せき‐じょう〔‐ジヤウ〕【席上】例文一覧 30件

  1. ・・・私はこの姿を一目見ると、すぐにそれが四五日前に、ある会合の席上で紹介された本多子爵だと云う事に気がついた。が、近づきになって間もない私も、子爵の交際嫌いな性質は、以前からよく承知していたから、咄嗟の間、側へ行って挨拶したものかどうかを決しか・・・<芥川竜之介「開化の良人」青空文庫>
  2. ・・・と或る席上で故人自ら明言したのがその有力なる理由の一つであろう。が、文学には果して常に必ず遊戯的分子を伴うものであろう乎。およそ文学に限らず、如何なる職業でも学術でも既に興味を以て従う以上はソコに必ず快楽を伴う。この快楽を目して遊戯的分子と・・・<内田魯庵「二葉亭四迷」青空文庫>
  3. 一 二葉亭が存命だったら 二葉亭が存命だったら今頃ドウしているだろう? という問題が或る時二葉亭を知る同士が寄合った席上の話題となった。二葉亭はとても革命が勃発した頃まで露都に辛抱していなかったろうと思うが、仮に当時に居合わした・・・<内田魯庵「二葉亭追録」青空文庫>
  4. ・・・ 三七日の夜、親族会議が開かれた席上、四国の田舎から来た軽部の父が、お君の身の振り方につき、お君の籍は金助のところへ戻し、豹一も金助の養子にしてもろたらどんなもんじゃけんと、渋い顔して意見を述べ、お君の意嚮を訊くと、「私でっか。私は・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  5. ・・・その口答試問の席上で、志願の動機や家庭の情況を問われた時、「姉妹二人の暮しでしたが……。」 と言いながら、道子は不覚にも涙を落し、「あ、こんなに取り乱したりして、きっと口答試問ではねられてしまうわ。」 と心配したが、それから・・・<織田作之助「旅への誘い」青空文庫>
  6. ・・・いや、頼りないといえば、そんな事情をきかされるまでもなく、既にその見合いの席上で簡単にわかってしまったことなのだ。遅刻はするし、酔っぱらっては来るし、もうこんな人とは結婚なんかするものかと思ったが、そう思ったことがかえって気が楽になったのか・・・<織田作之助「天衣無縫」青空文庫>
  7. ・・・そして今また今度の会へもぜひ私を出席さして、その席上でいろいろな雑誌や新聞の関係者に紹介してくれて、生活の便宜を計ってやると言っていたのだ。 彼はほとんど隔日には私を訪ねてきてくれた。そしていつも「書けたかね?……書けない?……書けない・・・<葛西善蔵「遁走」青空文庫>
  8. ・・・むかしも今も席画というがある、席画に美術を求めることの無理で愚なのは今は誰しも認めている。席上鋳金に美術を求める、そんな分らない校長ではないと思っていたが、校長には校長の考えもあろうし、鋳金はたとい蝋型にせよ純粋美術とは云い難いが、また校長・・・<幸田露伴「鵞鳥」青空文庫>
  9. ・・・作品を読んだ事は無かったが、詩人の加納君が、或る会合の席上でかなりの情熱を以て君の作品をほめて、自分にも一読をすすめた事がありました。自分も、そんなら一度読んでみようと思いながら、今日までその機会が無く、そのままになっていました。先日、君の・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  10. ・・・一年すぎて、私の生活が、またもや、そろそろ困って、二、三の人にめいわくかけて、昨夜、地平と或る会合の席上、思いがけなく顔を合せ、お互い少し弱って、不自然であった。私は、バット一本、ビイル一滴のめぬからだになってしまって、淋しいどころの話でな・・・<太宰治「喝采」青空文庫>
  11. ・・・私たちの雑誌の性質上、サロンの出いりも繁く、席上、太宰さんの噂など出ますけれど、そのような時には、春田、夏田になってしまって熱狂の身ぶりよろしく、筆にするに忍びぬ下劣の形容詞を一分間二十発くらいの割合いで猛射撃。可成りの変質者なのです。以後・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  12. ・・・出版記念宴会の席上で、井伏氏が低い声で祝辞を述べる。「質実な作家が、質実な作家として認められることは、これは、大変なことで、」語尾が震えていた。 たまに、すこし書くのであるから、充分、考えて考えて書かなければなるまい。ナンセンス。・・・<太宰治「思案の敗北」青空文庫>
  13. ・・・所謂北斗会とて陸軍省に出入する新聞記者等の会合なり。席上東京朝日新聞記者村山某、小池は愚直なりしに汝は軽薄なりと叫び、予に暴行を加う。予村山某と庭の飛石の間に倒れ、左手を傷く。 これに拠って見ると、かの「懇親会」なる小説は、ほとんど事実・・・<太宰治「花吹雪」青空文庫>
  14. ・・・ 自分は近来は煙草で癇癪をまぎらす必要を感じるような事は稀であるが、しかしこの頃煙草の有難味を今更につくづく感じるのは、自分があまり興味のない何々会議といったような物々しい席上で憂鬱になってしまった時である。他の人達が天下国家の一大事で・・・<寺田寅彦「喫煙四十年」青空文庫>
  15. ・・・島木さんの事について何か書くようにとの御手紙を頂きましたので、考えてはみましたが、私は同氏から稀に御手紙は頂戴しておりましたものの、御目にかかったのは前後にただ一度だけ、それも宴会の席上でちょっと御挨拶をしたばかりでありまして、同氏の追憶と・・・<寺田寅彦「書簡(1[#「1」はローマ数字1、1-13-21])」青空文庫>
