せい‐いく【生育】例文一覧 20件

  1. ・・・ 時に、その年は、獲ものでなしに、巣の白鷺の産卵と、生育状態の実験を思立たれたという。……雛ッ子はどんなだろう。鶏や、雀と違って、ただ聞いても、鴛鴦だの、白鷺のあかんぼには、博物にほとんど無関心な銑吉も、聞きつつ、早くまず耳を傾けた。・・・<泉鏡花「神鷺之巻」青空文庫>
  2. ・・・各階級層を通じて、本能的に生育しつつある児童の生活を見、理論でなしに愛情によってはぐくまんとします。かゝる一群の作家こそ、独り芸術の力の何たるかを解し、そして、童話こそは、詩的要素に富む、芸術でなければならぬと主張する輩です。 学校・・・<小川未明「新童話論」青空文庫>
  3. ・・・されどその民の土やせて石多く風勁く水少なかりしかば、聖者がまきしこの言葉も生育に由なく、花も咲かず実も結び得で枯れうせたり。しかしてその国は荒野と変わりつ。       路傍の梅 少女あり、友が宅にて梅の実をたべしにあまりに・・・<国木田独歩「詩想」青空文庫>
  4. ・・・その児の生育のためには、母はたのしんでその心血をしぼるのである。年少の者が、かくして自己のために死に抗するのも自然である。長じて、種のために生をかろんずるにいたるのも、自然である。これは、矛盾ではなくして、正当の順序である。人間の本能は、か・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
  5. ・・・なる生殖は常に健全なる生活から出るのである、斯くて新陳代謝する、種保存の本能大に活動せるの時は、自己保存の本能は既に殆ど其職分を遂げて居る筈である、果実を結ばんが為めには花は喜んで散るのである、其児の生育の為めには母は楽しんで其心血を絞るの・・・<幸徳秋水「死生」青空文庫>
  6. ・・・ ロマンスの洪水の中に生育して来た私たちは、ただそのまま歩けばいいのである。一日の労苦は、そのまま一日の収穫である。「思い煩うな。空飛ぶ鳥を見よ。播かず。刈らず。蔵に収めず。」 骨のずいまで小説的である。これに閉口してはならない。無・・・<太宰治「一日の労苦」青空文庫>
  7. ・・・彼の過敏になった想像はもうそれが立派に生育して花をつけたさまを描いていた。某画伯のこの花を写生した気持ちのいい絵の事をも思い出したりしていた。 再び通りかかった細君に「オイわかったよ、フリージアだよ、これは……」と言って説明しようとした・・・<寺田寅彦「球根」青空文庫>
  8. ・・・ 東京市全部の地図が美しい大公園になってそこに運動場や休息所がほどよく配置され、地下百尺二百尺の各層には整然たる街路が発達し、人工日光の照明によって生育された街路樹で飾られている光景を想像することもそれほど困難ではないように思われるので・・・<寺田寅彦「地図をながめて」青空文庫>
  9. ・・・しかしそれはごく近代のことであって、日清戦争以前の本来の日本人を生育して来た気候はだいたいにおいて温帯のそれであった。そうしていわゆる温帯の中での最も寒い地方から最も暖かい地方までのあらゆる段階を細かく具備し包含している。こういうふうに、互・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  10. ・・・ サイクラメンのほうは少し生育が充分でなかった。花にもなんだか生気が少なく、葉も少し縮れ上がって、端のほうはもう鳶色に朽ちかかっていた。自分はこの花について妙な連想がある。それはベルリンにいたころの事である。アカチーン街の語学の先生の誕・・・<寺田寅彦「病室の花」青空文庫>
  11. ・・・蚕を養うにも家人自からすると雇人に打任せるとは其生育に相違ありと言う。況んや自分の産みたる子供に於てをや。人任せの不可なるは言わずして明白なる可し。世間の婦人或は此道理を知らず、多くの子を持ちながら其着物の綻を縫うは面倒なり、其食事の世話は・・・<福沢諭吉「新女大学」青空文庫>
  12. ・・・人の智徳は教育によりておおいに発達すといえども、ただその発達を助くるのみにして、その智徳の根本を資るところは、祖先遺伝の能力と、その生育の家風と、その社会の公議輿論とにあり。蝦夷人の子を養うて何ほどに教育するも、その子一代にては、とても第一・・・<福沢諭吉「徳育如何」青空文庫>
  13. ・・・その巖の特殊な現象と、その小島に限って南洋植物が生育しているのとが、青島を著名にしているのだが、私共は大してびっくりしなかった。宮崎県では、大事な名所の一つとしているのだろうが、島中に青島神社を祭ったぎり、その特徴ある島の成因について、科学・・・<宮本百合子「九州の東海岸」青空文庫>
  14. ・・・ 外見上の文学の繁昌が、その本質に対する疑問を喚びさましている一方、この一般的な活況の中には、やはり本ものの文学が生育されて行く或る可能というものも見えがくれしているのが実際である。文学とは何であろうかという、文学への新しい考え直しの慾・・・<宮本百合子「今日の文学と文学賞」青空文庫>
  15. ・・・で、現代は民衆の文化水準と知識人の文化水準とが、社会機構の欠陥から余り隔絶しすぎてしまっている、知識人は民衆が現実としてもっている文化水準へ歩みよる努力をしなければならない、そこに新たな文化の生育の可能とヒューマニズムの芽とがかくされている・・・<宮本百合子「全体主義への吟味」青空文庫>
  16. ・・・人々の驚歎するような精励をもって、ゴーリキイは当時のロシアの若い作家たちの生育のために助力していたし、ソヴェト社会の建設に注目をも怠らなかった。そうではあってもイタリーはイタリーなのであるし、日常の皮膚から入って来るような生活的影響というも・・・<宮本百合子「長篇作家としてのマクシム・ゴーリキイ」青空文庫>
  17. ・・・ 若し彼が今日まで居、私も又今通りに生育して来たものとすれば、彼と私との間には互に辛い争闘を起さなければならなかったろうし又小さかった時分の種々の思い出に苦がい涙を味わせられた事であったろう。 私は正直に打ちあける。 彼の日の彼・・・<宮本百合子「追憶」青空文庫>
  18. ・・・読書にたいする日本の婦人の生育の過程はいまその一般の数の増大の第二の時期をへつつあるとも見られる。この土台の上に、婦人としての読書の質が高められなければならない。 アメリカなどでは、がいして女の人の方がよけい本を読むということが周知の事・・・<宮本百合子「婦人の読書」青空文庫>
  19. ・・・自然は生育の過程の何時の間にか、堅い折れ易い骨の裡に、流動する液体を与えた。 誰が与えられた時を知り、その動揺を知覚し得よう。けれども在る事は事実である。無くては居られない。持たずには居られない。その、神秘的な液体と倶に、人を産んだ「祖・・・<宮本百合子「無題」青空文庫>
  20. ・・・ その淋しさが更に強い力で我々を生育させ確かな心で自分の進もうとする道をたどらせる様になる事は必ず左様あるべき事である。<宮本百合子「無題(四)」青空文庫>