いっすんのこういん【一寸光陰】
ごくわずかな時間のこと。ほんのわずかな時間も無駄にしてはいけないという戒めの語。▽「一寸」はちょっと・わずかの意。ごく短いことのたとえ。「光陰」は時間や年月の意。「光」は昼、「陰」は夜とも、また「光」は日、「陰」は月ともいう。「一寸の光陰軽んずべからず」という慣用句として用いられることが多い。
いっすんのたんしん【一寸丹心】
いつわりのない真心。自分の真心をいう謙譲の語。ほんのちょっとの誠意の意から。▽「一寸」はわずかの意。「丹心」は「赤心」と同じで、真心や誠意の意。「丹心一寸たんしんいっすん」ともいう。
いっせいちだい【一世一代】
一生のうちにたった一度のこと。一生に二度とないような重大なこと。また、ふだんと違い際立ったことをすること。もと役者などが引退するとき、演じ納めとして最後に得意の芸を演ずることをいう。▽「一世」「一代」はともに人の一生をいう。「世」は「せい」とも読む。
いっせいのゆう【一世之雄】
当代きっての英雄。その時代を代表する英雄。
いっせいふうび【一世風靡】
草木をなびかせるように、ある時代におおいに流行すること。
いっせきにちょう【一石二鳥】
一つのことをして、二つの利益を得るたとえ。一つの行為や苦労で、二つの目的を同時に果たすたとえ。一つの石を投げて、二羽の鳥を同時に捕らえる意から。▽今では、ここから「一石三鳥」「一石四鳥」などという語も使われる。
いっせつたしょう【一殺多生】
一人の悪人を犠牲にして、多数の者を救い生かすこと。多くの人を生かすには、一人を殺すのもやむを得ないということ。▽仏教語。「多生」はたくさんの人を生かすこと。「殺」は「さつ」とも読む。
いっそういちぼく【一草一木】
「一木一草(いちぼくいっそう)」に同じ。
いったいぶんしん【一体分身】
一つの物事をもとにして、そこから分かれ出たいくつかの物事。一つのものからいくつかに分かれること。また仏教で、諸仏菩薩しょぶつぼさつが衆生しゅじょうを救うために、さまざまに化身して出現すること。▽後者は「いったいふんじん」とも読む。
いったんいっちょう【一短一長】
⇒ いっちょういったん(一長一短)
いったんかんきゅう【一旦緩急】
ひとたび緊急事態が起こったとき。いざというとき。
いっちいちらん【一治一乱】
あるいは治まり、あるいは乱れる意。多くは治まったり乱れたりを繰り返すこの世の治乱の様相をいう。▽「一…一…」は「あるときは…あるときは…」「あるいは…あるいは…」の意。
いっちだんけつ【一致団結】
集団や組織の大勢の人々が、特定の目的を達成するために、心を一つにして協力しあうこと。
いっちはんかい【一知半解】
少ししか分かっておらず、十分に理解していないこと。生半可な知識や理解しかないこと。生かじり。一つの事を知っているが半分しか理解していない意。
いっちょういっし【一張一弛】
弦を強く張ったり、ゆるめたりすること。転じて、人に厳しく接したり、やさしく接したりすること。政治家・上司、また教育者の心得で、時には厳格に、時には寛大に程よく人に接するべきことをいう。また、現在では取引所の用語として、相場が小幅に高下を繰り返すこと。▽「一弛一張いっしいっちょう」ともいう。
いっちょういっせき【一朝一夕】
きわめてわずかな期間、非常に短い時間のたとえ。ひと朝とひと晩の意から。▽「一朝一夕には…できない」のように、下に打ち消し表現を伴うことが多い。
いっちょういったん【一長一短】
人や物事について、いい面もあり悪い面もあること。長所もあり短所もあって、完全でないこと。▽「一…一…」は「ある面は…ある面は…」の意。「長」「短」は長所・短所、よい点・悪い点。「一短一長いったんいっちょう」ともいう。
いっちょうじきにゅう【一超直入】
すみやかに迷いを超越して、ただちに悟りの境地に達すること。ひとたび迷いを超越したら、回り道をせず、一足飛びにそのものの中に没入すること。▽仏教語。「直入」はただちに悟りに入ること。
いっちょうのふうき【一朝富貴】
急に富貴な身分になること。▽「一朝」はある朝突然に、思いもよらずにわかにの意。
いってきせんきん【一擲千金】
一時に惜しげもなく大金を使うこと。大事を思い切りよく実行すること。豪快な振る舞いや思い切りのよいたとえ。一度の賭かけに惜しげもなく大金を賭ける意から。▽「擲」は投げる、投げ出す意。「千金一擲せんきんいってき」ともいう。
