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しょ‐じゅん【初旬】例文一覧 23件

  1. ・・・ 或夕方、――それは二月の初旬だった。良平は二つ下の弟や、弟と同じ年の隣の子供と、トロッコの置いてある村外れへ行った。トロッコは泥だらけになったまま、薄明るい中に並んでいる。が、その外は何処を見ても、土工たちの姿は見えなかった。三人の子・・・<芥川竜之介「トロッコ」青空文庫>
  2. ・・・ すると大学を卒業した年の秋――と云っても、日が暮れると、しばしば深い靄が下りる、十二月の初旬近くで、並木の柳や鈴懸などが、とうに黄いろい葉をふるっていた、ある雨あがりの夜の事である。自分は神田の古本屋を根気よくあさりまわって、欧洲戦争・・・<芥川竜之介「毛利先生」青空文庫>
  3. ・・・――十一月初旬で――松蕈はもとより、しめじの類にも時節はちと寒過ぎる。……そこへ出盛る蕈らしいから、霜を越すという意味か、それともこの蕈が生えると霜が降る……霜を起すと言うのかと、その時、考うる隙もあらせず、「旦那さんどうですね。」とその魚・・・<泉鏡花「小春の狐」青空文庫>
  4. ・・・彼ら五人の親子は、五月の初旬にG村へ引移ったのであった。 彼は、たちまちこのあばらやの新生活に有頂天だったのである。そしてしきりに生命とか、人類の運命とか、神とか愛とかいうことを考えようとした。それが彼の醜悪と屈辱の過去の記憶を、浄化す・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  5.  私は奈良にT新夫婦を訪ねて、一週間ほど彼らと遊び暮した。五月初旬の奈良公園は、すてきなものであった。初めての私には、日本一とも世界一とも感歎したいくらいであった。彼らは公園の中の休み茶屋の離れの亭を借りて、ままごとのような理想的な新婚・・・<葛西善蔵「遊動円木」青空文庫>
  6. ・・・ 九月初旬三度目に行ったときには宿の池にやっと二三羽の鶺鴒が見られた。去年のような大群はもう来ないらしい。ことしはあひるのコロニーが優勢になって鶺鴒の領域を侵略してしまったのではないかと思われる。同じような現象がたとえば軽井沢のよう・・・<寺田寅彦「あひると猿」青空文庫>
  7. ・・・     二 とんぼ 八月初旬のある日の夕方信州星野温泉のうしろの丘に散点する別荘地を散歩していた。とんぼが一匹飛んで来て自分の帽子の上に止まったのを同伴の子供が注意した。こういう事はこの土地では毎日のように経験することであ・・・<寺田寅彦「三斜晶系」青空文庫>
  8. ・・・五月初旬であったかと思う。ニューヨークの宿へ荷物をあずけて冬服のままでワシントンへ出かけた時には春のような気候であった。華府を根拠にしてマウント・ウェザーの気象台などを見物して、帰ってくると非常な暑さで道路のアスファルトは飴のようになり、馬・・・<寺田寅彦「夏」青空文庫>
  9. ・・・しかし明治四十三年八月初旬の水害以後永くその旧居に留ったものは幸田淡島其角堂の三家のみで、その他はこれより先既に世を去ったものが多かった。堤上の桜花もまた水害の後は時勢の変遷するに従い、近郊の開拓せらるるにつれて次第に枯死し、大正の初に至っ・・・<永井荷風「向嶋」青空文庫>
  10. ・・・よって本月初旬より、内外の社員教員相ともに談じたることもあれば、自今都合次第にしたがい、教場また教則に少しく趣を変ずることもあるべし。学生諸氏は決してこれを怪しむなかれ。吾々は諸氏の自尊自重を助成する者なり。 本塾に入りて勤学数年、卒業・・・<福沢諭吉「慶応義塾学生諸氏に告ぐ」青空文庫>
  11. ・・・一九二九年の春から十二月初旬までパリ、ロンドン、ベルリンなどに行ったが。 モスクワでの生活と、その生活の感銘をもって比較しずにいられなかったロンドンやパリ、ベルリンの生活から、作者は真に資本主義社会の生活と社会主義社会での生活との相異を・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」青空文庫>
