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ニュースな英語 政治、経済、社会、文化スポーツまで、幅広いジャンルのニュース記事を題材に、優しくて役に立つ英語の表現を紹介します。
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RSS宗教はなぜタブーなのか サウスパーク脅迫騒動で
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本日の言葉「bleep」(ピー、ピー音で消す)
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肩の力を抜いたゆるい「暇ダネ」英語をご紹介する金曜コラム、今週の話題は大好きなアメリカの風刺アニメ「サウスパーク」なので、ゆるいといってもそこは「サウスパーク」ですから、あまりゆるくありません。「ムハンマドを侮辱」した制作者を殺すと脅されている事態に、誰もが不安で不満です。(gooニュース 加藤祐子)

RSS誰でも平等に攻撃するアメリカの良心

いきなりですが、アニメ「South Park」はアメリカの良心だと私は思っています。えらい良心もあったものですが。世の中のあらゆる偏見、あらゆる差別、あらゆる思い上がり、あらゆる権威、あらゆるくだらない物事をこてんぱんに笑い飛ばしてバカにするこの風刺アニメが存在することで、その分だけアメリカという国は風通しのいい国になっていると思うからです。

保守派白人やキリストという(一部の)アメリカ人にとって大事なものをからかい、リベラル白人や黒人や同性愛といった(やはり一部の)アメリカ人にとって大事なものも笑い飛ばす。右だろうが左だろうが、白だろうが黒だろうが、身障者だろうが高齢者だろうが、何らかの「権威」となり社会的影響力をもつようになった瞬間、誰も彼らの風刺攻撃からは逃れられない。

トム・クルーズだろうがマイケル・ジャクソンだろうが、金正日総書記だろうがサダム・フセインだろうが、大統領だろうが女王だろうが法王だろうが天皇だろうが。どの宗教の教祖だろうが。

誰でも攻撃するがゆえに誰に対しても平等だというこのアニメは、そんじょそこらの覚悟がなければ作れない。その度胸の座りっぷりに、私は惚れ惚れとします。

なので、「South Park」が200回記念番組にまた確信犯で宗教をネタにしたと聞いても、当初は「元気だなあ」というぐらいにしか思いませんでした。モーゼやイエスやブッダと一緒に、どうやってイスラム教の預言者ムハンマドを登場させるか(番組内で登場人物たちが)あれこれ苦労した挙げ句、クマの着ぐるみを着せて登場させたと聞いて、「そう来たか」と笑いました(イスラム教は偶像崇拝を禁止するので、ムハンマドを「描く」ことは大問題となるのです)。

番組の登場人物たちが気を遣って苦労したのも水の泡で、結局は一部のイスラム教徒がこれに激怒し、制作者トレイ・パーカーとマット・ストーンの殺害をほのめかす脅しをウエブサイトに載せた。それを知った時は、「ああまたか…」と天を仰ぎました。やはりどうしてもどのようにしても、ジョークが通じない相手というのはいるのだな、と。

ジョークが通じなくて怒られるだけならともかく、イスラム過激派は「殺す」と言ったら実行することがあるので、「大丈夫か」と心配にもなりました。トレイとマットを脅迫した連中は、イスラム社会に批判的なドキュメンタリーを撮ったオランダ人監督が殺された6年前の事件を引き合いに出して「同じような目に遭うぞ」と脅迫しているので、尚のこと。

RSS放送局のジレンマは分かるが

そうしたら「South Park」を放送するケーブルチャンネル「コメディ・セントラル」は、脅迫を深刻に受け止め、問題となったエピソードの続編では「ムハンマド」に触れるセリフを全て「ピー」で消した。ちなみに日本語で言うこの「ピー」は英語では「bleep」という擬音です。「bleeped out all references to Mohammed(モハメッドへの言及を全てピーで消した)」という使い方をします。

「bleep out」するというこの局側の対応に、トレイとマットは不満を表明。公式サイトに載せた短い声明で「自信をもって出すことのできない番組は作ったことがない」「コメディ・セントラルが番組内容変更の判断をした」「コメディ・セントラルが『ピー』音を付け加えたんだ(Comedy Central added the bleeps)」と説明。主役のカイルが毎回番組最後に語る「いつものスピーチは、実は脅迫と恐怖についての内容だった。ムハンマドには全く触れていないのに、それもピーで消された(it got bleeped too)」のだと言うのです。

マットとトレイの勇気に拍手します。しかし同時に、こちらのロサンゼルス・タイムズ記事にあるように、「コメディ・セントラル」が放送局として直面するジレンマにも同情します。イスラム過激主義者に風刺は通じない。実際に被害者が出ている。そこで「表現の自由」や「そもそも風刺とは」という大前提と、局としての立場や責任がぶつかり合った。諸々を天秤にかけて局として判断したのだと言われれば、それは理解したくなくても理解できてしまいます。

それにしても。なぜ宗教をからかったり批判したりすることが、タブーになってしまうのでしょうか。子供の性的虐待をめぐるカトリック教会の対応を批判した際にも少し触れたように、外国人と世間話をする時には宗教と政治の話題は避けろとよく言われます。日本でも、宗教や信仰について踏み込んだ話をすると厄介だからと、なるべく踏み込まない風潮が確かにある。ゆえに客観的な知識は広まらず、議論も深まらず、共通理解も生まれないわけです。

自分の信仰を批判されることは、自分の全存在を否定されるに等しい。しかもこの地上における存在だけでなく、来世とか天国における自分の存在、つまりは自分の永遠性すらも否定されることになる。それは「死」の絶対性を認めろと言われるに等しく、あまりにも耐えがたい。だから決して決して決して、宗教批判は許さないのだ——というのが、宗教の恐ろしさのように思います。あるいはむしろ、宗教そのものと言うよりも「宗教依存症」の恐ろしさでしょうか。

確かに、ケンカする覚悟がないなら、人様が大事にしているものは軽々しくからかったり批判するべきでない。それが信仰だろうと、好きなアイドルだろうと、生活習慣だろうと。けれども「South Park」は風刺番組で、まさに彼らはケンカ覚悟というか、世界中にケンカを売ることを芸風としているのです。

外野から勝手なことを言うのはいかにもお気楽で無責任だと分かっていますが、放送局には、番組関係者を全力で守りつつも「bleep」に頼らない対応を選んで欲しかったです。宗教というタブーに触れることの恐ろしさは、分かっているつもりなのですが。

  
加藤祐子

執筆者:加藤祐子 東京生まれ。シブがき隊と同い年。8歳からニューヨーク英語を話すも、「ビートルズ」と「モンティ・パイソン」の洗礼を受け、イギリス英語も体得。怪しい関西弁も少しできる。全国紙社会部と経済部、国際機関本部を経て、CNN日本語版サイト「CNN.co.jp」で 2000年と2004年米大統領選の日本語報道を担当。2006年2月よりgooニュース編集者。フィナンシャル・タイムズ翻訳も担当。英語屋のニュース屋。最新の訳書に「策謀家チェイニー 副大統領が創った『ブッシュのアメリカ』」(朝日新聞出版)。



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