せい‐ふ【政府】例文一覧 30件

  1. ・・・発狂禁止令を等閑に附せる歴代政府の失政をも天に替って責めざるべからず。「常子夫人の談によれば、夫人は少くとも一ヶ年間、××胡同の社宅に止まり、忍野氏の帰るを待たんとするよし。吾人は貞淑なる夫人のために満腔の同情を表すると共に、賢明なる三・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  2. ・・・「僕はきのう本国の政府へ従軍したいと云う電報を打ったんだよ。」「それで?」「まだ何とも返事は来ない。」 僕等はいつか教文館の飾り窓の前へ通りかかった。半ば硝子に雪のつもった、電燈の明るい飾り窓の中にはタンクや毒瓦斯の写真版を・・・<芥川竜之介「彼 第二」青空文庫>
  3. ・・・なぜといえば、天主閣は、明治の新政府に参与した薩長土肥の足軽輩に理解せらるべく、あまりに大いなる芸術の作品であるからである。今日に至るまで、これらの幼稚なる偶像破壊者の手を免がれて、記憶すべき日本の騎士時代を後世に伝えんとする天主閣の数は、・・・<芥川竜之介「松江印象記」青空文庫>
  4. ・・・然しそれは歴代の為政者の中央政府に阿附するような施設によって全く踏みにじられてしまった。而して現在の北海道は、その土地が持つ自然の特色を段々こそぎ取られて、内地の在来の形式と選む所のない生活の維持者たるに終ろうとしつゝあるようだ。あの特異な・・・<有島武郎「北海道に就いての印象」青空文庫>
  5. ・・・文部省の文芸審査に就て兎角の議論をする人があるが政府は万能で無いから政府の行う処必ずしも正鵠では無い。且文芸上の作品の価値は区々の秤尺に由て討議し、又選票の多寡に由て決すべきもので無いから、文芸審査の結果が意料外なるべきは初めから予察せられ・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  6. ・・・かえってこういう空想を直ちに実現しようと猛進する革命党や無政府党の無謀無考慮無経綸を馬鹿にし切っていた。露都へ行く前から露国の内政や社会の状勢については絶えず相応に研究して露国の暗流に良く通じていたが、露西亜の官民の断えざる衝突に対して当該・・・<内田魯庵「二葉亭追録」青空文庫>
  7. ・・・さすがに剛情我慢の井上雷侯も国論には敵しがたくて、終に欧化政策の張本人としての責を引いて挂冠したが、潮の如くに押寄せると民論は益々政府に肉迫し、易水剣を按ずる壮士は慷慨激越して物情洶々、帝都は今にも革命の巷とならんとする如き混乱に陥った。・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  8. ・・・ こっちはただの帆前船で、逃げも手向いも出来たものじゃねえ、いきなり船は抑えられてしまうし、乗ってる者は残らず珠数繋ぎにされて、向うの政府の猟船が出張って来るまで、そこの土人へ一同お預けさ」「まあ! さぞねえ。それじゃ便りのなかったのも・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  9. ・・・場はたった一人の人間が毎朝決定して、その指令が五つの闇市場へ飛び、その日の相場の統制が保たれるらしい――という話を、私はきいたが、もしそうだとすれば、そのたった一人の人間の統制力というものは、この国の政府の統制力以上であり、むしろ痛快ではな・・・<織田作之助「大阪の憂鬱」青空文庫>
  10. ・・・既に事変下で、新体制運動が行われていたある日の新聞を見ると、政府は国民の頭髪の型を新体制型と称する何種類かの型に限定しようとしているらしく、全国の理髪店はそれらの型に該当しない頭髪の客を断ることを申し合わせたというのである。 私はことの・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  11. ・・・諸君は今日のようなグラグラ政府には飽きられただろうと思う、そこでビスマークとカブールとグラッドストンと豊太閤みたような人間をつきまぜて一鋼鉄のような政府を形り、思切った政治をやってみたいという希望があるに相違ない、僕も実にそういう願を以てい・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」青空文庫>
  12. ・・・プロレタリアートの戦争に対する態度は、ブルジョア平和主義者や、無政府主義者や、そういう思想から出発した反戦文学者とは、原則的に異っている。被支配階級が支配階級に対してやる闘争は必要で、進歩的な価値があると考える。奴隷が奴隷主に対しての闘争、・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  13. ・・・そしてその高慢税は所得税などと違って、政府へ納められて盗賊役人だかも知れない役人の月給などになるのではなく、直に骨董屋さんへ廻って世間に流通するのであるから、手取早く世間の融通を助けて、いくらか景気をよくしているのである。野暮でない、洒落切・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  14. ・・・おれの身体でも売れるといいんだが、野郎と来ちゃあ政府へでも売りつけるより仕様がねえ、ところでおれ様と来ちゃあ政府でも買い切れめえじゃあねえか。川岸女郎になる気で台湾へ行くのアいいけれど、前借で若干銭か取れるというような洒落た訳にゃあ行かずヨ・・・<幸田露伴「貧乏」青空文庫>
