1. 五十音図ア行の第4音。五母音の一。前舌の半閉母音。[e]

  1. 平仮名「え」は「衣」の草体から。片仮名「エ」は「江」の旁 (つくり) 。

[補説]五十音図ヤ行の第4音としても重出。ただし、平安初期までは、ア行のエにあたるもの(発音[e])とヤ行のエにあたるもの(発音[je])とには発音上の区別があった。

同性の者のうちの年長者。特に、兄弟・姉妹年上の者。⇔弟 (おと) 

「かつがつもいや先立てる—をし枕 (ま) かむ」〈・中・歌謡

[補説]「え(兄)」と「おと(弟)」との複合が「えと(干支)」である。→干支 (えと) 十干

多くの人が集まること。また、その集まり。多く仏事、または祭事をいう。

「—を設けて供養しき」〈霊異記・下〉

海や湖沼の陸地に入り込んでいる所。入り江。古くは、広く海・川・堀などをいった。

奈呉の—に妻呼びかはし鶴 (たづ) さはに鳴く」〈・四〇一八〉

古代人民に割り当てられた肉体労働。夫役 (ぶやく) 。えだち。「えよぼろ(役丁)」のように他の語と複合した形で用いられる。

草木のえだ。「梅が—」「下— (しずえ) 」

「槻 (つき) の木のこちごちの—の春の葉の」〈・二一〇〉

身体の枝の意》手足。四肢

「来目部をして夫婦 (をとめ) の四つの—を木に張りて」〈雄略紀〉

《「ゆえ」の音変化》ゆえ。わけ。理由

「思ふ—に逢ふものならば暫 (しま) しくも妹が目離 (か) れて吾居らめやも」〈・三七三一〉

  1. 手で握りやすいように、道具類につけた棒状部分。取っ手。「ひしゃくの—」

  1. キノコの、傘を支える部分。また、葉柄や花柄。

疫病。特に、悪性の伝染病。えやみ。

「これは世の—にはおはしまさず」〈大鏡・道長上〉

(梵)prajñāの訳》仏語。物事をよく見極め、道理を正しく把握する精神作用。三学の一。智慧。

動詞飢 (う) う」の連用形「うえ」の音変化。

「い行きまもらひ戦へば我はや—ぬ」〈・中・歌謡

  1. 物事情景を、色・線・形などによって、平面上に写し表したもの。絵画

  1. ある情趣を感じさせるありさま。光景

    1. 「母が乏しい髪を工面して、何うか斯うか髷に結い上げる様子は…夫程見栄のある—ではないが」〈漱石・彼岸過迄〉

  1. テレビなどの画面映像。「音声だけで、—が出ない」

エノキのこと。

「我が門の—の実もり食む百ち鳥千鳥は来れど君そ来まさぬ」〈・三八七二〉

えさ。「小鳥の—」「生き—」

[副]動詞「う(得)」の連用形から》
  1. (下に打消しの語または反語を伴って)不可能の意を表す。…できない。うまく…できない。

    1. 若者挨拶の言葉も—言わないような人で」〈有島・溺れかけた兄弟〉

    2. 「数ならぬ身は、—聞き候はず」〈徒然・一〇七〉
  1. 可能の意を表す。…できる。うまく…できる。

    1. 「面忘れだにも—為 (す) やと手 (た) 握りて打てども懲りず恋といふ奴 (やっこ) 」〈・二五七四〉

[感]

  1. 驚きを感じたときに発する語。えっ。「—、すごいじゃないか」

  1. 相手の言うことが理解できなかったり疑問を感じたりして、問い返すときに発する語。えっ。「—、なんですか」

  1. 承諾肯定を表すときに発する語。ええ。「—、そうです」

  1. 感動苦痛を表すときに発する語。ああ。

    1. 「—、苦しゑ」〈天智紀・歌謡

[終助]《上代語》文の終わりに付く。嘆息の心持ちを表す。…なあ。…よ。
  • 「上野 (かみつけの) 佐野の茎立 (くくたち) 折りはやし我 (あれ) は待たむ—今年来ずとも」〈・三四〇六〉
[間助]呼びかけの語または文末に付く。
    1. ㋐親しみを込めて問いかける意を表す。

      「これからはどうしていくつもりだ—」〈二葉亭浮雲

    2. 「敵 (かたき) は誰でござんす—」〈浄・盛衰記
    3. ㋑親しみを込めて呼びかける意を表す。

      「御新造さま—」〈人・娘節用・後〉

    4. ㋒軽い感動を表す。

      「あれあれ、お姫様の見てござるぞ—」〈伎・万歳丸〉

  1. 呼びかけの意を表す。上代東国方言で、一例のみ。「よ」の転じたものか。

    1. 「父母 (とちはは) —斎 (いは) ひて待たね筑紫 (つくし) なる水漬 (みづ) く白玉取りて来までに」〈・四三四〇〉

[助]助詞
[接頭]名詞に付いて、愛すべき、いとしい、の意を表す。
  • 「あなにやし—をとめを」〈・上〉
[接尾]おおよその位置方向時間などを表す。…のあたり。…のころ。「行 (ゆく) —」「古 (いに) し—」→へ(方)
[接尾]助数詞。数を表す語に付いて、重なったものを数える語。「二 (ふた) —まぶた」「八—咲き」

〈会〉⇒かい

〈回〉⇒かい

〈廻〉⇒かい

〈絵〉⇒かい

〈壊〉⇒かい

〈衣〉⇒

〈依〉⇒

〈恵〉⇒けい

〈慧〉⇒けい

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2023年11月