いちごん-ほうおん【一言芳恩】
ちょっと声をかけてもらったことを忘れずに感謝すること。また、一声を賜った恩に感じてその人を主人と仰ぐこと。▽「芳恩」は人から受けた親切や恩義の敬称。ご恩・おかげの意。「言」は「げん」とも読む。
いちもう-だじん【一網打尽】
ひと網であたりのすべての魚や鳥獣などを捕らえること。転じて、犯人などをひとまとめに捕らえること。▽『呂氏春秋りょししゅんじゅう』異用いようにある、四面に網を張り、四方からの獲物をすべて捕らえようと祈っている呪師じゅしの故事を踏まえたものか。「打尽」はここでは捕り尽くす意。「打」は動詞の上につけて動作を表す助字。「…する」の意。
いっかく-せんきん【一攫千金】
一度にたやすく大きな利益を手に入れること。一つの仕事で巨利を得ること。▽「一攫」は一つかみの意。「攫」を「獲」と書くのは本来は誤用。「千金」は大金の意。非常に高価、貴重なことのたとえ。
いっきょ-りょうとく【一挙両得】
一つの行為で、同時に二つの利益が得られること。一つで二つの利益が得られること。また、わずかな労力で多くの利益を得るたとえ。▽「一挙」は一つの動作・行動。
いっしゅく-いっぱん【一宿一飯】
ちょっとした世話になること。また、ちょっとした恩義でも忘れてはいけないという戒めの語。旅先などで、一晩泊めてもらったり一度食事を恵まれたりする意から。▽「一宿」は旅先などで一晩泊めてもらうこと。「一飯」は一回の食事をごちそうになる意。昔、博徒ばくとの間では、旅の途中で泊めてもらったり食事を振る舞われたりして世話になると、生涯の恩義とする仁義があった。
いっせき-にちょう【一石二鳥】
一つのことをして、二つの利益を得るたとえ。一つの行為や苦労で、二つの目的を同時に果たすたとえ。一つの石を投げて、二羽の鳥を同時に捕らえる意から。▽今では、ここから「一石三鳥」「一石四鳥」などという語も使われる。
いっぱん-せんきん【一飯千金】
わずかな恵みにも厚い恩返しをするたとえ。一膳いちぜんの食事のようなわずかな恵みにも、千金に値する恩がある意から。
うか-とうせん【羽化登仙】
酒などに酔って快い気分になることのたとえ。天にも昇る心地。羽が生え仙人になって、天に昇る意から。▽「羽化」は羽が生えて、空を自由に翔かける仙人になること。「登仙」は天に昇って仙人になる意。
うちょうてん-がい【有頂天外】
このうえなく大喜びすること。また、たいそう喜んで夢中になり、我を忘れる様子。▽「有頂天」は、仏教で形ある世界の絶頂に位置する天。その有頂天よりさらに高く外に出る意。「有頂天」をさらに強めた語。
えんまん-ぐそく【円満具足】
十分に満ち足りていて、少しも不足がないこと。▽「円満」「具足」とも、十分に備わっていること。
かきゅう-じんそく【家給人足】
生活が豊かで満ち足りているたとえ。どの家にも衣食が十分に行き渡り、だれもが豊かに満ち足りている意から。▽「給」は行き渡る、豊かになる意。「足」は十分にある、満ち備わるの意。「家いえごとに給きゅうし人ひとごとに足たる」と訓読する。
かんか-ふぐう【轗軻不遇】
世に受け入れられず行き悩むさま。事が思い通りにいかず行き悩み、ふさわしい地位や境遇に恵まれないさま。▽「轗軻」は道が平坦へいたんでないさま。また、事が思い通り運ばず不遇なさま。世に受け入れられず行き悩むさま。
かんてん-きち【歓天喜地】
大喜びすること。思わず小躍りするような大きな喜び。▽「歓天」は天に向かって喜ぶ意。「喜地」は地に向かって喜ぶ意。
かんなん-しんく【艱難辛苦】
非常な困難にあって苦しみ悩むこと。▽「艱」「難」はともにつらい、苦しい、悩むの意。「辛苦」はつらく苦しいこと。つらい目にあって悩むこと。
がしん-しょうたん【臥薪嘗胆】
