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しゅ‐み【趣味】例文一覧 30件

  1. ・・・どうか何事にも理解の届いた、趣味の広い女に仕立ててやりたい、――そういう希望を持っていたのです。それだけに今度はがっかりしました。何も男を拵えるのなら、浪花節語りには限らないものを。あんなに芸事には身を入れていても、根性の卑しさは直らないか・・・<芥川竜之介「一夕話」青空文庫>
  2. ・・・第一他人の聞きたがっている音楽を銭ずくでやめさせるのは悪趣味じゃないか?」「それじゃ他人の聞きたがらない音楽を金ずくで聞かせるのも悪趣味だよ。」 グラノフォンはちょうどこの時に仕合せとぱったり音を絶ってしまった。が、たちまち鳥打帽を・・・<芥川竜之介「彼 第二」青空文庫>
  3. ・・・おまえの趣味がそれほどノーブルに洗練されているとは思わなかった。全くおまえは見上げたもんだねえ。おまえは全くいい意味で貴族的だねえ。レデイのようだね。それじゃ僕が……沢本と戸部とが襲いかかる前に瀬古逸早くそれを口に入れる。瀬・・・<有島武郎「ドモ又の死」青空文庫>
  4. ・・・植民的精神と新開地的趣味とは、かくて驚くべき勢力を人生に植えつけている。 見よ、ヨーロッパが暗黒時代の深き眠りから醒めて以来、幾十万の勇敢なる風雲児が、いかに男らしき遠征をアメリカアフリカ濠州および我がアジアの大部分に向って試みたかを。・・・<石川啄木「初めて見たる小樽」青空文庫>
  5. ・・・――ところで、とぼけきった興は尽きず、神巫の鈴から思いついて、古びた玩弄品屋の店で、ありあわせたこの雀を買ったのがはじまりで、笛吹はかつて、麻布辺の大資産家で、郷土民俗の趣味と、研究と、地鎮祭をかねて、飛騨、三河、信濃の国々の谷谷谷深く相交・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  6.     一茶の湯の趣味を、真に共に楽むべき友人が、只の一人でもよいからほしい、絵を楽む人歌を楽む人俳句を楽む人、其他種々なことを楽む人、世間にいくらでもあるが、真に茶を楽む人は実に少ない。絵や歌や俳句やで友を得るは何・・・<伊藤左千夫「茶の湯の手帳」青空文庫>
  7. ・・・一つは椿岳や下岡蓮杖や鵜飼三次というような江戸の遺老が不思議に寺内に集って盛んに江戸趣味を発揮したからであった。この鵜飼三次というは学問の造詣も深く鑑識にも長じ、蓮杖などよりも率先して写真術を学んだほどの奇才で、一と頃町田久成の古物顧問とな・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  8. ・・・ 君は、またどうしてそんなものに趣味を持っているのです。」と、紳士は、驚いたようです。「いつか、この池のところで拾って、学校の先生に見せたら、大昔のものだから、しまっておけとおっしゃいました。」「ははあ、君のお家は遠いのですか。ちょ・・・<小川未明「銀河の下の町」青空文庫>
  9. ・・・ところが、あの人はお習字やお花の趣味はちょっともあれしませんの」「お茶は成さるんですか」「恥かしいですけど、お茶はあんまりしてませんの。是非教わろうと思てるんですけど。――ところで、話ちがいますけど、貴方キネマスターで誰がお好きです・・・<織田作之助「秋深き」青空文庫>
  10. ・・・しかしなんという閑かな趣味だろう」「あっはっは。いや、僕はさっきその崖の上から僕の部屋の窓が見えると言ったでしょう。僕の窓は崖の近くにあって、僕の部屋からはもう崖ばかりしか見えないんです。僕はよくそこから崖路を通る人を注意しているんです・・・<梶井基次郎「ある崖上の感情」青空文庫>
  11. ・・・容易でないと信じている、それだけ自分は今の武蔵野に趣味を感じている。たぶん同感の人もすくなからぬことと思う。 それで今、すこしく端緒をここに開いて、秋から冬へかけての自分の見て感じたところを書いて自分の望みの一少部分を果したい。まず自分・・・<国木田独歩「武蔵野」青空文庫>
  12. ・・・極端な束縛とヒステリーとは夫の人物を小さくし、その羽翼をぐばかりでなく、また男性に対する目と趣味との洗練されてないことを示すものに外ならない。<倉田百三「愛の問題(夫婦愛)」青空文庫>
  13. ・・・それで趣味が高じて来るというと、良いのを探すのに浮身をやつすのも自然の勢です。 二人はだんだんと竿に見入っている中に、あの老人が死んでも放さずにいた心持が次第に分って来ました。 「どうもこんな竹は此処らに見かけねえですから、よその国・・・<幸田露伴「幻談」青空文庫>
  14. ・・・而して単に其文字から言っても、漢文の趣味の十分に解せられない今日に於て、多数人士の愛読する所とならぬは当然である。先生「一年有半」中に、 夫文人の苦心は古人の後に生れ古人開拓の田地の外、別に播種し別に刈穫せんと慾する所の処に存す。韓・・・<幸徳秋水「文士としての兆民先生」青空文庫>
  15. ・・・そこだけは先生の趣味で清浄に飾り片附けてある。唐本の詩集などを置いた小机がある。一方には先の若い奥さんの時代からあった屏風も立ててある。その時、先生は近作の漢詩を取出して高瀬に見せた。中棚鉱泉の附近は例の別荘へ通う隠れた小径から対岸の村落ま・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
