あくい-あくしょく【悪衣悪食】
質素で粗末な着物や食べ物。▽「悪衣」は粗末な着物。「悪食」は「あくじき」とも読むが、この場合は、粗末な食事という意味のほかに、人がふつう口にしないものを食べる、いわゆるいかもの食いの意味がある。
いちじゅう-いっさい【一汁一菜】
非常に粗末な食事のたとえ。汁物もおかずも一品の食事の意から。▽「菜」はおかずの意。
いっしょう-いちえい【一觴一詠】
酒を飲みながら詩を歌って、風流に楽しむこと。ひとさかずきの酒を飲み、一つの詩を歌う意から。▽「觴」はさかずき。「詠」は詩を作ること、詩を歌うこと。「一詠一觴いちえいいっしょう」ともいう。
かちょう-ふうげつ【花鳥風月】
自然の美しい景色。また、自然の風物を題材とした詩歌や絵画などをたしなむ風流にもいう。
かと-しへき【家徒四壁】
きわめて貧しいことのたとえ。もとは家の中に家財がなく、ただ四方の壁だけが立っている意。▽「徒」は「ただ」「…だけ」の意。「家いえ、徒ただ四壁しへきのみ」と訓読する。
かんと-しょうぜん【環堵蕭然】
家が非常に狭く、みすぼらしくさびしいさま。▽「環堵」は小さく狭い家のこと。四方それぞれ一堵の家の意。「環」は四周・周囲。「堵」は一丈いちじょう(約二・二五メートル)とも五丈とも四十尺ともいい諸説ある。「蕭然」はみすぼらしくさびしいさま。物さびしく荒れ果てたさま。
きゅうふう-いんろ【吸風飲露】
仙人などの清浄な暮らしのこと。人間の食べている五穀を食べずに、風を吸い露を飲んで生活する意から。▽「風かぜを吸すい露つゆを飲のむ」と訓読する。
きょくすい-りゅうしょう【曲水流觴】
屈曲した小川の流れに杯を浮かべ、それが自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩歌を作り、杯の酒を飲むという風雅な遊び。もと陰暦三月三日(また、上巳じょうしの日)に行われた風習。▽「曲水」は曲折した小川の流れ。「觴」は杯の意。中国晋しん代、王羲之おうぎしが、会稽かいけいの蘭亭らんていで文人を集めて催したものが有名。「流觴曲水りゅうしょうきょくすい」ともいう。
きんい-ぎょくしょく【錦衣玉食】
ぜいたくな暮らしをするたとえ。また、富貴な身分のたとえ。錦にしきのような美しい着物と珠玉のような上等な食べ物の意から。
けいきゅう-ひば【軽裘肥馬】
非常に富貴なさま。また、富貴な人の外出のときの装い。転じて、富貴の人。軽くて美しい皮ごろもと肥えた立派な馬の意から。▽「裘」は皮ごろものこと。「軽裘」は軽くて高価な皮ごろも。略して「軽肥」ともいう。また、「肥馬軽裘ひばけいきゅう」ともいう。
こううん-りゅうすい【行雲流水】
空行く雲や流れる水のように、深く物事に執着しないで自然の成り行きに任せて行動するたとえ。また、一定の形をもたず、自然に移り変わってよどみがないことのたとえ。▽「行雲」は空行く雲。「流水」は流れる水。諸国を修行してまわる禅僧のたとえにも用いられることがある。「流水行雲りゅうすいこううん」ともいう。
こんく-けつぼう【困苦欠乏】
生活に窮して困り苦しむこと。▽「欠乏」は食物など生きるのに必要なものが乏しいこと。
しゃし-いんいつ【奢侈淫佚】
ぜいたくにふけり、みだらな楽しみや遊興にふけるさま。▽「奢侈」は度を越えたぜいたく。「淫佚」はみだらでだらしないさま。また、男女関係のみだらなさま。「佚」は「逸」とも書く。
しゃし-ぶんじゃく【奢侈文弱】
おごってぜいたくを尽くし、文事にばかりふけって弱々しいこと。また、そのさま。▽「奢侈」は度を越えたぜいたく。「文弱」は学問や詩文など、文事ばかりにふけって弱々しいこと。
しゅうしゅ-そうめん【囚首喪面】
顔かたちを飾らないことのたとえ。囚人のように、梳とかし整えられていない髪と、喪中もちゅうの人が顔を洗わないように、汚れた顔の意から。▽「首」は頭。「面」は顔。
しゅくい-せっしょく【縮衣節食】
衣食を節約すること。倹約すること。▽「節」ははぶくこと。倹約すること。「衣ころもを縮ちぢめ食しょくを節せっす」と訓読する。
しゅち-にくりん【酒池肉林】
ぜいたくの限りを尽くした盛大な宴会。また、みだらな宴会のたとえ。酒を池に満たし、肉を林に掛ける意から。
しょうふう-ろうげつ【嘯風弄月】
風に吹かれて詩歌を口ずさみ、月を眺めること。自然の風景に親しみ、詩歌・風流を愛して楽しむことをいう。▽「嘯」はうそぶく。口をすぼめて声を長く引いて歌うこと。「弄月」は月を眺め賞すること。
しょくぜん-ほうじょう【食前方丈】
