2018.12.27

"You'd have loved it"(気に入ってくれたよね)

侍イングリッシュ

海外出張した国際線の機中で、米女優、サンドラ・ブロック主演の映画「オーシャンズ8」を見ました。史上最強の犯罪者集団を描いたジョージ・クルーニー主演の人気作「オーシャンズ」シリーズの女性版。名だたる女優がそろいました。

犯行の舞台は、ニューヨークのメトロポリタン美術館MET)で行われる豪華絢爛なファッションの祭典"MET GALA"。宴(うたげ)の最中、ゲストの首に巻かれた1億5000万ドル(150億円相当)のダイヤのネックレスを、見事、偽物とすり替えて強奪してしまうのです。完璧な仕事を終えて、仲間と別れたときの主人公の言葉が心に残ります。他界した伝説の強盗犯の兄、ジョージに向かって同意を求めるようにこうつぶやいたのです。"You'd have loved it."

そのまま訳せば、私の仕事ぶりを「きっと気に入ってくれたよね」。それが字幕では「見せたかったな」に“すり替わった”のです。このすり替わりは、日本語と英語の思考法の違いからきています。英語は、結論をはっきり述べて相手に同意を求める文化です。「気に入ってくれた」はいわば結論です。一方、日本語は、話者の思いをほのめかすにとどめ、結論はむしろ聴き手に委ねてしまいます。実際に、私も「見せたかったな」との字幕を見た瞬間、脳裏に彼女の亡き兄の満足そうな笑顔が浮かんだのです。

"You'd have loved it."が「見せたかったな」に変わるとき、文化が変わっているのです。だからこそ、英語で話すときには頭の中の文化を“すり替えて”、結論をはっきりと口にする必要があるのです。

執筆者紹介

河谷隆司

河谷隆司
異文化マネジメントコンサルタント。(株)ダイバーシティ・マネジメント研究所代表取締役。世界13ヶ国の日系企業拠点にて異文化マネジメント研修・講演を実施。著書に『英語の話せるボスになる』他多数。

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