すいえいろうじん【吹影鏤塵】
やってもかいのない、無駄な努力をすること。影を吹いたり、細かなちりに刻みを入れようとする意から。▽「鏤」は刻む、彫りつけること。「る」とも読む。一般に「影かげを吹ふき塵ちりに鏤ちりばむ」と訓読を用いる。「鏤塵吹影ろうじんすいえい」「鏤塵吹影るじんすいえい」ともいう。
すいがんもうろう【酔眼朦朧】
酒に酔ってとろりとした目付きになり、頭もぼうっとして、辺りの物がはっきり見えないさま。▽「酔眼」は酒に酔ったときのとろんとして定まらない目付き。「朦朧」はかすんではっきりしない様子。
すいきんせんぎょく【炊金饌玉】
たいへん豪華でぜいたくな食事。たいへんなごちそうの意。黄金を炊いて食物とし、玉を取りそろえて膳ぜんに並べる意から。美食を褒めたたえるたとえ。また、他人のもてなしを謝する言葉。▽「金きんを炊かしぎ玉ぎょくを饌そなう」と訓読する。
すいぎょのまじわり【水魚之交】
離れることができない、親密な間柄や交際のたとえ。水と魚のように切っても切れない親しい関係をいう。君主と臣下、また、夫婦の仲がよいことなどについても用いる。▽「交」は「こう」とも読む。
すいこうせってん【水光接天】
月光に照らされた川面の輝きが遠くに広がり、空まで続いている。長江の雄大な夜景を詠んだ表現。
すいせいむし【酔生夢死】
何もせずに、むなしく一生を過ごすこと。生きている意味を自覚することなく、ぼんやりと無自覚に一生を送ること。酒に酔ったような、また、夢を見ているような心地で死んでいく意から。
すいそんさんかく【水村山郭】
水辺の村と山辺の村。もとは、中国江南地方の、のどかな農村風景のこと。
すいちょうこうけい【翠帳紅閨】
高貴な婦人の寝室のこと。▽「翠帳」はかわせみの緑の美しい羽で飾ったたれぎぬのこと。「紅閨」は赤く塗って飾った婦人の寝室の意。深窓の令嬢の生活のたとえとして使われる。
すいてんいっぺき【水天一碧】
水と空とが一続きになって、一様に青々としていること。▽「水天」は水と空、海と空。「一碧」は一面に青い色となること。「碧」は深い青色、あおみどり。
すいてんほうふつ【水天彷彿】
はるかな海上の水と空とが接していて、どこまでが水でどこまでが空かはっきり見分けられないさま。▽「水天」は海と空。「彷彿」はぼんやりしてはっきりしないさま。「彷彿」は「髣髴」とも書く。
すいとうそうき【垂頭喪気】
元気をなくしてしょげかえり、がっかりすること。▽「垂頭」は頭を低くたれること。「喪気」は元気がなくなること。「頭かしらを垂たれ気きを喪うしなう」と訓読する。
すいほばんさん【酔歩蹣跚】
酔いにまかせて道をふらふらと歩くこと。酔って足元がおぼつかないこと。
すいほんさくげん【推本溯源】
物事の根源を探し求めること。事象の大本おおもとを推し量り、その根源までさかのぼるという意から。
すいもうきゅうし【吹毛求疵】
無理に人の欠点をあばこうとすること。また、人のあらを探そうとして、かえって自分の欠点をさらけだすこと。毛を吹き分けて、隠れた傷を探し出す意から。▽一般に「毛けを吹ふいて疵きずを求もとむ」と訓読を用いる。
すうえんふねつ【趨炎附熱】
時の権力者につき従い、こびへつらうこと。もとは、勢いよく燃えている炎に向かって走り、熱いものにつく意。▽「炎」「熱」はともに勢いが盛んなもののたとえ。「附」は「付」とも書く。「炎えんに趨おもむき熱ねつに附つく」と訓読する。
すんしんしゃくたい【寸進尺退】
少し進んで、大きく後退してしまうこと。また、得るものが少なく、失うことばかりであること。一寸(約三センチ)進んで、一尺(一寸の一〇倍)退くという意味。
すんぜんしゃくま【寸善尺魔】
この世の中には、よいことが少なく悪いことばかりが多いたとえ。また、よいことにはとかく妨げが多いこと。▽「寸善」は一寸の善で、少しばかりのよいこと。「尺魔」は一尺の悪いこと。一尺は一寸の十倍の長さで、「寸善」より「尺魔」のほうが多い意。「尺」は「せき」とも読む。
すんそうしゅんき【寸草春暉】
父母の恩・愛情は大きく、それに子がほんのわずかさえ報いるのがむずかしいことのたとえ。▽「寸草」はわずかに伸びた丈の短い草。子の、親の恩に報いようとするわずかな気持ちのたとえ。「春暉」は春の暖かい陽光。親の子に対する愛情のたとえ。
すんてつさつじん【寸鉄殺人】
ちょっとした一言や批評で、ずばりと他人の急所や弱点を突くこと。ごく小さな刃物であっても人を殺あやめることができるという意味。
すんでんしゃくたく【寸田尺宅】
少しの財産のこと。▽「寸田」は一寸四方の田のこと。「尺宅」は一尺四方の住宅の意。どちらもわずかな財産のたとえ。
すんばとうじん【寸馬豆人】
小さな馬と豆粒ほどの人の姿のこと。絵画に小さく描かれた、遠くに見える人馬のこと。
すんぽふり【寸歩不離】
距離をおかず、すぐそばにいること。また、非常に密接な関係にあること。夫婦仲むつまじく、一歩も離れないこと。▽「寸歩」はごく少しの歩みの意。「寸歩すんぽ離はなれず」と訓読する。