いちもんふつう【一文不通】
一つの文字も読み書きができないこと。一つの文字すら通じわかっていない意から。▽「文」は文字の意。
いちやじっき【一夜十起】
人間は多かれ少なかれ私情や私心に左右され、私心をすべて捨て去ることが難しいことのたとえ。▽「一夜」は一晩、「十起」は十回起きること。「一夜いちやに十とたび起おく」と訓読する。
いちゅうのひと【意中之人】
心の中で(恋人や結婚相手として)ひそかに思いを寄せている人。また、心の中で適任者として候補にあげている人。
いちようちしゅう【一葉知秋】
わずかな前兆や現象から、事の大勢や本質、また、物事の衰亡を察知すること。一枚の葉が落ちたのを見て、秋が来たことに気づく意から。▽「一葉」は一枚の葉、一枚の葉が落ちること。「知秋」は秋の来たのに気づく意。一般に「一葉いちよう秋あきを知しる」と訓読を用いる。
いちようらいふく【一陽来復】
冬が終わり春が来ること。新年が来ること。また、悪いことが続いた後で幸運に向かうこと。陰の気がきわまって陽の気にかえる意から。▽もと易えきの語。陰暦十月は坤こんの卦かにあたり、十一月は復の卦にあたり、陰ばかりの中に陽が戻って来たことになる。「復」は陰暦十一月、また、冬至のこと。
いちりいちがい【一利一害】
よいことがある一方、悪いこともあること。利益の反面、害もあること。
いちりゅうまんばい【一粒万倍】
一粒の種子をまけば、実って万倍もの収穫を得ることができる意から、わずかなものから多くの利益があがるたとえ。また、わずかなものでも粗末にしてはいけないという戒め。また、一つの善行が多くのよい結果をもたらすたとえ。▽「稲」の異名。
いちるせんきん【一縷千鈞】
一本の細い糸で、千鈞もの重量を吊るす意から、きわめて危険であることのたとえ。
いちれんたくしょう【一蓮托生】
よい行いをした者は極楽浄土に往生して、同じ蓮はすの花の上に身を託し生まれ変わること。転じて、事の善悪にかかわらず仲間として行動や運命をともにすること。▽もと仏教語。「托」は、よりどころとする、身をよせる意。「託」とも書く。
いちろうえいいつ【一労永逸】
一度苦労すれば、その後長くその恩恵を被り、安楽な生活を送ることができること。また、ほんの少しの苦労で、多くの安楽が得られること。▽「一労」は一度の苦労、少しの苦労。「永」は長くの意。「逸」は安楽・利益の意。「一ひとたび労ろうして永ながく逸やすんず」と訓読する。出典では「一労久逸」とある。
いちろくしょうぶ【一六勝負】
サイコロの目に一が出るか六が出るかで勝負を争うばくちのこと。転じて、のるか反るか、運まかせの冒険。
いちろじゅんぷう【一路順風】
船が追い風に帆をあげてひたすら進むようにという意で、道中の無事を祈って旅立つ人にかけることば。また、物事が順調に運ぶさま。
いちろへいあん【一路平安】
旅立つ人の道中の無事を祈っていう語。「道中ご無事で」の意。▽「平安」は無事で穏やかなこと。平穏無事なこと。
いっかくせんきん【一攫千金】
一度にたやすく大きな利益を手に入れること。一つの仕事で巨利を得ること。▽「一攫」は一つかみの意。「攫」を「獲」と書くのは本来は誤用。「千金」は大金の意。非常に高価、貴重なことのたとえ。
いっかけんぞく【一家眷族】
家族と血縁者。一族。また、一族とその従者や部下。また、ある団体や流派に属する人々をいうこともある。▽「眷族」は血縁の者。また、家臣や部下をいう場合もある。「族」は「属」とも書く。
いっかけんぞく【一家眷属】
家族および家族と血縁関係にある者。一族。家臣・従者を含めることもある。またある流派に属する人々。
いっかだんらん【一家団欒】
