はいえいはいせい【吠影吠声】
だれか一人が言い出すと、根拠のないことでも、世間の人の多くがさも本当のことのように軽々しく言いふらし始めるということ。
はいぐんのしょう【敗軍之将】
戦いに敗れた将軍のこと。物事に失敗した人の場合にもいう。▽「敗軍の将は兵を語らず」の形で用いられることが多い。戦いに敗れた将軍は、兵法について語ってはいけないという意。いさぎよく負けを認めて、あれこれ弁解してはならず、また、失敗した事柄について意見をしてはいけないという意。
はいしんきぎ【背信棄義】
信用と道義を守らないこと。信頼に背き、道義を捨て去ること。▽「背信」は信頼を裏切ること。「背」はそむく意。「棄義」は義を捨てる。人として行うべき道理を捨て去ること。「信しんに背そむき義ぎを棄すつ」と訓読する。
はいしんぼうしょく【廃寝忘食】
他のことを考えず、ひとつのことに一心に取り組むこと。▽「廃」はやめる。「廃寝」で寝ることをやめる。「忘食」は食事をとることを忘れる。寝食を忘れて熱中する意。「寝しんを廃はいし食しょくを忘わする」と訓読する。
はいすいしゃしん【杯水車薪】
努力や援助がごくわずかで、なんの役にも立たないこと。わずか杯一ぱいの水で、燃えている車一台分の薪を救おうとする意から。▽「杯水」は杯一ぱいの水。「車薪」は車一台分の薪。「一杯の水を以もって一車薪の火を救うがごとし」の略。
はいすいのじん【背水之陣】
切羽詰まっていて、もう一歩も後にはひけないぎりぎりの状況。また、そうした状況に身を置いて、必死に物事に取り組むこと。川を背にしたところに陣を敷き、退却できないようにして必死に戦う意から。▽「背水」は川を背にすること。
はいちゅうのだえい【杯中蛇影】
ひとたび疑い始めると、何でもないことにも怯おびえ、疑い深くなり、苦しむ結果になるというたとえ。また、病は気から起きるものだからあまり心配しないほうがいいということ。
はいばんろうぜき【杯盤狼藉】
酒宴で、あたり一面に杯や皿が散らかっていること。また、宴会の乱れたありさま。▽「杯盤」は、ここでは杯と皿のこと。「狼藉」は物が散乱すること。狼おおかみは下草を踏み荒らして寝る習性があることから。
はいぶつきしゃく【廃仏毀釈】
仏教排斥のための運動のこと。仏法を廃し、釈迦しゃかの教えを放棄する意。▽「釈」は釈迦のこと。「毀」は壊す、悪口をいう意。中国では南北朝時代から宋そう代の直前までに起こった四回の廃仏令「三武一宗の法難」、日本では明治政府の神仏分離令に基づく寺社排斥運動が有名。「仏ほとけを廃はいして釈しゃくを毀そしる」と訓読する。「排仏棄釈」とも書く。
はいめんこうげき【背面攻撃】
敵をうしろ側から攻めること。敵が予期していない方角から不意に攻めること。
はいもうけでん【廃忘怪顛】
うろたえること。狼狽(ろうばい)すること。「尋ぬる声にはっと二人が—」〈浄・手習鑑〉
はいりゅうざんか【敗柳残花】
美人が盛りを過ぎて、容貌ようぼうが衰えたことのたとえ。また、妓女ぎじょや不貞の女性などのたとえ。▽「敗柳」は枯れた柳。「敗」はものが腐ったり枯れたりすること。「残花」は花の咲き残り。すでに色香が落ちたものをいう。中国では柳葉眉りゅうようび柳腰りゅうよう花顔かがんというように、柳や花は美人を形容するときに用いられるが、それが枯れて花がらが残った様子は、すなわち美人の容貌の衰えを示すことが多い。
はかいむざん【破戒無慙】
