くうくうじゃくじゃく【空空寂寂】
空虚で静寂なさま。執着や煩悩ぼんのうを除いた静かな心の境地。無心。転じて、何もなく静かなさま。また、思慮や分別のないさま。▽仏教語。「空」はこの世の有形・無形の一切のものは、固定した実体がないこと。「寂」はひっそりと静かな意。煩悩や執着のない静寂なあり方が本性であること。
くうくうばくばく【空空漠漠】
果てしもなく広いさま。また、とりとめもなくぼんやりしたさま。▽「漠漠」は広々としてはるかなさま。「空漠」を分けて、繰り返して強調した語。
くうこくのきょうおん【空谷跫音】
孤独な暮らしをしているとき、思いがけず知人が訪れたり、珍しい便りをもらうなどの喜びのたとえ。
くうぜんぜつご【空前絶後】
非常に珍しいこと、まれなこと。今までに例がなく、これからもあり得ないという意から。▽「空前」はこれまでにないこと。「絶後」は今後もありえないこと。
くうそくぜしき【空即是色】
固定的な実体がなく空くうであることで、はじめて現象界の万物が成立するということ。万物の真の姿は実体がなく空だが、その空は一方的にすべてを否定する虚無ではなく、それがそのままこの世に存在する物の姿でもある意。▽仏教語。「空」は固定的な実体のないこと。「色」はいろ、かたちあるもの。この世のすべての物質的存在のこと。
くうちゅうのろうかく【空中楼閣】
蜃気楼しんきろうのこと。転じて、根拠のないことがら。また、実際からかけ離れた空想的な物事。もとは、空中に現れた高殿の意。また、空中に築いた高殿の意。▽「楼閣」は高殿・高い建物。
くうりくうろん【空理空論】
実際からかけ離れている役に立たない考えや理論。▽「空理」「空論」はともに、実状や現実を考えない役に立たない理論や議論。ほぼ同意の熟語を重ねて意味を強めた語。
くえいっしょ【倶会一処】
仏語。念仏者は等しく西方浄土に往生し、一つところに相会うこと。阿弥陀経に「諸上善人倶会一処」とあるところから出た語。
くおんじつじょう【久遠実成】
仏語。法華経(ほけきょう)思想の一。釈迦仏がこの世に生まれたのは仮の姿にすぎず、永遠の昔に悟りを開き成仏して限りない時間を人々の教化に尽くしてきたと説くもの。久成正覚(くじょうしょうがく)。
くがくりっこう【苦学力行】
働いて学費を稼ぎながら、学校に通い、学業にはげむこと。
くがみらくづめ【苦髪楽爪】
苦労しているときは髪の毛が早く伸びて、楽をしているときは爪が早く伸びるということ。
くこうばしん【苦口婆心】
相手を気づかい、何度も教えさとすこと。▽「苦口」は厳しいいさめの言葉。口に苦いことから苦言ともいう。「婆心」は老婆のような慈愛の心。老婆心。
くしんさんたん【苦心惨憺】
心をくだいて非常な苦労を重ね、工夫をこらすこと。▽「苦心」はあれこれ心をくだいて考えること。「惨憺」は心をくだき悩ますこと。「憺」は「澹」「淡」とも書く。
くすりくそうばい【薬九層倍】
暴利をむさぼるたとえ。薬の売値は原価よりはるかに高く、儲もうけが大きいこと。薬は売値が非常に高く、原価の九倍もするという意から。
くせつじゅうねん【苦節十年】
長い間、苦労を耐え忍びながら、初心を守り通すこと。
くづめらくがみ【苦爪楽髪】
⇒ くがみらくづめ(苦髪楽爪)
くにくのけい【苦肉之計】
苦しまぎれに考えついた手段や方法、策略のこと。
くにくのさく【苦肉之策】
⇒ くにくのけい(苦肉之計)
くはいしい【狗吠緇衣】
いつも着ている服装を変えると怪しまれてしまうこと。
くびぞくちょう【狗尾続貂】
劣った者がすぐれた者のあとを続けるたとえ。すぐれた者に粗悪な者が続くたとえ。もと官爵をみだりに出すのをののしる語。犬のしっぽをてんの代わりにして続ける意から。▽「狗」は犬。「貂」はてん。イタチ科の獣。毛皮が珍重され、高官はてんの尾で飾った冠をつけた。「狗」は「こう」とも読む。
くぶくりん【九分九厘】
ほとんど完全に近いこと。ほとんど間違いなく確実なこと。推測・予想などがほぼ確実であること。十分のうち一厘を残すだけの意から。
くぶじゅうぶ【九分十分】
大した違いはないこと。大同小異。くぶんじゅうぶん。「いづれ人の目は—ぢゃ」〈咄・露がはなし・一〉
くぶんすうけん【区聞陬見】
学問や見識がきわめて狭く、かたよっていること。
くんしのきゅうし【君子九思】
君子である者が思い心がけるべき九つのこと。物を見るときは細かいところまでしっかり見る、話を聞くときは正確に聞く、表情は穏やかにする、身ぶりはつつましくする、物をいうときには真心をこめる、仕事は慎重にする、疑問を感じたら質問する、怒るときはその結果生じる難事・難題を考える、利益についてはそれが正当かどうか考えて善悪を吟味する、の九つのこと。
くんしのさんかい【君子三戒】
君子がつつしまなければいけない三つの戒めのこと。君子たる者は若いときは色欲を戒め、壮年時代には人と争うことを戒め、年取ってからは欲深にならないように戒めなければいけないということ。
くんしのさんらく【君子三楽】
君子の三つの楽しみ。父母が健在で兄弟も元気なこと。言動が正しく人や天に恥じるような後ろめたい点がないこと。すぐれた人材を教育して、立派な人物にする機会をもつことの三つ。
くんしばんねん【君子万年】
君子は長寿であること。長寿を祈る語としても用いられる。▽「君子」は教養や徳の高い立派な人。人格者。「万年」は一万年で、長い年月。「万」は「まん」とも読む。
くんしひょうへん【君子豹変】
君子が過ちを改めて善に移るのは、ひょうの皮のまだら模様のように非常にはっきりしているということ。転じて、現在では主張や態度が急にがらりと変わることをいう。また、その無節操ぶりを非難する語。▽「君子」は教養や徳の高い立派な人。人格者。「豹変」は季節によってひょうのまだら模様が美しくなることから、主張や態度などが急に変わること。
くんしふき【君子不器】
器物はある用途にのみ有効であるが、君子はそうした一能一芸にのみすぐれるのではなく、広く何事にも通用する才能をもつということ。▽「君子」は教養や徳の高い立派な人。人格者。一般に「君子くんしは器きならず」と訓読を用いる。
くんしゅさんもん【葷酒山門】
修行のじゃまになるので、臭いものや酒を寺院の中に持ち込んではいけないということ。
くんそくのあく【君側之悪】
君主のそばにいる悪人のこと。また、ひそかに悪だくみを考えている側近の臣下。