せい‐ずい【精髄】例文一覧 25件

  1. ・・・発声映画の精髄をつかんだものだという気がする。これと同じようなことをドイツ人日本人がやればまずたいていは失敗するから妙である。 二人の若者の出帆を見送ったイドウ親爺とテレーズとが話しながら埠頭を帰って来る。親爺が「これが運命というものじ・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  2. ・・・大火と名のつく程度になってしまってしかも三十メートルの風速で注水が霧吹きのように飛散して用をなさないというような場合に、いかにして火勢を、食い止めないまでも次第に鎮圧すべきかということでも、現代科学の精髄を集めた上で一生懸命研究すれば決して・・・<寺田寅彦「函館の大火について」青空文庫>
  3. ・・・明暸なのは局部に過ぎぬけれども、この局部が king を代表してしかるべき精髄であるからして、ここが明暸に見えれば全体を明暸に見たと同じ事になる。取も直さず物を見るべき要点を沙翁が我々に教えてくれたのであります。この要点は全体を明かにするに・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  4. ・・・プロレタリア文学運動が、二十世紀の世界文学の一発展としてもたらした文学の社会性、階級性についての諸観点、および作品の芸術的実感と歴史に対する客観的認識力との微妙な生きた関係の探求などは、民主的な文学の精髄をなす。なぜなら民主的な芸術感覚はそ・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」青空文庫>
  5. ・・・由来、日本の芸道の精髄は気稟にあった。気魄ということは芸術の擬態、くわせものにまでつかわれるものであるが、これらの場合の進退には、そういう古典的意味での伝統さえ活かされていないのはどういうのであろう。 六月某日。 オペラの「蝶々夫人・・・<宮本百合子「雨の小やみ」青空文庫>
  6. ・・・民族のさまざまな特質やその特質を更に個性のニュアンスで音楽にうちこめている作品の再現としての演奏が、純粋に音の領域から入ってその精髄にふれてゆくことも、いろいろと考えさせて感興ふかかった。 音楽にも民族の性格が顕著なのは自然だが、その自・・・<宮本百合子「音楽の民族性と諷刺」青空文庫>
  7. ・・・仮装の心理。仮装の面白さ。仮装のスリルは随分文学にも扱われて来た。仮装の精髄は、仮装しているものの中への感情移入であると文学は見ている。真偽の境がわれからぼやつくところにスリルがかくされていると見ているのである。〔一九三七年六月〕・・・<宮本百合子「仮装の妙味」青空文庫>
  8. ・・・キュリー夫妻の生涯の価値、科学者としての真のえらさは、一九〇四年の春のある日曜日の朝の会話にその精髄をあらわしていると思います。アメリカから来た一通の手紙が二人の間のテーブルの上におかれています。手紙は、アメリカの技術家からラジウム調製の方・・・<宮本百合子「キュリー夫人の命の焔」青空文庫>
  9. ・・・そして、そのようなわかりあえるあいてとして互を見出したとき、互に感じる魅力の飽きなさと、調和と、求めあう心などこそ恋愛の精髄で、それは結婚生活の永い年月を経ていよいよ豊富にされ、高められてゆくものだと知っているだろうと思う。 子供を産む・・・<宮本百合子「結婚論の性格」青空文庫>
  10. ・・・常に事物の本質をわかって行きたいと思う心持こそ、文化の核心の精髄であるとともに、人間の人間たる所以であると思う。 私たちが謙遜な心で今日の生活の諸相を省みたとき、文化の問題が最大の危険としてもっているものは何だろう。 いろいろの点が・・・<宮本百合子「今日の生活と文化の問題」青空文庫>
  11. ・・・しかし、ただ、食うものがない辛苦をしのいだだけであったなら、それがどんなに酷かったにしろこれらの不幸な兵士たちは、まだ、人間として生きてゆく精髄的なよりどころは失わないですんだであろう。食糧事情に絡んで、或る場所では、人々をおどろかした残忍・・・<宮本百合子「逆立ちの公・私」青空文庫>
  12. ・・・ 長篇・短篇と形の上での区分けが枝葉であるということも、作品の持ち味だとか、境地だとか、そんなものの翫味に散文としてこの小説の精髄はないと云われることも、それとして聞けば十分うなずけると思う。古来、本当に人間の肺腑にふれた文学作品で、た・・・<宮本百合子「人生の共感」青空文庫>
