あくぎゃくむどう【悪逆無道】
人の道にはずれた、はなはだしい悪事。▽「悪逆」を強めるために「無道」を添えた語。「悪逆」は道理にそむいた著しく悪い行い。「無道」は道理にはずれているさま。「無道」は「ぶとう」「ぶどう」とも読む。
あくじせんり【悪事千里】
悪い行為や評判は、またたくまに世間に知れ渡ること。▽一般には「悪事千里を行く」「悪事千里を走る」と用いる。
あくにんしょうき【悪人正機】
阿弥陀仏あみだぶつの本願は、罪業ざいごうの深い悪人を救うことにあるとする説。他力を本願とする浄土真宗の親鸞しんらんの思想。▽「正機」は仏の教法を受けて、悟りを得る条件・資質を適切に備えていること。悪人こそが極楽に往生しうる者であるということ。
あくぼくとうせん【悪木盗泉】
たとえ困窮しても、わずかな悪事にも身を近づけないたとえ。悪事に染まるのを戒める語。また、悪事に染まること。▽「悪木」は役に立たない木。また、人を傷つけたり悪臭のある木。「盗泉」は孔子がそこを通ったとき、のどが渇いていたが、その名が悪いといって飲まなかったといわれる泉の名。悪い木の陰で休んだり、悪泉の水を飲んだりしただけでも身が汚れるという意。「盗泉」の説話は『尸子しし』下に見える。
いっきゅうのかく【一丘之貉】
同じ丘に棲すんでいるむじな。似たような者どうし、同類の悪党のたとえ。
うみせんやません【海千山千】
長い年月にさまざまな経験を積んで、世の中の裏も表も知り尽くしていて悪賢いこと。また、そういうしたたかな人。▽「海に千年、山に千年」の略。海に千年、山に千年棲すみついた蛇は竜になるという言い伝えから。
えんじとうしょう【掩耳盗鐘】
浅はかな考えで自分をあざむき、その場逃れしても、いずれ悪事は知れ渡ってしまうこと。自分をあざむいて悪事をはたらくことのたとえ。
かんちじゅっすう【奸智術数】
悪知恵や悪だくみのこと。
かんねいじゃち【奸佞邪智】
心がひねくれて、ずるがしこく立ち回ること。またその人。▽「奸佞」は心がねじけてへつらうこと。「奸」は心がねじけて正しくない意。「佞」はおもねる。また、口先や態度は巧みだが心はねじけている意。「邪智」は悪知恵。「奸」は「姦」、「智」は「知」とも書く。「邪智奸佞じゃちかんねい」ともいう。
がんしゃせきえい【含沙射影】
陰険な方法で人に危害を加えること。
がんちゅうのくぎ【眼中之釘】
自分に害をなすもののたとえ。邪魔者、いやなやつ、憎らしい人などのたとえ。眼の中の釘(目の中の障害物)の意から。▽類句として「眼中抜釘(眼中より釘を抜く)」があり、自分に害を与えるものを取り去る、害をなすものがいなくなる意。一般には邪魔者がいなくなったときに「眼中の釘が抜けたようでせいせいした」などと用いる。「釘」は「丁」とも書く。
くんそくのあく【君側之悪】
君主のそばにいる悪人のこと。また、ひそかに悪だくみを考えている側近の臣下。
けいきょくそうり【荊棘叢裏】
乱臣や悪臣のたとえ。
こうとさんくつ【狡兎三窟】
人が身の安全のために、たくさんの避難場所やさまざまな策を用意するたとえ。難を逃れるのに巧みなたとえ。また、ずる賢い者は用心深く、抜かりなく困難から逃れる手段を用意しているたとえ。すばしこいうさぎは三つの隠れ穴をもって危険から身を守る意から。▽「狡」はすばしこいこと。また、悪賢いこと。「窟」は穴。
ごくあくひどう【極悪非道】
この上なく悪く道理にはずれていること。また、そのさま。▽「極悪」は悪逆きわまりないこと。「非道」は道理や人の道に反していること。
ざんこくひどう【残酷非道】
むごたらしくて、人の道に背いているさま。また、そのような振る舞いや行い。▽「残酷」は思いやりがなく、むごたらしいこと。「非道」は正しい道理や筋道にはずれているさま。人として当然踏まなければならない道にはずれているさま。また、そのような振る舞いや行い。
しししんちゅう【獅子身中】
内部の者でありながら、害を及ぼす者のこと。また、恩を受けていながら裏切って害悪をなす者のこと。もとは、仏の弟子でありながら仏教に害をなす者をさす。獅子ししの体内に寄生する小さな虫が、獅子を死なせてしまうことがあるということから。
しょうじんかんきょ【小人閑居】
教養もなくつまらない人間は、ひとりで暇でぶらぶらしていると、悪いことをしがちであるということ。
じゅうあくごぎゃく【十悪五逆】
十悪業と五逆罪。転じて、ありとあらゆる悪行あくぎょう。
じょうこしゃそ【城狐社鼠】
君主や権力者のかげに隠れて、悪事を働く者のたとえ。城や社という安全なところに巣くって、悪さをするきつねやねずみの意から。▽「城狐」は城に棲すむきつね。「社」は土地神を祭るやしろ。「社鼠城狐しゃそじょうこ」ともいう。
じんめんじゅうしん【人面獣心】
冷酷で、恩義や人情をわきまえず、恥などを知らない人のこと。顔は人間であるが、心は獣類に等しい人の意から。▽「人面」は人間の顔。また、それに似た形の意。「獣心」は道理をわきまえない、残忍なけだもののような心。「人」は「にん」とも読む。
たいぎゃくむどう【大逆無道】
道理や人の道を甚だしく踏みはずした行為。罪悪の甚だしいこと。後に、君主や親を殺すことをいう。▽「大逆」は主君や親を殺すなど、人道に背く行為。「無道」は人道に背くひどい行いの意。「大」は「だい」、「無道」は「ぶどう」「ぶとう」とも読む。
てんばつてきめん【天罰覿面】
行為の結果がたちどころに現れること。悪事を働くと、その報いとしてすぐさま天が罰を下すこと。▽「天罰」は天の下す罰。「覿面」は、ある事柄の効果や報いが目まの当たりにすぐ現れることをいう。
てんもうかいかい【天網恢恢】
天が張りめぐらした網は広く、目が粗いようだが、悪人・悪事は決して取り逃がさないということ。天道は厳正であり、悪は早晩罰を受けるということで、悪事を戒める言葉。▽「恢恢」は広く大きいさま。「天網恢恢疎そにして失わず」「天網恢恢疎にして漏らさず」の略。
ひゃっきやこう【百鬼夜行】
悪人どもが時を得て、勝手に振る舞うこと。また、多くの人が怪しく醜い行為をすること。▽「百鬼」はいろいろな妖怪ようかいのこと。「夜行」は暗夜に列をなして歩き回ること。多くの化け物が、夜中に行列をつくって歩き回る意から。「行」は「ぎょう」とも読む。