[助動][(ま)|○|む(ん)|む(ん)|め|○]活用語の未然形に付く。
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1 推量・予想の意を表す。…だろう。
「御岳精進 (みたけさうじ) にやあらむ、ただ翁びたる声に額 (ぬか) づくぞ聞こゆる」〈源・夕顔〉
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2 意志・希望の意を表す。…う(よう)。…するつもりだ。
「われこそ死なめとて泣きののしること、いと堪へがたげなり」〈竹取〉
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3 適当・当然の意を表す。…するのがよい。…するのが当然だ。
「鳴り高し。鳴りやまむ」〈源・少女〉
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4 (主として「こそ…め」「なむや」の形で)勧誘・要求の意を表す。…してはどうか。…しないか。
「忍びては参り給ひなむや」〈源・桐壺〉
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5 (主として連体形の用法で)婉曲 (えんきょく) に表現する意を表す。…のような。
「身を治め国を保たん道もまたしかなり」〈徒然・一一〇〉
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6 (主として連体形の用法で)条件や仮定の意を表す。…ならば。…したら。
「斎院より御文のさぶらはむには、いかでか急ぎあげ侍らざらむ」〈枕・八七〉
[補説]「む」は
上代から
近世まで広く用いられたが、平安時代以後「ん」とも書き、鎌倉時代以後は「う」にも変化した。なお、未然形「ま」は
上代、「まく」の形だけに用いられた。→
めや[連語]