せい‐ど【制度】例文一覧 30件

  1. ・・・ 前田家は、幕府の制度によると、五世、加賀守綱紀以来、大廊下詰で、席次は、世々尾紀水三家の次を占めている。勿論、裕福な事も、当時の大小名の中で、肩を比べる者は、ほとんど、一人もない。だから、その当主たる斉広が、金無垢の煙管を持つと云う事・・・<芥川竜之介「煙管」青空文庫>
  2. ・・・   民衆 民衆は穏健なる保守主義者である。制度、思想、芸術、宗教、――何ものも民衆に愛される為には、前時代の古色を帯びなければならぬ。所謂民衆芸術家の民衆の為に愛されないのは必ずしも彼等の罪ばかりではない。   又・・・<芥川竜之介「侏儒の言葉」青空文庫>
  3. ・・・終わりに臨んで諸君の将来が、協力一致と相互扶助との観念によって導かれ、現代の悪制度の中にあっても、それに動かされないだけの堅固な基礎を作り、諸君の精神と生活とが、自然に周囲に働いて、周囲の状況をも変化する結果になるようにと祈ります。・・・<有島武郎「小作人への告別」青空文庫>
  4. ・・・ブルジョアジーをなくするためには、この階級が自己防衛のために永年にわたって築き上げたあらゆる制度および機関をプロレタリアの手中に収め、矛を逆にしてブルジョアジーを亡滅に導かねばならぬ。ブルジョアジーが亡滅すれば、その所産なるすべての制度およ・・・<有島武郎「広津氏に答う」青空文庫>
  5. ・・・またすべての青年の権利たる教育がその一部分――富有なる父兄をもった一部分だけの特権となり、さらにそれが無法なる試験制度のためにさらにまた約三分の一だけに限られている事実や、国民の最大多数の食事を制限している高率の租税の費途なども目撃している・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  6. ・・・斯ういう職業を賤視する人たちの祖先たる武士というものも亦一つの職業であって封建の家禄世襲制度の恩沢を蒙むって此の武士という職業が維持せられたればこそ日本の大道楽なるかの如く一部の人たちに尊奉せらるゝ武士道が大成したので、若し武士が家禄を得る・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  7. ・・・麗わしい家族制度のためにも、私は、お母さんが、いつも家庭の人たらんこと望むのであります。しかし、それはいまのところ出来ぬ話でありますが、お母さんが、家にいる時、仕事に気を取られていたとする。或は、何か考え事などあって、子供の返事どころでなか・・・<小川未明「お母さんは僕達の太陽」青空文庫>
  8. ・・・ しかし、厳密にいえば、健全なる家庭生活以外には、家族制度の基礎がありとは、考えられないのであるが、すでに、家庭にしてかくのごとくとせば、学校がこれに代り、もしくは社会が、児童を擁護しなければならぬのは当然のことです。幼弱者虐待防止案と・・・<小川未明「近頃感じたこと」青空文庫>
  9. ・・・そしてそのような制度の音楽会を好もしく思った。 その終わりに近いあるアーベントのことだった。その日私はいつもにない落ちつきと頭の澄明を自覚しながら会場へはいった。そして第一部の長いソナタを一小節も聴き落すまいとしながら聴き続けていった。・・・<梶井基次郎「器楽的幻覚」青空文庫>
  10. ・・・資本主義制度はもとより悪い。道徳的意味においてこれは呪詛されねばならぬ。われわれは真の人間の共同態フォイエルバッハの Gemeinschaft des Menschen mit dem Menschen を建設せんことを熱願する。しかし物力・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  11. ・・・医者は生と、精神の課題に、弁護士は倫理と社会制度の問題に、軍人は民族と国際協同の問題に接触せずにはおられない。その最も適切の例証は、最近に結成せられた「産業技術連盟」の声明書である。それは純粋に専門的な技術家のみの結社であるが、技術は社会的・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  12. ・・・戦争には、残虐や、獣的行為や、窮乏苦悩が伴うものであるが、それでも、有害で反動的な悪制度を撤廃するのに役立った戦争が歴史上にはあった。それらは、人類の発展に貢献したことから考えて是認さるべきである。で、プロレタリアートは、現在の戦争に対して・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  13. ・・・ 左様いう塾に就いて教を乞うのは、誰か紹介者が有ればそれで宜しいので、其の頃でも英学や数学の方の私塾はやや営業的で、規則書が有り、月謝束修の制度も整然と立って居たのですが、漢学の方などはまだ古風なもので、塾規が無いのではありませんが至っ・・・<幸田露伴「学生時代」青空文庫>
  14. ・・・それで其等の勢力が愛郷土的な市民に君臨するようになったか、市民が其等の勢力を中心として結束して自己等の生活を安固幸福にするのを悦んだためであるか、何時となく自治制度様のものが成立つに至って、市内の豪家鉅商の幾人かの一団に市政を頼むようになっ・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  15. ・・・ 次に舜典に徴するに、舜は下流社會の人、孝によりて遂に帝位を讓られしが、その事蹟たるや、制度、政治、巡狩、祭祀等、苟も人君が治民に關して成すべき一切の事業は殆どすべて舜の事蹟に附加せられ、且人道中最大なる孝道は、舜の特性として傳へらるゝ・・・<白鳥庫吉「『尚書』の高等批評」青空文庫>