戒律を破っているのに、それを恥と思っていないこと。また、そのさま。▽仏教語。「破戒」は、僧侶そうりょが守るべき不殺生ふせっしょう不偸盗ふちゅうとう不邪淫ふじゃいん不妄語ふもうご不飲酒ふおんじゅの五つの戒めを破ること。「慙」は恥じること。「慙」は「慚」とも書く。
はがんいっしょう【破顔一笑】
にっこり笑うこと。▽「破顔」は顔をほころばせること。ほほえむこと。「一笑」はちょっと笑うこと。
はきゅうこうか【波及効果】
波紋が広がるように、徐々に広い範囲にききめが広がっていくこと。▽「波及」はだんだんに影響が広がり伝わっていくこと。「効果」はききめ、よい結果の意。
はきょうじゅうえん【破鏡重円】
離ればなれになったり、離婚したりした夫婦が、また一緒になることのたとえ。二つに割られた鏡が、再び元の丸い形にもどる意から。▽「破鏡」破鏡之嘆はきょうのなげき。「重」は重ねて、再びの意。「重」は「ちょう」とも読む。
はくあいしゅぎ【博愛主義】
人種上の偏見・国家や階級などの違いを問題にせず、人類は広く、平等に愛し合うべきであるとする考え方。
はくいしゅくせい【伯夷叔斉】
高潔な人物のたとえ。伯夷と叔斉という古代中国の清廉潔白な兄弟の名から。
はくいんぼうしょう【博引旁証】
事物を説明するのに、多くの例を引き、証拠をあげて論ずること。▽「博引」は広く例を引用すること。「旁」はあまねく、広く行き渡る意。「証」は証拠の意。
はくうんこひ【白雲孤飛】
旅の途中で、親を思い起こすことのたとえ。青い空に白い雲が一片ぽつんと飛んでいるのを見て、その下に住んでいる親を思って悲しむことから。
はくがくしんもん【博学審問】
広く学んで詳しく問いただし、学問の道を究めること。広く学んで知識を広め、細かに詳しく疑問を起こし問うこと。儒教、特に朱子学でいう学問の道程で、学ぶ、問う、思う、弁ずる、行うの「学ぶ、問う」に当たる。▽「博」は広い意。「審問」は詳しく調べて尋ねる意。
はくがくたさい【博学多才】
知識が豊かで、多くの分野の才能に恵まれていること。▽「博学」は各方面の学問に通じており、多くの事を知っていること。「多才」はいろいろな才能に恵まれていること。
はくがくとくし【博学篤志】
広く学んで、熱心に志すこと。学問する者の心構えについて述べた言葉。▽「博ひろく学まなび篤あつく志こころざす」と訓読する。
はくがんせいがん【白眼青眼】
⇒ げんせきせいがん(阮籍青眼)
はくぎょくろうちゅう【白玉楼中】
文人の死のこと。▽「白玉楼」は白玉造りの天上の楼閣のこと。文人が死後行くところといわれる。
はくしさいしゅう【博施済衆】
広く人民に恩恵を与え、民衆を苦しみから救済すること。為政者の心得。▽「博施」は広く人民に恩恵を施すこと。「済」は救う、助ける意。「衆」は人々。多くの人。「博ひろく施ほどこして衆しゅうを済すくう」と訓読する。
はくしじゃっこう【薄志弱行】
意志が弱く、決断力に欠けること。▽「薄志」は意志が薄弱である意。「弱行」は決断力や実行力の乏しいこと。
はくしゃせいしょう【白砂青松】
海岸の美しい景観の形容。白い砂浜と青々とした松林の続く海岸線の意から。▽「砂」は「沙」とも書き、また、「さ」とも読む。
はくしゅかっさい【拍手喝采】
手をたたきながら、大声でほめたたえること。▽「喝采」は、どっとほめはやすこと。
はくしゅきゅうけい【白首窮経】
年を取るまで学問に励むこと。白髪頭になるまで経書を研究する意から。▽「白首」は白髪頭。転じて、老人。「窮経」は儒教の経書(基本的古典)を究めること。
