きょあんせいび【挙案斉眉】
妻が夫に礼儀を尽くし尊ぶたとえ。また、夫婦が互いに礼儀を尽くし尊敬して、仲がよいたとえ。膳ぜんを眉まゆの高さまで挙げて、両手でうやうやしくささげ持つ意から。▽「案」は膳。「挙案」は膳を挙げ持つ意で、「斉眉」は眉の高さと同じくしてささげること。「斉」は等しい意。「案あんを挙あぐるに眉まゆに斉ひとしくす」と訓読する。
きょうえきたじ【疆埸多事】
国境で戦争が起こってあわただしいこと。
きょうえつしごく【恐悦至極】
恐れつつしみながらも大喜びすること。
きょうおんくうこく【跫音空谷】
⇒ くうこくのきょうおん(空谷跫音)
きょうかくさつぎゅう【矯角殺牛】
少しばかりの欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうたとえ。
きょうかすいげつ【鏡花水月】
はかない幻のたとえ。目には見えるが、手に取ることのできないもののたとえ。また、感じ取れても説明できない奥深い趣のたとえ。詩歌・小説などの奥深い味わいのたとえ。本来は、鏡に映った美しい花と水に映った美しい月の意。それらは目には見えても見るだけで、実際に手に取ることができないことからいう。▽「水月鏡花すいげつきょうか」ともいう。「鏡花水月法」はその物事をあからさまに説明しないで、しかもその物事の姿をありありと読者に思い浮かばせる表現方法。
きょうかんじごく【叫喚地獄】
泣き叫ばずにはいられないような状況のこと。
きょうかんじゃくし【強幹弱枝】
中央政府に権力を集中させて、地方の権限を抑え弱めるたとえ。幹たるべき中央政府を強くし、枝たるべき地方政権を弱くする意から。▽「幹」は帝室・中央政府の、「枝」は諸侯・地方政権のたとえ。「幹みきを強つよくし枝えだを弱よわくす」と訓読する。
きょうきょうきんげん【恐恐謹言】
おそれながらつつしんで申し上げる、の意。手紙文の結びに記して敬意を表す。
きょうきらんぶ【狂喜乱舞】
思わず小躍りするほど大いに喜ぶこと。▽「狂喜」は狂おしいほどに大喜びすること。「乱舞」は入り乱れて躍ること。
きょうきんしゅうれい【胸襟秀麗】
考え方や心構えが正しく立派なさま。▽「胸襟」は胸のうち・心の中の意。「襟」も心・胸の意。「秀麗」はすぐれて美しいさま。
きょうぐんこしん【僑軍孤進】
軍隊が援軍もなく、孤立して進軍すること。転じて、助けを得られず孤立して物事を行うことのたとえ。
きょうけいのせい【薑桂之性】
年老いてますます剛直なことのたとえ。また、特有の性質は簡単には変わらないたとえ。▽「薑」はしょうが。「桂」は肉桂にっけい(にっき)。ともに古くなってもその辛さを失わず、辛さを増すことからいう。
きょうけんはつどう【強権発動】
政府、官庁、自治体などの公的機関が、ある目的を達成するために、法的な強制力を行使すること。転じて、強い立場にある者が、弱い立場にある者に対して強制的に命令すること。
きょうげべつでん【教外別伝】
悟りは言葉や文字で伝えられるものではなく、直接心から心へと伝えるものであるということ。▽禅宗の語。「外」は「がい」とも読む。
きょうげんきご【狂言綺語】
道理に合わない言葉や、巧みに表面だけを飾った言葉。転じて、虚構や文飾の多い小説・物語・戯曲などを卑しめていう語。▽「狂言」は道理にはずれた語。「綺語」は飾り立てた語。「語」は「ぎょ」とも読む。
きょうこうきんげん【恐惶謹言】
恐れかしこまり、つつしんで申し上げる意。相手に敬意を表するために手紙の末尾に用いる語。▽「恐惶」は恐れかしこまること。「敬具」「敬白」などと同様に用いる。
きょうこうけいはく【恐惶敬白】
「恐惶謹言」に同じ。
きょうさせんどう【教唆扇動】
人を教えそそのかして、気持ちをあおりたて、実際にある行動を起こすように仕向けること。
きょうしゃいんいつ【驕奢淫逸】
