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すす・める【勧める/奨める】例文一覧 24件

  1. ・・・殊にある夜は喜三郎が、例のごとく薬を勧めると、甚太夫はじっと彼を見て、「喜三郎。」と弱い声を出した。それからまたしばらくして、「おれは命が惜しいわ。」と云った。喜三郎は畳へ手をついたまま、顔を擡げる事さえ出来なかった。 その翌日、甚太夫・・・<芥川竜之介「或敵打の話」青空文庫>
  2. ・・・あるいはそれでも知らぬ顔をすると、今度は外国語の授業料の代りに信仰を売ることを勧めるのである。殊に少年や少女などに画本や玩具を与える傍ら、ひそかに彼等の魂を天国へ誘拐しようとするのは当然犯罪と呼ばれなければならぬ。保吉の隣りにいる少女も、―・・・<芥川竜之介「少年」青空文庫>
  3. ・・・湯治を勧める。あるいは商売附合いの宴会へも父親の名代を勤めさせる――と云った具合に骨を折って、無理にも新蔵の浮かない気分を引き立てようとし始めました。そこでその日も母親が、本所界隈の小売店を見廻らせると云うのは口実で、実は気晴らしに遊んで来・・・<芥川竜之介「妖婆」青空文庫>
  4. ・・・そして仲裁者が一杯飲もうと勧めるのも聴かずに妻を促して自分の小屋に帰って行った。佐藤の妻は素跣のまま仁右衛門の背に罵詈を浴せながら怒精のようについて来た。そして小屋の前に立ちはだかって、囀るように半ば夢中で仁右衛門夫婦を罵りつづけた。 ・・・<有島武郎「カインの末裔」青空文庫>
  5. ・・・両親兄弟が同意でなんでお前に不為を勧めるか。先度は親の不注意もあったと思えばこそ、ぜひ斎藤へはやりたいのだ。どこから見たって不足を言う点がないではないか、生若いものであると料簡の見留めもつきにくいが斎藤ならばもう安心なものだ。どうしても承知・・・<伊藤左千夫「春の潮」青空文庫>
  6. ・・・こう、僕が所在なさに勧めると、「もう、すんだの」と、吉弥はにッこりした。「おッ母さんは?」「赤坂へ行って、いないの」「いつ帰りました?」「きのう」「僕の革鞄を持って来てくれたか、ね?」これはわざと聴いたのだ。「あ・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  7. ・・・それもたって勧めるではなく、彼の癖として少し顔を赤らめて、もじもじして、丁寧に一言「行きませんか」と言ったのです。 私はいやと言うことができないどころでなく、うれしいような気がして、すぐ同意しました。 雪がちらつく晩でした。 木・・・<国木田独歩「あの時分」青空文庫>
  8. ・・・ 昨夜磯吉が飛出した後でお源は色々に思い難んだ末が、亭主に精出せと勧める以上、自分も気を腐らして寝ていちゃ何もならない、又たお隣へも顔を出さんと却て疑がわれるとこう考えたのである。 其処で平常の通り弁当持たせて磯吉を出してやり、自分・・・<国木田独歩「竹の木戸」青空文庫>
  9. ・・・しかもそれにもかかわらず私は勧める。夢多く持て、若き日の感激を失うな。ものごとを物的に考えすぎるな。それは今の諸君の環境でも可能なことであると。私は学生への同情の形で、その平板と無感激とをジャスチファイせんとする多くの学生論、青年論の唯物的・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  10. ・・・川音と話声と混るので甚く聞き辛くはあるが、話の中に自分の名が聞えたので、おのずと聞き逸すまいと思って耳を立てて聞くと、「なあ甲助、どうせ養子をするほども無い財産だから、嚊が勧める嚊の甥なんぞの気心も知れねえ奴を入れるよりは、怜悧で天賦の良い・・・<幸田露伴「雁坂越」青空文庫>
  11. ・・・「姉さんはそういうけれど、私の勧めるのは養生園ですよ。根岸の病院なぞとは、病院が違います。そんなに悪くない人が養生のために行くところなんですから、姉さんには丁度好かろうかと思うんです。今日は私も行って見て来ました。まるで普通の家でした。・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
  12. ・・・そうしてそれから鴎外は、「皆が勧めるから嫌な酒を五六杯飲んだ。」と書いてある。顔をしかめて、ぐいぐい飲んだのであろう。やけ酒に似ている。この作品発表の年月は、明治四十二年五月となっている。私たちの生れない頃である。鴎外の年譜を調べてみると、・・・<太宰治「花吹雪」青空文庫>