将来の成功を期して苦労に耐えること。薪の上に寝て苦いきもをなめる意から。▽「臥」はふし寝る意。「薪」はたきぎ。「嘗」はなめること。「胆」は苦いきも。もとは敗戦の恥をすすぎ仇あだを討とうと、労苦を自身に課して苦労を重ねること。
がんぽ-こふく【含哺鼓腹】
人々が豊かで、太平な世を楽しむたとえ。食べ物を口に含み、満腹になって腹つづみをうつ意から。▽「哺」は口に含んだ食べ物。「含哺」は食べ物を口にほおばることで、満腹の意。「鼓腹」は腹つづみをうつこと。「哺ほを含ふくみ腹はらを鼓こす」と訓読する。
きこく-しゅうしゅう【鬼哭啾啾】
悲惨な死に方をした者の浮かばれない亡霊の泣き声が、恨めしげに響くさま。転じてものすごい気配が漂い迫りくるさま。▽「鬼哭」は浮かばれない霊魂が声を上げて泣き悲しむこと。「啾啾」はしくしくと泣く声の形容。
きしゅつ-でんにゅう【鬼出電入】
現れたり消えたりがすばやく、目にとまらないこと。また、出没が奔放自在で予測できないこと。鬼神のように足跡がなく自在で、稲妻のように速やかに出没する意から。
きしょく-まんめん【喜色満面】
喜びの表情が心の中で包みきれず、顔じゅうにあふれ出ているさま。▽「色」は表情や様子の意。「満面」は顔じゅう、顔全体。
きゅうちょう-すんだん【九腸寸断】
非常に悲しいことの形容。断腸の思い。▽「九腸」の「九」は数の多いことを表す。腸はらわた全体。「寸断」はずたずたに断ち切られる意。腸がずたずたに断ち切られるような非常なつらさ、悲しさをいう語。
きょうき-らんぶ【狂喜乱舞】
思わず小躍りするほど大いに喜ぶこと。▽「狂喜」は狂おしいほどに大喜びすること。「乱舞」は入り乱れて躍ること。
きょうてん-どうち【驚天動地】
世間を非常に驚かせること。世間をあっと驚かせる事件・出来事の形容。▽「天てんを驚おどろかし、地ちを動うごかす」と訓読する。
きんき-じゃくやく【欣喜雀躍】
小躍りするほど大喜びをすること。▽「欣」「喜」はともに喜ぶ意。「雀躍」は雀すずめがぴょんぴょんと跳ね行くように喜ぶこと。
ぎょふの-り【漁夫之利】
両者が争っているすきに、第三者が骨を折らずにその利益を横取りするたとえ。▽「漁夫」は漁師。「夫」は「父」とも書く。
くしん-さんたん【苦心惨憺】
心をくだいて非常な苦労を重ね、工夫をこらすこと。▽「苦心」はあれこれ心をくだいて考えること。「惨憺」は心をくだき悩ますこと。「憺」は「澹」「淡」とも書く。
こっく-べんれい【刻苦勉励】
心身を苦しめて仕事や勉学に励むこと。▽「刻苦」は非常な苦労をすること。「刻」は責める、苦しめる意。「勉励」は務め励むこと。
しく-はっく【四苦八苦】
非常に苦労すること。たいへんな苦しみ。もと仏教の語で、あらゆる苦しみの意。▽「四苦」は生しょう老・病・死の四つの苦しみ。「八苦」は「四苦」に愛別離苦あいべつりく(親愛な者との別れの苦しみ)、怨憎会苦おんぞうえく(恨み憎む者に会う苦しみ)、求不得苦ぐふとくく(求めているものが得られない苦しみ)、五蘊盛苦ごうんじょうく(心身を形成する五つの要素から生じる苦しみ)を加えたもの。
しちてん-ばっとう【七転八倒】
激しい苦痛などで、ひどく苦しんで転げまわること。転んでは起き、起きては転ぶこと。▽「七」「八」は数が多いことをいう。「しってんばっとう」「しちてんはっとう」とも読む。また「転」は「顛」とも書く。
しっぷう-もくう【櫛風沐雨】
風雨にさらされながら、苦労して働くこと。また、世の中のさまざまな辛苦にさらされることのたとえ。▽「櫛風」は風に髪が櫛くしけずられること。「沐雨」は雨で髪が洗われること。「沐雨櫛風もくうしっぷう」ともいう。
しめん-そか【四面楚歌】
周囲がすべて敵や反対者で、まったく孤立して、助けや味方がいないこと。また、そのさま。孤立無援。
