出典:デジタル大辞泉(小学館)

非磁性体の金属や半導体電流を流すと、電流と垂直の方向に電子スピンの流れ(磁気の流れ)が発生する現象。電流の替わりにスピン流を利用するスピントロニクスへの応用が期待されている。

[補説]電子には電荷とスピンという二つの性質があり、スピンには上向きと下向きの二つの状態がある。非磁性体に電流を流すと、上向きスピン電子と下向きスピン電子が、それぞれ電流と直交する方向の両端に分かれて蓄積する結果、スピン流が生じる。従来、非磁性体の中でスピン流を発生させるためには強磁性体(磁石)が必要と考えられていたが、スピンホール効果を利用することで、電流によってスピン流を発生させ磁化を制御できるようになる。上向き・下向きのスピンを二進数の0・1に対応させることで演算や記憶に利用することができ、高速低消費電力の次世代スピントロニクス素子の開発が期待されている。スピンホール効果に続いて、スピン流が電流に変換される「逆スピンホール効果」や、磁石の両端に温度差を与えると磁気の流れが発生する「スピンゼーベック効果」なども相次いで発見されている。なお、電流の流れている金属や半導体に磁場をかけると、電流と磁界に直交する方向に電圧が発生する現象をホール効果という。