せい‐りょく【勢力】例文一覧 30件

  1. ・・・まず一番勢力のあるものはなんといっても近代教でしょう。生活教とも言いますがね。」(「生活教」という訳語は当たっていないかもしれません。この原語は Quemoocha です。cha は英吉利語の ism という意味に当たるでしょう。quemo・・・<芥川竜之介「河童」青空文庫>
  2. ・・・彼はそう云う煙管を日常口にし得る彼自身の勢力が、他の諸侯に比して、優越な所以を悦んだのである。つまり、彼は、加州百万石が金無垢の煙管になって、どこへでも、持って行けるのが、得意だった――と云っても差支えない。 そう云う次第だから、斉広は・・・<芥川竜之介「煙管」青空文庫>
  3. ・・・これらの階級はブルジョアジー以前に勢力をたくましゅうした過去の所産であって、それが来たるべき生活の上に復帰しようとは、誰しも考えぬところであろう。文芸の上に階級意識がそう顕著に働くものではないという理窟は、概念的には成り立つけれども、実際の・・・<有島武郎「広津氏に答う」青空文庫>
  4. ・・・しかも今日においては、いっさいの発明はじつにいっさいの労力とともにまったく無価値である――資本という不思議な勢力の援助を得ないかぎりは。 時代閉塞の現状はただにそれら個々の問題に止まらないのである。今日我々の父兄は、だいたいにおいて一般・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  5. ・・・植民的精神と新開地的趣味とは、かくて驚くべき勢力を人生に植えつけている。 見よ、ヨーロッパが暗黒時代の深き眠りから醒めて以来、幾十万の勇敢なる風雲児が、いかに男らしき遠征をアメリカアフリカ濠州および我がアジアの大部分に向って試みたかを。・・・<石川啄木「初めて見たる小樽」青空文庫>
  6. ・・・族じゃと羨しく思わるる点も多い、中にも吾々の殊に感嘆に堪えないのは、彼等が多大の興味を以て日常の食事を楽む点である、それが単に個人の嗜好と云うでなく、殆ど社会一般の風習であって、其習慣が又実に偉大なる勢力を以て、殆ど神の命令かの如くに行われ・・・<伊藤左千夫「茶の湯の手帳」青空文庫>
  7. ・・・ 伊藤というはその頃京橋十人衆といわれた幕府の勢力ある御用商人の一人で、家柄も宜かったし、資産も持っていた。が、天下の大富豪と仰がれるようになったのは全く椿岳の兄の八兵衛の奮闘努力に由るので、幕末における伊藤八兵衛の事業は江戸の商人の掉・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  8. ・・・けれどもマウント・ホリヨーク・セミナリーという女学校は非常な勢力をもって非常な事業を世界になした女学校であります。何故だといいますと、それが世界を感化するの勢力を持つにいたった原因は、その学校にはエライ非常な女がおった。その人は立派な物理学・・・<内村鑑三「後世への最大遺物」青空文庫>
  9. ・・・その始めは、一片の毛の飛ぶに似たるものが、一瞬の後に、至大な勢力となり、さらに、一瞬の後には、ついに満天を掩いつくすを珍らしとしない。小なるものが次第に成長して、大きくなるのには、理由の存するとして、敢て、不思議とは考えないが、いかにして、・・・<小川未明「常に自然は語る」青空文庫>
  10. ・・・が、宗教の勢力の盛んだった中世ヨーロッパにどれだけの大文学があったか。むしろ宗教との対決、作家が神の地位を奪おうとした時に、大文学が生れた。と、こんなことを言っても、何にもならない。ただ、僕はこの国に宗教のないことを、文学のためにそんなに悲・・・<織田作之助「文学的饒舌」青空文庫>
  11. ・・・ お源は負けぬ気性だから、これにはむっとしたが、大庭家に於けるお徳の勢力を知っているから、逆らっては損と虫を圧えて「まアそれで勘弁しておくれよ。出入りするものは重に私ばかりだから私さえ開閉に気を附けりゃア大丈夫だよ。どうせ本式の盗棒・・・<国木田独歩「竹の木戸」青空文庫>
  12. ・・・常識的ではあるが実際の社会に影響を及ぼし、主義を実現する勢力の強いことはアングロ・サクソンの政治の如くである。しかしわれわれはそれに眩惑されてはならぬ。幸福主義は決して道徳の究竟ではない。依然として第二義的の価値である。何が幸福かと問うとき・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  13. ・・・ 資本主義がすさまじい勢力を以て発展して、国際的威力として、プロレタリア階級に迫ってきた時、労働者階級の中から、吾々自身のインタナショナル的な組織体を作って、資本主義に対抗しようとした。それが、国際的労働者団結である。 プロレタリア・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  14. ・・・イイカネ、「物は或勢力より追やらるる時は螺線的にすすむ」というのが真理だよ、この真理を君に実例で示そうか。吹矢の筒に紙の小さい片を入れて吹いて見玉え、その紙は必らずぐるぐる回りながら飛出すよ。水の中に石を落して見玉え、これもぐるぐるまわりな・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  15. ・・・されど、実体の両面たる物質と勢力とが構成し、仮現する千差万別・無量無限の形体にいたっては、常住なものはけっしてない。彼らすでに始めがある。かならず終りがなければならぬ。形成されたものは、かならず破壊されねばならぬ。成長する者は、かならず衰亡・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