思うままにぜいたくをし、人の道にはずれたみだらな行いをすること。また、そのさま。主に酒色についていうことば。
きょうしゅぼうかん【拱手傍観】
手をこまねいて何もせず、ただそばで見ていること。特に重大な事態に直面して、当然なすべきことがあるのに、何もしないことを批判を込めて用いることが多い。▽「拱手」はもと中国の古式の敬礼の一つ。両手を胸の前に重ねる動作。転じて、手をこまねいて何もしないこと。「傍観」はただそばで見ていること。「拱」は「こう」とも読む。「傍」は「旁」とも書く。
きょうしょくじあい【彊食自愛】
つとめて食事を取って、からだを大事にすること。
きょうぞんきょうえい【共存共栄】
二つ以上のものが互いに敵対することなく助け合って生存し、ともに栄えること。▽「共存」は二つ以上のものが敵対することなく、生存したり存在したりすること。「共栄」はともに栄えること。「存」は「そん」とも読む。
きょうちゅうのせいちく【胸中成竹】
ある物事を始めるときに、あらかじめ見通しをつけて、準備を整えておくこと。
きょうてんどうち【驚天動地】
世間を非常に驚かせること。世間をあっと驚かせる事件・出来事の形容。▽「天てんを驚おどろかし、地ちを動うごかす」と訓読する。
きょうみさくぜん【興味索然】
興の尽きるさま。関心がなくなりおもしろくないさま。また、おもしろ味のないさま。▽「索然」は尽きてなくなるさま。
きょうみしんしん【興味津津】
おもしろ味や関心が尽きず、あとからあとからわいてくるさま。非常に関心のあるさま。▽「津津」はあふれ出るさま。
きょうみほんい【興味本位】
おもしろければ、それでいいと思う傾向のこと。
きょうらんどとう【狂瀾怒濤】
ひどく乱れて手の施しようのないさま。荒れ狂いさかまく大波の意から。▽「狂瀾」「怒濤」はともに荒れ狂う大波のこと。「瀾」「濤」はともに波の意。多く世の情勢についていう。
きょうわばんぽう【協和万邦】
多くの国ぐにを協調させて、国内外がなごやかになること。
きょおうじっき【虚往実帰】
師などから無形の感化や徳化を受けるたとえ。行くときは何も分からずに空っぽの心で行って、帰るときには充実して、十分に満足している意から。▽出典では、王駘おうたいという人物が教え諭すわけでも道理を論ずるわけでもないのに、教えを請う者は空っぽの心でそこに行き、帰りには得るところがあって十分満足しているといい、王駘は言葉には出さないが、自然に相手を感化する教えを心得た人物として描かれている。「虚往」は空っぽの頭で行くこと。「実帰」は充実して帰る、また、十分に満足して帰る意。「虚きょにして往ゆき実じつにして(実みちて)帰かえる」と訓読する。
きょきふてい【挙棋不定】
物事を行うのに一定の方針がないまま、その場その場で適当に処理するたとえ。また、物事を行うのになかなか決断できないことのたとえ。本来は、碁石を手に持ち上げたものの、打つところがなかなか決まらない意。▽「挙棋」は碁石をつまみ上げること。「棋きを挙あげて定さだまらず」と訓読する。
きょきへいしん【虚気平心】
感情をなくして心を落ち着けること。心をむなしくして平静にすること。また、その心境。▽「虚気」は感情をなくして心をむなしくすること。「平心」は心を落ち着けること。「気きを虚むなしくして心こころを平たいらかにす」と訓読する。
きょきょじつじつ【虚虚実実】
互いに策略や手段を尽くして戦うこと。また、うそとまことを取り混ぜて、相手の腹を読み合うことにもいう。▽「虚」は守りの弱いところ、「実」は守りの堅いところ。実を避け虚をついて戦う意。「虚」「実」のそれぞれを重ねて、意味を強調した語。
きょくがいちゅうりつ【局外中立】
国際紛争で、当事国のどちらにも味方をしないで、中立的な立場を取ること。転じて、対立関係にある者のどちらにもつかないで、公平な態度を取ること。
きょくがくあせい【曲学阿世】