  13. ・・・ものを美しく精髄的につかうわざを会得してゆきたい。美しいものもそれが一定の関係の下では醜いものと転化してゆく、その瞬間に対して敏感でありたいとも願うのである。〔一九四一年七月〕<宮本百合子「生活のなかにある美について」青空文庫>
  14. ・・・健康な人間が健康な人間を殺戮するために科学の精髄をつくして研究している、その莫大なエネルギーと費用の幾分でもが、人類にとって不幸きわまりないこの病菌からの解放のためにふりむけられることこそ、ヒューマニティーの義務であると思わずにいられない。・・・<宮本百合子「病菌とたたかう人々」青空文庫>
  15. ・・・その数日は、それまでの数年間のくらしの精髄が若松のかおりをこめた丸い露の玉に凝って、ひろ子の心情に滴りおちるような日々であった。「――チェホフが、おくさんのクニッペルにやった手紙およみになった?」 ひろ子は、封筒の中へ、原稿をしまい・・・<宮本百合子「風知草」青空文庫>
  16. ・・・だが、吉行エイスケが中国の日常風景を作品に盛る場合、作者にとって主要な精髄は、銀座にあるとは種類の変った現代中国エロ・グロ風景だ。資本主義化された海港都市にあって一層グロテスクであるところの中国苦力に乞食。エロチックであるところの植民地中国・・・<宮本百合子「プロレタリア文学における国際的主題について」青空文庫>
  17. ・・・ 文芸評論家としてのベリンスキーの生々とした精神の精髄がここに現れている。ベリンスキーという人の存在が人類の発展にどういう歴史的な価値をもたらしたかということを理解する鍵がここにかくされている。そして、これらの明らかな理性と人間社会の未・・・<宮本百合子「ベリンスキーの眼力」青空文庫>
  18. ・・・文学作品のいのちは、訳しにくいような表現のなかに案外ふくまれているとも云えるのだから、もしそうだとすれば、私たちは読者として、云わば一番その作者らしくその作品らしい精髄はぬきすてたあとの、至極常識的な語感でもわかる部分だけ買わされ、よまされ・・・<宮本百合子「翻訳の価値」青空文庫>
  19. ・・・四月六日の『読売報知』には、ヒトラー、ムッソリニ礼讚の自著『世界の顔』についての、外人記者との対談で、「武士道は日本精神の精髄で、ナチス精神との間には多分の近似性がある」と、心ある全国民を戦慄させる断言をしている。ヨーロッパ、アメリカの政治・・・<宮本百合子「矛盾とその害毒」青空文庫>
  20. ・・・「過去数世紀に亙ってヨオロッパ人は、どんな困苦にも耐える決心で東洋の宝を――絹や硬玉の財宝や、あるいは哲学の精髄をヨオロッパに持ち帰ろうとしてやって来た。ところが、いままで自分たちの最も誇りとしていた何物かを失わずに獲物だけを得て帰ったもの・・・<宮本百合子「「揚子江」」青空文庫>
  21. ・・・字の伝統的感覚においても美しくしかもそのままローマ綴にしたとき、やはり世界の男が、この日本名の姓を彼らの感情に立って識別できるように扱われているところにも、私は鴎外の内部に融合していた西と東との文化的精髄の豊饒さを思う。この豊饒さは、ある意・・・<宮本百合子「歴史の落穂」青空文庫>
  22. ・・・ ほんの一部の例にすぎないこれらの作家たちは、芸術家としての精髄を注いで、虐げられた稚い肉体と精神のために代弁している。時代をとびこして今日の私たちの心をしっかりととらえる情熱を傾けて、いずれもその作家たちの代表的な作品として生み出して・・・<宮本百合子「若き精神の成長を描く文学」青空文庫>
  23. ・・・現代の苦しい社会的矛盾の間に生きて、ゆがむまいと欲する人間の努力を全面的に支持し、発展させる熱意こそ、今日のヒューマニズムの精髄であらねばならないと思うのである。〔一九三七年四月〕<宮本百合子「若き世代への恋愛論」青空文庫>
  24.  愛読という言葉の普通の使いかたとは違うけれども、非常に感銘をもってよみ、人類の歴史の精髄を学んだ二つの本をあげます。 エンゲルス著「家族・私有財産及国家の発生」 同     「空想から科学へ」 前者は、題名がこ・・・<宮本百合子「私の愛読書」青空文庫>
  25. ・・・仮面に精髄を抜き去ったる肉骸を覆うてごまかさんとするは醜の極みである。血なき大理石の像にも崇高と艶美はある。冷たきながらも血ある「理性権化」先生は蝦蟇と不景気を争う。この道徳の上に立つ教育主義は無垢なる天人を偽善の牢獄に閉じこむ。人格の光に・・・<和辻哲郎「霊的本能主義」青空文庫>