家族が集まり、楽しく談笑すること。▽「団」「欒」はともに丸い意で、「団欒」は丸く輪のようになって座る、集まってむつまじくする意。
いっかんふうげつ【一竿風月】
釣り竿を手に、風流を楽しむ意から、俗事を離れ自然に親しみ悠々自適の生活をおくることのたとえ。
いっきいちゆう【一喜一憂】
状況の変化などちょっとしたことで、喜んだり不安になったりすること。また、まわりの状況にふりまわされること。
いっきかせい【一気呵成】
ひと息に文章を完成すること。また、物事を中断せずに、ひと息に仕上げること。▽「呵」は息を吹きかけること。「呵成」は息を吹きかけるだけで完成する、また、凍った筆に息を吹きかけ一気に書き上げる意ともいう。
いっきじっき【一饋十起】
一回の食事の間に、十度も席を立ち上がる意。熱心に賢者を求め迎えるたとえ。▽「饋」は食事の意。「一饋いっきに十起じっきす」また、「一饋いっきに十とたび起たつ」と訓読する。
いっきとうせん【一騎当千】
群を抜いた勇者のたとえ。また、人並みはずれた能力や経験などのたとえ。一人の騎兵で千人もの敵を相手にできる意から。▽「当千」は「千に当たる」で、千人を敵にできる、千人に匹敵する意。「千」は「ぜん」とも読む。
いっきのこう【一簣之功】
仕事をやり遂げるための最後のひとふんばり。また、仕事を遂行するために積み重ねる一つ一つの努力。
いっきゅうにゅうこん【一球入魂】
一球一球の球たまに全力を傾けること。精神を集中して、一球を投ずること。野球が生んだ造語で、多く野球にいう。▽「入魂」は物事に魂を込めること。全神経を傾けること。
いっきゅうのかく【一丘之貉】
同じ丘に棲すんでいるむじな。似たような者どうし、同類の悪党のたとえ。
いっきょいちえい【一虚一盈】
あるいはむなしく、あるいは満ちる意。一定の形を保たず、消えたり現れ満ちたり、常に変化して予測しにくいことのたとえ。▽「虚」はむなしい、なくなる意。「盈」は満ちること。「一…一…」は「あるときは…あるときは…」の意。
いっきょいちどう【一挙一動】
ちょっとした動作・振る舞いのこと。ちょっとしたしぐさ。ちょっと手を挙げたり、ちょっとからだを動かしたりの意から。▽立ち居振る舞い・しぐさを表す「挙動」を分けて、「一」をそれぞれに添えたもの。「一挙手一投足」と類義。「一」はちょっとした、また一度の意。
いっきょりょうしつ【一挙両失】
何か一つの事をおこすことで、それとともに他の事でも一時に損害を受けること。一つの行動で、他の事までもだめになること。▽「一挙」は一つの行為・行動。
いっきょりょうとく【一挙両得】
一つの行為で、同時に二つの利益が得られること。一つで二つの利益が得られること。また、わずかな労力で多くの利益を得るたとえ。▽「一挙」は一つの動作・行動。
いっけんらくちゃく【一件落着】
ある物事が決着、または解決すること。▽「一件」は一つの事柄や事件。「落着」はおさまりがつくこと。解決すること。
いっこうりょうぜつ【一口両舌】
前に言った内容と後に言った内容がくい違うこと。前に言ったことと違うことを平気で言うこと。一つの口に二枚の舌がある意から。二枚舌。
いっこくいちじょう【一国一城】
一つの国と一つの城、また、それらを領地として持つこと。転じて、他から干渉をうけずに独立している状態。
いっこくせんきん【一刻千金】
わずかな時間が千金にも相当する意。時間の貴重なことのたとえ。貴重な時間、よい季節や楽しいひとときなどが過ぎ去りやすいのを惜しんでいう語。また、時間を無駄に過ごすのを戒める語。▽「一刻」はわずかな時間。もとは出典によって、春の夜のひとときが千金にも値するほどすばらしい意。「千金一刻せんきんいっこく」ともいう。
いっこくせんしゅう【一刻千秋】
