せつ‐めい【説明】例文一覧 35件

  1. ・・・ではその人間とはどんなものだと云うと、一口に説明する事は困難だが、苦労人と云う語の持っている一切の俗気を洗ってしまえば、正に菊池は立派な苦労人である。その証拠には自分の如く平生好んで悪辣な弁舌を弄する人間でも、菊池と或問題を論じ合うと、その・・・<芥川竜之介「兄貴のような心持」青空文庫>
  2. ・・・監督が小言を言われながら幾度も説明しなおさなければならなかった。彼もできるだけ穏やかにその説明を手伝った。そうすると父の機嫌は見る見る険悪になった。「そんなことはお前に言われんでもわかっている。俺しの聞くのはそんなことじゃない。理屈を聞・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  3. ・・・それならば我々は、白鳥氏対藤村氏、泡鳴氏対抱月氏のごとく、人生に対する態度までがまったく相違している事実をいかに説明すればよいのであるか。もっともこれらの人の名はすでになかば歴史的に固定しているのであるからしかたがないとしても、我々はさらに・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  4. ・・・「説明に及ばず。私も一所に見ていたよ。吃驚した。時々放れ業をやる。それだから、縁遠いんだね。たとえばさ、真のおじきにした処で、いやしくも男の前だ。あれでは跨いだんじゃない、飛んだんだ。いや、足を宙へ上げたんだ。――」「知らない、おじ・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  5. ・・・ら、其人を待って始めて、現わるるもので、記述も議論も出来ないのが当前である、茶の湯に用ゆる建築露路木石器具態度等総てそれ自身の総てが趣味である、配合調和変化等悉く趣味の活動である、趣味というものの解釈説明が出来ない様に茶の湯は決して説明の出・・・<伊藤左千夫「茶の湯の手帳」青空文庫>
  6. ・・・というと、その跡は吉弥の笑い声で説明された。「それでは、いッそだまっておれば儲かったのに」「ほんとに、あたい、そうしたらよかった」「あいにく銅貨が二、三銭と来たら、いかに吉弥さんでも驚くだろう」「この子はなかなか欲張りですよ・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  7. ・・・が、人生の説明者たり群集の木鐸たる文人はヨリ以上冷静なる態度を持してヨリ以上深酷に直ちに人間の肺腑に蝕い入って、其のドン底に潜むの悲痛を描いて以て教えなければならぬ。今日以後の文人は山林に隠棲して風月に吟誦するような超世間的態度で芝居やカフ・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  8. ・・・役場では、その決闘というものが正当な決闘であったなら、女房の受ける処分は禁獄に過ぎぬから、別に名誉を損ずるものではないと、説明して聞かせたけれど、女房は飽くまで留めて置いて貰おうとした。 女房は自分の名誉を保存しようとは思っておらぬらし・・・<著:オイレンベルクヘルベルト 訳:森鴎外「女の決闘」青空文庫>
  9. ・・・ 帝国主義の副産物として、戦争を避け得られないことは、説明すべく、あまりにはっきりとした事実であります。そして、いま、世界の事情を観考するのに、第二の世界戦争が太平洋を中心として、次第に色濃く、萌しつゝあるが如くです。 それが、いよ・・・<小川未明「男の子を見るたびに「戦争」について考えます」青空文庫>
  10. ・・・渡辺橋から市電で阿倍野まで行き、そこから大鉄電車で――と説明しかけると、いや、歩いて行くつもりだと言う。そら、君、無茶だよ。だって、ここから針中野まで何里……あるかもわからぬ遠さにあきれていると、実は、私は和歌山の者ですが、知人を頼って西宮・・・<織田作之助「馬地獄」青空文庫>
  11. ・・・惣治は一本一本床の間の釘へかけて、価額表の小本と照し合わせていちいち説明して聴かせた。「この周文の山水というのは、こいつは怪しいものだ。これがまた真物だったら一本で二千円もするんだが、これは叔父さんさえそう言っていたほどだからむろんだめ・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  12. ・・・何よりもK君は自分の感じに頼り、その感じの由って来たる所を説明のできない神秘のなかに置いていました。 ところで、月光による自分の影を視凝めているとそのなかに生物の気配があらわれて来る。それは月光が平行光線であるため、砂に写った影が、自分・・・<梶井基次郎「Kの昇天」青空文庫>
  13. ・・・詳しき説明は宇都宮時雄の君に請いたもうぞ手近なる。 いずこまで越したもうやとのわが問いは貴嬢を苦しめしだけまたかの君の笑壺に入りたるがごとし。かの君、大磯に一泊して明日は鎌倉まで引っ返しかしこにて両三日遊びたき願いに候えど――。われ、そ・・・<国木田独歩「おとずれ」青空文庫>
  14. ・・・しかし幸福説は道徳的意識の深みと先験性とをどうしても説明し得ない。それは量的に拡がり得るが質的のインテンシチイにおいてはなはだ足らず、心奥の神秘を探究するのにいかにも竿が短かい。幸福主義は必ず結果主義と結びつき、動機を重んずる人格主義と対立・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  15. ・・・彼は絵の説明をした。「どれが鶴?」「これじゃ。――鶴は頸の長い鳥じゃ。」 子供は鶴を珍らしがって見いった。「ほんまの鶴はどんなん?」「そんな恰好でもっと大けいけんじゃ。」「それゃ、どこに居るん?」「金ン比羅さんに・・・<黒島伝治「砂糖泥棒」青空文庫>
