とうにょうびょう【糖尿病】<生活習慣病>
| 硫化アリル | 血糖値の上昇を抑える | タマネギ、アサツキ、ニラ、ネギ |
|---|---|---|
| カテキン | 血糖値の上昇を抑える | 緑茶、中国茶 |
| ギムネマ酸 | 糖分の吸収を抑える | ギムネマ・シルベスタ |
| 食物繊維 | 糖質や脂質の吸収を抑え、血糖値上昇を緩和する | ゴボウ、こんにゃく |
| ビタミンC | 脂肪の代謝を中心に、基礎代謝を高める | ピーマン、シシトウ |
| ミネラル | 基礎代謝を高め、血液の酸性度を中和する | シイタケ、コンブ、ワカメ |
どんな病気か?
合併症がこわい糖尿病は、1に食事、2に運動で改善
生活習慣の変化とともに増加し、生活習慣病の代表ともいえるのが、糖尿病(とうにょうびょう)です。昭和40年の数字とくらべると、糖尿病受療率は外来患者数で約5倍におよんでいます。現在では、糖尿病が強く疑われる人(治療中を含む)が690万人、さらに可能性を否定できない人とあわせると1370万人にもなります(厚生(現厚生労働)省「患者調査」平成10年)。
このように“疑われる”“可能性を否定できない”と表現されるのは、実際に、初期の段階では自覚症状がないからです。糖尿病は、健康診断などの際に、血糖値が高いことではじめて疑いが生じることがほとんどなのです。
ある程度症状が進行すると、のどがかわく、だるい、眠いなどの症状を感じるようになり、さらに進行すると体重減少、全身のかゆみ、視力の低下などがみられます。そしてもっともこわいのは、長期間血糖値が高い状態が続くと、糖尿病性の網膜症(もうまくしょう)、腎症(じんしょう)、神経障害(しんけいしょうがい)など、重大な合併症を引き起こしてしまうことです。
糖尿病は、インスリンという、細胞内に糖を取り込み、血糖値を下げる作用のあるホルモンの作用不足がおもな原因です。そのため、糖尿病の改善、または予防には、インスリンというホルモンの分泌(ぶんぴつ)をきちんと機能させる必要があります。
その方法としては、「1に食事、2に運動」です。食事については次の項でふれるとして、運動は、ほかの生活習慣病同様、適度な運動レベルで20~30分持続できる運動を、週に2~3回以上、計画性をもって持続させることがたいせつです。
関連する食品
糖尿病の改善には、食事療法が第一です。そのポイントは次のとおり。
- 摂取カロリーの制限
- バランスのよい栄養配分
摂取カロリーの計算は年齢、性別、身長、体重、運動量などで決められますが、健康な人の適正エネルギー量の算出は「生活習慣病とは?」の適正エネルギーの簡易算出法を参照してください。また、糖尿病では低カロリー食が基本です。それだけに、栄養バランスにはより注意が必要です。糖尿病では糖質を制限すればよいと考える人が多いようですが、たんぱく質、脂質、糖質といった3大栄養素は、過不足なく摂取しなければなりません。そのうえで、糖尿病に効果のある食品を摂取しましょう。
通常、糖尿病と診断されると、1日の摂取エネルギーが、1400から1600kcalと、きびしい食事制限をしなければならなくなります。
以下に示す食品交換表は、人間が必要とする栄養素を6つのグループ(表1~表6)にわけ、それぞれからバランスよく食べることで、過不足なく栄養をとれるようにくふうされたものです。
このなかから、1単位80kcalで計算して、1日の食事の献立を考えることが、糖尿病食の基本です。
糖尿病の食事療法は、特別な食事で病気を治すことではなく、「過食を避け、偏食せずに、毎日規則正しい食事をする」ということです。
食事療法の原則は2点あり、第1に、適正な体重を保つのに必要な量の食事を食べ、余計に食べすぎないことであり、この適正量は患者さんの年齢、性別、身長、体重、日々の生活活動量などによってそれぞれ異なるので、主治医に決めてもらう必要があります。
第2に、健康な生活をするために必要な栄養素(糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)や食物繊維などが不足しないように、バランスのよい食事をとることです。糖尿病だからといって食べてはいけない食品はとくになく、適正な量を食べることが重要です。
主治医は、患者さんが1日に食べる食事の適正な量(総エネルギー量)を指示します。これを1日の指示エネルギーといいます。そして、この指示エネルギー量のなかで1日にどんな食品をどれだけ食べればよいか、さらに1日3回の食事にそれをどのように配分すればよいかを、食品交換表を用いて指示します。
1.日常よく食べる食品が、どの表にのっているか、知っておくと便利です。
2.同じ種類の食品でも、含まれている栄養素の種類や量が大きくちがう場合には、他の表にのっていることがあります。
注1:食品の交換はかならず同じ表の食品のなかで行う。
注2:主治医は、1日の指示エネルギー量を1日に何単位と指示する。(例:1日20単位と指示されたときは「20単位×80(1単位のカロリー)=1600kcal」となる。
- 6つの食品グループ(6つの表)
おもに糖質を含む食品
表1 ご飯 うどん 食パン スパゲッティ ジャガイモ
表2 イチゴ スイカ ミカン レモン メロン
おもにたんぱく質を含む食品
表3 マアジ クルマエビ メザシ くんせいイカ 豚肉
表4 牛乳 ヨーグルト スキムミルク
おもに脂肪を含む食品
表5 油 バター アーモンド ベーコン アボカド
おもにビタミン、ミネラルを含む食品
表6 カボチャ キュウリ キャベツ ナス ワカメ
- いろいろな食品の1単位にあたる量
表1 ご飯(55g) 小さい茶わん軽く半杯
食パン(30g) 1斤6枚切りの約半分
うどん〔干し〕(20g)
ゆでうどん(80g)
表2 リンゴ〔皮、芯を含む〕(180g)
リンゴ〔皮、芯を除いたもの〕(150g)