  12. ・・・ 十月初旬から中旬にかけて、モスクワ地方赤軍の演習があった。ロカフは演習へ参加するために積極的にプロレタリア作家を召集した。二十数名参加した。若い作家ばかりとは限らなかった。六十七歳のセラフィモーヴィッチが出かけた。「ツシマ」の作者ノヴ・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  13. ・・・その時は、オリザニンの注射その他の治療で直そうとし、大して苦情なく暮すようになって、貴方に初めてお目にかかれた十二月初旬には、もう自分の体のことなどお話する必要なく感じて居たのでした。今度は淀橋にいた時から注意をそこに集めていましたが徐々に・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  14. ・・・どんな慙愧の念をもって、昨年十月初旬、治維法の撤廃された事実を見、初めて公表された日本支配権力の兇暴に面をうたれたことだろう。 民主的な社会生活の根本には、人権の尊重という基底が横わっている。人権尊重ということは、正当な思想を抑圧して小・・・<宮本百合子「今日の生命」青空文庫>
  15. ・・・来る八月初旬に再び大規模の公聴会がひらかれるであろう。 四、東宝のその後。 日本の民主化とともに最も積極的に従業員組合を組織し、文化的に娯楽的に優秀な映画を製作してきた東宝第一組合が「焔の男」製作企画について経営者側と対立したこ・・・<宮本百合子「今日の日本の文化問題」青空文庫>
  16. ・・・     十一月初旬の或日やや Fatal な日のこと。梅月でしる粉をたべ。 午後久しぶりでひる風呂、誰もいず。髪をあらう、そのなめらかな手ざわりのなごやかさ。 日当ぼっこ、髪かわかしカンス椅子 ・・・<宮本百合子「情景(秋)」青空文庫>
  17. ・・・     桃色と赤のスイートピー ◎銀座の六月初旬の夜、九時すぎ ◎山崎の鈍く光る大硝子飾窓 ◎夕刊の鈴の音、 ◎古本ややさらさの布売の間にぼんやり香水の小さい商品をならべて居る大きな赧髭のロシア人 ◎気がつ・・・<宮本百合子「一九二三年夏」青空文庫>
  18. ・・・三月初旬に、Yは大腸カタールをした。家にいては食物の養生が厳格に行かない。「病院へ入る方がいいのよ、」と私が云った。「そう――だが温泉に行きたいな。」この一言が、我々を九州まで運ぶ機縁になろうと誰が思いがけよう。「温泉て――何処?」「別府ど・・・<宮本百合子「長崎の印象」青空文庫>
  19. ・・・十二月初旬、湯浅芳子と共にソヴェト・ロシアへ出発した。十二月十五日モスクワに着く。一九二八年単行本『伸子』が改造社から出版された。春「モスクワの印象」。秋「赤い貨車」をモスクワから送った。この夏、八月一日、故国で・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  20. ・・・ 九月の初旬、母は、憤って私を呼びつけられた。 如何程、熱心と誠意とで説明しただろう。 自分は、一大危機に面して居るのを覚えた。どうかして、彼女に理解し、納得して貰わなければならない。芸術家としての一生には、此から、猶此様なこと・・・<宮本百合子「二つの家を繋ぐ回想」青空文庫>
  21. ・・・ 五月初旬の雨上りの日、石川は久しぶりで病人の様子を見に行った。「旦那は?」「御散歩でしょう」 龍の髯を植えた小径から庭へ入ろうとする石川の行手に、ぱっと牡丹の花とその前に佇んで我を忘れている幸雄の姿が写った。この間来たとき・・・<宮本百合子「牡丹」青空文庫>
  22. ・・・ 今年は九月下旬から十月初旬にかけて日本西部が深刻な風水害をうけた。山陽本線は一ヵ月も故障したのであった。義弟が原子爆弾の犠牲となったため田舎へ帰ったが、急な帰京が必要となって、呉線の須波―三原の間、姫路の二つ三つ先の駅から明石まで、徒・・・<宮本百合子「みのりを豊かに」青空文庫>
  23. ・・・昭和二十年十一月の初旬、日本の帝国主義侵略戦争の動因の一つである財閥の解体命令が連合軍司令部から発せられた。三井、三菱、住友、安田の四大財閥が解消せられることになった。日本を破壊に導き、七千万の人口を限りない苦痛に陥入れている財閥が、解体せ・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>