せつ‐ぼう〔‐バウ〕【切望】例文一覧 30件

  1. ・・・吾人は貞淑なる夫人のために満腔の同情を表すると共に、賢明なる三菱当事者のために夫人の便宜を考慮するに吝かならざらんことを切望するものなり。……」 しかし少くとも常子だけは半年ばかりたった後、この誤解に安んずることの出来ぬある新事実に遭遇・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  2. ・・・しかしそれは恋人を思いあきらめるがごとき大発心にて、どうか思いあきらめて下さるよう切望いたします。仏典に申す『勇猛精進』とはこのあたりの決心をうながす意味の言葉かと思います。実は参上して申述べ度きところでありますが、貴兄も一家の主人で子供で・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  3. ・・・男は何かというと、これは、私も最近ようやく気附いた事で、この大発見を諸君に易々と打明けるのは惜しいのであるが、ただいま期せずして座の一隅より、切望懇願のうめき声が発せられたようでもあり、まあ致しかた無い、御伝授しましょう。男子の真価は、武術・・・<太宰治「花吹雪」青空文庫>
  4. ・・・私はこの機会に夏目先生に関するあらゆる隠れた資料が蒐集され記録される事を切望して止まないものである。<寺田寅彦「埋もれた漱石伝記資料」青空文庫>
  5. ・・・私は日本の一流の映画家、音楽家、俳人が力を合わせて、西洋人に先鞭をつけられないうちに、一日も早くオリジナルで芸術的でしかも大衆的におもしろい俳諧連句的映画の創作に着手する事を切望するものである。・・・<寺田寅彦「音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」青空文庫>
  6. ・・・ わが国の教育家、画家、詩人ならびに出版業者が、ともかくもこの粗末な絵本を参考のために一見して、そうしてわが国児童のために、ほんの些細の労力を貢献して、若干の火事教育の絵本を提供されることを切望する次第である。そうすればこの赤露の絵・・・<寺田寅彦「火事教育」青空文庫>
  7. ・・・でも採用するようにと切望するものがかなりに多数あっても、大新聞では決してそれはしないという話である。これも人のうわさで事実はたしかでないが、しかし至極もっともな有りそうな話である。これも強者の悲哀の一例であろう。 こういういろいろの不思・・・<寺田寅彦「ジャーナリズム雑感」青空文庫>
  8. ・・・時々は世俗のいわゆる大作を見せてくださる事を切望する。 安井會太郎。 「桐の花咲くころ」はこれまでの風景に比べて黄赤色が減じて白と黒とに分化している事に気がつく。これは白日の感じを出しているものと思われる。果物やばらのバックは新しいと思・・・<寺田寅彦「昭和二年の二科会と美術院」青空文庫>
  9. ・・・私は読者の中で国家百年の将来を思う人々があらば、どうかこういう国家的にも世界的にも意義の深い仕事に有形無形の援助を惜しまれないようにこの機会をかりて切望する次第である。 人間が地上ばかりを歩いている間は普通の地図で足りるが、空を飛び歩く・・・<寺田寅彦「地図をながめて」青空文庫>
  10. ・・・ 私は科学の学生がただいたずらにL軸の上にのみ進む事を戒めたく思うと同時に、また科学教育に従事する権威者があまりにSK面の中にのみ学生を拘束して、L軸の方向に飛翔せんとする翼を盲目的に切断せざらん事を切望するものである。 最後に私はこの・・・<寺田寅彦「ルクレチウスと科学」青空文庫>
  11. ・・・私はあなたがたが自由にあらん事を切望するものであります。同時にあなたがたが義務というものを納得せられん事を願ってやまないのであります。こういう意味において、私は個人主義だと公言して憚らないつもりです。 この個人主義という意味に誤解があっ・・・<夏目漱石「私の個人主義」青空文庫>
  12. ・・・ 人生を愛し、熱心にそこを生きて行こうとするほどの者は、誰しもこの社会の人間関係のより豊富さ、より暢やかさ、より豊饒な発育性を切望しているのが本心と思う。そういうものとして、よりよい友情の花を同性の間にも異性の間にも期待するのは自然の心・・・<宮本百合子「異性の間の友情」青空文庫>
  13. ・・・そんな愚かな偏見に煩わされない若者たちが、自然と人間との現実をはっきり把握して愛する大人として現れることを切望しているだろう。子供のためにコフマンがたくさん執筆している心持、この「科学の学校」もそういうものの一つとして書かれている心持、それ・・・<宮本百合子「科学の常識のため」青空文庫>
  14. ・・・出発のはじめから、保守の重いかげとたたかいつつある日本民主化の途上で自分たちの血と涙とをとおして平和を要望し、そのための世界的協力を切望している日本の婦人大衆の誠意をここに披瀝いたします。日本の目ざめた婦人大衆は、自分たちの真心からのよびか・・・<宮本百合子「国際民婦連へのメッセージ」青空文庫>
