ぜつ‐えん【絶縁】例文一覧 11件

  1. ・・・「当分大時計とも絶縁だな。」 兄は尾張町の角へ出ると、半ば独り言のようにこう云った。「だから一高へはいりゃ好いのに。」「一高へなんぞちっともはいりたくはない。」「負惜しみばかり云っていらあ。田舎へ行けば不便だぜ。アイスク・・・<芥川竜之介「お律と子等と」青空文庫>
  2. ・・・ おれはその醜態にふきだし、そして、お前と絶縁した。お前はおれを失うのを悲しんでか、それとも、ほかの理由でか、声をあげて泣きながら、おれにくれるべき約束の慰労金を三分の一に値切った。もっともそれとても一生食うに困らぬくらいの額だったが、・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  3. ・・・門殿逝去の後は、われその道を好むと雖も指南を乞うべき方便を知らず、なおまた身辺に世俗の雑用ようやく繁く、心ならずも次第にこの道より遠ざかり、父祖伝来の茶道具をも、ぽつりぽつりと売払い、いまは全く茶道と絶縁の浅ましき境涯と相成申候ところ、近来・・・<太宰治「不審庵」青空文庫>
  4. ・・・ある人の話では電気の絶縁のためにエボナイトを使ってある箇所を真鍮で作って、黒く色だけをつけておいた器械屋があるという。これはおそらくただの話かもしれない。しかしそれと五十歩百歩のいいかげんさは至るところにあるかもしれない。 五十年前に父・・・<寺田寅彦「断水の日」青空文庫>
  5. ・・・これが地下電線の被覆鉛管をかじって穴を明けるので、そこから湿気が侵入して絶縁が悪くなり送電の故障を起こすのだそうである。実に不都合な虫であるが、怒ってみたところで相手が虫では仕方がない。怒る代りに研究をして防禦法を講じる外はないであろう。・・・<寺田寅彦「鉛をかじる虫」青空文庫>
  6. ・・・の芝居で柳永二郎の富山がお宮の母と貫一の絶縁条件を値踏みしなが「二万円もやりぁいいでしょう」と云ったあの舞台面は多分ここをモデルにしたものらしいと思われた。 箱根ホテルでは勘定をもって来てくれと四、五度も頼んで待ち草臥れた頃にやっと持っ・・・<寺田寅彦「箱根熱海バス紀行」青空文庫>
  7. ・・・元の機械は相当感度がよかったために、アンテナはわずかに二メートルくらいの線を鴨居の電話線に並行させただけで、地中線も何もなしに十分であったのが、捲線が次第に黴びたり、各部の絶縁が一体に悪くなったりしたために感度が低下し、その上にラジオ商が外・・・<寺田寅彦「ラジオ雑感」青空文庫>
  8. ・・・彼女は、彼女の父親の代から属していた有産階級と絶縁し、家庭教師その他知的職業によって生活する一人の無産者となった。 アンネットは美しい。若い。然し恋愛を或る点恐怖している。アンネットは一旦自分を譲ったら徹底的に譲歩する自分の性質、並に必・・・<宮本百合子「アンネット」青空文庫>
  9. ・・・ 彼女にとっては継子である嗣子夫妻との間に理解を欠き、亡夫の一周年でも過ぎたら、どうにかして、彼等は全く絶縁した生活を講じなければならない状態に成って来たのです。 夕方、山を眺めて涼みながら、私共は随分種々のことを話し合いました。・・・<宮本百合子「ひしがれた女性と語る」青空文庫>
  10. ・・・その他、絶縁体の質の問題とかもあるときいた。 一言にして云えば、全波が聴ける、という声、聴きたいという欲望は日本中に普くあるのだが、実際聴ける機械は、さし当りどこに在るのかわからない状態が生じているのである。 日本の人々の生活にとっ・・・<宮本百合子「みのりを豊かに」青空文庫>
  11. ・・・けれども此の南北二家は親戚関係の成り立った当夜から、既に絶縁同様になっていた。と云うのは、秋三の祖父が、血統の不浄な貧しい勘次の父の請いを拒絶した所、勘次の母は自ら応じてその家へ走ったことから始まった。祖父の死後秋三の父は莫大な家産を蕩尽し・・・<横光利一「南北」青空文庫>