「綿—ような雲」

    1. 「六日、きのふ—ごとし」〈土佐

  1. 同格を表す。…であって。「ジュース—冷えたのが欲しい」

    1. 「大きなる柑子 (かうじ) の木—、枝もたわわになりたるが」〈徒然・一一〉

  1. 連用修飾格を表す。

    1. 比喩を表す。…のように。

      「春日野の雪間をわけて生 (お) ひいでくる草—はつかに見えし君はも」〈古今・恋一〉

    2. ㋑(多くは「さまの」の形でサ変動詞に連なり)動作対象を表す。…を。

      「おしなべたるやうに人々のあへしらひきこえむは、かたじけなきさま—し給へれば」〈柏木

    3. ㋒(下に「ともに」「むた」などを伴って)その内容を表す。…と。

      「白雪—ともに我が身はふりぬれど心は消えぬものにぞありける」〈古今・雑体〉

[補説]古語12が人を表す語に付く場合、その人に対する敬意を含んでいることが多い。また、21用法から転じたといわれ、現代語では、「枝の折れた木」「老朽化の激しい校舎」のように、「何のどうする(どんな)何」という形で用いられる。
[終助]活用語連体形に付く。
  1. (下降調のイントネーションを伴って)断定の言い方を和らげる意を表す。多く、女性が使用する。「伺いたいことがある—」「あいにく母は留守です—」

  1. (上昇調のイントネーションを伴って)質問または疑問の意を表す。「君は行かない—」「そんなに悲しい—」「なぜな—」

  1. 強く決めつけて命令する意を表す。「余計なことを言わない—」「遊んでばかりいないで勉強する—」

  1. 念を押すような気持ちで、詠嘆感動の意を表す。「仲がよいことだ—」

    1. 「はて面倒な承り事でござる—」〈伎・幼稚子敵討〉

[補説]終助詞の「の」は、近世後期以降用いられ、現代語ではうちとけた対話に用いられることが多い。ただし、感動の意の4だけは中世後期にはすでに用いられ、現代語では古風表現に用いられる。
[間助]文節の切れ目に付く。語勢を添える意を表す。ね。
    1. 「おれは—、去年まで五十九だっけが、取って六十だよ」〈滑・浮世風呂・二〉

[並助]
  1. 並列列挙を表す。…だの…だの。「やかましい—うるさい—と文句ばかり言う」「行く—行かない—とごねる」

    1. 「唐 (から) —、大和—、めづらしく、えならぬ調度ども並べ置き」〈徒然・一〇〉

  1. (「の…ないの」の形で用い、「の」「ないの」のそれぞれ前に同じ形容詞をともなって)程度がはなはだしい意を表す。「寒い—寒くない—ってふるえあがったよ」「痛い—痛くない—って涙が出てきたよ」

[準体助]
  1. 体言に付いて)下の名詞を表現せず、「のもの」「のこと」の意を表す。「この本、君—だろう」「自分—には記名しておく」

    1. 「せめて、この樽も人—を借ってきた」〈虎明狂・樽聟〉

  1. 活用語に付いて)その語を名詞と同じ資格にすることを表す。「読む—が速い」「彼を行かせる—はまずい」「こんな—が欲しい」→のだのだろうのです

    1. 「あんまり夫婦仲のいい—もこまったものだ」〈滑・浮世床・初〉

[格助]格助詞「」が撥音「」の直後に付いて音変化したもの。狂言平曲などに多くみられる。
  • 「こなたのいよいよ大名にならせられて、御普請—なされう御瑞相 (ずいさう) に、番匠 (ばんじゃう) の音がいたす」〈虎明狂・宝の槌
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