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RSS復興のため静かに動き静かに去る そして「レベル7」の意味を静かに語る
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本日の言葉「time scale」(期間)
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ちなみに米軍による支援と言えば、米海兵隊のNBC(核、生物、化学)兵器対応の専門部隊「CBIRF」が4月初めに派遣されて、「おお、シーバーフが来るほど福島第一原発の事故はひどいのか」と緊張したものですが、19日付の日本各紙報道によると、来週にも帰国するとのこと。このニュースにはかなり安心しました。来てくれてARIGATO、出動せずに済んでARIGATOです。

その福島第一の原発事故といえばご承知の通り、「レベル7」なわけです(今、かなり強引に前半から話をつなげました)。


RSS「いきなり悪化したわけじゃないのよ」

日本政府が12日に事故評価尺度(INES)をチェルノブイリ事故と同じ「レベル7」に引き上げるや、例によって一部の内外メディアや発言者は「ええええ!」と動揺していましたが、震災直後と違い、これはある程度予測されていたことだったせいか、英科学誌『ネイチャー』をはじめ、各メディアの科学記者たちが「いや、それはどういうことかというとね」と冷静な解説を素早く展開。発表から数時間後にたまたまつけたCNNでは、アナウンサーたちが「チェルノブイリと一緒だなんて、なんだか大変そうに聞こえるけど、実はどうなの?」、「ここにきて事態がいきなり悪化したわけじゃないのよ」と語り合っていて、1カ月前とはずいぶん違うなと、なんだか微笑んでしまいました。

科学誌『ネイチャー』は原発事故が起きるやすぐに詳報を開始(一部記事の日本語はこちら)。「レベル7」については12日付でただちに「フクシマとチェルノブイリの似ているところ、似てないところ」というブログ記事で解説していました(実を言えば私はこの記事のおかげで、冷静さを保てました)。

科学報道が専門のジェフ・ブラムフィール記者は日本政府が事故評価を引き上げたことで「マスコミが大騒ぎするのは無理もないことだが、実際のところ、フクシマとチェルノブイリはとても違う事故だ」と。違いの「最たるものはタイムスケールだ」と。「time  scale」というのは日本語に訳しにくいのですが、「期間」とか、直訳すれば「時間の規模」。つまり、秒単位なのか分単位なのか、日単位か月単位か年単位なのかという話です。

記者いわく、チェルノブイリは大爆発を起こして放射性廃棄物を大気の高度高くまき散らし、数時間内での避難が必要だった。火災は10日間続き、20万平方キロの域内に大量の放射性物質が飛散した。11月までに石棺が完成。爆発直後の短期間に140万テラベクレルもの放射能が一気に放出された。対して福島第一原発の事故はもっとゆっくりと進行しているので(当初に少量の放射性物質が放出された後は、線量は下がっている)、政府はその分だけ慎重に対応し、放射能汚染から市民を守ることができると。

「水、塵、水蒸気という形で放射性物質が漏れ出る福島第一は、スローモーションなチェルノブイリだ」、「チェルノブイリ周辺で一度に行われた住民避難と違い、(福島第一周辺では20km圏外からの)避難は数カ月かけて行われるだろう。なぜならその地域の放射線量は当面は安全と言えるレベルだが、長期的にはそうは言えないからだ」、「フクシマの後片付けは色々な意味でチェルノブイリと似たものになるだろうし、時間はチェルノブイリより長くかかるかもしれない」とも。

英『BBC』では、「フクシマはチェルノブイリとどう違う?」という比較の表を掲載。「チェルノブイリからは10倍の放射性物質が放出された。2つの事故はかなり違うというのが、ほとんどの専門家の共通意見だ」と書いた上で、「放射性物質の量:チェルノブイリ520万テラベクレル、福島37万テラベクレル(4/12現在)。汚染地域:チェルノ500キロ以上、福島は北西に60キロ超と南南西に約40キロで年間上限超の線量」などと並べています。

BBCではさらに環境問題担当のリチャード・ブラック記者が、「フクシマ、チェルノブイリと同じくらいひどい?」という記事で、「稼働中の原子炉が爆発し、放射性物質が上空3万フィート、民間航空機がふだん飛行する高度に吹き上がった」チェルノブイリの事故と、福島第一原発の事故が同じ「レベル7」だという判断について、あるいはチェルノブイリよりひどくなる恐れがあるという東電関係者の意見について、「それは原発推進派か反対派かを問わず、技術者の間では少数意見だ」と書いています。

たとえば英サリー大学の物理学教授は福島第一原発の事故は「放出された放射性物質の量がずっと少ないし、放出の形がとても違う。チェルノブイリの爆発は大量の放射性物質を大気圏に入れて長距離にわたって拡散させた。一方(福島では)原子炉から数回ベントで放出したのと、冷却水を放水した」と。豪核科学技術機構(ANSTO)で原子力安全性の専門家だったドン・ヒグソン博士は、福島の事故とチェルノブイリを同級に扱うのは「ナンセンスだ」と。いわく「チェルノブイリ事故の直後には作業員134人が重度の放射線障害で入院し31人が死亡したが、フクシマではそのどちらも起きていない、3人が被曝による熱傷で入院したが、それと重度の放射線障害は違う」と。

記事は「4号機の使用済み燃料プールから大量の放射性物質が大気に放出される可能性は大きい」(英原子力専門家ジョン・ラージ氏)という危険性を指摘する一方で、チェルノブイリ事故後のソ連政府による情報遮断と、事故後すぐに避難区域を設定し、(原発周辺の住民に)ヨウ化カリウムを配布し、人や食品の放射能汚染を監視し続けている日本政府の対応はまったく違うと指摘し、「日本政府の勧告の内容やタイミングを批判する声もあるが、日本政府のこうした対応を評価する意見もある」と書いています。


加藤祐子

執筆者:加藤祐子 東京生まれ。シブがき隊と同い年。8歳からニューヨーク英語を話すも、「ビートルズ」と「モンティ・パイソン」の洗礼を受け、イギリス英語も体得。怪しい関西弁も少しできる。全国紙社会部と経済部、国際機関本部を経て、CNN日本語版サイト「CNN.co.jp」で 2000年と2004年米大統領選の日本語報道を担当。2006年2月よりgooニュース編集者。フィナンシャル・タイムズ翻訳も担当。英語屋のニュース屋。最新の訳書に「策謀家チェイニー 副大統領が創った『ブッシュのアメリカ』」(朝日新聞出版)。



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