かんうんやかく【閑雲野鶴】
世俗に拘束されず、自由にのんびりと暮らすたとえ。また、自適の生活を送る隠士の心境のたとえ。大空にゆったりと浮かぶ雲と、広い野にいる野生のつるの意から。▽「閑雲」は大空にゆったりと浮かぶ雲。「野鶴」は野に気ままに遊ぶつる。何ものにもしばられない自由な生活のたとえ。「閑」は「間」とも書く。
かんかこどく【鰥寡孤独】
身寄りもなく寂しいさま。また、その人のこと。▽「鰥」は老いて妻のない夫。「寡」は老いて夫のない妻。「孤」はみなしご、「独」は子のない老人のこと。いずれも身寄りのない寂しい者の意。
かんかふぐう【轗軻不遇】
世に受け入れられず行き悩むさま。事が思い通りにいかず行き悩み、ふさわしい地位や境遇に恵まれないさま。▽「轗軻」は道が平坦へいたんでないさま。また、事が思い通り運ばず不遇なさま。世に受け入れられず行き悩むさま。
かんかんがくがく【侃侃諤諤】
ひるまず述べて盛んに議論をするさま。議論の盛んなことの形容。また、はばかることなく直言するさま。▽「侃侃」は強くまっすぐなさま。剛直なさま。「諤諤」は、はばかることなくありのままを正しく直言するさま。「侃諤」ともいう。
かんかんこうき【観感興起】
目に見て心に感じ、感動して奮い立つこと。
かんかんせったい【官官接待】
地方自治体の職員がさまざまな便宜をはかってもらうために、中央省庁の役人を公費を使って接待すること。
かんがいむりょう【感慨無量】
深く身にしみて感じ、しみじみとした気持ちになること。▽「感慨」は深く心に感じてしみじみとした思いにひたること。「無量」ははかりしれないほどの意。略して「感無量」ともいう。
かんがんこぼく【寒巌枯木】
⇒ こぼくかんがん(枯木寒巌)
かんきじゃくやく【歓喜雀躍】
[名](スル)躍り上がらんばかりに、非常に喜ぶこと。欣喜(きんき)雀躍。
かんきゅうじざい【緩急自在】
状況などに応じて早くしたり遅くしたり、緩めたり厳しくしたりと思うままに操れるさま。▽「緩急」は緩やかなことと、あわただしいこと。遅いことと早いこと、ゆるやかなことと厳しいこと。「自在」は思いのままであるさま。
かんきれいそく【管窺蠡測】
見識がきわめて狭いことのたとえ。
かんぎゅうじゅうとう【汗牛充棟】
蔵書がきわめて多いことの形容。本が非常に多くて、牛車に積んで運ぶと牛も汗をかき、家の中に積み上げれば棟木むなぎにまで届いてしまう意から。▽「牛うしに汗あせし棟むなぎに充みつ」と訓読する。「充棟汗牛じゅうとうかんぎゅう」ともいう。
かんげんみつご【甘言蜜語】
相手の気を引いたり、取り入ったりするための甘い言葉。おせじ。▽「蜜語」は蜜のように甘い言葉。男女の甘い語らいにもいう。
かんこうどくちょう【寒江独釣】
雪の降る冬の川で一人釣りをすること。また、その人の姿。▽唐の柳宗元りゅうそうげんの「江雪こうせつ」の詩で詠うたわれたもの。多くの画題となっている。
かんこつうか【換骨羽化】
仙人になること。
かんこつだったい【換骨奪胎】
古人の詩文の表現や発想などを基にしながら、これに創意を加えて、自分独自の作品とすること。他人の詩文、また表現や着想などをうまく取り入れて自分のものを作り出すこと。骨を取り換え胎盤を奪い取って、自分のものとする意から。▽もと、「換骨」は凡骨を取り去って仙骨に取り替える、「奪胎」は胎盤を奪い生まれ変わらせる意で、修練をして根本から仙人に生まれ変わることをいう道家の語。転じて、詩文の創作法として「換骨」は、古人の詩文の意味を変えないで字句を変えること。「奪胎」は古人の詩文の内容・主意を取って作りかえること。今では、他人の作品の一部を作りかえて、新しいもののように見せかける意に用いられることもある。「奪胎換骨だったいかんこつ」ともいい、「奪」は「脱」とも書く。「骨ほねを換かえ胎たいを奪うばう」と訓読する。