  15. ・・・安眠なさるよう切望いたします。 九月十三日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より〕 今日の午後手紙を書いて、夜テーブルの横を見たら一枚私の字の書いてある紙がおっこちている、何だろうと思って見ると、手紙の中の一枚が何のはずみか・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  16. ・・・生かしてかえしたいと切望します 実に それを願います。 ウィスキーは内国産でも現在は薬用に足りるだけ純質なのが少くて、散々人手を経て一ビン買い小売りをしないというので大枚を投じ、うちにあると、無駄にのむ奴がいるから紀さんにあずけてありま・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  17. ・・・ 私は、こういう境遇にいる一人の母である作者が、永い将来の努力によって、次第に子供のための文学として、質量ともに逞しい生産をされることを切望する。その期待につれ、「村の月夜」で、私に印象された一つの疑問に触れたい。それは、この作者が、「・・・<宮本百合子「子供のために書く母たち」青空文庫>
  18. ・・・よりよく生きたいという切望は、特別女の心の底深く常に湧き立っている熱い泉である。よしやその泉の上に岩のおもしがおかれて人目からその清冽な姿がかくされていようとも、また、小ざかしく虚無を真似て自分からその泉の小さい燦きに目をそむけていようとも・・・<宮本百合子「『この心の誇り』」青空文庫>
  19. ・・・と民主的社会の建設のために誠実な努力をつづけている世界のすべての人がMRAの本体を見きわめているこんにち、片山哲氏が大財閥の三井一門とコーでもてなされて「MRAの機動部隊を日本に派遣されたい」と切望しているのは、チルチル、ミチルの旅にしては・・・<宮本百合子「再武装するのはなにか」青空文庫>
  20. ・・・著者が益々、文芸批評の本来性として在る極々の要因を、情熱の源泉として身につけて、細密にして柔軟、逞しい成長をとげてくれることを切望するのは、作家としても決して私一人ではなかろうと思っている。〔一九四〇年三月〕・・・<宮本百合子「作家に語りかける言葉」青空文庫>
  21. ・・・私はこの力作の検討の上に立って作者がさらに健康な発展に向うことを切望してやまないのである。〔一九三四年十月〕<宮本百合子「作家への課題」青空文庫>
  22. ・・・科学の真の発展の動因は原理のうちにあるとすれば、日本の若い世代がその貢献によって人類の原理を一進させ得るときが持てるように、家庭での科学教育や科学性の普及が行われることを切望する心持になる。今日の旺盛なアダプタビリティにも増す独創或は創造の・・・<宮本百合子「市民の生活と科学」青空文庫>
  23. ・・・それより、こんなにわるい銭湯の状態が、もっともっとよくなることを切望しています。自分のものでなくても、自分はじめみんなが衛生的に気もちよくつかえる銭湯をもちたいと、どんな方でもおっしゃると思います。ある区会議員の選挙演説では、当区内の浴場を・・・<宮本百合子「社会と人間の成長」青空文庫>
  24. ・・・ 決意のかたいこの人々が益々体も健やかに精神のひろやかなゆとりをも持って活動される事を切望する。 只でさえ女の先生を見る周囲の目は、そこに女の鑑を見ようとする傾きがつよいが、勇士の妻という事を、女先生の責任感に加重して負わせ過ぎない・・・<宮本百合子「女性週評」青空文庫>
  25. ・・・どんなにいい価値でそれを発揮させたいと切望しているだろう。今日と明日とのよりゆたかな生活の確信のために、私たちが人類の文化の歴史について、日本の過去の業績について何程かの知識を増すことは、決して無駄ではないだろうと思う。 先ず、私たちの・・・<宮本百合子「世代の価値」青空文庫>
  26. ・・・ 一九五〇年における中華人民共和国の発展を祝し、革命の母たるあなたの一そうの健康と活動とを切望いたします。〔一九五〇年二月〕<宮本百合子「宋慶齢への手紙」青空文庫>
  27. ・・・ この一本を注意ぶかく愛読するであろう諸氏に、私は切望する。諸氏の旺盛な生活力によってこの作品からあますところなく教訓を摂取すると共に、才能の自由な活動を奪われ、著者は今、繩をないつつ坐らせられているということを、記憶されるように、と。・・・<宮本百合子「『地上に待つもの』に寄せて」青空文庫>
  28. ・・・を第一輯とした次の第二輯を、出版されることを切望する。蕭軍、蕭紅たちは、きょう、どういう作品を生んでいるだろうか。延安の洞窟のなかで生れる文学はどういうものであろうか。それを知りたいと思っているのである。附記 「春桃」一巻の本文、特・・・<宮本百合子「春桃」青空文庫>
  29. ・・・この最初の二冊を読んだ人々は一層熱心に第三巻を待っているのであろうし更に第十巻全部が滞りなく完訳されることを切望しているのであろうと思う。山内義雄氏はフランス文学のうつし手として、これまでも多くの意義ある業績を示しておられるが、この「チボー・・・<宮本百合子「次が待たれるおくりもの」青空文庫>
  30. ・・・ 私は、良人の学業を信頼し、科学性の常識化を翹望するよき数人の夫人達が、科学の科学性を十分発揮し得る社会とは、どのような社会であるかということについて、優しい心で真面目に一考されることを切望するのである。〔一九三五年五月〕・・・<宮本百合子「花のたより」青空文庫>