  16. ・・・僕がこの疑問に向ッて与うる説明は易々たるものだよ。曰くサ、「最も障碍の少き運動の道は必らず螺旋的なり」というので沢山サ。一体運動の法則を論じて見れば一点より他点までに移る最近径は前にもいッた通り直線に極ッてるのサ。ダガ物は直線に進まないよ。・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  17. ・・・学士も日課を済ましたところであったが、まだ机の前に立って何か生徒に説明していた。机の上には大理石の屑、塩酸の壜、コップなどが置いてあった。蝋燭の火も燃えていた。学士は手にしたコップをすこし傾げて見せた。炭素がその玻璃板の間から流れると、蝋燭・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
  18. ・・・弟妹たちを呼び集めて、そのところを指摘し、大声叱咤、説明に努力したが、徒労であった。弟妹たちは、どうだか、と首をかしげて、にやにや笑っているだけで、一向に興奮の色を示さぬ。いったいに、弟妹たちは、この兄を甘く見ている。なめている風がある。長・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  19. ・・・ 理由を説明するのがつらかった。いや口をきくのも厭なのだ。 「この車に乗っちゃいかん。そうでなくってさえ、荷が重すぎるんだ。お前は十八聯隊だナ。豊橋だナ」 うなずいてみせる。 「どうかしたのか」 「病気で、昨日まで大石橋・・・<田山花袋「一兵卒」青空文庫>
  20. ・・・それで重力の秘密は自明的に解釈されると同時に古い力学の暗礁であった水星運動の不思議は無理なしに説明され、光と重力の関係に対する驚くべき予言は的中した。もう一つの予言はどうなるか分らないが、ともかくも今まで片側だけしか見る事の出来なかった世界・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  21. ・・・ 私はこの海辺の町についての桂三郎の説明を聞きつつも、六甲おろしの寒い夜風を幾分気にしながら歩いていた。「いいえ、ここはまだ山手というほどではありません」桂三郎はのっしりのっしりした持前の口調で私の問いに答えた。「これからあ・・・<徳田秋声「蒼白い月」青空文庫>
  22. ・・・ 下宿の二階にあがると、古藤にかわって福原が説明している。浅川も、「印刷工組合は、小野が上京してから、かえってアナの影響がつよくなったようだナ」 などというのを、古藤たちとおなじ年頃の高島はふりむきもせず、年長者のように、あぐら・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  23. ・・・今更ここに其角嵐雪の句を列記して説明するにも及ばぬであろう。わたくしは梅花を見る時、林をなしたひろい眺めよりも、むしろ農家の井戸や垣のほとりに、他の樹木の間から一株二株はなればなれに立っている樹の姿と、その花の点々として咲きかけたのを喜ぶの・・・<永井荷風「葛飾土産」青空文庫>
  24. ・・・先っきから婆さんは室内の絵画器具について一々説明を与える。五十年間案内者を専門に修業したものでもあるまいが非常に熟練したものである。何年何月何日にどうしたこうしたとあたかも口から出任せに喋舌っているようである。しかもその流暢な弁舌に抑揚があ・・・<夏目漱石「カーライル博物館」青空文庫>
  25. ・・・それは分らないものを、更に分らないものを以て説明するにほかならない。完全無欠なる存在というのは、自己自身によってあり、自己自身を限定するものでなければならない。それは表現するものが表現せられるものであり、自己自身を表現するものとしてあるもの・・・<西田幾多郎「デカルト哲学について」青空文庫>
  26. ・・・その苦しさと苛だたしさとは、到底筆紙に説明することが出来ないのである。しかも表面はさりげなく、普通に会話して居なければならないのである。この忌々しい病気の為に、過去に僕は幾人かの友人を無くしてしまい、愛する人を意外の敵に回してしまった。特に・・・<萩原朔太郎「僕の孤独癖について」青空文庫>
  27. ・・・ 然らばすなわち、徳行の条目を示し、人たるものはかくあるべし、かくあるべからずと、ていねい反覆その利害を説明して、少年の心を薫陶するこそ、徳育の本意なるべきに、全編の文面を概すれば、むしろ心理学の解釈とも名づくべきものにして、読者をして・・・<福沢諭吉「読倫理教科書」青空文庫>
  28. ・・・是れ必竟するに清元常磐津直接に聞手の感情の下に働き、其人の感動を喚起し、斯くて人の扶助を待たずして自ら能く説明すればなり。之を某学士の言葉を仮りていわば、是れ物の意保合の中に見われしものというべき乎。 然るに意気と身といえる意は天下の意・・・<二葉亭四迷「小説総論」青空文庫>
  29. ・・・ これだけの説明をいたすのが、わたくしには一通りの骨折ではございませんでした。しかし聡明な、敏捷な思索家でいらっしゃるあなたには、わたくしの思っている事は、造做もなくお分りになりましょう。 あなたがまだ高等学校をお出になったばかりの・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  30. ○十年ほど前に僕は日本画崇拝者で西洋画排斥者であった。その頃為山君と邦画洋画優劣論をやったが僕はなかなか負けたつもりではなかった。最後に為山君が日本画の丸い波は海の波でないという事を説明し、次に日本画の横顔と西洋画の横顔とを並べ画いてそ・・・<正岡子規「画」青空文庫>