しゃけい-そんせつ【車蛍孫雪】
車胤しゃいんが夏の夜に蛍の光で読書し、孫康そんこうが冬の夜に雪に照り返された月明かりで読書した故事。苦学のたとえ。車胤聚蛍しゃいんしゅうけい「孫康映雪そんこうえいせつ」
しゅうく-しんきん【愁苦辛勤】
思い悩んで憂え苦しむこと。また、その苦しみ。▽「愁苦」は憂え苦しむ。「辛勤」はつらくて憂い苦しむこと。また、苦労してつとめること。
しゅぶ-そくとう【手舞足踏】
大きな喜びなどで、気持ちが高ぶって、思わずそれが身振り手振りとなって現れること。▽「手舞」は手を動かして舞う、「足踏」は足を踏みならす。ともに踊りの動き。それによって自分の気持ちの高揚を表現することからいう。「手の舞い足の踏ふむを知らず」の略。
しょうしん-かんぜつ【焦唇乾舌】
唇や舌が乾くほどに辛苦すること。大いに焦燥すること。また、大いに言い争うことのたとえ。大いに焦るさまに用いられることもある。唇が焦げ舌が乾く意から。▽「唇くちびるを焦こがし舌したを乾かわかす」と訓読する。「乾舌焦唇かんぜつしょうしん」ともいう。「唇」は「脣」とも書く。
しんこう-いらん【心慌意乱】
あわてて心が乱れ、何がなんだか分からなくなってしまう状態。▽「心慌」はあせりあわてること。「意乱」は心が入り乱れて混乱すること。「心こころ慌あわただしく意い乱みだる」と訓読する。
しんてん-どうち【震天動地】
大事件が起こることの形容。勢いや音などが、人を驚かすほどに激しく大きいさま。天地を震動させる意。また、そのような大音響や大騒動のこと。▽「天てんを震ふるわし地ちを動うごかす」と訓読する。
しんまん-いそく【心満意足】
非常に満足すること。存分に満ち足りた気分になること。▽「心満」「意足」はともに心が満ち足りる意。「心こころ満みち意い足たる」と訓読する。
しんろう-しんく【辛労辛苦】
つらい目にあって、非常に苦労すること。▽「辛労」「辛苦」はともに、たいへん苦しむこと。非常につらい思いをすること。「辛労辛苦」は、「労苦」を分けて、それぞれに「辛(つらい)」を加えた語。
せっし-やくわん【切歯扼腕】
はなはだしく怒り、非常にくやしく思うことの形容。▽「切歯」は歯ぎしり、歯をくいしばること。「扼腕」は自分の腕を握りしめること。
せんしん-ばんく【千辛万苦】
さまざまな苦労や困難をしていくこと。また、そうした苦しみ。▽「千」「万」は数の多いことを示す。「辛苦」が千も万もあるという意。
そんこう-えいせつ【孫康映雪】
苦労して勉学に励むことのたとえ。苦学すること。▽「映雪」は雪明かりで書物を照らす意。晋しんの孫康が雪明かりで読書したこと。車胤しゃいんとともに「蛍雪之功」の故事で知られる。『蒙求もうぎゅう』の一句。
たいきょう-しっしょく【大驚失色】
非常に驚き恐れて、顔色が青ざめること。▽「大驚」はたいへん驚く意。驚愕きょうがくすること。「失色」は顔色を失う、顔色が青ざめること。「大おおいに驚おどろきて色いろを失うしなう」と訓読する。
たんせん-しんきょう【胆戦心驚】
恐怖で恐れおののくこと。また、臆病おくびょうなこと。▽「胆」は肝臓・きも。「心」は心臓のこと。ここでは、ともに心の意。「戦」は恐ろしくて震える、おののくこと。
だんぺん-ざんかん【断編残簡】
一部が欠けて不完全な書き物。▽「断編」はきれぎれの文章。「簡」は竹の札で、古くはこれに文章を書き付けていたことから書物のこと。
ちょうしん-るこつ【彫心鏤骨】
心に彫りつけ骨に刻み込む意で、非常に苦心して詩文などを作り上げること。また、単にたいへんな苦労をすること。▽「彫心」は心に刻み込む意。「鏤骨」は骨に刻みつける意。大きな苦労のたとえ。「鏤」は「ろう」とも読む。「心こころに彫ほり骨ほねに鏤きざむ」と訓読する。