きわめてぜいたくな食事のこと。ごちそうが自分の前に、一丈四方もいっぱいに並べられる意から。▽「食前」は食事の席の前。「方丈」は一丈四方。「丈」は長さの単位。一丈は約三・〇三(周代は二・二五)メートル。
すいきん-せんぎょく【炊金饌玉】
たいへん豪華でぜいたくな食事。たいへんなごちそうの意。黄金を炊いて食物とし、玉を取りそろえて膳ぜんに並べる意から。美食を褒めたたえるたとえ。また、他人のもてなしを謝する言葉。▽「金きんを炊かしぎ玉ぎょくを饌そなう」と訓読する。
せいこう-うどく【晴耕雨読】
田園で世間のわずらわしさを離れて、心穏やかに暮らすこと。晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家に引きこもって読書する意から。
せいせい-だくけん【清聖濁賢】
酒の異名。▽「聖」は聖人、「賢」は賢者。
せっけん-りっこう【節倹力行】
むだ遣いをやめて費用を減らすことに努め励むこと。また、倹約に努め励み行うこと。▽「節倹」は節約と倹約で、むだな費用を減らすこと。「力行」は「りょっこう」とも読み、努力して行うこと。
せんしゃく-ていしょう【浅酌低唱】
ほどよく酒を味わい飲みながら、小声で詩歌を口ずさんで楽しむこと。▽「浅酌」はほどよく酒を飲むこと。「低唱」は小さい声で歌うこと。
ぜいたく-ざんまい【贅沢三昧】
思う存分にぜいたくするさま。▽「贅沢」は身分にふさわしくない必要以上のおごり。「三昧」はそのことに夢中になって、他をかえりみない意を表す語。
そい-そしょく【粗衣粗食】
質素な暮らし、貧しい生活の形容。▽「粗」は粗末、質のよくないこと。「衣」「食」は生活の基本。「粗」は「麁」とも書く。
たんかつ-せんけつ【短褐穿結】
貧しい人や卑しい人の着る衣服。貧者の粗末な姿の形容。▽「短褐」は短い荒布でできた着物。「穿結」は破れていたり、結び合わせてあったりすること。
だんい-ほうしょく【暖衣飽食】
衣食に何の不足もない生活のこと。ぜいたくな生活をすること。▽「暖衣」は暖かい衣服、「飽食」は十分な食料のこと。「暖」は「煖」とも書く。「飽食暖衣ほうしょくだんい」ともいう。
ちしゅ-こうかい【置酒高会】
盛大に酒宴を催すこと。また、酒宴のこと。▽「置酒」は酒宴を開くこと。「高会」は盛大な宴会のこと。
ちんみ-かこう【珍味佳肴】
めったに食べられない、たいへんおいしいごちそう。▽「珍味」は珍しくおいしい食べ物、「佳肴」はうまいさかなの意。「佳」は「嘉」とも書く。
どかい-さんとう【土階三等】
入り口にある土の階段が三段しかない、質素な宮殿のたとえ。転じて、住居や生活の質素なことのたとえ。▽「等」は階段の段のこと。
にくざん-ほりん【肉山脯林】
宴会などが、ぜいたくをきわめていることのたとえ。▽「肉」は生肉、「脯」は干し肉のこと。ともに当時のぜいたく品。「山」「林」はともに量がたくさんあることのたとえ。
ひにく-こうしゅ【肥肉厚酒】
ぜいたくな食べ物と酒。肥えてたいへん美味な肉と、上等なうまい酒。▽「肥肉」は鳥やけものの肥えておいしい肉、「厚酒」はおいしい酒の意。「厚酒肥肉こうしゅひにく」ともいう。
びしゅ-かこう【美酒佳肴】
おいしい酒と、うまいさかな。非常においしいごちそうのこと。▽「美酒」はおいしい酒、「佳肴」はうまいさかな、おいしい料理の意。
ふうりゅう-いんじ【風流韻事】
自然に親しみ、詩歌を作って遊ぶこと。また、詩歌を作ったり、書画を書いたりする風雅な遊びの意。▽「風流」は優雅な趣のあること。「韻事」は詩歌や書画などの風流な遊び。
ふうりゅう-ざんまい【風流三昧】
自然に親しみ、詩歌を作るなどして優雅な遊びにふけること。▽「風流」は優雅な趣のあること。「三昧」はそのことにふけって他をかえりみないこと。
もくしょく-じし【目食耳視】
見た目にとらわれ、味よりも外見が豪華な食べ物を選び、世間の評判を気にして衣服を選ぶこと。衣食の本来の意義を忘れて、ぜいたくな方向に流れていくこと。▽「目食」は口に合うかではなく、見た目が豪華なものを食べること。「耳視」は世間のうわさを気にかけて、自分に似合うかでなく、高価な衣服を着るということ。「目めもて食くらい耳みみもて視みる」と訓読する。「耳視目食じしもくしょく」ともいう。
れいてい-こく【零丁孤苦】
落ちぶれ貧窮して、周囲に助ける者もなく、孤独なこと。苦しい生活を送ること。▽「零丁」は落ちぶれて孤独なこと。「孤苦」は身寄りがなく、たいへん貧しいこと。中国晋しんの李密りみつが武帝から召されたとき、任官を辞退したい旨を上表した文の中の語。「孤苦零丁こくれいてい」ともいう。