かんこんそうさい【冠婚葬祭】
慣習的に定まった慶弔の儀式の総称。▽「冠」は元服・成人式、「婚」は婚礼、「葬」は葬儀、「祭」は祖先の祭礼。「婚」は「昏」、「葬」は「喪」とも書く。
かんざんじっとく【寒山拾得】
中国唐代中期の寒山と拾得の二人の高僧。二人とも奇行が多く、詩人としても有名だが、その実在すら疑われることもある。拾得は天台山国清寺こくせいじの食事係をしていたが、近くの寒巌かんがんに隠れ住み乞食こじきのような格好をした寒山と仲がよく、寺の残飯をとっておいては寒山に持たせてやったという。また、この二人は文殊菩薩もんじゅぼさつ、普賢ふげん菩薩の生まれ変わりといわれる。画題としてもよく用いられる。
かんしょうちたい【緩衝地帯】
対立する複数の国の間で、衝突をやわらげるために設けられる中立地帯のこと。転じて、衝突や衝撃をやわらげるために、二つの物の間に設ける物や空間。
かんしょうばくや【干将莫邪】
名剣の名。▽「干将」は中国春秋時代、呉の刀鍛冶かたなかじの名。「莫邪」はその妻の名。
かんしょうばくや【干将莫耶】
《中国の呉の刀工干将が呉王の命で剣を作るとき、妻莫耶の髪を炉の中に入れて初めて会心の作を得た。その二振りの剣のうち、陽を「干将」、陰を「莫耶」と名づけたという「呉越春秋」闔閭内伝の故事から》名剣...
かんしょのか【関雎之化】
夫婦仲がよく、家庭がうまく治まることのたとえ。
かんしんほふく【韓信匍匐】
将来の大きな目的のために、一時の屈辱や苦労を耐え忍ぶことのたとえ。韓信が腹ばいになって人の股またの下をくぐる意から。「韓信の股くぐり」という句で有名。
かんじょういにゅう【感情移入】
自然の風物や芸術作品に対して自分の感情を投射し、それと一体になること。一九世紀末にリップスらが提唱した美学における根本概念。転じて、一般に感情や思い入れなどを対象物に投影する意でも用いる。
かんじんかんわ【閑人閑話】
ひま人のするむだ話。
かんじんたいど【寛仁大度】
心が広くて情け深く、度量の大きいこと。人の性質にいう語。▽「寛仁」は心が広くて情が厚いこと。「大度」は度量が大きいこと。小事にこだわらないこと。
かんせいせんけつ【甘井先竭】
才能がある者ほど、その才能が早く衰えやすいことのたとえ。また、才能を見せびらかす者は、他の者よりも先に災難に遭うということのたとえ。
かんせいのあ【坎井之蛙】
広い世間のことを知らず、自分だけの狭い見識にとらわれることのたとえ。
かんぜんぜつご【冠前絶後】
ずばぬけてすぐれている形容。また、非常に珍しいことの形容。今までで最高であって、これからもないであろうという意から。▽「冠」はかんむりで、人の一番上につけることから、最高にすぐれている意。略して「冠絶」ともいう。
かんぜんちょうあく【勧善懲悪】
善良な人や善良な行いを奨励して、悪者や悪い行いを懲こらしめること。▽「善ぜんを勧すすめ悪あくを懲こらす」と訓読する。「懲悪勧善ちょうあくかんぜん」ともいう。
かんぜんねんしょう【完全燃焼】
可燃物が十分な酸素を得られる状態で燃焼し、すすや一酸化炭素などを出さずに燃え尽きること。転じて、全力を出し切って事に当たること。
かんぜんむけつ【完全無欠】
欠点や不足がまったくないさま。完璧かんぺきなさま。▽「無欠」は欠けたところがないこと。ほぼ同意の熟語を重ねて意味を強めたもの。
かんそうむみ【乾燥無味】
[名・形動]潤いがなく、おもしろみのないこと。また、そのさま。無味乾燥。「—な小説」
かんそんみんぴ【官尊民卑】