はくじつしょうてん【白日昇天】
昼間に天に昇る意。転じて、仙人になること。また、急に富貴になる、急に出世すること。▽「白日」は昼間。また、輝く太陽。
はくすいしんじん【白水真人】
中国の貨幣、銭の異称。また、後漢ごかん王朝が興るという予言となった語。
はくちゅうしゅくき【伯仲叔季】
兄弟の順序の呼び名。年長の順に伯、仲、叔と呼び、末弟を季という。
はくとせきう【白兎赤烏】
月と太陽の意から、時間のこと。また、歳月のこと。
はくはつどうがん【白髪童顔】
老人が若々しいさま。
はくぶつさいこ【薄物細故】
ささいな、取るに足りない物事。無価値なもの、役に立たないもののたとえ。▽「薄物」「細故」はともに、取るに足りないささいな物事の意。「故」は事ことの意。
はくぶんきょうき【博聞強記】
広く物事を聞き知って、よく覚えていること。▽「博聞」は広く物知りであること。「強記」は記憶力の強いこと。「強」は「彊」とも書く。
はくぶんやくれい【博文約礼】
広く学び、その知識を礼によって集約すること。広く書物を読んで見識を高め、それを礼を基準にして締めくくりをつけ、実践すること。孔子が唱えた学問の指針。▽「博文」は広く学問を修めること。「文」は書物・学問。「約」は締めくくる、まとめること。
はくへきのびか【白璧微瑕】
白い珠たまのわずかなきずの意から、立派な人物や物にあるわずかな欠点。
はくぼめいめい【薄暮冥冥】
夕暮れどきのうす暗いさま。▽「薄暮」は夕暮れ、たそがれどき。「薄」は迫る、近づく意。「暮」は日暮れ。夕方。「冥冥」は暗いさま。暗くて見分けにくいさま。
はくめんのしょせい【白面書生】
年少で、経験の浅い者のたとえ。
はくらくのいっこ【伯楽一顧】
鑑識眼のある実力者から才能を認められて、重用されること。また、その才能を発揮すること。
はくらんきょうき【博覧強記】
広く物事を見知って、よく覚えていること。▽「博覧」は広く書物を読んで、多くの物事を知っていること。「強記」は記憶力のすぐれていること。「強」は「彊」とも書く。
はくりたばい【薄利多売】
一つの商品の利益を少なくして大量に売り、全体として利益が上がるようにすること。また、その商法。▽「薄利」は利益が少ないこと。
はくりょうぎょふく【白竜魚服】
《白竜が普通の魚の姿に化けて泳いでいたところを漁師に射られたという伝説を引いて、呉王が忍び歩きしようとしたのを伍子胥(ごししょ)が諫めたとした、「説苑」正諫の故事から》貴人がお忍びで外出して災難...
はじゃけんしょう【破邪顕正】
誤った考えを打破し、正しい考えを示し守ること。不正を破って、正義を明らかにすること。▽仏教語。「破邪」は邪道・邪説を打ち破ること。「正」は「せい」とも読む。
はじょうこうげき【波状攻撃】
寄せては返す波のように、一定の間隔をおいてあとからあとから繰り返し行われる攻撃のこと。
はたんひゃくしゅつ【破綻百出】
言動が一貫せず、欠点やほころびが次から次へと現れること。
はちくのいきおい【破竹之勢】
竹が割れるように、さえぎりようのないほど勢いが盛んなさま。また物事が勢いよく順調に進むさま。戦いなどに次々と勝ち進むさま。
はちだいじごく【八大地獄】
熱気で責め苦しめられる8種の地獄。等活・黒縄(こくじょう)・衆合(しゅごう)・叫喚・大叫喚・焦熱・大焦熱・阿鼻(無間(むけん))の八地獄。八熱地獄。八大奈落。→地獄1