しん‐ろ【進路】例文一覧 22件

  1. ・・・そのうちに××は大うねりに進路を右へ曲げはじめた。同時にまた海は右舷全体へ凄まじい浪を浴びせかけた。それは勿論あっと言う間に大砲に跨った水兵の姿をさらってしまうのに足るものだった。海の中に落ちた水兵は一生懸命に片手を挙げ、何かおお声に叫んで・・・<芥川竜之介「三つの窓」青空文庫>
  2. ・・・ 人生の進路も、生活の形態も、一元的に決定することはできないであろう。故に、一つの主義が勃興すれば、それと対蹠的な主義が生起する。かくして、その相剋の間に真理は見出されるのを常とします。しかし、真の殉教者は、そのいずれに於ても、狂信的な・・・<小川未明「文化線の低下」青空文庫>
  3. ・・・てを出し切って居ませんよ、という、これはまた、おそろしく陳腐の言葉、けれどもこれは作者の親切、正覚坊の甲羅ほどの氷のかけら、どんぶりこ、どんぶりこ、のどかに海上ながれて来ると、老練の船長すかさずさっと進路をかえて、危い、危い、突き当ったら沈・・・<太宰治「二十世紀旗手」青空文庫>
  4. ・・・ 論文に譬えると、あの婦人雑誌の「新婦人の進路」なんていう題の、世にもけがらわしく無内容な、それでいて何やら意味ありそうに乙にすましているあの論文みたいなものだということになりそうだ。 どんなに自分が無内容でも、卑劣でも、偽善的でも・・・<太宰治「如是我聞」青空文庫>
  5. ・・・ つまり各部門においては現在既知の知識の終点を究め、同時に未来の進路に対して適当の指針を与え得るものが先ず理想的の権威と称すべきものではあるまいか。 現在既知の科学的知識を少しの遺漏もなく知悉するという事が実際に言葉通りに可能である・・・<寺田寅彦「科学上における権威の価値と弊害」青空文庫>
  6. ・・・、降雨等の空間的時間的分布等についてはなかなか詳しく調べ上げられているのであるが、肝心の颱風の成因についてはまだ何らの定説がないくらいであるから、出来上がった颱風が二十四時間後に強くなるか弱くなるか、進路をどの方向にどれだけ転ずるかというよ・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  7. ・・・ 台風の襲来を未然に予知し、その進路とその勢力の消長とを今よりもより確実に予測するためには、どうしても太平洋上ならびに日本海上に若干の観測地点を必要とし、その上にまた大陸方面からオホツク海方面までも観測網を広げる必要があるように思われる・・・<寺田寅彦「天災と国防」青空文庫>
  8. ・・・従ってそれから判断してその日の低気圧の進路のおおよその見当をつける事が可能になるのである。 気象に関係のありそうなのでは「たぬきの腹鼓」がある。この現象は現代の東京にもまだあるかもしれないがたぶんは他の二十世紀文化の物音に圧・・・<寺田寅彦「化け物の進化」青空文庫>
  9. ・・・もし我々が小説家から、人間と云うものは、こんなものであると云う新事実を教えられたならば、我々は我々の分化作用の径路において、この小説家のために一歩の発展を促されて、開化の進路にあたる一叢の荊棘を切り開いて貰ったと云わねばならんだろうと思いま・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  10. ・・・人生の風波の間に、自分という可愛い小舟をホンローさせず、人間、女として自身の進路を見出してゆかなければならないと思います。 どうか皆さま、お元気に。よろこびが、あなたの前途にみちているように。苦しみと悲しみがあなたを囲んだとき、涙の・・・<宮本百合子「新しい卒業生の皆さんへ」青空文庫>
  11. ・・・ 中断されたこの時期に、評論集としては、『昼夜随筆』『明日への精神』『文学の進路』などが出版されている。『文学の進路』のほかの二冊の評論集にも、文学についてのものがいくらかずつ収められていた。 この選集第十一巻には、四十二篇の文芸評・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」青空文庫>