表3 タイ〔頭、骨、内臓付き〕(200g)
タイ〔切り身1切れ〕(80g)
豚肉〔もも〕(60g)
とうふ〔木綿〕(100g:1/3丁~1/4丁)
表6 野菜いろいろとりあわせて(300g)
ピーマン ニンジン サヤインゲン ブロッコリー
- 朝食・昼食・夕食・間食への配分の原則
第1の食品 穀物、イモなど
第3の食品 魚介、肉、たまご、ダイズ製品など
第6の食品 野菜
以上は、朝食・昼食・夕食にだいたい均等に配分します。
第5の食品 油脂、調味料(味噌、砂糖など)
以上は、その日の料理にあわせて、朝食、昼食、夕食にわけて使います。
第2の食品 くだもの
第4の食品 牛乳
以上は、なるべく午前や午後の間食としてとるようにします。
(日本糖尿病協会・文光堂『糖尿病食事療法のための食品交換表第5版』日本糖尿病学会編より引用)
糖尿病の食事は医師、栄養士の指導のもとでの正確なカロリーコントロールが絶対です。外食は、知らないうちに多くのカロリーをとってしまうことがあります。十分注意しましょう。あわせて、積極的に有酸素運動をすることで、カロリー消費につとめましょう。以下に、運動による消費カロリーの目安をのせておきます。
運動:歩行(100m/分)
1時間あたりの消費カロリー:200~300kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:30~45分
運動:速歩(120m/分)
1時間あたりの消費カロリー:300~400kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:23~30分
運動:かけ足
1時間あたりの消費カロリー:400~900kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:10~23分
運動:サイクリング
1時間あたりの消費カロリー:140~350kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:26~60分
運動:水泳(軽い)
1時間あたりの消費カロリー:350~800kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:10~26分
運動:サッカー
1時間あたりの消費カロリー:300~900kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:10~30分
運動:テニス
1時間あたりの消費カロリー:200~500kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:18~45分
運動:自転車(18km/時)
1時間あたりの消費カロリー:200~350kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:30~45分
運動:野球
1時間あたりの消費カロリー:150~350kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:26~60分
運動:バスケット
1時間あたりの消費カロリー:300~600kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:15~30分
運動:スキー
1時間あたりの消費カロリー:200~600kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:15~45分
運動:ボウリング
1時間あたりの消費カロリー:150~200kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:45~60分
運動:卓球
1時間あたりの消費カロリー:200~450kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:20~45分
運動:エアロビクス
1時間あたりの消費カロリー:400~600kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:15~30分
運動:ジョギング
1時間あたりの消費カロリー:200~300kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:30~40分
硫化アリル、カテキンが血糖値を下げる
栄養成分としての働きから
血糖値の上昇を抑える働きのある栄養素としては、硫化(りゅうか)アリルとカテキンがあります。硫化アリルはタマネギに多く含まれ、とくに生食がより効果的です。また、カテキンは緑茶に含まれており、緑茶を積極的に飲む習慣をつけるといいでしょう。直接血糖値のコントロールには働きかけをしませんが、小腸からの糖分の吸収を抑制するのが、ギムネマ茶などから摂取できるギムネマ酸です。
ゴボウやこんにゃくなどの食物繊維も、糖質や脂質の吸収速度を抑え、血糖値の上昇を緩和する作用があります。基礎代謝を高めるために、ビタミンやミネラルもたっぷりとりましょう。ピーマンやシシトウなどに含まれるビタミンCは、脂肪の代謝を促進し、シイタケに含まれるビタミンB6やミネラル、ワカメ、コンブに含まれるミネラルも有効です。
注意すべきこと
いくら摂取カロリーや栄養バランスに気をつけても、不規則な食習慣では意味がありません。食事の回数を1回減らすと、1回分の摂取量がふえ、著しく血糖値が上昇してしまいます。1日3食、きちんと食事をすることと、よくかんでゆっくり食べることがたいせつです。
また、糖尿病を予防するには、周囲の人に食事療法開始を告げる、自分の摂取カロリー量をつかむ、自分の数値を視覚化する、1日カロリー10%カット、飲酒は自分の意志の強さと相談を、午後9時をすぎたら食べない、などの注意が必要です。





