せん‐でん【宣伝】例文一覧 30件

  1. ・・・ しかし怪しげな、国家主義の連中が、彼らの崇拝する日蓮上人の信仰を天下に宣伝した関係から、樗牛の銅像なぞを建設しないのは、まだしも彼にとって幸福かもしれない。――自分は今では、時々こんなことさえ考えるようになった。・・・<芥川竜之介「樗牛の事」青空文庫>
  2. ・・・まさか、子供を使って、洋刀や空気銃の宣伝をするのではあるまい。 いずれ仔細があるであろう。 ロイドめがねの黒い柄を、耳の尖に、?のように、振向いて運転手が、「どちらですか。」「ええ処で降りるんじゃ。」 と威圧するごとくに・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  3. ・・・ 平和と愛と労働者の讃美者であり、宣伝者であり、味方であったミレーは、彼のさびしくも、微笑むような静かな芸術の底に限りない、決して屈せない力を含めている。――若し、この善良な民衆の生活を、脅威するものがあったならば、また破壊するものがあ・・・<小川未明「民衆芸術の精神」青空文庫>
  4. ・・・ ところが、その年も押しつまったある夜、紙芝居をすませて帰ってきますと、今里の青年会館の前に禁酒宣伝の演説会の立看板が立っていたので、どんなことを喋るのか、喋り方を見てやろうと思いながら、はいって聴きました。そして、二人目の講師の演説が・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  5. ・・・昭和の大棋戦だと、主催者の読売新聞も宣伝した。ところが、坂田はこの対局で「阿呆な将棋をさして」負けたのである。角という大駒一枚落しても、大丈夫勝つ自信を持っていた坂田が、平手で二局とも惨敗したのである。 坂田の名文句として伝わる言葉に「・・・<織田作之助「可能性の文学」青空文庫>
  6. ・・・ もし、はやらなければ、宿賃の払いも心細い……と、口には出さなかったが、ぎろりとした眼を見張ってから一刻、ひょいと会場の窓から村道の方を覗くと、三々伍々ぞろぞろ歩いて来る連中の姿が眼にはいり、あ、宣伝が利いたらしいとむしろ狼狽した。・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  7. ・・・エンゲルスはマルクスと、半世を献身的友情をもって共産主義宣伝のために働いた。『弁証法と自然』において、唯物弁証法を発展させ、『英国における労働階級の境遇』において、自由競争下の労働者の悲惨な実状を論じた。ラサールはマルクスと異なり、理念に導・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  8. ・・・彼の熱情は群衆に感染して、克服しつつ、彼の街頭宣伝は首都における一つの「事件」となってきた。 既成教団の迫害が生ずるのはいうまでもない成行きであった。また鎌倉政庁の耳目を聳動させたのももとよりのことであった。 法華経を広める者には必・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  9. ・・・高くは聖書のように、自分の体験した人間のたましいの深部をあまねく人類に宣伝的に感染させようとしたものから、哲学的の思索、科学的の研究、芸文的の制作、厚生実地上の試験から、近くは旅行記や、現地報告の類にいたるまで、ことごとく他人の心身の労作に・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  10. ・・・だとか云って宣伝するのも、主に儲けをする彼等である。百姓には、寒霞渓が、なに美しくあるものか! 「天下の名勝」もへちまもあったものじゃない。彼等は年百年中働くばかりである。食う物を作りながら、常に食うや食わずの生活をしている。 僕の親爺・・・<黒島伝治「小豆島」青空文庫>
  11. ・・・ 軍隊内における組織的活動、軍国主義と資本主義のためにする軍隊の使用に反対する啓蒙的な宣伝は、兵営に這入ろうとする革命的な青年たちのやらねばならぬ仕事である。 ブルジョア軍隊を打倒することなくしては、プロレタリア革命は完全に勝利に到・・・<黒島伝治「入営する青年たちは何をなすべきか」青空文庫>
  12. ・・・文学の全×××宣伝力を挙げて、労働者農民に力強く喰い入ることを心がけねばならない。 ××××戦争は、それを、プロレタリアートのブルジョアジーに対する××に転化し得る可能性を多分に持っている。又、プロレタリアートは、それを転化するように努・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  13. ・・・この思い切った宣伝が廉価出版の気勢を添えて、最初の計画ではせいぜい二三万のものだろうと言われていたのが、いよいよ蓋をあけて見るとその十倍もの意外に多数な読者がつくことになった。 思いもよらない収入のある話と私が言ったのは、この大量生産の・・・<島崎藤村「分配」青空文庫>
  14. ・・・ましてそれを他人に宣伝するまでになった人はいよいよ幸福である。私にはすべてそれらのものが信ぜられず、あらが見えるように思われてならない。あるものは持って廻った捏造物だ、あるものは虚偽矯飾の申しわけだ、あるものは楯の半面に過ぎず、あるものはた・・・<島村抱月「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」青空文庫>
