1. 五十音図マ行の第3音。両唇鼻音の有声子音[m]と母音[u]とから成る音節。[mu]

  1. 平仮名「む」は「武」の草体から。片仮名「ム」は「牟」の初2画から。

  1. ろく。むっつ。声を出して数をかぞえるときの語。「いつ、—、なな、や」

  1. ろく。むっつ。名詞の上に付けて用いる。「—月」「—尺 (さか) 」

身 (み) 」の古形。「身代わり」「身ざね」など、複合語として用いられる。

[名]
  1. 何もないこと。存在しないこと。「—から有を生ずる」⇔

  1. 哲学用語

    1. 存在否定欠如特定存在がないこと。また、存在そのものがないこと。

    2. ㋑一切の有無対立を超え、それらの存立基盤となる絶対的な無。

  1. 禅宗で、経験知識を得る以前純粋意識。「—の境地

[接頭]名詞に付いて、そのものが存在しないこと、その状態がないことの意を表す。「—感覚」「—資格」「—届け」「—免許

[感]

  1. 力んだり、感心したり、また驚いたりしたときに口を結んで発する声。うん。むう。「—、すごい」「—、やるな」

  1. 了解同意を示す応答の声。うん。ふむ。

    1. 「—といらへて立ちぬ」〈宇治拾遺・五〉

[助動][(ま)|○|む(ん)|む(ん)|め|○]活用語の未然形に付く。
  1. 推量予想の意を表す。…だろう。

    1. 「御岳精進 (みたけさうじ) にやあら、ただ翁びたる声に額 (ぬか) づくぞ聞こゆる」〈夕顔

  1. 意志希望の意を表す。…う(よう)。…するつもりだ。

    1. 「われこそ死なとて泣きののしること、いと堪へがたげなり」〈竹取

  1. 適当当然の意を表す。…するのがよい。…するのが当然だ。

    1. 「鳴り高し。鳴りやま」〈少女

    2. 「さやうのもの、無くてありな」〈徒然・一三九〉
  1. (主として「こそ…め」「なむや」の形で)勧誘要求の意を表す。…してはどうか。…しないか。

    1. 「忍びては参り給ひなや」〈桐壺

  1. (主として連体形の用法で)婉曲 (えんきょく) に表現する意を表す。…のような。

    1. 「身を治め国を保た道もまたしかなり」〈徒然・一一〇〉

  1. (主として連体形の用法で)条件仮定の意を表す。…ならば。…したら。

    1. 斎院より御文のさぶらはには、いかでか急ぎあげ侍らざらむ」〈・八七〉

[補説]「む」は上代から近世まで広く用いられたが、平安時代以後「ん」とも書き、鎌倉時代以後は「う」にも変化した。なお、未然形「ま」は上代、「まく」の形だけに用いられた。→めや連語

ぼう

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