  16. ・・・と私は軽く眼をつぶり、あれこれと考えをまとめる振りして、やがて眼をひらき、中々きざな口調で、「法律も制度も風俗も、昔から、ちっとは気のきいた思想家に、いつでも攻撃され、軽蔑されて来たものだ。事実また、それを揶揄し皮肉るのは、いい気持のものさ・・・<太宰治「乞食学生」青空文庫>
  17. ・・・彼の説だというのに拠れば、社会の祝福が単に制度をどうしてみたところでそれで永久的に得られるものではない。ただ銘々の我慾の節制と相互の人間愛によってのみ理想の社会に到達する事が出来るというのであるらしい。 勿論彼は世界平和の渇望者である。・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  18. ・・・ この理想が実現せられるとして、教案を立てる際に材料と分布をどうするかという問に対しては、具体的の話は後日に譲ると云って、話頭を試験制度の問題に転じている。「要は時間の経済にある。それには無駄な生徒いじめの訓練的な事は一切廃するがい・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  19. ・・・道徳的にはかつて『見果てぬ夢』という短篇小説中にも書いた通り、特種の時代とその制度の下に発生した花柳界全体は、最初から明白に虚偽を標榜しているだけに、その中にはかえって虚偽ならざるもののある事を嬉しく思うのであった。つまり正当なる社会の偽善・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  20. ・・・小学校で地理とか数学とか、事によったら、以前の小学制度で、高等科に英語の初歩位学んだ事がありはしまいか。けれども、江戸伝来の趣味性は九州の足軽風情が経営した俗悪蕪雑な「明治」と一致する事が出来ず、家産を失うと共に盲目になった。そして栄華の昔・・・<永井荷風「深川の唄」青空文庫>
  21. ・・・よってもってわが邦の制度文物、異日必ずまさになるべき云々の状を論ず。すこぶる精微を極め、文辞また婉宕なり。大いに世の佶屈難句なる者と科を異にし、読者をして覚えず快を称さしむ。君齢わずかに二十四、五。しかるに学殖の富衍なる、老師宿儒もいまだ及・・・<中江兆民「将来の日本」青空文庫>
  22. ・・・また昔は階級制度が厳しいために過去の英雄豪傑は非常にえらい人のように見えて、自分より上の人は非常にえらくかつ古人が世の中に存在し得るという信仰があったため、また、一は所が隔たっていて目のあたり見なれぬために遠隔の地の人のことは非常に誇大して・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  23. ・・・「最後に小生は目下我邦における学問文芸の両界に通ずる趨勢に鑒みて、現今の博士制度の功少くして弊多き事を信ずる一人なる事を茲に言明致します。「右大臣に御伝えを願います。学位記は再応御手許まで御返付致します。敬具」 要するに文部大臣・・・<夏目漱石「博士問題の成行」青空文庫>
  24. ・・・左れば今婦人をして婦人に至当なる権利を主張せしめ、以て男女対等の秩序を成すは、旧幕府の門閥制度を廃して立憲政体の明治政府を作りたるが如し。政治に於て此大事を断行しながら人事には断行す可らざるか、我輩は其理由を見るに苦しむものなり。況して其人・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  25. ・・・この時、衣服の制限を立るに、何の身分は綿服、何は紬まで、何は羽二重を許すなどと命を出すゆえ、その命令は一藩経済のため歟、衣冠制度のため歟、両様混雑して分明ならず。恰も倹約の幸便に格式りきみをするがごとくにして、綿服の者は常に不平を抱き、到底・・・<福沢諭吉「旧藩情」青空文庫>
  26. ・・・そして、現世の組織、制度に対しては社会主義が他方に在る。と、まあ、源は一つだけれども、こんな風に別れて来ていたんだ。 社会主義を抱かせるに関係のあった露国の作家は、それは幾つもあった。ツルゲーネフの作物、就中『ファーザース・エンド・チル・・・<二葉亭四迷「予が半生の懺悔」青空文庫>
  27. ・・・ 内縁関係、未亡人の生きかたに絡む様々の苦しい絆は、経済上の性質をもっているにしろ、その根に、精神の軛として、封建的な家族制度がのしかかっている。今度の第二次世界戦争で、日本の軍事的権力は百四万以上の生命を犠牲とした。家庭は、既に強権に・・・<宮本百合子「合図の旗」青空文庫>
  28. ・・・この稲田に注がれている農村の女の労働力はいかばかりかしれないのに、日本の家族制度では、女は馬の次に考えられ、かあさんたちの一人もこの稲田の持ち主ではないだろう。働く婦人が、まっさきに勘定されるのはクビキリの場合だけである。これは国鉄にはっき・・・<宮本百合子「青田は果なし」青空文庫>
  29. ・・・海軍は階級制度がだらしなくって、その点陸軍の方がはっきりしていますからね。僕はいま陸軍から引っ張りに来ているんですが、海軍が許さないのです。」 水交社が見えて来た。この海軍将校の集会所へ這入るのは、梶には初めてであった。どこの煙筒からも・・・<横光利一「微笑」青空文庫>
  30. ・・・がそう考えて来ると共に、現在の組織制度がもはや父のごとき志を実行不可能なものにしていることにも自ら気づかざるを得なくなった。 自ら直接に皇室に接することのできる人々は別である。一平民として今自ら皇室を警衛しようと欲するものは、一体どうい・・・<和辻哲郎「蝸牛の角」青空文庫>