学問の真理にそむいて時代の好みにおもねり、世間に気に入られるような説を唱えること。真理を曲げて、世間や時勢に迎合する言動をすること。▽「曲学」は真理を曲げた正道によらない学問。「阿世」は世におもねる意。「阿」はへつらいおもねる意。「阿世曲学あせいきょくがく」ともいう。
きょくこうのたのしみ【曲肱之楽】
清貧に甘んじて学問に励み、正しい道を行う楽しみ。また、貧しさの中にある楽しみ。
きょくじつしょうてん【旭日昇天】
勢いがきわめて盛んなたとえ。朝日が勢いよく天空に昇る意から。▽「旭日」は朝日。「昇天」は天に昇ること。
きょくすいりゅうしょう【曲水流觴】
屈曲した小川の流れに杯を浮かべ、それが自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩歌を作り、杯の酒を飲むという風雅な遊び。もと陰暦三月三日(また、上巳じょうしの日)に行われた風習。▽「曲水」は曲折した小川の流れ。「觴」は杯の意。中国晋しん代、王羲之おうぎしが、会稽かいけいの蘭亭らんていで文人を集めて催したものが有名。「流觴曲水りゅうしょうきょくすい」ともいう。
きょくてんせきち【跼天蹐地】
恐れおののいてびくびくすること。ひどく恐れて身の置き所のないこと。また、世間をはばかって暮らすこと。天は高いのに身をかがめ、大地は厚いのに抜き足差し足でそっと歩く意から。▽「跼」は身をかがめて、せぐくまること。「蹐」は抜き足差し足で歩くこと。「跼」は「局」とも書く。「天てんに跼きょくし地ちに蹐せきす」と訓読する。略して「跼蹐」ともいう。
きょくとつししん【曲突徙薪】
災難を未然に防ぐことのたとえ。煙突を曲げ、かまどの周りにある薪を他に移して、火事になるのを防ぐ意から。▽「突」は煙突の意。「徙」は移す、物を移動させること。「突とつを曲まげ薪たきぎを徙うつす」と訓読する。「徙薪曲突ししんきょくとつ」ともいう。
きょくひつぶぶん【曲筆舞文】
⇒ ぶぶんきょくひつ(舞文曲筆)
きょくびほうきょう【曲眉豊頰】
美女のたとえ。
きょくめんだかい【局面打開】
行きづまっている情勢や困難な状況を、手を尽くして切り開き、解決の糸口を見つけ出すこと。
きょけいきゅうり【居敬窮理】
心を専一にして日ごろの振る舞いを慎み、広く物事の道理をきわめて、正確な知識を得ること。南宋なんそう、朱熹しゅきの修養法の二つの大綱。▽「居敬」は心を引き締めて怠ることなく、慎み深い態度で日ごろの立ち居振る舞いに注意すること。内的な修養法。「窮理」は物事の道理をきわめて、正しい知識を得ること。外的な修養法。
きょこくいっち【挙国一致】
国全体が心を一つにして、ある目的に向かって団結すること。▽「挙国」は国中を挙げて、国全体の意。
きょししんたい【挙止進退】
人の立ち居振る舞いや身の処し方。▽「挙止」「進退」はともに立ち居振る舞い・動作・行動の意。また、身の処し方。「挙」は事を起こす、行動を起こす意。
きょしんたんかい【虚心坦懐】
心になんのわだかまりもなく、気持ちがさっぱりしていること。心にわだかまりがなく、平静に事に望むこと。また、そうしたさま。▽「虚心」は心に先入観やわだかまりがなく、ありのままを素直に受け入れることのできる心の状態。「坦懐」はわだかまりがなく、さっぱりとした心。平静な心境。
きょしんへいき【虚心平気】
[名・形動]「虚心坦懐(きょしんたんかい)」に同じ。「彼はその女のためにどんなことでも—にやってのけたに違いない」〈葉山・海に生くる人々〉
きょじつひまく【虚実皮膜】
芸は実と虚の境の微妙なところにあること。事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする論。江戸時代、近松門左衛門ちかまつもんざえもんが唱えたとされる芸術論。▽「虚実」はうそとまこと。虚構と事実。「皮膜」は皮膚と粘膜。転じて、区別できないほどの微妙な違いのたとえ。「膜」は「にく」とも読む。