ばいけんばいぎゅう【売剣買牛】
戦争をやめ、農業に力を尽くして盛んにすること。また、武器を捨てて、農業に従事すること。剣を売って牛を買う意から。▽「剣けんを売うり牛うしを買かう」と訓読する。「買牛売剣ばいぎゅうばいけん」ともいう。
ばいさいかくし【梅妻鶴子】
梅と鶴を家族にする意で、妻をめとらず、俗世を離れ、気ままに風流に暮らすたとえ。
ばいじつへいこう【倍日幷行】
一日に二日分の距離を進み、目的地に急行すること。転じて、物事の完成を急ぐこと。
ばぎゅうきんきょ【馬牛襟裾】
学識のない者、礼儀知らずな者をののしっていう語。馬や牛が人の衣服を着たようなものという意から。▽「襟裾」はえりとすそ。転じて、衣服を着ること。
ばくぎゃくのとも【莫逆之友】
気持ちがぴったり合った親密な友。
ばくぎゃくのまじわり【莫逆之交】
ぴったりと息が合い、心に逆らうもののない親密なつきあい。
ばくしゅうのたん【麦秀之嘆】
祖国が滅亡したことへの嘆き。
ばくすいりょうき【麦穂両岐】
麦の穂が二またになって実る意から、豊作のしるし。また、善政が敷かれていることのたとえ。▽「両岐」は二またに分かれること。「岐」は「ぎ」とも読む。
ばくてんせきち【幕天席地】
志気が非常に盛んなこと。また、気持ちの大きいたとえ。天を屋根の代わりの幕とし、大地を座席のむしろにする意から。▽「席」はむしろ。「天てんを幕まくとし地ちを席せきとす」と訓読する。
ばしとぞう【馬歯徒増】
なすこともなく、いたずらに年を取ること。自分が年取ったことの謙称。▽「馬歯」は「馬齢」に同じ。自分の年齢の謙称。「徒」はただいたずらにの意。一般に「馬歯ばし、徒いたずらに増ます」と訓読を用いる。
ばじとうふう【馬耳東風】
他人の意見や批評に注意を払わず、聞き流すことのたとえ。もとは春風が馬の耳に吹く意。人が心地よいと感じる春風が吹いても、馬は何も感じないように見えることからいう。▽「東風」は東から吹く風。春風のこと。「東風、馬耳を射る」の略。
ばじょうちょうちん【馬上提灯】
馬に乗る時に用いた提灯ちょうちん。馬乗り提灯。
ばっくよらく【抜苦与楽】
苦しみを除いて、安楽を与えること。もとは仏教の語で、仏や菩薩ぼさつが衆生しゅじょうを苦しみから救い、福楽を与えること。仏の慈悲のこと。▽「抜」は取り除くこと。
ばっこちょうりょう【跋扈跳梁】
⇒ ちょうりょうばっこ(跳梁跋扈)
ばっぽんそくげん【抜本塞源】
災いの原因になるものを、徹底的に取り除くこと。木の根を抜き、水源をふさぎ止める意から。もとは、根本を忘れて道理を乱すたとえとして用いられたが、現在では前者の意に用いられることが多い。▽「本」は木の根。「源」は水源。「本もとを抜ぬき、源みなもとを塞ふさぐ」と訓読する。
ばつざんがいせい【抜山蓋世】
山を引き抜くほどの強大な力と、世を覆い尽くすほどの気力があること。威勢がきわめて盛んなさま。もとは漢の劉邦りゅうほうと天下を争った楚その項羽こううが、寵愛ちょうあいの虞美人ぐびじんと最後の酒宴を催した折に、自分の盛んな力量と意気をいった語。▽「抜山」は山を引き抜くこと。「蓋世」は世を覆う、世を圧倒すること。「力は山を抜き、気は世を蓋おおう」の略。「山やまを抜ぬき世よを蓋おおう」と訓読する。
ばつらいほうおう【抜来報往】
急いでやって来たり、速やかに去ったりすること。また、たびたび行き来すること。また、往復の旅行で中間の駅を経ずに、急ぎ往復する意から、物事の次第・順序を飛び越えて行うたとえとして用いられることもある。▽「抜」「報」はともに疾はやい、急速にの意。「抜とく来きたり報とく往ゆく」と訓読する。
ばりざんぼう【罵詈讒謗】
ありもしないことを並べ立てて、人をののしりそしること。
ばりぞうごん【罵詈雑言】
きたない言葉で、悪口を並べ立ててののしること。また、その言葉。▽「罵詈」は口ぎたなくののしること。「雑言」はいろいろな悪口や、でたらめな言いがかり。「言」は「げん」とも読む。
ばんいじゅうてき【蛮夷戎狄】
⇒ いばんじゅうてき(夷蛮戎狄)
ばんこせんしゅう【万古千秋】
永遠に。はるか過去から未来までずっと。▽「万古」はいつまでもの意。また、大昔のこと。「千秋」は千年で、非常に長い年月、永久の意を表す。