  16. ・・・当時巌本善治氏の主宰していた女学雑誌は、婦人雑誌ではあったが、然し文学宗教其他種々の方面に渉って、徳富蘇峰氏の国民の友と相対した、一つの大きな勢力であった。北村君を先ず文壇に紹介したのは、この巌本善治氏であった。『厭世詩家と女性』その他のも・・・<島崎藤村「北村透谷の短き一生」青空文庫>
  17. ・・・この人のおかげでシラキュースは急にどんどんお金持になり、島中のほかの殖民地に比べて、一ばん勢力のある町になりました。 それらの殖民地の中には、アフリカのカーセイジ人が建てた町もいくつかありました。シラキュースはそのカーセイジ人たちと、い・・・<鈴木三重吉「デイモンとピシアス」青空文庫>
  18. ・・・私には、なんにも知らせず、それこそ私の好きなように振舞わせて置いてくれましたが、兄たちは、なかなか、それどころでは無く、きっと、百万以上はあったのでしょう、その遺産と、亡父の政治上の諸勢力とを守るのに、眼に見えぬ努力をしていたにちがいありま・・・<太宰治「兄たち」青空文庫>
  19.  ウィインで頗る勢力のある一大銀行に、先ずいてもいなくても差支のない小役人があった。名をチルナウエルと云う小男である。いてもいなくても好いにしても、兎に角あの大銀行の役をしているだけでも名誉には違いない。 この都に大勢いる銀行員と云・・・<著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外「世界漫遊」青空文庫>
  20. ・・・カルネラはそんなことなどは問題にしないと見えて絶えず攻勢を持続するのはよいが、やみなしに中庸な突きを繰り返しているのは、仕事の経済から見ても非常に能率の悪いしかたで、無益の動作に勢力をなしくずしに浪費しているように見えるのであった。ベーアは・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  21. ・・・一たん浮いてしまったら、土地の勢力と妥協でもしないかぎり、もうからだの置き場所がなくなるのであった。 ガリ、ガリ、ガリッ……。とたんに三吉はせんをほうりだして、家の中にとびこむ。家の前の道を、パッと陽の光りをはじけかしてクリーム色のパラ・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  22. ・・・それらの新しい勢力は事実において日に日に土手や畠や河岸や蘆の茂りを取払って行きつつあるが、しかし何らの感化をも自分の心の上には及ぼさなかったのだ。黒煙を吐く煉瓦づくりの製造場よりも人情本の文章の方が面白く美しく、乃ち遥に強い印象を与えたがた・・・<永井荷風「夏の町」青空文庫>
  23. ・・・何か月並のような講釈をしてすみませんが、人間活力の発現上積極的と云う言葉を用いますと、勢力の消耗を意味する事になる。またもう一つの方はこれとは反対に勢力の消耗をできるだけ防ごうとする活動なり工夫なりだから前のに対して消極的と申したのでありま・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  24. ・・・然るに十九世紀に入っては、ヨーロッパという一つの歴史的世界に於てドイツとフランスとが対立したが、更に進んで窮極する所、全世界的空間に於て、ドイツとイギリスとの二大勢力が対立するに至った。これが第一次世界大戦の原因である。十九世紀は国家的自覚・・・<西田幾多郎「世界新秩序の原理」青空文庫>
  25. ・・・一家の盛衰に婦人の力を及ぼす其勢力の洪大なるは、之を男子に比較して秋毫の差なし。而して其家を興すは即ち婦人の智徳にして争う可らざるの事実なるに、漫に之を評して無智と言う、漫評果して漫にして取るに足らざるなり。或は婦人が戸外百般の経営に暗きが・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  26. ・・・はっはっは、どうだ、もっともそれはおれのように勢力不滅の法則や熱力学第二則がわかるとあんまりおかしくもないがね、どうだ、ぼくの軍隊は規律がいいだろう。軍歌にもちゃんとそう云ってあるんだ。」 でんしんばしらは、みんなまっすぐを向いて、すま・・・<宮沢賢治「月夜のでんしんばしら」青空文庫>
  27. ・・・戦争をひきおこす日本の反動勢力を、私たちの社会から排除する、ということは、架空の道を通って実現することではない。今ここに提出されているいくつかの問題を、事実上私たちの発意と、集結された民主力とで、一歩ずつ解決に押しすすめてゆく、その一足が、・・・<宮本百合子「合図の旗」青空文庫>
  28. ・・・ ベルリンにいる間、秀麿が学者の噂をしてよこした中に、エエリヒ・シュミットの文才や弁説も度々褒めてあったが、それよりも神学者アドルフ・ハルナックの事業や勢力がどんなものだと云うことを、繰り返してお父うさんに書いてよこしたのが、どうも特別・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  29. ・・・もしわれわれがそうして社会主義を認めたならば、社会主義をかくも歴史の新しい事実として勢力付けた唯物論をも、認めなければならぬであろう。 しかしながら、われわれは、資本主義を認め、社会主義を認めたごとく、左様に唯心論を認め、唯物論を認・・・<横光利一「新感覚派とコンミニズム文学」青空文庫>
  30. ・・・そうして後に織田信長にとっての最大の脅威となるだけの勢力を築き上げたのである。『朝倉敏景十七箇条』は、「入道一箇半身にて不思議に国をとりしより以来、昼夜目をつながず工夫致し、ある時は諸方の名人をあつめ、そのかたるを耳にはさみ、今かくの如くに・・・<和辻哲郎「埋もれた日本」青空文庫>