もうきふぼく【盲亀浮木】
会うことが非常に難しいこと、めったにないことのたとえ。また、人として生まれることの困難さ、そしてその人が仏、または仏の教えに会うことの難しさのたとえ。▽大海中に棲すみ、百年に一度だけ水面に浮かび上がる目の見えない亀かめが、漂っている浮木のたった一つの穴に入ろうとするが、容易に入ることができないという寓話ぐうわによる。「盲亀浮木に値あう」の略。
もうげんたしゃ【妄言多謝】
口から出まかせに、いい加減な言葉を並べたてたことを深くわびる意。手紙などで自分の意見や考えを包み隠さず言った後に添える言葉。▽「妄言」は偽りの言葉、みだりな言葉の意。「多謝」は深くわびること。「妄」は「ぼう」とも読む。
もうこつしょうぜん【毛骨悚然】
非常に恐れおののく形容。髪の毛や骨の中にまで、ひどく恐れを感じるということ。▽「悚」は恐れる、ぞっとすること。「悚然」はこわがるさま。「悚」は「竦」とも書く。
もうこふくそう【猛虎伏草】
英雄が世に隠れているたとえ。また、英雄は隠れてはいても、それは一時のことであって、いつかは必ず世に出るということ。▽「猛虎」はたけだけしいとらの意で、英雄のたとえ。「猛虎もうこ草くさに伏ふす」と訓読する。
もうちゅうしゅくき【孟仲叔季】
兄弟の順序をいう語。長子・次子・三子・四子のこと。▽三人の場合は「孟仲季」という。
もうひょうたざい【妄評多罪】
でたらめで無遠慮な批評をしたことを、深くわびること。他人の文章などへの批評のあとに書く謙譲語。▽「妄評」はいい加減な批評。「多罪」は無礼などを謝る手紙文の言葉。「妄」は「ぼう」とも読む。
もうぼさんせん【孟母三遷】
子供は周囲の影響を受けやすいので、子供の教育には環境を選ぶことが大切であるという教え。▽「孟母」は孟子の母。「遷」は移る、転居すること。
もうぼだんき【孟母断機】
⇒ だんきのいましめ(断機之戒)
もくうしっぷう【沐雨櫛風】
風雨にさらされ、辛苦を味わうこと。世の中の辛苦に苦労すること。
もくしきし【目指気使】
言葉でなく、目で合図したり顔色で示したりして、自分より目下の者を指図し、こき使うこと。また、勢い盛んで、傲慢ごうまんな態度のことをいう。▽「目指」は目くばせで、人を指図し使うこと。「気使」は口にすることなく、手ぶりで人に命令すること。
もくしょくじし【目食耳視】
見た目にとらわれ、味よりも外見が豪華な食べ物を選び、世間の評判を気にして衣服を選ぶこと。衣食の本来の意義を忘れて、ぜいたくな方向に流れていくこと。▽「目食」は口に合うかではなく、見た目が豪華なものを食べること。「耳視」は世間のうわさを気にかけて、自分に似合うかでなく、高価な衣服を着るということ。「目めもて食くらい耳みみもて視みる」と訓読する。「耳視目食じしもくしょく」ともいう。
もくちょうしんしょう【目挑心招】
遊女が目で挑み、人を誘惑するさま。▽「目挑」は目で挑むこと。「心招」は心から招くこと。心で誘惑すること。「目めで挑いどみ心こころで招まねく」と訓読する。
もくよくさいかい【沐浴斎戒】
⇒ さいかいもくよく(斎戒沐浴)
もくよくじょこん【沐浴抒溷】
髪やからだを洗って身を清め、自らについた汚れを取り払うこと。神聖な儀式などを行うときなどに、湯あみしてからだを清めること。▽「沐浴」は湯水を使って、からだを洗い清めること。「抒溷」は汚れを取り除くこと。「抒」はすくい出す意。また、除く意。「溷」は汚れの意。
もじきなか【文字寸半】
《「文字」は一文銭の表に書かれた字。「きなか」は一文銭の直径1寸の半分の意》少しばかりの金。また、わずかなもの。一文半銭。「人様の物—、盗もと思ふ気は出さぬわい」〈浄・伊賀越〉
もじひらなか【文字片半】
「文字寸半(もじきなか)」に同じ。「商ひ物も—違へたことのあらばこそ」〈浄・曽根崎〉
もずかんじょう【百舌勘定】
みんなでお金を出し合うときに、うまいことを言って、自分ができるだけ払わなくてすむように仕向けること。また、その仕方。
ものぐさどうしん【物臭道心】
心から仏道修行に励むために出家するのではなく、仕事をしたくないという、単なる怠け心から僧侶そうりょになること。また、広く怠け心をいう。▽「物臭」は物事をするのを面倒がること。「道心」は仏道に帰依きえする心、また、その修行者。
ものみゆさん【物見遊山】
気晴らしにあちらこちらを見物すること。
もろはのつるぎ【両刃之剣】
有用な物、便利な物も使い方を誤れば、大変危険なものになることのたとえ。
もんがいふしゅつ【門外不出】
すぐれた技術や貴重な物などを厳重にしまっておいて、決して他人に見せたり貸したりしないこと。大切な物を部外者に見せないように、外に持ち出さないこと。
もんこうてんあい【門巷填隘】
門や門前の小道が、人が多く集まることでふさがってしまい、通れなくなるほど狭くなってしまうこと。人が多く集まり、密集しているさまをいう。▽「門巷」は門と巷ちまたのこと。「填隘」は満たされ、ふさがってしまい、狭くなること。「填」はふさぐ意。「隘」は狭くなること。
もんこかいほう【門戸開放】
制約を取り払って、出入りを自由にすること。また、外国に対し市場を開放して、経済活動を自由にすること。▽「門戸」は門と戸のこと。家の出入り口。
もんじゅのちえ【文殊知恵】
たぐいまれなほど、すぐれた知恵。すばらしい考え。
もんぜつびゃくじ【悶絶躄地】
非常な苦しみの形容。立っていることができないほど悶もだえ苦しんで、転がってはいずり回ること。▽「悶絶」は悶え苦しんで意識を失うこと。苦しんで気絶すること。「躄地」は両足で立つことができず、地をはうこと。「悶絶もんぜつして地ちを躄いざる」と訓読する。
もんぜつびゃくじ【悶絶躃地】
苦しみもだえてころげまわること。「王、此を聞きて—して」〈今昔・一・五〉
もんぜんじゃくら【門前雀羅】
門の前に網を張って雀すずめを捕まえることができるほど訪問者もなく、人の往来もない寂れたさま。▽「雀羅」は雀を捕まえるときに使う霞網かすみあみのこと。「羅」は「網」に同じ。「門前雀羅を設もうくべし」の略。
もんぜんせいし【門前成市】
多くの人の出入りがあり、市場のようににぎわっていること。権勢や名声が盛んなことのたとえ。
もんちもんばつ【門地門閥】
家柄のこと。家の格式のこと。
もんどうむよう【問答無用】
話し合っても無意味なさま。これ以上話し合いを続けても無駄なため、議論を終わらせる場合などに使う言葉。▽「無用」は用のないさま。役に立たないさま。