せん‐じ【戦時】例文一覧 30件

  1. ・・・ 戦時は艦内の生活万事が平常よりか寛かにしてあるが、この日はことに大目に見てあったからホールの騒ぎは一通りでない。例の椀大のブリキ製の杯、というよりか常は汁椀に使用されているやつで、グイグイあおりながら、ある者は月琴を取り出して俗歌の曲・・・<国木田独歩「遺言」青空文庫>
  2. ・・・ 俸給が、その時、戦時加俸がついてなんでも、一カ月五円六十銭だった。兵卒はそれだけの金で一カ月の身ざんまいをして行かねばならない。その上、なお一円だけ貯金に、金をとられるのだ。個人的な権限に属することでも、命じられた以上は、他を曲げて実・・・<黒島伝治「穴」青空文庫>
  3. ・・・ 戦時に於ける、反戦文学の主要力点は、こゝに注がれなければならぬ。 プロレタリアートは、××のために起って来る、経済的、政治的危機を××××「資本主義社会の××を迅速ならしめなければならない。」 が、これも、これだけを独立して取・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  4. ・・・第二章 戦時に動員されて簇出した小説 まず、さきに、戦争に動員されて簇出した戦争小説にふれて置きたい。 一八九四年朝鮮に東学党の乱が起って、これが導火線となって日清戦争が勃発するや、国内は戦争気分に瀰漫されるに到った。そ・・・<黒島伝治「明治の戦争文学」青空文庫>
  5. ・・・それは脱営になって、脱営は戦時では銃殺に処せられることになっていた。だがそれを内密にすましてその男は処罰されることからは免れた。しかし、その代りとして、四年兵になるまで残しておかれるだろうとは、自他ともに覚悟をしていた。 だが、その男も・・・<黒島伝治「雪のシベリア」青空文庫>
  6. ・・・聞いてみると、これもやはりアメリカの人たちの指導のおかげか、戦前、戦時中のあの野暮ったさは幾分消えて、なんと、なかなか賑やかなもので、突如として教会の鐘のごときものが鳴り出したり、琴の音が響いて来たり、また間断無く外国古典名曲のレコード、ど・・・<太宰治「家庭の幸福」青空文庫>
  7. ・・・それは、知識の「大本営発表」である。それは、知識の「戦時日本の新聞」である。 戦時日本の新聞の全紙面に於いて、一つとして信じられるような記事は無かったが、(しかし、私たちはそれを無理に信じて、死ぬつもりでいた。親が破産しかかって、せっぱ・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  8. ・・・ 利欲のほかに何物もない人たちが戦時の風雲に乗じていろいろなきわどい仕事に手を出し、それがほとんど予期されたはずの変動のために倒れたのはどうにもしかたがないとしても、そういう人の妻子の身の上は考えてみれば気の毒である。 突然すぐ前の・・・<寺田寅彦「写生紀行」青空文庫>
  9. ・・・ しかし、また一方、この同じ心理がたとえば戦時における祖国愛と敵愾心とによって善導されればそれによって国難を救い戦勝の栄冠を獲得せしめることにもなるであろう。 しかしまた、同じような考え方からすれば、結局ナポレオンも、レーニンも、ム・・・<寺田寅彦「蒸発皿」青空文庫>
  10. ・・・大小の軍需成金たちは、戦時利得税や、財産税をのがれるために濫費、買い漁りをしているから、インフレーションは決して緩和されない。却って、最近悪化して来ている。いくら、待遇改善しても、月給は物価に追いつく時は決してない。これがインフレーションの・・・<宮本百合子「合図の旗」青空文庫>
  11. ・・・一九四一年十一月より五ヵ月ばかり、連合軍側の戦時特派員という資格で、アフリカ、近東、ソヴェト同盟、インド、中国を訪問し、ファシズム、ナチズムに対して民主主義をまもろうとする国々のたたかいの姿を報道した。「ポーランドに生れ、フランスに眠るわが・・・<宮本百合子「明日の知性」青空文庫>
  12. ・・・新聞関係の人々は、各方面を広汎に、戦時中の社会生活の現実を目撃し、理性ある人間であるからには、それを批評せずにはいられなかった。しかし、その声は完く封じられていた。 今日、こういう過程を経た新聞人の進歩的な要素が、わたしたち人民の、ひろ・・・<宮本百合子「明日への新聞」青空文庫>
  13. ・・・一つは市立の女学校であり、この場合の性質は、学校の経営的な原因より、むしろはっきり、戦時的認識を若い娘心に銘させようとする意味に立っているのである。 どの新聞雑誌を見ても、銃後の婦人の力の実質が、この頃は生産拡充への直接間接の参加という・・・<宮本百合子「新しい婦人の職場と任務」青空文庫>
  14. ・・・という国内戦時代のコムソモールたちの感情、若さから誤謬は犯しながら雄々しく実践でそれを清算する働きぶりなどを歴史的に見た劇を上演している。ハバロフスクへ潜行運動にベザイスが、絵を描いた貨車にのっかって行く。その中途から頼まれてのせてやった娘・・・<宮本百合子「新しきシベリアを横切る」青空文庫>
  15. ・・・という国内戦時代の中ブルジョア層を主題にした脚本などは一九二七・八年モスクワ芸術座で上演され、ひどく評判だった。 ブルガーコフはこの他にも「赤紫の島」という脚本を書いた。これは、カーメルヌイ劇場に上演されてなかなか面白いものだった。とこ・・・<宮本百合子「新たなプロレタリア文学」青空文庫>