ばんこちょうせい【万古長青】
永久に変わらないこと。青々としていつまでも変わらない意から。▽「万古」はいつまでも。永久に。「長青」は松の葉がいつも青々として、とこしえに変わらないこと。
ばんこふえき【万古不易】
永久に変わらないこと。▽「万古」はいつまでも。永久に。「不易」は変わらないこと。「易」は変わる意。
ばんこんさくせつ【盤根錯節】
物事が複雑に入り組んで、解決しがたいことのたとえ。また、ある勢力がはびこって取り除きがたいたとえ。▽「盤根」は曲がりくねった木の根。「錯節」は入り組んだ木の節ふしの意。「盤」は「槃」とも書く。
ばんしいっせい【万死一生】
必死の覚悟を決めること。また、ほとんど死を避けがたい危険な瀬戸際で、かろうじて助かること。▽「万死」はほとんど助かる見込みのないこと。「生」は「しょう」とも読む。前者は「万死に一生を顧かえりみず」、後者は「万死を出いでて一生に遇あう」「万死に一生を得う」の略。
ばんしょくさいしょう【伴食宰相】
地位に比して実力が伴わない大臣のこと。また、職務を果たさず実権もない大臣のこと。
ばんしょくだいじん【伴食大臣】
⇒ ばんしょくさいしょう(伴食宰相)
ばんじばんたん【万事万端】
あらゆることと、それに関するすべての事柄、すべての手段。
ばんじょうのきみ【万乗之君】
兵車一万台を出せる君主の意から、大国の君主、大諸侯。特に天子をいう。
ばんせいいっけい【万世一系】
永久に一つの系統が続くこと。多くは皇室・皇統についていう。▽「万世」は永久にの意。「一系」は同じ血筋。
ばんせいふえき【万世不易】
永久に変わらないこと。
ばんせいふかん【万世不刊】
長く伝わって、いつまでも滅びないこと。永遠に残ること。▽「万世」は永遠・永久の意。「刊」は削る意。「不刊」は滅びないこと。磨滅しないこと。昔は竹や木に漆で文字を書き、誤りや不要な部分は削り消したことからいう。
ばんせいふきゅう【万世不朽】
永久に滅びないこと。「—の名作」
ばんだいふえき【万代不易】
永遠に変わらないこと。永久不変。万世不易。「—の真理」
ばんのういっしん【万能一心】
何事をするにも、心を集中してしなければならないということ。また、あらゆる技芸をこなせても、真心が欠けていれば、何の役にも立たないということ。万能よりも真心が大切なことをいう。また、真心をこめてする意に用いられることもある。▽「万能足りて一心足らず」の略。「万」は「まん」とも読む。
ばんばほんとう【万馬奔騰】
多くの馬が走ったり跳ねたりするように、勢いのきわめて盛んなさま。▽「奔」は勢いよく走る意。「騰」は高くとび跳ねる意。
ばんぶつせいどう【万物斉同】
人の認識は善悪・是非・美醜・生死など、相対的概念で成り立っているが、これを超越した絶対の無の境地に立てば、対立と差別は消滅し、すべてのものは同じであるとする説。人の相対的な知を否定した荘子そうしの思想。▽「斉」は等しい意。
ばんぶつるてん【万物流転】
この世にあるすべてのものは、絶え間なく変化してとどまることがないということ。
ばんぷふとう【万夫不当】
多くの人が立ち向かってもかなわないほどの剛強な人の形容。▽「万夫」は多くの人、無数の人。「当」はあたる、敵対する意。「不当」は相手にならない、かなわないこと。「万夫ばんぷ当あたらず」と訓読する。李白りはくの「蜀道難しょくどうなん」に「一夫関に当れば、万夫開く莫なし」とあるのは有名。
ばんりどうふう【万里同風】
天下が統一されて平和に治まり、はるか遠くまで風俗・文化が同じになること。天下が統一される形容。また、世の中が平和に治まることの形容。▽「万里」ははるかかなたのこと。「風」は風俗の意。「同風」は同じ風俗になることで、天下が統一されること。「万里ばんり、風ふうを同おなじうす」と訓読する。
ばんりほうよく【万里鵬翼】
はるかかなたに広がる広大な天空、遠く隔たった地への旅路などのたとえ。また、雄大な気概や勢いのたとえ。
ばんりょくいっこう【万緑一紅】
あたり一面の緑の草むらの中に開く紅あかい花一輪の意で、平凡な多くのものの中に、一つだけすぐれたものがあること。また、特に多くの男性の中に一人女性がいること。また、その女性。