  15. ・・・       四 しかし、震災の突発について政府以下、すべての官民がさしあたり一ばんこまったのは、無線電信をはじめ、すべての通信機関がすっかり破かいされてしまったために、地方とのれんらくが全然とれなくなったことです。市民たち・・・<鈴木三重吉「大震火災記」青空文庫>
  16. ・・・英国はジョージ第二世の政府を戴いて居た。或晩夜廻りが倫敦の町を廻って居ると、テンプルバアに近い所で、若い娘が途に倒れているのを見付けた。「一人者の死」SCHNITZLER 戸を敲いた。そっとである。「いつの日か君帰ります」ANN・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  17. ・・・その時のジャアナリズムが、政府の方針を顧慮し過ぎて、自分の小説の発表を拒否する事が、もし万一あったとしても、自分は黙って書いて行きます。発表せずとも、書き残して置くつもりです。自分は明白に十九世紀の人間です。二十世紀の新しい芸術運動に参加す・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  18. ・・・ 政府の所属で、各種科学の特殊な専門的題目の研究所として看板をかけた処では、比較的にいくらか自由である。しかし、例えば蚯蚓の研究所で鯨の研究をやりたいといったような場合には、ともかくも一応上長官の諒解を得るために、その研究の結果がその研・・・<寺田寅彦「学問の自由」青空文庫>
  19. ・・・火事のために日本の国が年々幾億円を費やして灰と煙を製造しているかということを知る政府の役人も少ない。火事が科学的研究の対象であるということを考えてみる学者もまれである。 話は変わるが先日銀座伊東屋の六階に開催されたソビエトロシア印刷芸術・・・<寺田寅彦「火事教育」青空文庫>
  20. ・・・ゾラの小説にある、無政府主義者が鉱山のシャフトの排水樋を夜窃に鋸でゴシゴシ切っておく、水がドンドン坑内に溢れ入って、立坑といわず横坑といわず廃坑といわず知らぬ間に水が廻って、廻り切ったと思うと、俄然鉱山の敷地が陥落をはじめて、建物も人も恐ろ・・・<徳冨蘆花「謀叛論(草稿)」青空文庫>
  21. ・・・先生はこれからさき、日本政府からもらう恩給と、今までの月給の余りとで、暮らしてゆくのだが、その月給の余りというのは、天然自然にできたほんとうの余りで、用意の結果でもなんでもないのである。 すべてこんなふうにでき上がっている先生にいちばん・・・<夏目漱石「ケーベル先生の告別」青空文庫>
  22. ・・・一気にこの坂を馳け下りんとの野心あればなり、坂の長さ二丁余、傾斜の角度二十度ばかり、路幅十間を超えて人通多からず、左右はゆかしく住みなせる屋敷ばかりなり、東洋の名士が自転車から落る稽古をすると聞いて英政府が特に土木局に命じてこの道路を作らし・・・<夏目漱石「自転車日記」青空文庫>
  23. ・・・ 日本では、囚人や社会主義者、無政府主義者を、地震に委せるんだね。地震で時の流れを押し止めるんだ。 ジャッガーノート! 赤ん坊の手を捻るのは、造作もねえこった。お前は一人前の大人だ。な、おまけに高利で貸した血の出るような金で、食・・・<葉山嘉樹「牢獄の半日」青空文庫>
  24. ・・・況んや親の敵は不倶戴天の讐なり。政府の手を煩わすに及ばず、孝子の義務として之を討取る可し。曾我の五郎十郎こそ千載の誉れ、末代の手本なれなど書立てゝ出版したらば、或は発売を禁止せらるゝことならん。如何となれば現行法律の旨に背くが故なり。其れも・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  25. ・・・ 嘉永年中、開国の以来、我が日本はあたかも国を創造せしものなれば、もとより政府をも創造せざるべからず。ゆえに旧政府を廃して新政府をつくりたり。自然の勢、もとより怪しむに足らず。その後、廃藩置県、法律改定、学校設立、新聞発行、商売工業の変・・・<福沢諭吉「学者安心論」青空文庫>
  26. ・・・例えば、政府の施政が気に喰わなんだり、親達の干渉をうるさがったり、無暗に自由々々と絶叫したり――まあすべての調子がこんな風であったから、無論官立の学校も虫が好かん。処へ、語学校が廃されて商業学校の語学部になる。それも僅かの間で、語学部もなく・・・<二葉亭四迷「予が半生の懺悔」青空文庫>
  27. ・・・という記事を思いおこした。政府は重要産業の補償をうち切って、百万人の失業者を出すそうだが、その百万人の人々とその家族、その主婦たちにとって、この威風にみちた秋田の稲田のことしのみのりは、どういうものになって現れるのだろう。 政府がきめる・・・<宮本百合子「青田は果なし」青空文庫>
  28. ・・・戦争がうんとひどくなるすこし前に政府は日本じゅうに踊をはやらせて、ものを真面目に研究したり考えたりする年頃の若い人を、さんざ踊らせました。 踊りふけっているとき、頭の中に何があるでしょう。今日、豊年という日本の秋には、深刻な失業の問題が・・・<宮本百合子「朝の話」青空文庫>
  29. ・・・役所の為事は笑談ではない。政府の大機関の一小歯輪となって、自分も廻転しているのだということは、はっきり自覚している。自覚していて、それを遣っている心持が遊びのようなのである。顔の晴々としているのは、この心持が現れているのである。 為事が・・・<森鴎外「あそび」青空文庫>
  30. ・・・その愚にせられた黔首が少しでも目を醒ますと、極端な無政府主義者になる。だからツアアルは平服を著た警察官が垣を結ったように立っている間でなくては歩かれないのである。一体宗教を信ずるには神学はいらない。ドイツでも、神学を修めるのは、牧師になる為・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>