  16. ・・・ いつかノールウェーのビェルクネス教授が来てこの輪講会の席上で同教授一流の気象学を講じたときたいそう面白いと思って感心したが、列席のドイツ気象学者たち誰一人感心したように見えなかった。ビ教授はそれから後にアメリカへ渡ってかの地でかの著明・・・<寺田寅彦「ベルリン大学(1909-1910)」青空文庫>
  17. ・・・ この席上で余は長谷川君と話す機会を得なかった。ただ黙って君の話しを聞いていた。その時余の受けた感じは、品位のある紳士らしい男――文学者でもない、新聞社員でもない、また政客でも軍人でもない、あらゆる職業以外に厳然として存在する一種品位の・・・<夏目漱石「長谷川君と余」青空文庫>
  18. ・・・かりに今日、坊間の一男子が奇言を吐くか、または講談師の席上に弁じたる一論が、偶然にも古聖賢の旨にかなうとするも、天下にその言論を信ずる者なかるべし。如何となれば、その言の尊からざるに非ざれども、徳義上にその人を信ずるに足らざればなり。 ・・・<福沢諭吉「読倫理教科書」青空文庫>
  19. ・・・ある時小集の席上にて鳴雪氏いう、蕪村集を得来たりし者には賞を与えんと。これもと一場の戯言なりとはいえども、この戯言はこれを欲するの念切なるより出でしものにして、その裏面にはあながちに戯言ならざるものありき。はたしてこの戯言は同氏をして蕪村句・・・<正岡子規「俳人蕪村」青空文庫>
  20.  十月下旬行われた作家同盟主催の文学講習会のある夜、席上でたまたま「亀のチャーリー」が討論の中心となった。ある講習会員が「亀のチャーリー」をとりあげ、その作品は一般読者の間で評判がよく親しみをもって読まれたから、ああいう肩の・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  21. ・・・その席上で幣原首相は、私も自分の利益のために粘っているのではない、国を憂えることは諸君と同じだが、方法が違う、と意見を披瀝しはじめたら、傍から楢橋書記翰長が、なお言をつごうとする首相に「『ストップ』と命じ、首相にこれ以上の発言を許さなかった・・・<宮本百合子「一票の教訓」青空文庫>
  22. ・・・ 日比谷の放送討論会などの席上では、大変賑やかに食糧事情対策が論ぜられます。野草のたべかたについての講義――云いかえれば、私たち日本の人間が、どうしたらもっと山羊に近くなるか、とでも云うようなお話まで堂々とされます。これは公の席で、・・・<宮本百合子「公のことと私のこと」青空文庫>
  23. ・・・ ただ、余程以前、何かの講演会の席上で、つい目の前に、博士の精力的な、快活な丸い風貌に接した以外は、文学を通してだけの知己でありました。 私の周囲にそのくらいの深度の記憶を持った人々は多くあると思います。その中から、幾人ずつか一年の・・・<宮本百合子「偶感一語」青空文庫>
  24. ・・・第十六回党大会の席上、ラップの代表者ベズィメンスキーは、文学も生産経済計画以外のプランはもっていないと言った。別の言葉で云えば、社会主義の達成は同時に文学の課題であるということである。映画は毎年大体定められた生産計画によって生産されている。・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  25. ・・・その席上で、支配階級のファッショ化、帝国主義戦争とたたかうプロレタリア・農民の闘争の具体的一部としての国際婦人デーの意義、ソヴェト同盟をわれわれは何故支持するかということも、われわれの日常の闘争と結びつけて説明されなければならぬ。一人一人の・・・<宮本百合子「国際無産婦人デーに際して」青空文庫>
  26. ・・・婦人の幸福は家庭にあり、家庭において婦人が婦徳を全うすることこそ日本文化の世界に誇るべき輝きであると論じ、婦人参政権運動の市川房枝女史も座談会の席上でもとの婦選運動は男性に対して行われたような点がなくはなかったが、この頃は婦人の特徴をよく理・・・<宮本百合子「今日の文化の諸問題」青空文庫>
  27. ・・・ウォール街の実業家たちと宴会の席上で終始一貫反ユダヤ熱をあげて、プロテスタント機関紙『チャーチマン』に警告されている。また、アメリカ聖教会機関紙『ウイットネス』は、MRAの労資協調論を批評して「美くしい宗教言辞のかげでMRAはなぜ世界最大の・・・<宮本百合子「再武装するのはなにか」青空文庫>
  28. ・・・ 民主的出版物の編集が、ひとり合点で、不馴れであるし拙劣である上に、第三者に真の努力を感じさせるだけの迫力を欠いているということは、出版文化委員会の席上で、しばしば発言されたことであった。出版の仕事は客観的な現実のうちにさらされている事・・・<宮本百合子「しかし昔にはかえらない」青空文庫>
  29. ・・・ この座談会の席上で、島木氏や徳永氏によってプロレタリア文学作品の一つの発展的タイプとして「プロレタリア的な単純な明朗性を持った作品」「単純な、明快な言葉で判りよく、しかも芸術的な」作品が翹望されている。そのような作品に対する評価の点で・・・<宮本百合子「新年号の『文学評論』その他」青空文庫>
  30. ・・・ある時是真は息と多勢の門人とを連れて吉原に往き、俄を見せた。席上には酒肴を取り寄せ、門人等に馳走した。然るに門人中坐容を崩すものがあったのを見て、大喝して叱した。遊所に足を容るることをば嫌わず、物に拘らぬ人で、その中に謹厳な処があった。」・・・<森鴎外「細木香以」青空文庫>