せん‐てい【選定】例文一覧 24件

  1. ・・・まえから、そのために崖のうえのこの草原を、とくに選定したのである。眠った。ずるずる滑っているのをかすかに意識した。 寒い。眼をあいた。まっくらだった。月かげがこぼれ落ちて、ここは?――はっと気附いた。 おれは生き残った。 のどへ・・・<太宰治「姥捨」青空文庫>
  2. ・・・宮廷に於ける諸勢力に対し、過不足ないよう、ことさらに当らずさわらずの人物が選定せられたのである。クロオジヤスは、申し分なき好人物にして、その条件に適っている如く見えた。ロオマ一ばんの貝殻蒐集家として知られていた。黒薔薇栽培にも一家言を持って・・・<太宰治「古典風」青空文庫>
  3. ・・・それには撮影さるべき対象選定はもちろんそれがいかなる条件においていかに撮影さるべきかが具体的に精細に設計規定されなければならない。それができて後に関係部員のそれぞれの部署が決定されなければならない。一方では精密な予算も組まれなければならない・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  4. ・・・それからもう一つのおもしろみの原因は登場するキャストの選定によって現わされた人間の定型の真実さにある。たとえば友だちの名をかたってパリへ出かけるいたずら者が、自分の引き立て役に純ドイツ型の椋鳥を連れて行く、その椋鳥のタイプとか、パリ遊覧自動・・・<寺田寅彦「映画雑感(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」青空文庫>
  5. ・・・郷里の父に頼んで良種を選定し、数本の苗を東京へ送ってもらった。これがさらに佐野博士の手で伊東に送られ移植された。そしてこの苗の生長を楽しみにしておられた博士は不幸にして夭折されたのである。亡くなられる少し前に、たしかこれらの楊梅が始めて四つ・・・<寺田寅彦「郷土的味覚」青空文庫>
  6. ・・・墓地の選定をなさんとする人には山腹の崖崩れは問題となるべし。 世人の天気予報に対する誤解と不平は畢竟この点に係る。二十万分の一の地図を手にして道路の小凹凸を索め、物体の温度を知りてその分子各箇の運動を知らんとすると同様なる誤解に起因す。・・・<寺田寅彦「自然現象の予報」青空文庫>
  7. ・・・しかし後にはそうではなくて先任者が順々に後任者を推薦し選定するようになった。従って自然に人員の個性がただ一色に近づいて来るという傾向が生じたのではないかという気がする。どちらがいいか悪いかは別問題であるが、昔の人選法も考えようによってはかえ・・・<寺田寅彦「相撲」青空文庫>
  8. ・・・あらかじめ気象学者の意見を徴すればよいのに、工学者や軍人だけで土地を選定しいよいよ工事を始めてみると気象方面の不都合な点が出て来て中止する事となり、約五百万円くらいの金を棒に振ったという事である。『ネチュアー』の記者はこれについて大いに当局・・・<寺田寅彦「戦争と気象学」青空文庫>
  9. ・・・ 一針縫うのに十五秒ないし三十秒かかるであろうし、それに針や糸を渡し受取り、布片を延べたり、○印を一つ選定したりするにもかれこれ此れと同じくらいはかかる。それであとからあとから縫い手が押しかけてくれればともかく、そうでないとすると一分に・・・<寺田寅彦「千人針」青空文庫>
  10. ・・・しかし果して蜂がその本能あるいは智慧で判断していったん選定した場所を、作業の途中で中止して他所へ移転するというような事があるものか、ないものか、これは専門の学者にでも聞いてみなければ判らない事である。 もしSの判断が本当であったとしたら・・・<寺田寅彦「小さな出来事」青空文庫>
  11. ・・・ 測量を始める前にはまず第一に三角点の位置を選定する選点作業が必要である。深山の峰から峰と一つ一つ登って行ってはそこから百キロ以内の他の高峰との見透しを調べて歩くのである。一点を決定するのに平均二週間はかかる。そうして三角点の配布が決定・・・<寺田寅彦「地図をながめて」青空文庫>
  12. ・・・ 家を建てようと思う人が自分の素人設計図を見せてまずい所を直してもらったり、ちょっとした器械でも買う場合に目的を話して適当なものを選定してもらわれれば好都合である。メロンを作ってみたいと思う人が自分の畑の適否を相談し、栽培法の要領を教わ・・・<寺田寅彦「夏」青空文庫>