ほんのわずかな時間が、千年に思えるほどに待ち遠しいこと。
いっこけいせい【一顧傾城】
美女がちらりと流し目をおくるだけで、一つの町を支配する男が夢中になって我を忘れ、町が滅んでしまうという意から、絶世の美女のたとえ。
いっさいうじょう【一切有情】
この世に生をうけたもの、生きているもののすべて。
いっさいかいくう【一切皆空】
仏語。あらゆる現象や存在には実体がなく、空であるということ。
いっさいかいじょう【一切皆成】
《「一切皆成仏」の略》仏語。一切の衆生にはみな仏性があるから成仏が可能であるということ。
いっさいがっさい【一切合切】
なにもかもすべての意。▽「一切」「合切」はともに全部、残らずみなの意で、同意の語を重ねて、「一切」の意味を強めたもの。「切」は「財」とも書く。
いっさいしゅじょう【一切衆生】
この世に生きているすべてのもの。生きとし生けるもの。特に人間に対していうことが多い。▽仏教語。「一切」はすべて、あらゆるの意。「衆生」は生きとし生けるもの。すべての生物。
いっししちしょう【一死七生】
天上界で一度死んで、七たびこの世に生まれ変わるという意。転じて、何度も生まれ変わること。この世に生まれ変わる限りどこまでもということ。また、あくまでも、どこまでもの意。▽「一死」は一回だけの死。「七生」は七たび生まれ変わること。何度も生まれ変わること。また、永遠にの意。
いっしそうでん【一子相伝】
学問や技芸などの秘伝や奥義を、自分の子供の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないこと。▽「相伝」は代々伝えること。
いっしどうじん【一視同仁】
すべてを平等に慈しみ差別しないこと。えこひいきがなく、だれかれの区別なく同じように人を遇すること。また、身分・出身・敵味方などにかかわらず、どんな人でも平等に慈しみ、禽獣きんじゅうにも区別なく接すること。▽「一視」は同じように見ること。「仁」は思いやり・愛情の意。「同仁一視どうじんいっし」ともいう。
いっしはんせん【一紙半銭】
一枚の紙と半文はんもんの銭ぜに。ごくわずかなもののたとえ。また、ごくわずかの金銭のたとえ。仏家では寄進の額が少ないことにいう。
いっしほうこく【一死報国】
命をかけて、国恩に報いること。死を覚悟して、国家のために尽くすこと。
いっしゃせんり【一瀉千里】
流れのきわめて速い形容。転じて、文章や弁舌などが巧みでよどみのないことのたとえ。また、物事が一気にはかどることのたとえ。物事が調子よく速やかに進み片付くたとえ。▽「瀉」は水が下に流れ注ぐ意。勢いよく流れ下ること。水が一気に千里もの距離を流れ下る意。
いっしゅくいっぱん【一宿一飯】
ちょっとした世話になること。また、ちょっとした恩義でも忘れてはいけないという戒めの語。旅先などで、一晩泊めてもらったり一度食事を恵まれたりする意から。▽「一宿」は旅先などで一晩泊めてもらうこと。「一飯」は一回の食事をごちそうになる意。昔、博徒ばくとの間では、旅の途中で泊めてもらったり食事を振る舞われたりして世話になると、生涯の恩義とする仁義があった。
いっしょういちえい【一觴一詠】
酒を飲みながら詩を歌って、風流に楽しむこと。ひとさかずきの酒を飲み、一つの詩を歌う意から。▽「觴」はさかずき。「詠」は詩を作ること、詩を歌うこと。「一詠一觴いちえいいっしょう」ともいう。
いっしょういっぴん【一笑一顰】
⇒ いっぴんいっしょう(一顰一笑)
いっしょうけんめい【一生懸命】
命をかけて物事に当たるさま。本気で物事に打ち込むさま。▽「懸命」は命がけでの意。転じて、真剣に物事に当たるさま。「一所懸命いっしょけんめい」から出た語。一所懸命いっしょけんめい