  16. ・・・ 日本の戦時中に育った若い心は強いて無智に置かれた。非現実のヒロイズムで目のくらむような照明を日夜うけつづけて育った。自分としての判断。その人としての考えかた。社会生活におけるそのことの必然を認めることさえ罪悪とした軍部の圧力は、若い精・・・<宮本百合子「生きつつある自意識」青空文庫>
  17. ・・・これから実現する戦時利得税、財産税をすりぬけようとして、大小の各財閥が工夫をこらすであろう術策などは、きっとその専門家的欲望の対象となるであろう。 民主的な検事局というならば、あらゆる場合、基本的な人権の劬り、事件関係に対する社会の現実・・・<宮本百合子「石を投ぐるもの」青空文庫>
  18. ・・・ 広く知られている通りイタリーのアフリカ植民地政策の活溌さはエチオピア問題を見ても明かであり、リビアは最近急速に戦時軍需資源の獲得地となっている。鉄、ニッケル、ジュラルミン等の原鉱を多量に生産することが分ったそのためにイタリーは附近の土・・・<宮本百合子「イタリー芸術に在る一つの問題」青空文庫>
  19. ・・・ こういう様相が文化とよばれるものだろうか。こんなまとまりのない、二重三重の不均衡でがたぴし、民族の隷属がむき出されているありさまが、わたしたち日本人の文化の本質だというのだろうか。 戦時中の反動で、しきりに教養だの文化だのと求めな・・・<宮本百合子「偽りのない文化を」青空文庫>
  20. ・・・婦人部オルグのメーラなどは、まるで公式的に戦時共産時代からの性関係の形を自身うけついで暮している。 インガが、ドミトリーとのことを話し、彼の妻子について彼女が気を重くしていることを云ったら、長椅子の上へ寝ころびながら、メーラは口笛を吹き・・・<宮本百合子「「インガ」」青空文庫>
  21. ・・・井上秀子女史が戦時中日本女子大学校長としてどのように熱心に戦争遂行に協力したかは当時の学生たちが、自分たちの経験した過労、栄養不良、勉学不能によって骨の髄まで知りつくしていることだろうと思う。そういう校長を絶対勢力として戴いて、どうして教育・・・<宮本百合子「女の手帖」青空文庫>
  22. ・・・鈴木文史朗はついこの間アメリカへ行ってリーダーズ・ダイジェスト本社の立派なことを日本に吹聴したが、彼はアメリカで何を学び、どう語ることを学んで帰ったというのだろう。戦時中彼はヨーロッパ漫遊をしてナチスと兄弟となっていた日本権力の活躍ぶりを視・・・<宮本百合子「鬼畜の言葉」青空文庫>
  23. ・・・日本において彼の作品の商品価値がちがう。戦時に、軍部がこの画家を利用することにおいての熱心さまでが違ったのである。 アメリカでもヨーロッパでも、真実な文化人、芸術家たちは、文化・芸術の悪質な商業化に対して、いつも戦って来た。科学者たちも・・・<宮本百合子「木の芽だち」青空文庫>
  24. ・・・その頃から、本年八月迄、十四年の間、日本の婦人運動は辛うじて母子保護法を通過させたのみで、炭鉱業者が戦時必需の名目で婦人の坑内深夜業復活を要求したのに対し、何の防衛力ともなり得なかった。婦人の政治参加の問題どころか、戦争に熱中した政府は戦争・・・<宮本百合子「現実に立って」青空文庫>
  25. ・・・ 例えばいろいろな火災保険であるとか、戦時保険であるとか、また、退職手当というものも、大分使い果してしまっているのであります。別に私たちのところに、何万円もの金があって、それが自由になるなどという人は一般にはないわけです。 モラトリ・・・<宮本百合子「幸福について」青空文庫>
  26. ・・・今日、平和日本の建設または民主日本の誕生などといっている政党のほとんど全部は、戦時中の議会で、すべての軍事費に賛成して来た人々の集りです。 真心から婦人の幸福を思い、差別ある待遇を改善しようとして、あらゆる場面で、ともども闘って来た日本・・・<宮本百合子「幸福のために」青空文庫>
  27. ・・・でも読みかえして見るように、国内戦時代にかかれたそれらの作品を愛読した。作品としては下手に書かれたものでさえも、読者は、それを読んで思い出す自分達の経験の豊富さ、なまなましさで補ってくれたのである。 やがて十年経った。そして十一年たった・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  28. ・・・そして、この期間は同時に、戦時中最悪の労働条件に虐使されて来た勤労男女が、基本的な人権と労働の権利にたって、インフレーションとたたかいながら、日本の労働条件を半植民地の低さから解放しようと奮闘した。外にあらわれた形では大小のストライキ続きだ・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  29. ・・・昨今婦人代議士のいうことは戦時中村岡花子や山高しげりその他の婦人達が婦人雑誌や地方講演に出歩いて、どうしてもこの戦いを勝たすために、挙国一致して「耐乏生活」をやりとげてくださいと説いてまわったと同じような「耐乏生活」の泣きおとしです。今日彼・・・<宮本百合子「今度の選挙と婦人」青空文庫>
  30. ・・・商売というものの性質も昨今は急速に変って来ているのだし、従って明治時代に描かれたような個人の立身出世の夢や、この一二年前のような戦時成金への夢想も既に現実のよりどころは喪っている。自分一人の儲け、自分一人の立身出世、それを狙うことの愚かさは・・・<宮本百合子「今日の耳目」青空文庫>