  13. ・・・しかし、悪いことを咎めるのが大切であると同時に善いことを勧めるのもなおさら肝要である。議会でも暴露の泥仕合にのみ忙しくして積極的に肝要な国政を怠れば真面目な国民は決して喜ばないであろうと同様に、学位授与の弊害のみを誇大視して徒らにジャーナリ・・・<寺田寅彦「学位について」青空文庫>
  14. ・・・そして医者や友達の勧めるがまま運動を始めた。テニスもやった、自転車も稽古した。食物でも肉類などはあまり好きでなかったのが運動をやり出してから、なんでも好きになり、酒もあの頃から少し飲めるようになった。前には人前に出るとじきにはにかんだりした・・・<寺田寅彦「枯菊の影」青空文庫>
  15. ・・・に、ある高貴な姫君と身分の低い男との恋愛事件が暴露して男は即座に成敗され、姫には自害を勧めると、姫は断然その勧告をはねつけて一流の「不義論」を陳述したという話がある。その姫の言葉は「我命をおしむにはあらねども、身の上に不義はなし。人間と生を・・・<寺田寅彦「西鶴と科学」青空文庫>
  16. ・・・ かように、一方では遁世を勧めると同時に、また一方では俗人の処世の道を講釈しているのが面白い。これは矛盾でもなんでもない。ただ同じ事のちがった半面を云っているのであろう。 世間に立交わって人とつき合うときの心得を説いたものが案外に多・・・<寺田寅彦「徒然草の鑑賞」青空文庫>
  17. ・・・後で二人ゆっくり行こうと言って断わっておいたけれど、お絹が勧めるので、やっぱり行くことにして、二階で著物を著かえて、下へ来ていた。お芳はまだ著かえなかった。 しかし劇場へ行ってみると、もう満員の札が掲って、ぞろぞろ帰る人も見受けられたに・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  18. ・・・唖々子は高等学校に入ってから夙くも強酒を誇っていたが、しかしわたしともう一人島田という旧友との勧める悪事にはなかなか加担しなかった。然るにその夜突然この快挙に出でたのを見て、わたしは覚えず称揚の声を禁じ得なかったのだ。「何の本だ。」とき・・・<永井荷風「梅雨晴」青空文庫>
  19. ・・・なぜそんな所へ行くのかと聞いたら別にたいした意味もないが、ただ口を頼んでおいた先輩が、行ったらどうだと勧めるからその気になったのだと答えた。それにしてもHはあんまりじゃないか、せめて大阪とか名古屋とかなら地方でも仕方がないけれどもと、自分は・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
  20. ・・・「せっかく、姉さんも、ああ云って勧めるものだから、どうだろう、いっそ、そうしたら」と碌さんが圭さんの方を向く。圭さんは相手にしない。「ここも阿蘇だって、阿蘇郡なんだろう」とやはり下女を追窮している。「ねえ」「じゃ阿蘇の御宮ま・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  21. ・・・ ぐずぐずして居ると突飛ばされる、早い足なみの人波に押されて広場へ出ると、首をひょいとかたむけて、栄蔵の顔をのぞき込みながら、揉手をして勧める車夫の車に一銭も値切らずに乗った。 法外な値だとは知りながら、すっかり勝手の違った東京の中・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>
  22. ・・・けれども、若し男性が、その時一時の気の毒さや興奮から、それを肯って、却って後に不幸を招くようなことをするよりは、静に考え、寧ろ結婚するよりは、友達として平和な交際を続けることを勧めるほかないことさえあります。 斯様に、全く自己の選択と意・・・<宮本百合子「男女交際より家庭生活へ」青空文庫>
  23. ・・・ 竹が台所から出て来て、饂飩の代りを勧めると、富田が手を揮って云った。「もういけない。饂飩はもう御免だ。この家にも奥さんがいれば、僕は黙って饂飩で酒なんぞは飲まないのだが。」 これが口火になって、有妻無妻という議論が燃え上がった・・・<森鴎外「独身」青空文庫>
  24. ・・・同じ長屋に住むものが、あれでは体が続くまいと気づかって、酒を飲むことを勧めると、仲平は素直に聴き納れて、毎日一合ずつ酒を買った。そして晩になると、その一合入りの徳利を紙撚で縛って、行燈の火の上に吊るしておく。そして燈火に向って、篠崎の塾から・・・<森鴎外「安井夫人」青空文庫>