あんこう-そえい【暗香疎影】
どこからともなく漂いくる花の香りと、月光などに照らされて、まばらに映る木々などの影の意。多く梅の花や梅の木についていう。▽「暗香」はどこからともなく漂うよい香り。また、暗闇くらやみの中に漂うよい香り。花の香り、特に梅花の香りをいうことが多い。
いちぼう-むぎん【一望無垠】
一目でかなたまで広々と見渡されること。見晴らしのよいたとえ。また、広々として見渡される美しい景色のたとえ。▽「無垠」は果てしないこと。「垠」は地の果て。「一望いちぼう垠はて無なし」と訓読する。
いっぺき-ばんけい【一碧万頃】
海などの水面が、はるかかなたまで青々と広がっていること。▽「碧」は青・青緑・濃い青の色で、海や湖などのたとえ。「頃」は面積の単位。一頃は百畝ひゃっぽで、周代では百八十二アール、宋そう代では五百六十六アール。「万頃」はきわめて広いたとえ。
えんぱ-ひょうびょう【煙波縹渺】
水面がもやなどで遠くまで煙って、空と水面の境界がぼんやりしてはっきりとしないさま。▽「縹渺」はぼんやりしてかすかなさま。「煙」は「烟」、「渺」は「緲」「眇」とも書く。
おうか-らんまん【桜花爛漫】
桜の花が満開になって、みごとに咲き乱れているさま。▽「爛漫」は花が咲き乱れるさま。
かこう-りゅうりょく【花紅柳緑】
春の美しい景色の形容。また、色とりどりの華やかな装いの形容。また、人手を加えていない自然のままの美しさのこと。花は紅に柳は緑の意。▽「柳緑花紅りゅうりょくかこう」ともいう。
さんし-すいめい【山紫水明】
自然の風景が清浄で美しいこと。日の光の中で山は紫にかすみ、川は澄みきって美しい意から。
さんよう-すいたい【山容水態】
山や川の様子・姿。自然の美しい風景をいう。▽「容」「態」ともに、姿・様子の意。
しょうか-てんこう【上下天光】
空と水とが一つになって、明るく輝くさま。▽「上下」は天地、空と水をいう。「天光」は空一面に輝く日の光。ここではそれが水面にも映り輝き、天にも地にも光が満ちあふれたさまをいう。「上下」は「じょうげ」とも読む。
しんざん-ゆうこく【深山幽谷】
ほとんど人が入っていないような奥深く静かな大自然のこと。▽「深山」は人里遠く離れた奥深い山。「幽谷」は山奥深くにある静かな谷。
すいてん-いっぺき【水天一碧】
水と空とが一続きになって、一様に青々としていること。▽「水天」は水と空、海と空。「一碧」は一面に青い色となること。「碧」は深い青色、あおみどり。
せいこう-うき【晴好雨奇】
晴天でも雨天でもすばらしい景色のこと。自然の眺めが晴天には美しく、一方、雨が降ったら降ったですばらしいこと。▽「奇」は普通とは違ってすぐれている意。「水光瀲灔れんえんとして晴れ方まさに好よく、山色空濛くうもうとして雨も亦また奇なり」の略。「雨奇晴好うきせいこう」ともいう。
せいざん-いっぱつ【青山一髪】
はるか遠くに山が見える様子。▽遠くに見える山が地平線と一つになって、まるで一本の髪の毛のように見えることからこう表現される。また、水平線を形容することもある。
せいふう-めいげつ【清風明月】
明るい月夜の静かで清らかな様子。明月と清らかな風の中の静かですがすがしいたたずまいの形容。また、風雅な遊びのこと。▽「清風」はさわやかですがすがしい風、「明月」は明るく澄みきった月の意。
せつげつ-ふうか【雪月風花】
四季折々の自然の美しい景色のこと。また、それを見ながら、詩や歌を作ったりする風流なさまのこと。「風花雪月ふうかせつげつ」ともいう。
せんざん-ばんすい【千山万水】
たくさんの山や川。山や川が続くこと。深山幽谷の形容。また、旅路の長くけわしいことの形容。▽「千」「万」は数の多いことを示す。「山水」は「山河」に同じ。行けども行けども山や川が続くという意味。「万水千山ばんすいせんざん」ともいう。
せんし-ばんこう【千紫万紅】
さまざまな花の色の形容。また、色とりどりに咲いている花のこと。▽「千」「万」は数の多いことを示す。
ちょうてい-きょくほ【長汀曲浦】
長く続くみぎわと曲がりくねった入り江。曲がりくねって続いている海辺。▽「汀」はなぎさ・みぎわ、「浦」は浜辺・湾の意。
はくしゃ-せいしょう【白砂青松】
海岸の美しい景観の形容。白い砂浜と青々とした松林の続く海岸線の意から。▽「砂」は「沙」とも書き、また、「さ」とも読む。
らくえい-ひんぷん【落英繽紛】
花びらがはらはらと乱れ散るさま。▽「英」は花・花びら。「落英」は散る花びら、また、散った花びらのこと。「繽」は多く盛んなさま。「繽紛」は花の乱れ散るさま。
りゅうあん-かめい【柳暗花明】
春の野が花や緑に満ちて、美しい景色にあふれること。また、花柳界・遊郭のことを指すこともある。▽「柳暗」は柳が茂って、その陰がほの暗くなること、薄暗い様子。「花明」は花が咲いて明るい色があふれること。春の山水の美しい景色を表現したもの。南宋陸游りくゆうの「山西さんせいの村むらに遊あそぶ」(詩)の「柳暗花明又一村りゅうあんかめいまたいっそん」の句は有名。