やなぎ【柳】

  1. ヤナギ科ヤナギ属の落葉樹の総称。一般に湿地に多く、低木または高木で、葉はふつう互生する。雌雄異株。主に早春、花が穂状か尾状につき、種子は白毛があって風で飛び、柳絮 (りゅうじょ) という。街路樹や庭園樹などにされ、材は器具・薪炭用。コリヤナギネコヤナギなど多くの種があるが、葉の細長いシダレヤナギをさすことが多い。ヤナギ科の双子葉植物は約350種が北半球の温帯地域を中心に分布し、ケショウヤナギオオバヤナギヤマナラシポプラなども含まれる。 春》「田一枚植ゑて立ち去る―かな/芭蕉
  1. 襲 (かさね) の色目の名。表は白、裏は青、または萌葱 (もえぎ) 。柳襲。
  1. 柳色」の略。
  1. 柳に受ける
    • 逆らわないで、されるがままになる。
      「這箇(こっち)が―・けて聞いて居て遣りゃ、可いかと思って増長して」〈紅葉金色夜叉
  1. 柳に風
    • 柳が風になびくように、逆らわずに穏やかにあしらうこと。「―と受け流す」
  1. 柳に蹴鞠
    • 図柄の一種で、柳のそばで蹴鞠をしている絵。蹴鞠する庭の四隅には、ふつう柳を植えた。
  1. 柳に雪折れ無し
    • 柳の枝はよくしなうので雪の重みで折れることはない。柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえるというたとえ。
  1. 柳の下に何時も泥鰌は居ない
    • 一度柳の下で泥鰌を捕らえたからといって、それがいつもそこにいるわけではない。一度偶然に幸運を得られても、再度同じ方法で幸運が得られるものではない。
  1. 柳は緑花は紅
    • 蘇軾「柳緑花紅真面目」から》
    • 自然のままであること。
    • 春の美しい景色を形容する言葉。
    • ものにはそれぞれ個性が備わっていることのたとえ。
      「―、さまざまの世のならはしこそ定めなき」〈浄・文武五人男〉
  1. 柳を折る
    • 《古代中国の風習から》旅立つ人を見送る。 
  1. やなぎいろ【柳色】
    • くすんだ黄緑色。
    • 織り色の名。縦糸を萌葱(もえぎ)色、横糸を白で織ったもの。
  1. やなぎうみえら【柳海鰓】
    • 花虫綱ヤナギウミエラ科の腔腸(こうちょう)動物。浅海の砂泥底に直立し、長さ30~40センチ。橙色の角質の太い骨軸があり、上部にシダのように葉片が並ぶ。骨軸をステッキ・箸(はし)などに利用。うみやなぎ。うみかんざし。
  1. やなぎかげ【柳陰/柳蔭】
    • 柳の木陰。 春》
  1. やなぎかご【柳籠】
    • 生の柳の枝で編んだ籠に石を入れたもの。河川の護岸工事などに用いる。
  1. やなぎがさね【柳襲】
    • 2」に同じ。
  1. やなぎごうり【柳行李】
    • コリヤナギの枝の皮を除いて乾かしたものを、麻糸で編んで作った行李。やなぎごり。
  1. やなぎごし【柳腰】
    • 《「柳腰(りゅうよう)」を訓読みにした語》細くしなやかな腰つき。また、細腰の美人。
  1. やなぎさび【柳皺】
    • 近世に流行した烏帽子(えぼし)の皺(さび)。柳の葉のように横に細長いしわを寄せたもの。また、その烏帽子。
  1. やなぎしぼり【柳絞(り)】
    • 柳の葉のような柄を染め出した絞り染め。滝絞り。
  1. やなぎたで【柳蓼】
    • タデ科の一年草。水辺に生え、高さ40~60センチ。に似て細長い葉を互生し、鞘(さや)状の托葉(たくよう)をもつ。夏から秋、白い小花をまばらな穂状につける。葉に辛味があり、香辛料とする。ほんたで。またで。 夏》
  1. やなぎだる【柳樽】
    • 柄樽(えだる)の一種で、長い2本の柄のある、祝儀用の酒樽。朱漆で塗り、定紋をつけたものもある。→柄樽角樽(つのだる)
    • [補説]「家内喜多留」とも当てて書く。
  1. やなぎとうば【柳塔婆】
    • 柳の木や枝を塔婆として立てるもの。三十三回忌など最終年忌に立てる。
  1. やなぎのいと【柳の糸】
    • 細くてしなやかな柳の枝を糸に見立てていう語。 春》
  1. やなぎのかずら【柳の鬘】
    • 柳の若枝で作った髪飾り。3月の節句に用いた。やなぎかつら。
      「鮮やかなる衣(きぬ)に、―つけなどして」〈たまきはる
  1. やなぎのかみ【柳の髪】
    • 柳の枝が細く長いのを髪に見立てていう語。
      「春風や―をけづるらん緑のまゆも乱るばかりに」〈新千載・春上〉
    • 女性の長く美しい髪を柳の枝にたとえていう語。
      「―を何ゆゑに、浮き世恨みて尼が崎」〈浄・歌念仏〉
  1. やなぎのま【柳の間】
    • 《襖(ふすま)に雪と柳の絵があったところからの名》江戸城本丸殿中の居間。大広間と白書院との間にある中庭の東側にあり、四位以下の大名および表高家(おもてこうけ)の詰め所。
  1. やなぎのまゆ【柳の眉】
    • 柳の枝に萌(も)え出た若芽を眉に見立てていう語。
    • 《「柳眉(りゅうび)」を訓読みにした語》女性のほっそりした眉。女性の美しい眉。
  1. やなぎば【柳刃】
  1. やなぎば【柳葉】
    • 柳の葉。りゅうよう。
  1. やなぎばこ【柳筥】
  1. やなぎばし【柳箸】
    • 正月の祝い膳(ぜん)用の、柳の木で作った太箸。折れにくく縁起がよいとされる。 新年》「―今年は母の亡かりけり/碧童」
  1. やなぎばぼうちょう【柳刃包丁】
    • 刺身包丁の一。柳の葉のように幅が細く先がとがっているもの。やなぎば。
  1. やなぎむしがれい【柳虫鰈】
    • カレイ科の海水魚。全長約25センチ。体は平たく長楕円形で、口は小さい。一夜干しが美味。
  1. やなぎも【柳藻】
    • ヒルムシロ科の多年草。小川などの水中に生え、水流になびく。全体に褐緑色で、茎は細く、葉はに似て細長く、互生する。夏、葉のわきから柄を出し、黄緑色の小花を穂状につける。ささも。
  1. やなぎらん【柳蘭】
    • アカバナ科の多年草。高原の日当たりのよい地に群生し、高さ約1.5メートルに達する。茎は直立し、枝分かれしない。葉はに似て細長く、互生。夏、茎の上部に紅紫色の4弁花を総状につけ、横向きに開く。
  1. やなぎわら【柳原】
    • 柳が多く生えている野原。やなぎはら。
      「―河風吹かぬかげならば暑くや蝉の声にならまし」〈山家集・中〉