  12. ・・・総選挙という方法は民主の方法であろうが、その方法を通じて反映された今日の日本の現実は、どんなに国内の保守の権力が根づよく、組織的で、日本が民主化して行こうとする進路をふさいでいるかという事実が、外人記者の観察にもはっきり語られたのである。総・・・<宮本百合子「一票の教訓」青空文庫>
  13. ・・・同じころ、創作のためには非常に無理だった条件のなかで、しかも小説をかく必要があったとき、佐多稲子が「進路」という一篇をまとめたことは、彼女の作家的閲歴としてもプロレタリア文学史にとっても意味ふかいことであった。一人の労働者の若者を主人公とし・・・<宮本百合子「解説(『風知草』)」青空文庫>
  14. ・・・「進路」でも作者と主人公がくっついていたが、そういうところがあるといね公が云って居ました。直子さんにきょう郵便局のところで会ったら感心しましたと云われ、私は、いろいろ問題があるでしょうがと挨拶せざるを得なかったわけです。季吉さんたちから左向・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  15. ・・・ 私どもは、彼等が愛する日本の進路を誤らせるために山積した罪悪を決して忘れることはないのである。 公私逆立った既成政党の腐敗が、忽ち、婦人参政の新しい地域まで悪質な性病のような急スピードで蔓延しつつある。戦争犯罪によって頭株をとられ・・・<宮本百合子「逆立ちの公・私」青空文庫>
  16. ・・・所謂女らしさと云う曖昧な軛と、極端な家族制度の弊と、男性の無智と不備な社会制度は、進路を展こうとする女性に無限の苦悩を与えて居ります。其上に、長い伝習と、不具な教育とは、女性自らの体力と智力とをも束縛して居ります。従って、現代の日本の女性の・・・<宮本百合子「C先生への手紙」青空文庫>
  17. ・・・は当日の暴風と濃霧によって進路測定に誤差が生じたことを遭難の原因として詳細に地理的に報告した。そして「民間航空発展の貴い人柱」となった人々への哀悼、遺族への慰問の責任を表明した。けれども、当時あの新聞をよんだ一般市民は、阿佐操縦士の妹きくえ・・・<宮本百合子「市民の生活と科学」青空文庫>
  18. ・・・明治二十年前後の一つのリアクシォンの時代は明治初年の啓蒙家たちの思想の進路に極めて微妙に作用しているのであるが、西村茂樹というひとなどの行きかたは、その一方の典型をなしているものではないだろうか。 そういうような全く文化史風な興味が、祖・・・<宮本百合子「繻珍のズボン」青空文庫>
  19. ・・・ 一体、なぜこのように自分の進路は、いつもいつも阻止されなければならないのだろう。 彼女は畏怖と失望に混乱した心持で、その断れ目もなく続いている牆壁を観察し始めたのである。 そして、これは、お前達を不仕合わせな目に合わせないため・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  20.  日本は誰のものか。八月十四日の読売新聞で、吉田茂、馬場恒吾の対談の大見出しをみてはげしい反問を感じなかったひとは、一人もなかったろう。「日本の進路」について、何よりも先に「外国人の安住地に」と大見出しがつくような話をする一・・・<宮本百合子「日本は誰のものか」青空文庫>
  21. ・・・    執筆この年は文学評論集『文学の進路』、『私たちの生活』――婦人のための評論集――が出版された。一九四二年この年はまだ健康を回復せず眼も見えず、読書もひとりでできなかった。十月中旬に、宮本の誕生日のためにや・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  22. ・・・代議士になり、政権をとるためには、多数が好都合だから、本当は、民主日本の進路を妨げる反動勢力と知りつつ、それに属し、ゴジ論を流布して、当選を当てこんでいる次第であろう。 憲法というものは、明治の日本でも、自由民権の論とその運動とをつぶし・・・<宮本百合子「矛盾とその害毒」青空文庫>