せい‐しん【生新】例文一覧 15件

  1. ・・・けれども、彼におけるその合理主義は決してショウのものではなくて、菊池寛という一個の日本の作家の身についているものであったことは、その合理性そのものが、当時の日本の思想と文学潮流とにとって或る意味では生新なものであったにかかわらず、本質の要素・・・<宮本百合子「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」青空文庫>
  2. ・・・はその描線にいかようの省略があろうとも人間云いならわした愛という言葉、よろこびという言葉、またその歎きに、どのように生新な歴史の質量がうらづけられてゆくものかということについて省略していない。大らかな虹の光りの下に立つ愛の歓喜が心情の純粋に・・・<宮本百合子「解説(『風知草』)」青空文庫>
  3. ・・・ 観光日本が眼をたのしませる何をもつか、ということも大切だろうが其を通じて観る人の精神に如何なる生新な人生の断片をもたらし得たかということこそ大切だと思う。 従来の支那は観光客のために歴代何一つしなかった 葬式されずにころがっている・・・<宮本百合子「観光について」青空文庫>
  4. ・・・ヨーロッパ戦争という諸条件の後に炭坑夫の息子ローレンスを生んだのであって、日本の自由主義と民主主義とを知らず、又一方に於てキリスト教の女性崇拝の伝統をも持たない社会の現実の中では、生活的にも文学的にも生新なものを生むことは不可能であった。・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  5. ・・・世界のプロレタリア文学運動は、世界のブルジョア文化とその文学の創造能力の矛盾と限界を見いだして、人類史の発展的モメントとして現世紀に登場している勤労階級の生新な創造性を自覚したところに生れたのであった。 二八年ころ、日本の進歩的社会科学・・・<宮本百合子「作家の経験」青空文庫>
  6. ・・・日に日に新たなる日本であるから、新日本主義も響きとして生新なようでもあるが、日本文学を新たな角度から把握しようとするその態度・方向においては、その非科学的・非歴史的ロマンチシズムに対して、すでに夥しい疑問が一般常識の裡から発せられているので・・・<宮本百合子「近頃の話題」青空文庫>
  7. ・・・生活そのものに生新溌剌な意欲が漲って、文学でも新しい境地の開拓が自然に人々を誘っているような時代、批評の精神も沈滞していよう筈はないのである。 時代によって、人間の善意の表現も極々の転形を示すのだが、今日私たち日本の文学の成長の可能は、・・・<宮本百合子「地の塩文学の塩」青空文庫>
  8. ・・・描写の手法も長篇小説の分野に或る生新さを与えるものをもっている。フランス文学が「ジャン・クリストフ」を持っていることは、一つの誇りであるが、この「チボー家の人々」はその後の世代の姿を、描かれている内容によってばかりでなくその描きかたにおいて・・・<宮本百合子「次が待たれるおくりもの」青空文庫>
  9. ・・・過去十数年に亙った政府の精神圧殺方針に対して堅い内部抵抗の力を保っていて、今日、将に、その重石がとれ、生新溌剌な圧力の高い迸りを見せている部分も、明らかに存在している。だがこの節の一般文化面を見わたしたとき、私たちの率直な感想は、どうだろう・・・<宮本百合子「「どう考えるか」に就て」青空文庫>
  10. ・・・何か目をそらし何か正面から自身の心とさえ取組もうとしない今日の多数のインテリゲンツィアを、先ず自身の日常の可能の自覚の前にぴったりと引据えること、その任務こそ、ヒューマニズムが生新溌剌とした新文芸思潮として負うている任務の最も重大な一つであ・・・<宮本百合子「ヒューマニズムへの道」青空文庫>
  11. ・・・「世界のプロレタリア文学運動は、世界のブルジョア文化とその文学の創造能力の矛盾と限界とを見出して、人類史の発展的モメントとして現世紀に登場している勤労階級の生新な創造性を自覚したところに生れたのであった」といっているとおり。 今日課・・・<宮本百合子「プロレタリア文学の存在」青空文庫>
  12. ・・・ そういう文壇というものが、作家生活と文学を生新にする力を欠いていることを疑うものは最早一人もないであろうと思う。作家よ、そして、作家たらんとする人々よ、文壇を蹴って、颯爽と大衆の海へ抜手を切れ、と呼ぶことは、おのずからそこに風の吹きわ・・・<宮本百合子「文学の大衆化論について」青空文庫>
  13. ・・・だがルポルタージュは、文学に生新な局面を開花せしめることは出来なかった。この間の消息が、今日の文学の帯びている複雑な相貌なのではなかろうか。 よかれあしかれ、望むと望まないにかかわらず現実は動いている。常に苦痛と希望とを綯いまぜて、人間・・・<宮本百合子「文学の流れ」青空文庫>
  14. ・・・それにもかかわらず、一人の女として人生に向ってゆく気魄の点では何一つ生新なものを示していない。かえって年をとっている男の作家の方が現実生活の中へ何か人間として前時代よりも前進したものを求める態度である。教育や目下働いている務め先の知的な性質・・・<宮本百合子「山の彼方は」青空文庫>
  15. ・・・ 古典の活きた再評価のためにはこの本のほかに、今続刊されている『日本古典読本』なども、今日における国文学の味いかた、理解しかたの点で或る生新な努力が試みられていると思う。<宮本百合子「若い世代のための日本古典研究」青空文庫>