いってんいっかく【一点一画】
漢字の一つの点、一つの筆画。細かいところに気を配り、丁寧に文字を書くことをいう。
いってんしかい【一天四海】
天下のすべて、全世界の意。▽「一天」は天の下すべて、一つの天下、天下全体。「四海」は四方の海の意。転じて、天下・全世界の意。
いってんばんじょう【一天万乗】
天子、また、天皇の意。▽「一天万乗の君」「一天万乗の天子」の略。「一天」は天下のすべて・天下中の意。「乗」は兵車、または兵を数える語。中国周代の制では兵車一乗には甲兵(武装した兵)三人、歩卒七十二人、輜重しちょう(荷物を運ぶ者)二十五人の合計百人がつく。「万乗」は兵車一万台の意で、それほどの軍隊を出せる領地をもっている人ということで、天子の意。
いっとうさんらい【一刀三礼】
仏像などを彫る態度が敬虔けいけんであること。仏像を彫刻するとき、ひと彫りごとに三度礼拝する意から。▽仏教語。「一刀」はひとたび刀を入れる、「礼」は礼拝する意。写経では「一字三礼」、仏画では「一筆三礼」という。
いっとうりょうだん【一刀両断】
物事を思い切って処理するたとえ。また、物事をためらわずにきっぱり決断するたとえ。一刀のもとに物を真っ二つに断ち切る意から。▽「一刀」はひとたび太刀を振り下ろす意。
いっとくいっしつ【一得一失】
一方で利益があると、他方で損失があること。利益と損失がともにあるたとえ。また、物事にはよい面と悪い面がともにあるたとえ。▽「一失一得いっしついっとく」ともいう。
いっぱいとち【一敗塗地】
再び立ち上がることができないほど大敗すること。完敗すること。▽「塗地」は肝脳を地に塗る、すなわち惨殺され、戦死者の肝臓や脳などが大地に散乱して、泥まみれになること。一般に「一敗いっぱい、地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
いっぱつせんきん【一髪千鈞】
一本の髪の毛で非常に重いものを引く意から、きわめて危険なことのたとえ。
いっぱつひっちゅう【一発必中】
弾丸一発でしとめる意から、ただ一度のチャンスを成功させること。
いっぱんせんきん【一飯千金】
わずかな恵みにも厚い恩返しをするたとえ。一膳いちぜんの食事のようなわずかな恵みにも、千金に値する恩がある意から。
いっぱんぜんぴょう【一斑全豹】
⇒ ぜんぴょういっぱん(全豹一斑)
いっぱんのおん【一飯之恩】
ほんのわずかの恵みのたとえ。また、わずかな恩義であってもそれを忘れてはいけないという戒めの語。一膳いちぜんの食事を恵んでもらった恩義の意から。
いっぴつけいじょう【一筆啓上】
男性の手紙の冒頭に書かれるあいさつのことば。起首。簡単な手紙をさしあげます、の意。
いっぴつまっさつ【一筆抹殺】
すべてを消し去ること。帳消しにすること。よく考えることなく、軽率に過去の美点や功績をすべて消し去ってしまうこと。▽「抹殺」は消してなくす、塗り消す意。人や物事の存在を否定すること。「殺」は助字。
いっぴんいっしょう【一顰一笑】
顔に表れるわずかな表情。また、わずかな表情の変化。ちょっと顔をしかめたり、ちょっと笑ったりする意から。▽「顰」は眉まゆをひそめる。気分悪そうに顔をしかめ、眉間みけんにしわをよせることをいう。「一笑一顰いっしょういっぴん」ともいう。
いっぷいっぷ【一夫一婦】
一人の夫と一人の妻。また、そのような形で成立する婚姻制度。
いっぷたさい【一夫多妻】
一人の夫が同時に複数の妻をもつこと。また、そのような婚姻形態。
いっぺきばんけい【一碧万頃】
海などの水面が、はるかかなたまで青々と広がっていること。▽「碧」は青・青緑・濃い青の色で、海や湖などのたとえ。「頃」は面積の単位。一頃は百畝ひゃっぽで、周代では百八十二アール、宋そう代では五百六十六アール。「万頃」はきわめて広いたとえ。
いっぺんのひょうしん【一片氷心】
俗塵ぞくじんに染まらず清く澄みきった心、また心境のこと。名利を求めず、汚れなく清らかな品行のたとえ。ひとかけらの氷のように清く澄んだ心の意から。▽「氷」は「冰」とも書く。
いっぽうつうこう【一方通行】
片方にのみ進行できること。また、そのように交通規制された道路。比喩的に、意思の疎通に相互関係がないこと。
いっぽんぢょうし【一本調子】
音楽で音の高低、音調、また語調や口調、文章などが単純で変化に乏しいこと。