てんたい-とそく【霑体塗足】
つらい労働の様子。からだをぬらし、足を泥まみれにして、田畑で仕事をする姿から。▽「霑」はぬらすこと。「霑体」はからだをぬらす意。「塗」は泥にまみれる意。「体からだを霑うるおし、足あしに塗ぬる」と訓読する。
とうはつ-じょうし【頭髪上指】
激怒して髪の毛が逆立つこと。▽「上指」は上を指すこと。
とくい-まんめん【得意満面】
事が思いどおりに運び、誇らしさが顔全体に表れるさま。▽「得意」は成功に満足するさま。
なんぎょう-くぎょう【難行苦行】
さまざまな苦労・苦難にたえる修行のこと。転じて、ひどく苦労をすること。▽仏教語。「行」はもともと仏教の修行のこと。
ひか-こうがい【悲歌慷慨】
悲しげに歌い、世を憤り嘆くこと。社会の乱れや自分の不運などを、憤り嘆くこと。壮烈な気概のたとえ。▽「悲歌」は悲しげに歌うこと。「慷慨」は憤り嘆くこと。「慷慨悲歌こうがいひか」ともいう。
ひにくの-たん【髀肉之嘆】
実力・手腕を発揮する機会に恵まれないのを嘆くこと。むなしく日々を過ごすことの嘆きをいう。▽「髀肉」はももの肉、「嘆」はため息をついて嘆く意。「髀」は「脾」、「嘆」は「歎」とも書く。
ふうさん-ろしゅく【風餐露宿】
風にさらされて食事をし、露に濡ぬれて野宿すること。転じて、旅の苦労、野宿の苦しみのたとえ。▽「餐」は飲食することで、「風餐」は風に吹きさらされて食事をすること。「露宿」は露に濡れながら寝ること。野外の仕事の苦しみのたとえとしても用いる。
ふくとく-えんまん【福徳円満】
幸福や財産に恵まれ、満ち足りているさま。▽「福徳」は幸福と利益の意。「円満」は満ち足りているさま。
ぶんぷう-そうたん【聞風喪胆】
評判やうわさを聞いて、びっくりして肝をつぶすこと。ひどく恐れることの形容。▽「風」は風の音。また、うわさ。「喪胆」は胆を失う、びっくりすること。「風ふうを聞ききて胆きもを喪うしなう」と訓読する。
へんたん-やくわん【偏袒扼腕】
激しく怒ったり悔しがったりして、感情を激しく高ぶらせること。▽「偏袒」は片肌を脱ぐこと。意気込む様子。「扼腕」は自分の片手でもう一方の腕を強く握りしめること。怒ったり悔しがったりするさま。「扼」は押さえつける意。
ほうねん-まんさく【豊年満作】
作物が豊かに実って、収穫の多いこと。▽「豊年」は穀物がよく実ること。また、そうした年。「満作」は作物が十分に実ること。
ほうふく-ぜっとう【捧腹絶倒】
腹を抱えて大笑いすること。また、そのさま。▽「捧腹」は腹を抱える、腹を抱えて大笑いすること。「絶倒」は転がるほど大いに笑う、笑い転げる意。「捧」は「抱」とも書く。
もうこつ-しょうぜん【毛骨悚然】
非常に恐れおののく形容。髪の毛や骨の中にまで、ひどく恐れを感じるということ。▽「悚」は恐れる、ぞっとすること。「悚然」はこわがるさま。「悚」は「竦」とも書く。
もんぜつ-びゃくじ【悶絶躄地】
非常な苦しみの形容。立っていることができないほど悶もだえ苦しんで、転がってはいずり回ること。▽「悶絶」は悶え苦しんで意識を失うこと。苦しんで気絶すること。「躄地」は両足で立つことができず、地をはうこと。「悶絶もんぜつして地ちを躄いざる」と訓読する。
ゆうしゅう-あんこん【幽愁暗恨】
人知れぬ深い憂いや恨み。▽「幽愁」は人知れぬ深い憂い。「暗恨」は人知れぬ恨み。「暗」は「闇」とも書く。
りゅうりゅう-しんく【粒粒辛苦】
穀物の一粒一粒は、農民の苦労と努力の結果実ったものであること。転じて、細かな努力を積み重ねて、たいへんな苦労をすること。
れいかん-さんと【冷汗三斗】
強い恐怖感を抱いたり、恥ずかしい思いをして、からだ中から冷や汗が流れること。▽「一斗」は約十八リットル。「三斗」は量の多いことを誇張していったもの。