せい‐てき【静的】例文一覧 19件

  1. ・・・ 絵巻物の一画面は言わば静的である。その静的な一画面から次の画面への推移のリズムによって始めてそこに動的な効果を生じる。しかし映画の場合でもたとえばドブジェンコの「大地」などはほとんど静的な画面のモンタージュが多い。有名な「ポチョムキン・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  2. ・・・ この映画でいちばん自分の注意を引いたのはいろいろのシーンの静的画面の美しさである。実に美しい活人画がそれからそれと現われて来る。それがちょうど俳諧連句の句々の連珠のようなモンタージュによって次々に展開進行して行くのである。開巻第一に現・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  3. ・・・と同様な静的な画面をつないで行く手法が目につく。堰堤工事の起重機や汽車の運動は、見ているとめまいを起こすほどであるが、しかしその編集法はやはり静的で動的でない。 冒頭のドニエプル河畔の茫漠たる風景も静的である。こういう自然の中に生まれた・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  4. ・・・外の各種の舞踊に表われるような動的エネルギーの表出はなくて、すべてが静的な線と形の律動であるように思われた。 二番目の「地久」というのは、やはり四人で舞うのだが、この舞の舞人の着けている仮面の顔がよほど妙なものである。ちょっと恵比寿に似・・・<寺田寅彦「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  5. ・・・弓の毛髪と振動体とが複雑な週期的相対運動をしている際に摩擦係数がはたして静的係数と動的係数との間を不連続的に往復しているのか、それとももっと複雑な変化をしているのか、これについてはまだだれも徹底的に研究した人はないようである。 クントの・・・<寺田寅彦「日常身辺の物理的諸問題」青空文庫>
  6. ・・・実際多くの連作は一つの植え込みをいろいろな角度から飽かずいつまでもながめているような趣があって、この点ではどうしても静的であり絵画的である。しかし近来の連作と見らるるものの中には事件の進行を時間的に順次に描いて行く点で、たとえば活動映画的と・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  7. ・・・ 第二に、アレゴリーは、静的だ。静思的だ。それだから、たとえそれが反抗的な要素によってつくられていても、直接に、大胆に暴露や批判はしない。消極性を少なからずもっている。 今日、世界唯一のプロレタリアートの国ソヴェト・ロシアは昔から、・・・<宮本百合子「新たなプロレタリア文学」青空文庫>
  8. ・・・そのために、鳥居とそのうしろの雄渾な反り橋の様式化に応じて、これらの人物は人物ながら、静的に、自身の動きを消されたものとして、衣紋さえ、こちらの群の人たちの写生風なのとは全然違った様式で統一している。 更に、思わず私たちの唇をほころばせ・・・<宮本百合子「あられ笹」青空文庫>
  9. ・・・美が固定した静的なものでなければならないという今日の若い女のひとはすくないであろう。美において動きと対照と破調と統一とを理解している心情が、幸福という言葉を、そのいきいきとして積極的なはずの美の感覚でとらえる力をもっていないとすれば、そこに・・・<宮本百合子「幸福の感覚」青空文庫>
  10. ・・・つまり孤立的な静的な自我の意識でなく、全体的綜合のうちに自らを意識し、全体的環境の発展とともに自我を新しく構成し創造して行くことを希う相関的、能動的自我の意識である。が故に文学的行動主義は必然、多分の社会性をもち、また革命主義的立場をとる。・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  11. ・・・で、著者は過去の理解が、現実の歴史との関係で文学史を静的なものとし、批評を動的なものとして区別をもったまま止っていた誤りを訂して、両者の職能を密接な関連のもとに統一することをこそ、批評の本質が批評家に求めているものとしてみている。こういうも・・・<宮本百合子「作家に語りかける言葉」青空文庫>
  12. ・・・科学的探求を、云うところの学問として静的に見ず、社会と歴史とに働きかけ又それらから働きかけられつつ動く人間的行為、実践として科学を把握する科学者。これから益々そういう科学者が生れなければならない。 今日我々がうけついでいる文化、感情、知・・・<宮本百合子「作家のみた科学者の文学的活動」青空文庫>
  13. ・・・のような静的なリリシズムに曲折するのであろう。この愛についても例外的な境地に生きる女詩人が、今既にある峯に立っているその境地のなかで、そのような想念と情緒とをどのように展開し、すこやかに渾然と成熟させてゆくか。愛という字をつかわずに、人々の・・・<宮本百合子「『静かなる愛』と『諸国の天女』」青空文庫>
  14. ・・・半封建的なブルジョア文学との闘争とプロレタリア文学運動発展の途上において、世界の現実を見る、より社会的政治的な発展的な目を作家に与えた点、静的な自然主義的リアリズムから社会発展の方向においてのリアリズムを理解させた点、無視することはできない・・・<宮本百合子「社会主義リアリズムの問題について」青空文庫>
  15. ・・・ 作者は、この人生に日本の過去の教養的常識が呈出して来たあくの抜けたもの、静的な美のかわりに、「動物的なもの」「骨格をつくる」ところの「アクのつよいもの」の価値を主張している。亮子という溌剌として生来の生活力を豊富に蔵した若い女を通じて・・・<宮本百合子「十月の文芸時評」青空文庫>
  16. ・・・この面は、プロレタリア文学の遺産の継承に関する討論と等しく、わたくしには非常に静的に論議されていると感じられました。例えば、組合の闘争において、権力との闘いにおいて、プロレタリアートの全線にプラスするどんな小さな成果も、わたしたちはそれを念・・・<宮本百合子「討論に即しての感想」青空文庫>
  17. ・・・ ○夜が更けた中に起きて居ると、不思議に静的な万物が、彼女の心を嚇かす。 昼間は、多勢の人々の動作につれて、いつもみだされて居た家具調度の輪廓が、妙にくっきりとうき上って、しんと澱んだ深夜の空気の中に、かっきりとはめ込んだように・・・<宮本百合子「無題(三)」青空文庫>
  18. ・・・経験というものはそういう時代になると、静的に解釈されれば何の力もないことになる。何故なら、去年あることがそうであったという事実は、今年同じあることがそうであるということにはなっていないのだから。去年の経験さえ役に立たないものになって来ている・・・<宮本百合子「ものわかりよさ」青空文庫>
  19. ・・・鴎外は、女がさまざまの社会の波瀾に処し、苦しみ涙をおとしながらなおどこにか凜然とした眼差しを持って立って、周囲を眺めやっている姿に、ロマンティックな美を見出している。静的ではあるが、人生を何か内部的な緊張をもった光でつらぬこうとする姿が描か・・・<宮本百合子「歴史の落穂」青空文庫>