政府や官吏に関連する事業などを尊いとし、一般の民間人や民間の事業などを卑しむこと。また、その気風。▽「官」は政府や役所、役人。「民」は一般の民間人。庶民。
かんたんそうしょう【肝胆相照】
お互いに心の奥底までわかり合って、心から親しくつき合うこと。心の底まで打ち明け深く理解し合っていること。▽「肝胆」は肝臓と胆嚢たんのう。転じて、心の底、まごころ。また、肝臓と胆嚢が近くにあることから密接な関係のたとえ。一般に「肝胆かんたん相あい照てらす」と訓読を用いる。
かんたんのほ【邯鄲之歩】
本来の自分を忘れて、やたらと他人の真似をしたため、両方ともうまくいかなくなってしまうことのたとえ。
かんたんのゆめ【邯鄲之夢】
⇒ いっすいのゆめ(一炊之夢)
かんたんめいりょう【簡単明瞭】
物事や表現がやさしく、はっきりしてわかりやすいさま。
かんだんきほう【寒煖饑飽】
寒さ、暖かさ、飢え、満腹といった日常生活の苦しみや楽しみのこと。苦楽と同意。▽「寒煖」は寒さと暖かさ。「饑飽」は飢えることと満腹になること。貧乏と裕福。「煖」は「暖」とも書く。
かんちじゅっすう【奸智術数】
悪知恵や悪だくみのこと。
かんちゅうずいば【管仲随馬】
管仲が戦いの帰り道で道に迷ったとき、一度通った道を覚えているとされる老いた馬の知恵を借りようと、これを放ってそのあとに従い道を見出した故事。もと管仲のような知恵者ですら馬の知恵に頼るのに、人が聖人の知恵に頼らないことを戒めた語。のち転じて、先人の経験を尊重するたとえ。また、人には得意不得意があるたとえとして用いられることもある。
かんてんきち【歓天喜地】
大喜びすること。思わず小躍りするような大きな喜び。▽「歓天」は天に向かって喜ぶ意。「喜地」は地に向かって喜ぶ意。
かんてんじう【旱天慈雨】
非常に困ったときに、もたらされる救いの手のたとえ。長い間待ち望んでいた物事が実現することのたとえ。
かんてんどうち【撼天動地】
活動がめざましいこと、人々を驚かすほどの大きな出来事のたとえ。また、音声がきわめて大きいことのたとえ。
かんてんぼうき【観天望気】
雲や風の動きなどを観察して、経験をもとに天気を予想すること。
かんとしょうぜん【環堵蕭然】
家が非常に狭く、みすぼらしくさびしいさま。▽「環堵」は小さく狭い家のこと。四方それぞれ一堵の家の意。「環」は四周・周囲。「堵」は一丈いちじょう(約二・二五メートル)とも五丈とも四十尺ともいい諸説ある。「蕭然」はみすぼらしくさびしいさま。物さびしく荒れ果てたさま。
かんなんしんく【艱難辛苦】
非常な困難にあって苦しみ悩むこと。▽「艱」「難」はともにつらい、苦しい、悩むの意。「辛苦」はつらく苦しいこと。つらい目にあって悩むこと。
かんねいじゃち【奸佞邪智】
心がひねくれて、ずるがしこく立ち回ること。またその人。▽「奸佞」は心がねじけてへつらうこと。「奸」は心がねじけて正しくない意。「佞」はおもねる。また、口先や態度は巧みだが心はねじけている意。「邪智」は悪知恵。「奸」は「姦」、「智」は「知」とも書く。「邪智奸佞じゃちかんねい」ともいう。
かんねいじゃち【奸佞邪知】
[名・形動]心が曲がっていて悪知恵が働き、人にこびへつらうこと。また、そのさま。
かんのうとち【肝脳塗地】
むごたらしい死にざまや殺され方のこと。また、忠誠を誓って、どんな犠牲も惜しまないことのたとえ。死者の腹から内臓が飛び出し、頭が割られて脳味噌のうみそが出て泥まみれになっているさま。死者の肝臓や脳が泥まみれになっている意から。▽「肝脳」は肝臓と脳髄。「塗地」は土まみれになること。また転じて、戦いに負けるさま。「塗」はまみれる意。一般に「肝脳かんのう地ちに塗まみる」と訓読を用いる。