  15. ・・・ チャリネの音楽隊は、村のせまい道をねりあるき、六十秒とたたぬうちに村の隅から隅にまで宣伝しつくすことができた。一本道の両側に三丁ほど茅葺の家が立ちならんでいるだけであったのである。音楽隊は、村のはずれに出てしまってもあゆみをとめないで・・・<太宰治「逆行」青空文庫>
  16. ・・・下手くそにいっていたとしても、むしろ、この方を宣伝して呉れ。提灯をもつことなんて一番やさしいことなんだから。二、僕と君との交友が、とかく、色眼鏡でみられるのは仕方がないのではないかな。中畑というのにも僕は一度あってるきりだし、世間さまに云わ・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  17. ・・・ 部屋の壁には、無尽会社の宣伝ポスター、たった一枚、他にはどこを見ても装飾らしいものがない。カーテンさえ無い。これが、二十五、六の娘の部屋か。小さい電球が一つ暗くともって、ただ荒涼。怪力 「あそびに来たのだけどね、」と田・・・<太宰治「グッド・バイ」青空文庫>
  18. ・・・その下にどこかの天ぷら屋の宣伝札らしいものがある。火山に天ぷらは縁があると思えば可笑しい。 岩塊の頂で偶然友人N君の一行に逢った。その案内で程近い洞穴の底に雪のある冷泉を紹介された。小さな洞穴の口では真冬の空気と真夏の空気が戦って霧を醸・・・<寺田寅彦「浅間山麓より」青空文庫>
  19. ・・・そうして、西洋の芸術理論家は、こういうものの存在を拒絶した城郭にたてこもって、その城郭の中だけに通用する芸術論を構成し祖述し、それが東洋に舶来し、しかも誤訳されたりして宣伝されることもあるであろう。 四十年前の田舎の亀さんはやはりいちば・・・<寺田寅彦「生ける人形」青空文庫>
  20. ・・・近代になって、これが各種の伝染病菌の運搬者、播布者として、その悪名を宣伝されるようになり、その結果がいわゆる「蠅取りデー」の出現を見るにいたったわけである。著名の学者の筆になる「蠅を憎むの辞」が現代的科学的修辞に飾られて、しばしばジャーナリ・・・<寺田寅彦「蛆の効用」青空文庫>
  21. ・・・社から高島貞喜がくるという通知を受けとったこと、その演説会と座談会をやるため、印刷工組合と友愛会支部とで出来ている熊本労働組合連合会の役員たちが宣伝をうけもつこと、高島の接待は第五高等学校の連中がやること等であった。しかし同じ新人会熊本支部・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  22. ・・・ 唖々子はかつて硯友社諸家の文章の疵累を指したように、当世人の好んで使用する流行語について、例えば発展、共鳴、節約、裏切る、宣伝というが如き、その出所の多くは西洋語の翻訳に基くものにして、吾人の耳に甚快らぬ響を伝うるものを列挙しはじめた・・・<永井荷風「十日の菊」青空文庫>
  23. ・・・ この時代には電車の中で職人が新聞をよむような事もなかったので、社会主義の宣伝はまだ深川の裏長屋には達していなかった。竹格子の窓には朝顔の鉢が置いてあったり、風鈴の吊されたところもあったほどで、向三軒両鄰り、長屋の人たちはいずれも東・・・<永井荷風「深川の散歩」青空文庫>
  24. ・・・又世界中にもそれを宣伝したまえ。二十億人がみんな死ぬ。大へんさっぱりして諸君の御希望に叶うだろう。そして、そのあとで動物や植物が、お互同志食ったり食われたりしていたら、丁度いいではないか。」 私はなおさら変な気がしました。 もう・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  25. ・・・という政治的キャバレーをひらいて、おなじ名の諷刺劇を上演したり、娯楽と宣伝とをかねた政治的集会を催し、演劇的才能と行動性とを溌剌と発揮して活動しはじめた。 ところが二月二十七日の夜、ドイツ国会放火事件がおこった。真の犯人はナチスであるが・・・<宮本百合子「明日の知性」青空文庫>
  26. ・・・ 片岡氏は、当時のブルジョア道徳が逆宣伝的に、階級闘争に従う前衛のはなはだしく困難な生活の中に、不可避的に起ったさまざまの恋愛錯雑を嘲笑したのに対し、抗議としてこの小説を書かれた。そのことは、同じ小説の中の文句でもはっきり宣言せられてい・・・<宮本百合子「新しい一夫一婦」青空文庫>
  27. ・・・と数を読むように云って、「随分盛んに主義の宣伝に使われているようですね」と言い足した。「どれ」と云って、犬塚が紙巻の燃えさしを灰吹の中に投げたのを合図に、三人は席を起った。 外を片付けてしまって待っていた、まかないの男が、三人の前に・・・<森鴎外「食堂」青空文庫>
  28. ・・・を主義宣伝に応用しているから、一応尤もだとも云われよう。小説や脚本には、世界中どこの国でも、格別けむたがっているような作はない。それを危険だとしてある。「戦争と平和」で、戦争に勝つのはえらい大将やえらい参謀が勝たせるのではなくて、勇猛な兵卒・・・<森鴎外「沈黙の塔」青空文庫>
  29. ・・・ が、この奴隷商人の宣伝が嘘であることを立証したのは十九世紀以来の探検家である。なるほどアフリカの沿岸には、奴隷商人が荒し回った限り、ニグロ固有の文化はなんにも残っていない。そこにあるのはヨーロッパの安物商品、ズボンをはいたみじめなニグ・・・<和辻哲郎「アフリカの文化」青空文庫>
  30. ・・・戦国時代のことであるから、陰謀、術策、ためにする宣伝などもさかんに行なわれていたことであろうが、しかし彼は、そういうやり方に弱者の卑劣さを認め、ありのままの態度に強者の高貴性を認めているのである。そうしてまたそれが結局において成功の近道であ・・・<和辻哲郎「埋もれた日本」青空文庫>