これ【×此れ/▽是/×之/▽維/×惟】
[代]
1 近称の指示代名詞。
①話し手が持っている物、または、話し手のそばにある物をさす。このもの。「―は父の形見の品です」「―を片付けてください」
②話し手が、いま話題にしたばかりの事物などをさす。このこと。このもの。「全世界の平和。―が私の切なる願いだ」
③話し手が当面している事柄をさす。このこと。「―を仕上げてから食事にしよう」「―は困ったことだ」
④話し手の現にいる場所をさす。ここ。「―へどうぞ」
⑤話し手が存在している時をさす。今。「―から出かけるところです」
⑥話し手のすぐそばにいる親しい人をさす。現代では多く、自分の身内をいう。「―が僕のフィアンセです」
⑦《漢文の「之」「是」などの訓読から》判断の対象を強調してさす。「…とは―いかに」「―すなわち」
2 一人称の人代名詞。話し手が自分自身をさす。わたし。
「―は河内の国交野郡(かたのごほり)、禁野の雉領にすまひする者でござある」〈虎清狂・禁野〉
「―は河内の国交野郡(かたのごほり)、禁野の雉領にすまひする者でござある」〈虎清狂・禁野〉
是あるかな
《「有レ是哉」の訓読から》物事を肯定し感嘆していう漢文句調の語。なるほどなあ。まことにこのとおりであるよ。これでなくちゃ。
此れ幸いと
偶然生じたあることをするのに都合のよい状況を逃さないさま。「上司の外出を―仕事をサボる」
此れぞ此の
これこそ例の。これがあの。これやこの。
「大方は月をもめでじ―積もれば人の老いとなるもの」〈古今・雑上〉
「大方は月をもめでじ―積もれば人の老いとなるもの」〈古今・雑上〉
此れで吉田の兼好
「これで良(よ)し」の「よし」に「吉田」の「よし」を掛けてしゃれていう言葉。
此れと言う
(多く下に打消しの語を伴う)とりたてていうほどの。「―・った欠点も見当たらない」
此れに懲りよ道才坊
これに懲りよというのを口拍子よく言ったもの。
[補説]「道才坊」は当て字。「道斎坊」とも書く。撮棒(さいぼう)に打たれて懲りよ、の意。
此れは如何なこと
驚いたとき、困ったときなどに用いる言葉で、狂言にしばしば用いられている。これはどうしたことだ。
「―、この両眼を抜かれたらば、罷り戻らうやうもござるまい」〈虎明狂・目近籠骨〉
「―、この両眼を抜かれたらば、罷り戻らうやうもござるまい」〈虎明狂・目近籠骨〉
此れは如何に
まったく意外な事に驚いたときに用いる言葉。これはなんとしたことだろう。「―目の前の人物が一瞬にして消えてしまうとは」
此れはさて
物事の意外なのに驚き、または考えるときなどにいう言葉。さてこれは。これはまあ。
「―、何としてもくれられぬ」〈狂言記・抜殻〉
「―、何としてもくれられぬ」〈狂言記・抜殻〉
此れはしたり
意外な事に驚いたり、失敗に気づいたりしたときに発する言葉。これは驚いた。しまった。「―、こんな初歩的なミスを犯していたとは」
此れははや
驚いたり、失敗したりしたときにいう言葉。いやまったく。いやはやどうも。
「―、烏帽子が遅う来るな」〈狂言記・烏帽子折〉
「―、烏帽子が遅う来るな」〈狂言記・烏帽子折〉
此れや此の
かねて人から聞いたり思ったりしていたのはこれであるなあ。これがまあ例の。これこそあの。
「―行くも帰るも別れつつしるもしらぬもあふさかの関」〈後撰・雑一〉
「―行くも帰るも別れつつしるもしらぬもあふさかの関」〈後撰・雑一〉
提供元:「デジタル大辞泉」凡例
「これ【×此れ/▽是/×之/▽維/×惟】」の前の言葉