  13. ・・・我等の為し得るところは、精々のところ他人の製作した者の中から、あの額縁この表紙を選定し指定するに過ぎない。しかもその選定や指定すら、多くの困難なる事情の下に到底満足には行かないのである。されば芸術品の表装は、我等の作品の一部分であるにかかは・・・<萩原朔太郎「装幀の意義」青空文庫>
  14. ・・・出入りの俥夫が知り合いで、その家を選定してくれたのであった。 陽子、弟の忠一、ふき子、三日ばかりして、どやどや下見に行った。大通りから一寸入った左側で、硝子が四枚入口に立っている仕舞屋であった。土間からいきなり四畳、唐紙で区切られた六畳・・・<宮本百合子「明るい海浜」青空文庫>
  15. ・・・ 特別にこの夜のために脚本が選定されるということはない。平常から各劇場の上演目録は特別の統制機関によって選ばれている。 いつもその時ソヴェトの全勤労者がおかれている社会的情勢、細かく云えば党と職業組合との決定した線にそうて新らしい脚・・・<宮本百合子「インターナショナルとともに」青空文庫>
  16. ・・・ 野戦病院へ着くや否や、放射線室として一つの部屋を選定する。あらゆる部分品を組立てる。隣室には現像液が用意される。運転手に合図してダイナモが動き始める。マリアが姿を現わして後三十分でこれらの事が運ばれた。それから暗い部屋に外科医と一緒に・・・<宮本百合子「キュリー夫人」青空文庫>
  17. ・・・演劇は上演目録の計画的選定で上演されている。文学作品の生産ばかりは、個々の作家の勝手で行われて来た。めいめいの作家が、てんでの思いつきでつかまえた題材で書きたいときに書いていた。果して、それでいいものかどうか? ラップはこういう問題を提起し・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  18. ・・・った学説、日本文学の発展・変化の内外諸関係を支配し、そして、支配しつづけて今日に及んでいる何かの法則を発見するべき段になって、現在、国文学研究者自身が、その法則を把握するに先ず必要な学者としての立場の選定について、大なる困難、撞着、対立に置・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  19. ・・・例えば、或る女学生が、私を三十円で買って下さいという手紙を誰に当てて書いたかといえば、その相手としては外ならぬ会社の重役を選定したという事実の裡に、今日の社会の実物教育が娘たちの心の中に、どんなことを思いつかせる可能を日夜植えつけているかと・・・<宮本百合子「昨今の話題を」青空文庫>
  20. ・・・文化賞の対象の選定にあたって、「老舗」ののれんが物をいう反民主性に屈伏することであるのに、おどろかずにはいられまいと思う。「同人雑誌」でさえあればそれが新しい文学の温床なのではなくて、旧来の文壇気質やジャーナリズムの現代文学の空虚さにあ・・・<宮本百合子「しかし昔にはかえらない」青空文庫>
  21. ・・・しかし、授賞すべき作品、作家の選定にあたっては、これまでも様々の矛盾を暴露して来た。作品評価の任に当っている懇話会員である作家たちは作品としての価値で、文学の立場から或る作品の優秀性を認めて、実際の投票では最高点を得ているものが、いわゆる左・・・<宮本百合子「近頃の話題」青空文庫>
  22. ・・・例えば、オリンピック村の敷地が成城学園の附近に選定されるらしいが、その敷地は寄附という形で、無代でとりあげられるらしい。オリンピック村の建物は競技がすんだ後も残るから、それを下附すればアパートメントとして収入を得られる。だから、それで償いは・・・<宮本百合子「日本の秋色」青空文庫>
  23. ・・・殊に彼はルイザを皇后に決定する以前、彼の選定した女はロシアの皇帝の妹アンナであった。しかし、ロシアは彼の懇望を拒絶した。そうして、第二に選ばれたものはこのハプスブルグの娘ルイザである。ルイザにとって、ロシアは良人の心を牽きつけた美しきアンナ・・・<横光利一「ナポレオンと田虫」青空文庫>
  24. ・・・そして、軈て来る冬の仕事の手始めとして、先ず柴山の選定に村人達が悩み始める頃迄続いていった。三 まだ夕暮には時があった。秋三は山から下ろして来た椚の柴を、出逢う人々に自慢した。 そして、家に着くと、戸口の処に身体の衰えた・・・<横光利一「南北」青空文庫>