  16. ・・・それが、趣味である。憂愁、寂寥の感を、ひそかに楽しむのである。けれどもいちど、同じ課に勤務している若い官吏に夢中になり、そうして、やはり捨てられたときには、そのときだけは、流石に、しんからげっそりして、間の悪さもあり、肺が悪くなったと嘘をつ・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  17. ・・・女色の趣味は生来解している。これは遺伝である。そこで目差す女が平凡な容貌でないことは、言うまでもない。女は女優である。遊んだり、人のおもちゃになったりしていずに、少し稽古でもしたら、立派な俳優になった女かも知れない。どうかして舞台で旨い事を・・・<著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外「世界漫遊」青空文庫>
  18. ・・・ こみ合った電車の中の美しい娘、これほどかれに趣味深くうれしく感ぜられるものはないので、今までにも既に幾度となくその嬉しさを経験した。柔かい着物が触る。えならぬ香水のかおりがする。温かい肉の触感が言うに言われぬ思いをそそる。ことに、女の・・・<田山花袋「少女病」青空文庫>
  19. ・・・アインシュタインの芸術方面における趣味の中で最も顕著なものは音楽である。彼の弾くヴァイオリンが一人前のものだという事は定評であるらしい。かなりテヒニークの六ヶしいブラームスのものでも鮮やかに弾きこなすそうである。技術ばかりでなくて相当な理解・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  20. ・・・私がもし古美術の研究家というような道楽をでももっていたら、煩いほど残存している寺々の建築や、そこにしまわれてある絵画や彫刻によって、どれだけ慰められ、得をしたかしれなかったが――もちろん私もそういう趣味はないことはないので、それらの宝蔵を瞥・・・<徳田秋声「蒼白い月」青空文庫>
  21. ・・・わたくしは政治もしくは商工業に従事する人の趣味については暫く擱いて言わぬであろう。画家文士の如き芸術に従事する人たちが明治の末頃から、祖国の花鳥草木に対して著しく無関心になって来たことを、むしろ不思議となしている。文士が雅号を用いることを好・・・<永井荷風「葛飾土産」青空文庫>
  22. ・・・けれども笑うという事と、気の毒だと思う事と、どちらか捨てねばならぬ場合に、滑稽趣味の上にこれを観賞するは、一種の芸術的の見方であります。けれども私が、脳振盪を起して倒れたとすれば、諸君の笑は必ず倫理的の同情に変ずるに違いありますまい。こうい・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  23.  書物に於ける装幀の趣味は、絵画に於ける額縁や表装と同じく、一つの明白な芸術の「続き」ではないか。彼の画面に対して、あんなにも透視的の奥行きをあたへたり、適度の明暗を反映させたり、よつて以てそれを空間から切りぬき、一つの落付・・・<萩原朔太郎「装幀の意義」青空文庫>
  24. ・・・尤もそれには無論下地があったので、いわば、子供の時から有る一種の芸術上の趣味が、露文学に依って油をさされて自然に発展して来たので、それと一方、志士肌の齎した慷慨熱――この二つの傾向が、当初のうちはどちらに傾くともなく、殆ど平行して進んでいた・・・<二葉亭四迷「予が半生の懺悔」青空文庫>
  25. ・・・そう云う態度や顔に適っているのはこの男の周囲で、隅から隅まで一定の様式によって、主人の趣味に合うように整頓してある。器具は特別に芸術家の手を煩わして図案をさせたものである。書架は豊富である。Bibelots と云う名の附いている小さい装飾品・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  26. ・・・西行のごときは幾多の新材料を容れたるところあるいはこの意義を解する者に似たれど、実際その歌を見ば百中の九十九は皆いつわりのたくみなるを知らん。趣味を自然に求め、手段を写実に取りし歌、前に『万葉』あり、後に曙覧あるのみ。 されば曙覧が歌の・・・<正岡子規「曙覧の歌」青空文庫>
  27. ・・・ また、或る婦人雑誌はその背後にある団体独特の合理主義に立ち、そして『婦人画報』は、或る趣味と近代機智の閃きを添えて、いずれも、これらのトピックを語りふるして来たものである。 ところが、今日、これらの題目は、この雑誌の上で、全く堂々・・・<宮本百合子「合図の旗」青空文庫>
  28. ・・・然るにここに幸なるは、一事の我趣味の猶依然たることを証するに足るものがある。それは何であるか。予は我読書癖の旧に依るがために、欧羅巴の新しい作と評とを読んで居る。予は近くは独逸のゲルハルト・ハウプトマンの沈鐘を読んだ。そして予はこの好処の我・・・<森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」青空文庫>
  29. ・・・自然学の趣味もあるという事が分かる。家具は、部屋の隅に煖炉が一つ据えてあって、その側に寝台があるばかりである。「心持の好さそうな住まいだね。」「ええ。」「冬になってからは、誰が煮炊をするのだね。」「わたしが自分で遣ります。」・・・<著:ランドハンス 訳:森鴎外「冬の王」青空文庫>
  30. ・・・画面全体の効果から言えば、氏の幼稚な趣味が氏の技巧を全然裏切っていると言っていい。『慈悲光礼讃』という画題は、氏がこの画を描こうとした時の想念を現わすものかどうかは知らないが、もしこの種の企図を持ってこの画を描いたとすれば、そこにすでに破綻・・・<和辻哲郎「院展遠望」青空文庫>